日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年2月15日号

12年2月15日号  

名張毒ぶどう酒事件 再審判断早期の可能性  

 事件から52年にわたり、奥西勝さん(86)が無実を訴え続けている三重・名張毒ぶどう酒事件で、再審判断の早期決定の可能性が強まっています。急いで10万人署名を達成し、再審開始と奥西さんの即時釈放を求め運動を強めましょう。
 一部報道によれば、これまでぶどう酒の再現試験の実施を求めていた検察側が「再現試験は不要」との意見書を1月20日付で裁判所に提出しました。弁護団は、「再現実験は有害であり、必要ない」と主張していたため、検察の意見書により、再審可否の判断が早期に出される可能性が高まりました。また、担当する下山保男裁判長が6月5日に定年退官することから、遅くともその前に決定が出される可能性が高いと考えられます。
 昨年おこなわれた毒物鑑定の結果、犯行に使われたとされる毒物が奥西さんが「自白」したニッカリンTではないことが科学的に証明されました。事件当時の鑑定では、ニッカリンTをぶどう酒に混ぜた液体からは、ニッカリンT特有の不純物「トリエチルピロフォスフェート(略=T)」が検出されたのに、事件現場で採取された飲み残りのぶどう酒からはそれが検出されませんでした。検察は「不純物はTではない。もしTだとしても5%以下で、検出されなかった」と主張しましたが、鑑定でTは24・7%含まれているという結果が出ました。ニッカリンTが犯行に使われたとすれば、必ず不純物Tが検出されるはずであり、検出されなかったのは、使われた毒物がニッカリンTではないということです。検察の主張は崩れました。
 検察の意見書は、こうした追い込まれた状況で出されたもので、鈴木泉弁護団長は、「鑑定によって自分の主張が否定されたことにほおかむりをして、証拠に反する強弁をしているに過ぎない」と厳しく批判しています。弁護団は、2月14日に最終意見書を提出し、早期の再審開始を求めていきます。
 10万人署名(現在8万)を早期に達成し、「冤罪の救済」という裁判所の役割を果たすことを求めましょう。
〈要請先〉〒460―8503 名古屋市中区三の丸1―4―1 名古屋高裁・下山保男裁判長

民意歪める比例定数削減を許すな 国会院内集会と要請行動  

 衆議院選挙をめぐり、最高裁が昨年、違憲状態と指摘した「1票の格差」問題について、民主党は、「格差是正」を口実に、衆議院の比例定数80議席を削減する法案の提出と、今国会での成立を狙っています。野党からも批判が上がり、国民の反対運動が高まっているなか、国民救援会も、法案成立を許さないたたかいをすすめています。
 こうした状況のもと、2月2日、衆議院議員会館で、比例定数削減に反対する集会と議員要請行動が、労働組合や民主団体など11団体の主催でおこなわれ、220人が参加。民意が届く選挙制度への改革を求めて意気込みが高まっています。
「身を切る」詭(き)弁
 大企業への減税を維持する一方、国民の暮らしと直結する社会保障の改悪と消費税増税の「一体改悪」を強行しようとしている野田政権。「増税をする前に政治家自ら身を切る姿勢を示さなければ国民の理解は得られない」として、比例定数80議席削減を合理化しています。集会で挨拶した全国労働組合総連合の大黒作治議長は、こうした野田政権の姿勢を批判し、「定数削減を増税のためのつゆ払いにしているが、最高裁の違憲判決を逆手にとったもので許せない。民意を反映する選挙制度に変え、再び改憲の道へ走るのを阻止しなければならない」と述べました。
 現在の衆議院の選挙制度は、1選挙区で1人しか当選できない小選挙区制と、得票に応じて議席を配分する比例代表制の並立制です。小選挙区制は、「死票」が多く生まれる一方、比例代表制は、国民の意思を議席に正しく反映させることができます。
 国会報告をした日本共産党の穀田恵二衆院議員は、「小選挙区制のもとで、民意が歪められたことは、自民党も認めている。民主以外の8党が、比例定数削減に批判的だ」と報告したうえで、「各党が民意を歪みなく反映しようと議論しているときに、民意を通すパイプを細くしていいのか」と批判しました。
早急に運動広げ
 比例定数を削減すれば、多くの国民の声が国会に届かなくなります。国民主権と議会制民主主義の原則を踏みにじる重大問題です。
 1票の格差を是正するための小選挙区の区割り変更の期限が2月25日に迫り、民主党は期限までに比例削減について、与野党協議での合意を得ようと狙っています。集会の主催団体は、人気TVドラマをモチーフにしたリーフレットを作成。市民に大きく宣伝し、あわせて地元選出の国会議員に対する要請を強めるよう呼びかけています。

