日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年12月5日号

12年12月5日号  

国公法弾圧2事件 最高裁が判決指定に固執  

'' 最高裁が、「判決日を12月7日午後3時とする」と通知してきた国公法弾圧2事件。
 弁護団は、11月12日最高裁に、判決宣告期日の指定の取消と大法廷回付を請求しましたが、21日、最高裁は、請求却下の決定を送付してきました。''

 弁護団は、弁論を開かず、具体的な事実にもとづく判断をしないで行う判決は許されない、などを理由として、また、国公法共闘会議も15日、全労連など20団体の緊急の団体署名を提出し、判決指定日の取り消しと大法廷回付を強く請求しました。
 しかし、最高裁第二小法廷は、21日、判決宣告期日取消請求を却下する決定を送ってきました。弁護団は11月28日にも最高裁に上告趣意補充書を提出し、大法廷回付と違憲無罪判決を求めます。

最高裁裁判官国民審査 憲法を守らない裁判官をやめさせよう  

 総選挙と同時に、最高裁判所裁判官の国民審査がおこなわれます。国民の直接投票で「不信任」票が過半数になった裁判官をやめさせる(罷免する)制度です。重要な制度であるにもかかわらず、十分に機能していないといわれています。
 「憲法を守らない裁判官に×印(不信任)を」「不適任の裁判官をやめさせましょう」と大いに宣伝しましょう。

国民の権利守るべき砦

 最高裁には、国会でつくった法律、政府や自治体の処分などが憲法に違反していないかどうかを最終的に判断する強力な権限があります(憲法81条)。それゆえ、最高裁の判断は、日本の平和や民主主義、私たちの暮らしや権利に大きな影響を与えます。最高裁が、「憲法の番人」「人権の最後の砦」と言われるのはそのためです。
 しかし、その最高裁の裁判官は、私たち国民が決めることができません。しかも日本の場合、内閣が最高裁の裁判官を任命しますが、第三者機関などがチェックする制度がなく、内閣がほとんど自由に自分たちに都合の良い人を最高裁裁判官にしているとの批判もあります。
 たしかに、第2次再審請求での冤罪布川事件や愛知・マツヤデンキ裁判など当事者・支援者・弁護団のたたかいと大衆的裁判闘争によって、評価できる判断をすることもありますが、多くの裁判で、最高裁は、不当判決・決定を出しています。「憲法の番人」としての役割を果たしているとはいえない状況があります。
 最高裁は、全国の裁判官の人事権を握っており、高裁以下の下級裁判所裁判官に絶大な影響力を持っています。これまで最高裁は、憲法擁護を掲げる青年法律家協会に参加する裁判官を攻撃したり、戸別訪問を禁止する公選法は憲法違反とした裁判官を差別してきました。その結果、「良心に従い独立」して職権を行う(憲法76条)べき裁判官が、最高裁に従う爐劼蕕畉枷輯鵜瓩砲覆辰討靴泙Δ里任后

国民審査を大いに宣伝

 このように最終的な憲法判断の権限をもち、全国の裁判官に絶大な影響力をもつ最高裁が本来の役割を果たすように、国民が監視し、憲法を守らない不適任な裁判官をやめさせる国民審査の制度は極めて重要です。
 国民審査に関する宣伝・運動は、選挙とは違い、虚偽宣伝以外の制限はありません。街頭や集会などで、国民審査の意義とともに、どの裁判官がどんな判決・決定を出しているかを大いに宣伝しましょう。

最高裁の主な判決・決定  

 今回の国民審査で、審査の対象となる裁判官が関与した国民救援会の支援事件の判決・決定

2010年

岡山・山陽本線痴漢えん罪事件不当決定
東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件不当決定
東京・西武池袋線練馬駅事件不当判決

2011年

愛知・マツヤデンキ過労死訴訟勝利決定
兵庫・神戸質店事件不当決定

2012年

東京・沖田国賠裁判不当決定
愛知・豊川市職員公務災害認定訴訟勝利決定
福岡・生存権裁判不当判決
埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件不当決定
兵庫・姫路強制わいせつ事件不当決定
大阪・東住吉冤罪事件「刑の執行停止」特別抗告不当決定
岐阜・関ヶ原人権裁判勝利決定

