日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年7月15日号

12年7月15日号  

最高裁は市民の目線で判断を 国公法弾圧2事件シンポジウムに370人  

 国家公務員が休日に職務とは関係無く政党機関紙を配ったことが、政治活動を禁止した国公法違反として逮捕・起訴された国公法弾圧2事件(堀越事件・世田谷事件)。『最高裁は「表現の自由」を守れるか』と題した実行委員会主催のシンポジウムが6月30日、最高裁近くの星陵会館で開催され、370人が参加しました。
 シンポジウムの冒頭、堀越事件の裁判で明らかとなった、公安警察による堀越さんへの尾行・盗撮を説明する映像が放映されました。
 多数の公安警察官が捜査に当たったことが映像で説明されると、参加者からは「ここまでするのか」といった驚きの声が上がりました。
 弁護団事務局長の加藤健次弁護士は基調報告で、「憲法改悪がおこなわれようとした時期に、国公法を使って弾圧がされた。時代背景と深く関係がある」と指摘。「最高裁は、国民が分かる判決を出すことが求められる。そのためには、2事件の事実と問題点を多くの国民が知り、表現の自由を求める世論が高まっていることを、最高裁に突きつけていくことが必要だ」と強調しました。
 共同通信社で警視庁公安担当などを歴任したフリージャーナリストの青木理さんが、公安警察の実態を講演しました。
 青木さんは、公安警察は未だ冷戦体制時のままの組織であることや、凶悪事件を担当する刑事よりも公安警察官が多いこと、行動確認・視察と称して尾行・盗撮をおこない、堀越事件が引き起こされたことなどを指摘しました。
 また、学習院大学の青井未帆教授は、専門の憲法学の観点から講演。「猿払判決では、公務員が自由に放任されると恐ろしいことが起きるとしている。戦前的な公務員感が背後にあり、信頼や忠誠、一身に捧げるという感覚で、公務員個人の自由を許さなかったのではないか」などと分析しました。

公安警察こそ国公法に違反
 パネルディスカッションで加藤弁護士は、「国公法による政治活動の禁止規定が必要か、理由があるのか、最高裁は憲法の立場から見直して判断すること。捜査機関の違法な活動を許さない立場に立つのか。市民の目線で、権利を守るという立場に変わろうとしているのか。この3つが問われている」としました。
 青井教授は、「人事院規則による国家公務員への(政治活動についての)規制は非常に広範で、投票することぐらいしか出来ないのではないか。多くの憲法の条文に違反し、違憲と考えている」としました。
 青木さんは、「公務員の政治的中立性は損なわれ、職務の遂行ひいてはその行政機関の公務の運営に党派的偏向を招くおそれがある、とする猿払判決を額面通りに受け止めれば、しんぶん赤旗号外を配り、その主張を広げようとしているのを押さえ込んだ警視庁公安部の捜査員の行為は、国家公務員法違反だと思う」としました。

表現の自由を必ず勝ち取る
 当事者の堀越明男さんは、「国民すべての人に希望を与える先駆けとなりたい。皆さんとともに、必ずや違憲無罪判決を勝ちとる」と決意表明。宇治橋眞一さんは「高裁有罪判決を覆さなければならない。最高裁に、言論表現の自由を守らせるために、ともに頑張りましょう」と訴えました。会場からは大きな拍手が送られました。

公安警察の捜査違法 弁護団、最高裁へ補充書提出  

 2事件の大法廷回付と違憲無罪判決を求めて6月25日、弁護団は2通の上告趣意補充書を最高裁に提出しました。
 補充書で学習院大学の青井未帆教授は、政治的活動を全面的に禁じた国公法の文面が、勤務時間内外を区別するものではないことから、公安警察の恣(し)意(い)的な捜査を許していると指摘。大阪学院大学法科大学院の村井敏邦教授は、欧米のGPSによる捜査が違法とされた例をあげ、公安警察の尾行・盗撮は、礼状なくしておこなわれた強制捜査で違法と指摘しました。

埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件 無実の安澤さんが収監  

 NPO法人に所属し訪問介護のヘルパーをしていた安澤篤史さん(埼玉県在住)が、都内の全盲の利用者からキャッシュカードを盗み、現金3万円を無断で引き出したとされ、1、2審で有罪、4月に最高裁が上告棄却の不当決定をした埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件
 さいたま地検川越支部は6月25日に安澤さんに出頭を求め、安澤さんは収監されました。
 当日、53人の支援者が駆けつけ、安澤さんと家族を励ます「壮行激励会」がおこなわれました。
 弁護団長の長沼弁護士は、これまでの裁判について説明し、支援へのお礼が述べられました。
 支援者から、安澤さんへ励ましの言葉が書かれた色紙が渡され、「これまでの活動で、安澤さんが無実であることは、多くの人に分かってもらえた」などと話し安澤さんを励まし、また不当決定への憤(いきどお)りが話されました。
 安澤さんの妻、美紗さんは、「遠くから多くの人にお集まりいただきありがとうございます。子どもがいるので大変ではありますが、明るく頑張ります。夫へ手紙をいっぱい書いたり、面会に行ったりして支えていきます」と話しました。
 安澤さんは、「今日は多くの人に駆けつけていただき、今までお顔を見ることが出来なかった支援して頂いた方にお会いでき、本当にありがとうございます。これからも家族共々、ご支援頂きますようお願いいたします」と、支援へのお礼を述べました。
 安澤さんが家族のことを心配することの無いよう、また早期に仮釈放されるよう支援を続けていくことが、参加者の大きな拍手で確認されました。
〈激励先〉 〒113―0034 文京区湯島2―4―4国民救援会都本部気付安澤篤史さんと家族を支える東京の会

静岡・袴田事件 第7回現地調査 18都道府県95人が参加  

 6月24日・25日、静岡県静岡市(旧清水市)で袴田事件第7回全国現地調査がおこなわれ、18都道府県から95人が参加しました。
 主催者を代表して、国民救援会清水支部の内田隆典支部長が挨拶。弁護団の奮闘と、多数の方が現地調査に参加したことへお礼が述べられ、地元救援会として袴田巌さん(76)を一日も早く救出する決意が述べられました。
 現地調査の弁護団報告で小川秀世弁護団事務局長は、第2次再審請求審で証拠開示を勝ちとった176点の証拠などを説明。
 再審の最大の争点である犯行着衣とされた5点の衣類について、新たなDNA型鑑定の結果、5点の衣類に付着していた血痕は、被害者や袴田さんのものではないことが科学的に明らかとなり、証拠が捏(ねつ)造されたと、これまで弁護団が主張していたことが裏付けられたと強調しました。
 小川弁護士は、袴田事件は証拠を捏造されて作られた冤罪事件であり、捜査機関や死刑判決を出した裁判所を厳しく批判し、再審開始をすることが必要だと力説しました。
 事前学習会の後、参加者は事件があった味噌工場跡地で、事件の問題点について、説明を受けました。
 25日、現地調査をうけて疑問や今後の運動について論議し、現地調査団として裁判所、検察庁、静岡県警へ再審開始、すべての証拠の開示、違法捜査を批判する要請書を持ち3班に分かれた要請行動をおこないました。
 総括集会で、袴田巌さんの姉の秀子さんが、「弟は無実です。長い間の拘禁生活で拘禁症を患い、この2年半面会ができていません。どうか無実の弟を救うため、なお一層のご支援をお願いします」と、訴えました。
 初めて現地調査に参加した女性は、「事前に事件のことも自分なりに勉強したが、弁護団や地元の話を聞いて理解が深まった。冤罪事件が本人と家族の人生を狂わし、人権を蹂(じゅう)躙(りん)することを肌で感じることができて参加して良かった。帰ったら署名活動をはじめ頑張りたい」と感想を述べました。