宮城・仙台筋弛緩剤冤罪事件(北陵クリニック事件)2月10日再審申立て  

 宮城・仙台筋弛緩剤冤罪事件(北陵クリニック事件)で、守大助さん(40)の再審弁護団は2月10日に仙台地方裁判所に再審請求申立書を提出することを決定しました。
 この事件は、2000年、宮城県仙台市の北陵クリニックで、入院患者の容体が急変する事態が相次ぎ起こり、01年1月、准看護師の守さん(当時29)が逮捕され、ウソの「自白」をさせられ、犯人とされたものです。守さんは、患者の点滴に筋弛緩剤(筋肉の動きを弱める薬)を混入させたとして、殺人と殺人未遂で、一、二審で無期懲役の不当判決を受け、08年最高裁の上告棄却で確定しました。
 裁判では、患者の容体急変は、筋弛緩剤の注入による症状ではなく、いずれも病気や薬の副作用、救急処置の不徹底などによるものであることが明らかになりました。また、点滴ボトルに筋弛緩剤を混入させたとする守さんの「自白」の方法では、容体の急変は起こりえないことも明らかとされました。
 しかし、二審の仙台高裁は4回の公判で結審し、最高裁は実質的な審理をすることなく不当な判断をおこないました。
*  *
 再審請求申立書では、3つの主な新証拠から守さんが無実であること明らかにしています。
 第1は、患者の血液や尿、点滴ボトルから筋弛緩剤の成分が検出されたとする、大阪府警科学捜査研究所の「土橋鑑定」への反証。第2は、吐き気と腹痛で北陵クリニックを来院した少女の症状は、筋弛緩剤の症状ではないばかりか、筋弛緩剤の薬効と矛盾すること。第3は、守さんが法廷で「僕はやっていない」という証言が信頼できる証言であることを論証した心理分析となっています。
 弁護団は証拠の全面開示についても請求する予定です。
 守る会では、一日も早く再審を開始し、無罪を勝ちとるために、弁護団、守さんと家族と団結し、全力奮闘することを決意しています。

〈激励先〉〒264―8585 千葉県千葉市若葉区貝塚町192千葉刑務所 守大助さん

自衛隊監視差止め訴訟 3月26日に判決  

 宮城・自衛隊の国民監視差止訴訟(原告107人)が3月26日、仙台地裁で判決の言い渡しをむかえます。
 この裁判は、民主運動などの監視を組織的におこなっている、陸上自衛隊情報保全隊によって監視対象とされた宮城県内の住民が監視の差し止めを求め、国を相手どり提訴したものです。情報保全隊による住民監視は、07年に日本共産党が公表した自衛隊の内部文書などで明らかになりました。
 これまでの裁判で被告の国側は、情報保全隊が作成した内部資料について、個々の監視行為について、いっさいの認否を拒否。また、防衛省は尋問を予定している事項について「職務上の秘密にあたる」と述べ、証言をおこなえば「国の安全が害される恐れが生じる」として証人尋問を承認しないなど、一貫して不誠実な態度をとってきました。しかし、弁護団の追求によって、実質的に監視行為の事実を法廷で明らかにすることができました。
 原告と支援する会は1月26日、仙台地方裁判所へ署名の第2次提出をおこない、10人ほどが参加しました。行動では、1493人分、250団体の署名を提出し、累計で4150人分、459団体となっています。
 原告と支援する会は、1万人・1千団体の署名を集めることを目標としています。また、勝利判決を得るためにも、2月27日の第3次提出まで、さらに署名活動が広がるよう訴えています。

〈要請先〉〒980―8639 仙台市青葉区片平1―6―1 仙台地裁・畑一郎裁判長

東京・東電OL殺人事件 15点のDNA追加鑑定で証明  

 東電OL殺人事件で無期懲役判決を受けているネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさん(45)の再審請求審で、東京高検がおこなっていた15点の証拠の追加鑑定の結果、最後に残っていた被害者の下着から、ゴビンダさんのDNA型が検出されなかったことが1月20日に明らかになりました。これにより、検察が追加鑑定を求め、弁護団も同意した15点の物証の鑑定結果が出揃いましたが、いずれもゴビンダさんのDNA型は検出されず、ゴビンダさんの無実がいっそう明白になりました。
 今後、鑑定人による正式な鑑定書受けて3月16日までに検察側が意見書を提出。その結果をふまえ、3月19日に三者協議がおこなわれる予定です。
 無実のゴビンダさんを支える会と国民救援会などは、これ以上審理を引き伸ばさず、一刻も早い再審開始と刑の執行停止を求め、東京高等検察庁や東京高等裁判所への要請行動を繰り返しおこなっています。

 昨年7月、大阪医科大学の鈴木廣一教授によるDNA鑑定の結果、被害者の体内からゴビンダさんのDNA型が検出されなかったことが明らかになりました。
 追い込まれた検察側は、9月に42点の物証をあらたに開示し、それらのDNA型鑑定の意向を裁判所と弁護団に示しました。この42点の証拠開示によって、被害者の胸部や口に付着していた唾液から第三者のものと思われるO型反応は出たものの、ゴビンダさんと同じB型反応はなかったことも明らかになりました。事件発生当時の97年4月時点で、被害者の身体から別人の体液が発見されていたにもかかわらず、そのことが隠されていたことが判明しました。
 その後の三者協議で、42点のうち15点の鑑定について弁護団も同意し、鑑定作業が続けられていました。

東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件 小林さん仮釈放  

 2010年7月に最高裁で懲役1年10月の不当判決が確定した東京・西武池袋線痴漢えん罪小林事件の小林卓(たか)之(ゆき)さん(69)が1月26日、静岡刑務所から仮釈放されました。
 家族や国民救援会、支援する会の人とともに車で1年3カ月ぶりに東京に戻った小林さんを、東京・弁護士会館前で支援者が出迎え、「お帰りなさい」「よかったね小林さん」と激励しました。
 再審弁護団の佐々木亮弁護士は、「これから再審開始を勝ちとるため頑張りますので、ひきつづきご支援よろしくお願いします」と述べました。
 小林さんは、「獄中では支援者の皆さんに会うまでは頑張らねばいかん、真実が明らかになるまでともかく頑張るんだという一念でした。本当にありがとうございました。真実はあきらめずに一つひとつの事実で証明していけば、無実だということがはっきりすると思います。それが明らかに出来る日まで頑張ります」と決意を語りました。

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