憲法守らぬ裁判官に×印(不信任)を! 国民審査を受ける裁判官一覧  

 総選挙と同時に行われるもう一つの国民の審判、それが最高裁判所裁判官の国民審査です。今回の国民審査の対象となっているのは、10人の裁判官。それぞれの裁判官の略歴や関与した事件の判断を紹介します。
 なお、国民救援会の支援事件にかかわって、勝利判決・決定は「○」、不当判決・決定は「●」で示しました。

□須藤正彦(すどうまさひこ)(弁護士出身)

 1970年弁護士登録。東京弁護士会副会長、日弁連司法問題対策委員会委員、東京都労働委員会公益委員などを歴任。2009年12月28日最高裁判事
(判決・決定)●岡山・山陽本線痴漢えん罪事件不当決定/●東京・西武池袋線練馬駅事件不当判決/○愛知・豊川市職員公務災害認定訴訟勝利決定/●福岡生存権裁判不当判決/●埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件不当決定

□千葉勝美(ちばかつみ)(裁判官出身)

 1972年判事補任官。東京地裁判事、東京高裁判事部総括、最高裁首席調査官、仙台高裁長官などを歴任。2009年12月28日最高裁判事
(判決・決定)●岡山・山陽本線痴漢えん罪事件不当決定/●東京・西武池袋線練馬駅事件不当判決/●兵庫・神戸質店事件不当決定/○愛知・豊川市職員公務災害認定訴訟勝利決定/●福岡生存権裁判不当判決/●埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件不当決定

□横田尤孝(よこたともゆき)(検察官出身)

 1972年検事任官。福岡地検公安部長、福岡地検刑事部長、最高検検事、広島高検検事長、最高検次長検事、2007年退官。2010年1月6日最高裁判事
(判決・決定)●東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件不当決定/○マツヤデンキ過労死訴訟勝利決定

□白木 勇(しらきゆう)(裁判官出身)

 1970年判事補任官。東京地裁判事、最高裁上席調査官、東京地裁所長、広島高裁長官、東京高裁長官、2010年1月15日最高裁判事
(判決・決定)●東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件不当決定/○マツヤデンキ過労死訴訟勝利決定

□岡部喜代子(おかべきよこ)(学者・裁判官出身)

 1976年判事補任官。その後、大分地家裁判事、東京家裁判事などを歴任。1993年依願退官。中央労働委員会公益委員などを歴任。2010年4月12日最高裁判事
(判決・決定)●東京・沖田国賠裁判不当決定/●兵庫・姫路強制わいせつ事件不当決定/●東住吉冤罪事件「刑の執行停止」特別抗告不当決定/○岐阜・関ヶ原人権裁判勝利決定

□大谷剛彦(おおたにたけひこ)(裁判官出身)

 1972年判事補任官。東京地裁判事、最高裁経理局課長、東京高裁事務局長、最高裁事務総長、大阪高裁長官を歴任。2010年6月17日最高裁判事
(判決・決定)●東京・沖田国賠裁判不当決定/●兵庫・姫路強制わいせつ事件不当決定/●東住吉冤罪事件「刑の執行停止」特別抗告不当決定/○岐阜・関ヶ原人権裁判勝利決定

□寺田逸郎(てらだいつろう)(裁判官出身)

 1974年判事補任官。法務省民事局付検事、さいたま地裁所長、広島高裁長官などを歴任。2010年12月27日最高裁判事
(判決・決定)●東京・沖田国賠裁判不当決定/●兵庫・姫路強制わいせつ事件不当決定/●大阪・東住吉冤罪事件「刑の執行停止」特別抗告不当決定/○岐阜・関ヶ原人権裁判勝利決定

□大橋正春(おおはしまさはる)(弁護士出身)

 1972年弁護士登録。日弁連法律扶助制度委員会委員、日弁連司法改革推進センター委員、人権擁護委員、日弁連司法改革実現本部委員などを歴任。2012年2月13日最高裁判事
(判決・決定)●兵庫・姫路強制わいせつ事件不当決定/●大阪・東住吉冤罪事件「刑の執行停止」特別抗告不当決定/○岐阜・関ヶ原人権裁判勝利決定

