日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年7月25日号

12年7月25日号  

情報隠しではなく公開こそ 秘密保全法学習会  

 今国会での法案提出は見送られたものの、政府によって法案提出の準備がされている秘密保全法。国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持に関する情報を「特別秘密」として、漏えいした者を重罰に処する内容となっています。
 全労連、日本マスコミ文化情報労組会議、日本ジャーナリスト会議、マスコミ関連九条の会連絡会、自由法曹団、国民救援会の6団体が呼びかけ団体となり、学習集会が7月11日、都内で開かれ68人が参加しました。
 集会では、日弁連秘密保全法制対策本部事務局長の清水勉弁護士が、秘密保全法の問題点などを講演。
 講演で清水弁護士は、政府は秘密の範囲は「国の安全」「外交」「公共の安全及び秩序の維持」に限定されるとしているが、どの情報が「特別秘密」かを判断するのは、情報を管理する行政側であり、政府が国民に知られたくない情報を「特別秘密」として隠すなど、恣(し)意(い)的な運用がされる危険性を指摘。
 秘密を漏えいし、秘密保全法に違反したとして逮捕・起訴された場合、漏らしたとされる秘密は、特別秘密であるために逮捕状や起訴状に書かれることはなく、弁護活動に重大な影響を及ぼすと指摘しました。
 また、秘密保全法は警察庁や公安調査庁などの官僚が主導となって法制化を狙っていること、法制の在り方に関する有識者会議は非公開とされ、議事録なども作成されていないことを告発。国にとって都合の悪い情報を隠すのではなく、国民へ情報公開を推し進めるべきと強調しました。
 参加者からは、「表現の自由を奪う法案。断固反対」「メディアとしての命が奪われる。警察や防衛への取材が萎(い)縮(しゅく)する」「物が言えぬ社会となり、戦前のような戦争への道を突き進んでしまう」などの発言がされました。
 閉会のあいさつで、国民救援会の鈴木猛事務局長は「秘密保全法の問題点と実態を多くの国民に知らせて手を携え、法制化を阻止しよう」と訴えました。

橋下「改革」の実態知る 愛知・2支部 学習会に94人  

 国民救援会知多中央支部と北部支部の共催で7月8日、愛知県半田市で、「橋下『改革』がねらう独裁・弱者切り捨て政治学習会」が開かれ、94人が参加しました。
 大阪自治労連の荒田功書記長が講演。橋下「維新の会」がおこなってきた職員基本条例や教育基本条例の制定、職員の思想調査などをエピソードを交えながら報告。業務命令の思想調査などに回答しなければ、昇進もなく処分すると脅かされ、情けなさや腹立たしさ、心が傷つけられて職場に暗く重たい空気が漂っていると報告。大阪で起こっていることを多くの方に知ってほしいと語りました。
 参加者からは、「橋下市長は平気で人間の尊厳を傷つけるし、人を思いやる心が無いことがよくわかりました」といった感想が寄せられました。(知多中央支部・坂井淳一)

国際人権」ってなあに? グローバリゼーションのなかの国際人権  

《最終回》

 連載の最後に、グローバル化した国際社会の中で国際人権が果たす役割を考えてみましょう。

失業や貧富の格差が深刻に

 経済の世界規模化とも言われるグローバリゼーションの功罪が論じられて20年余りがたちます。多国籍企業による搾(さく)取(しゅ)の強化の中で、失業問題、貧富の格差問題が地球規模で深刻化しています。「われわれは99%だ。強欲で腐敗した1%には我慢できない」というアメリカ・ウォール街に端(たん)を発した市民運動はその象徴ともいえます。ヨーロッパ社会や南米諸国も世界経済の一極化を図ろうとするアメリカの世界戦略から距離を置きながら、それぞれの地域共同体への結束を強めています。
 世界各地に子会社を置く多国籍企業は、安い賃金、甘い環境規制、低い法人課税など企業にとって有利な条件を求め、途上国の市場をこじ開けてきました。そうした多国籍企業の利潤追求の陰で、海外でも国内でも、その圧迫としわ寄せを受けるのはそれぞれの国で働く人々です。

企業利益優先での人権侵害

 賃金の問題を取り上げてみましょう。多国籍企業は進出先の国で労働者を安い賃金で働かせ、十分な労働条件を与えません。他方、国内にあっても、国際競争に打ち勝つためと称して、非正規労働の割合をどんどん増やし、安い賃金水準と雇い止めの自由を手放しません。殊に日本ではこのことは正規労働者にも影響を及ぼし、長時間残業やサービス残業を常態化させ、過労死、過労自殺の原因とさえなっています。
 賃金の搾取だけではありません。思想信条を理由とする労働者の解雇、中高年層の追い出し、女性労働者に対する差別、中小企業いじめ、公害の垂れ流しなど、大企業が利益をむさぼるなかで、内外の働く人々の人権侵害は後を絶ちません。とりわけ多国籍企業を多くもつ先進諸国と、これを受け入れる途上国の経済力の差は歴然としています。弱い国の人々の押しつぶされた人権を救う手段はないものでしょうか。
 こんな時、多国籍企業の横暴を押え、民主的に規制する世界共通のルールがあれば人権侵害の脅威はいくらかでも取り除くことができます。しかし残念ながら、経済のグローバル化は急速に進んでいるにもかかわらず、統一された世界法も国際裁判所もありません。

国際人権は普遍的人権規範

 そこでいま、私たちの手中にある民主的規制の有力な手段が国際人権条約なのです。それぞれの国々が個別に加盟する仕組みですが、加盟国が多ければ多いほど国際的な人権規範としての機能は強力になります。現在世界193カ国のうち、国際人権規約の加盟国は自由権規約において167カ国、社会権規約において160カ国となり、すでに世界の8割を超える国の人々が同じ人権基準の下で暮らしていることになります。
 国連が人権向上のために果たしてきた役割は特筆すべきものがあります。グローバリゼーションを国際人権規約で規制しようという試みも幾度も重ねられてきました。今日では企業活動から人権を保護するための「国家の責任」が強調されています。国際人権は世界の人々の普遍的な人権規範=グローバルスタンダードとして今後ますますその活躍の場を広げるでしょう。(終わり)

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