名張事件 最高裁での勝利めざし 守る会が報告集会  

 再審を求めるたたかいが最高裁に移り、奥西勝さん(86)が東京に移送されました。このような状況のもと、東京での運動を広げようと、名張事件奥西さんを守る東京の会は6月26日、都内で不当決定の報告集会をおこない、50人が参加しました。(写真)
 報告集会では、東京守る会が作成をした事件紹介DVDを上映。弁護団の野嶋真人弁護士が報告をおこない、5月に名古屋高裁で出された不当決定について報告がされ、質疑応答がされました。
 守る会の落合修さんからは、東京の八王子医療刑務所に移送された奥西さんの体調について報告がされ、行動提起を確認しました。

大阪・東住吉冤罪事件 刑の執行停止を認め青木さん、朴さんの釈放を  

 今年3月7日に再審開始決定を勝ちとった大阪・東住吉冤罪事件では、青木惠子さん(48)と朴(ぼく)龍(たつ)晧(ひろ)さん(46)の刑の執行停止が、大阪地裁で認められました。
 しかし、検察の異議申立てがされ、大阪高裁によって刑の執行停止が取り消されました。その後、弁護団は特別抗告をおこない、現在最高裁で審理がされています。
 東電OL殺人事件では、横浜刑務所に収監されていたゴビンダ・プラサド・マイナリさん(45)の再審開始決定と刑の執行停止が認められました。検察による異議申立てがされましたが、東京高裁は異議申立てを却下。ゴビンダさんは釈放され、ネパールに帰国することができました。
 「東住吉冤罪事件」を支援する会と、国民救援会大阪府本部は、16年以上の長期にわたり不当にも拘束されてきた、青木さんと朴さんの一日も早い釈放を求めて、署名やはがき等のとりくみを訴えています。
〈問合せ先〉国民救援会大阪府本部
06-6354-7215
〈要請先〉〒102-8651 東京都千代田区隼町4−2  最高裁判所 第3小法廷

滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件 今秋に判決へ  

 滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件は、目撃証人の尋問や、無実を訴えてたたかっている柿木浩和さん(50)の本人尋問を終え、7月18日に結審し、今秋には判決を迎えます。

痴漢常習者と間違えられて

 事件発生前、電車内で痴漢にあったと女性2人が警察に被害の申告をしました。警察は「風貌」が似ているとして、痴漢被害にあった女性と同じ路線を使って通勤をしていた、当時中学校教諭の柿木さんを、痴漢常習者としてマーク。10日以上にわたって尾行していました。
 しかし、女性が痴漢の被害にあったその日、柿木さんの服装や風貌は全く異なっており、別人としか考えられず、柿木さんを「痴漢常習者」としたのは、警察の見当違いでした。

雪のため遅れ混雑した車内

 逮捕当日、柿木さんがいつも乗車する電車は、雪のために遅れて到着し、車内は混雑。警察は、柿木さんを尾行していました。
 その車中で、柿木さんが痴漢行為をしているのを見たとする警察官Aは、「横の客とは30センチ離れ、前の人とは20センチ離れるぐらいの間隔があった」と証言しました。
 ところが、目撃者は法廷で、「普通より混んでいた。乗っていた前方の方で、こんなところで読むなとか口論していた」と証言するほど混雑をしていました。

捜査の矛盾が次々明らかに

 柿木さんは青年時代から、カバンを右肩から下げてきました。
 警察官は当初、柿木さんが右肩からカバンを下げていたのを目撃したとしていましたが、後になって左肩に訂正しています。身体の右側にカバンがあったのでは、警察官がいた位置からはカバンによって痴漢行為を見ることが出来ません。
 また目撃者は、柿木さんの真後ろに居た警察官Bが音楽プレーヤーを使い、柿木さんの右肩上から何かを撮影していたようで画面が光っていたことや、警察官Bが変な動きをしていたのでジッと見ていたことなどを証言しています。しかし警察は、痴漢行為を撮影していないと主張しており、数々の矛盾が法廷で明らかとなっています。

署名と支援が大きく広がる

 裁判所に提出された署名は2万5千人分を超え、支援の輪が大きく広がっています。
 国民救援会滋賀県本部は、判決が出る最後までの支援を訴えています。
〈要請先〉〒604―8550 京都市中京区菊屋町 京都地裁第3刑事部合議係・市川太志裁判長

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