□山浦善樹(やまうらよしき)(弁護士出身)

 1974年弁護士登録。日本民事訴訟法学会理事、日弁連司法修習委員会副委員長、中央大学法科大学院客員教授などを歴任。2012年3月1日最高裁判事

□小貫芳信(おぬきよしのぶ)(検察官出身)

 1975年検事任官。東京地検公判部長、最高検検事、法務省矯正局長、最高検公安部長、東京高検検事長などを歴任。
2011年退官し、亜細亜大学法学部教授 2012年4月11日最高裁判事
(判決・決定)●埼玉・介護ヘルパー窃盗冤罪事件不当決定

不適任な裁判官を罷免に  

 最高裁判所裁判官の国民審査は、憲法(79条)で定められた大切な制度で、主権者である国民が、最高裁を監視し、適任でない裁判官をやめさせるという主権者として直接行動できるものです。
 内閣が任命した最高裁裁判官を、任命後初めて行われる衆議院議員総選挙の際に国民が審査します。その後、10年ごとに同様に審査します。
 投票の結果、「不信任」票が投票数の過半数となった場合、その裁判官は、罷免(リコール)されます。

不信任には、「×」印を記入  

 現行の国民審査では、対象となる裁判官ごとに、不信任とする場合のみ「×」印をつけます。何も書かない場合は、信任とみなされ、その他の記入をすると無効とされます。本来であれば、信任・不信任・棄権の意思が明らかになるような投票方法にすることが必要です。
 なお、信任か不信任かの判断がつかない場合は、投票用紙を受け取らないか、受け取った投票用紙を返します。

国公法弾圧2事件 署名、要請はがきを最高裁に集中を  

 国公法弾圧2事件で国民救援会と国公法共闘会議では、あくまで大法廷回付と違憲無罪判決を求めて、各地で運動をすすめています。

●東京・世田谷決起集会開く

 11月14日、世田谷区内で「許すなビラまき弾圧!世田谷の会」主催の学習・決起集会が開かれました。(参加者52人)
 宇治橋さんは「こんな重要な問題をわずか5人の裁判官で審理するとは許されない。猿払事件最高裁判決は、本当にひどい判決。見直されなくてはならない」と支援を訴えました。代表世話人の根岸さんが「緊急の行動に積極的に参加し無罪判決を勝ちとろう」と閉会のあいさつをしました。

●関東・九州で学習会盗撮に怒りが

 23日、24日の両日にかけて、栃木、群馬、熊本、長崎で国民救援会県本部大会が行われ、およそ160人が参加し、国公法2事件の学習講演会を行いました。
 講演では、2つの事件が言論・表現の自由にかかわる大切な権利に関わるものであること、同時に、公安警察がかかわり「刑事事件」に仕立て上げたことなどが説明され、3県では、公安警察が盗撮した実際の映像を見て、参加者からは、真摯な政治活動に対する卑劣なプライバシー無視の捜査に怒りが沸き起こりました。
 21日に、最高裁が、弁護団の判決期日の取り消しと大法廷回付の請求に対する却下決定を出したばかりで、主催者から「この2事件を何としても大法廷に回付させて、違憲無罪判決を勝ち取るために、要請はがきにご協力を」と訴えがされ、たくさんの人が要請はがきを求めていました。

  • 堀越明男さん
     最高裁の判決宣告期日取り消し請求の却下決定は、大法廷に回付せず、法の守り手が猿払判例を見直さないということであり、最高裁は「責任放棄」し最低な裁判所になったとみなされても仕方あるまい。怒りをもって強く抗議する。
  • 宇治橋眞一さん
     最高裁は言論・表現の自由を守れるか?これに対し最高裁は、「小法廷での判決」という形で、私たちの期待を見事に裏切った。最高裁には反省もなく時代をみる目もないことが証明された。言論・表現の自由を実現する道のりは長い。

鹿児島・大崎事件第2次再審 徹底した事実調べを  

 大崎事件再審弁護団が11月14日、記者会見をしました。弁護団によると、10月12日の弁護団、検察官との三者協議で、鹿児島地裁の中牟田裁判長は、「(弁護団が求めている)証拠の標目開示を検察官に促すような職権発動はしない。証人尋問などをやる予定もない」と言った上で、年内か、遅くとも年度内には再審請求の適否につき判断したいと述べたといいます。
 これは、弁護団の要求を無視し、原口アヤ子さんの無実を証明するため、弁護団が提出している新証拠について事実調べをするつもりがないことを表明するものです。これを許せば、一切事実調べも行わず、裁判所がいきなり決定を出した過去の不当な再審審理を復活させることになってしまいます。事態の重大性を打開するために、緊急にとりくまれている、要請はがき運動に急いでとりくみましょう。(要請先など関連記事は4面)
 このような事態を受けて、国民救援会鹿児島県本部は、14日には、布川事件の桜井昌司さん、足利事件の菅家利和さん、氷見事件の柳原浩さんなどと、15日は、福岡・佐賀・宮崎・熊本の救援会各県本部、大崎事件首都圏の会の応援を受けて、鹿児島地裁に「検察が持っている証拠を開示させよ。慎重に事実の取り調べを行え」と要請を行いました。
 14日に要請をした布川事件の桜井さんと足利事件の菅家さんは、中牟田裁判長が富山地裁在任当時、氷見事件で無実の柳原さんを有罪にするという誤判を犯したことを指摘し、検察の言うがままに裁判を進行させて同じ過ちを繰り返すことのないように、弁護団が求める証拠開示へ積極的な訴訟指揮を行うよう要請しました。
 15日の宣伝行動では、85歳の原口さんも、「私は人殺しをやっておりません。どうかみなさん、私を信じてください」と訴え、1時間の行動で、256人分の署名が寄せられました。

布川事件 桜井さんが国賠を提訴  

 1967年に茨城県利根町で発生した強盗殺人事件(布川事件)で、再審無罪が確定した桜井昌司さん(65)が11月12日、茨城県警と検察庁を相手に、違法な捜査や証拠隠しをおこなった責任を追及し、国家賠償を求める訴えを東京地裁におこしました。
 訴状によれば、警察や検察は、桜井さんと杉山卓男さん(66)を別件逮捕して「否認すれば死刑」などと迫って「自白」を強要し、公判で、検察官が証拠隠しや偽証をおこなって裁判所の誤った判断を導いたことは違法だと主張して、約1億9千万円の損害賠償を求めています。
 桜井さんは、訴状提出後の会見で、「冤罪が起きても、警察・検察は変わろうとしないし反省もしない。真に正義と真実を守る組織になるよう社会に問いたい」と、国賠提訴の意義を話しました。

静岡・袴田事件第2次再審 検察側鑑定人自らの鑑定を否定  

 1966年に起きた強盗殺人・放火事件で、犯人とされ死刑が確定している袴田巌さんの第2次再審請求審で、DNA型鑑定をおこなった検察側鑑定人の尋問が11月19日、静岡地裁(村山浩昭裁判長)で開かれました。
 会見を開いた弁護団によると、鑑定人は鑑定試料の保管状態が悪いことなどから、「鑑定結果は役に立つものではない」と述べました。自身が定めた「一定の基準」に満たないから「信頼性がない」として、弁護側鑑定人の鑑定についても、「基準」を満たしていないので信用できないと加えました。
 証言を受けて弁護団は、「自分の鑑定を否定して、弁護側の鑑定も否定したことや、鑑定書の内容から後退した証言をしたことを、反対尋問で追及したい」と話しました。
 また、尋問後の三者協議で、検察側の証拠目録の開示を求めた弁護団に対し、裁判所が関心を示し、「検討する」と述べたことも報告されました。
 鑑定は、犯行時の着衣とされた衣類に付着していた血痕が、被害者や袴田さんのDNA型と一致するかどうかを弁護側、検察側双方の鑑定人が調べたものです。弁護側鑑定人は、袴田さんとも被害者とも一致しないと鑑定。弁護団は「証拠の衣類は捏(ねつ)造(ぞう)されたもの」と主張していました。検察側鑑定人も、袴田さんの型とは一致しないとしました。

埼玉・矢田部過労死裁判 過労死認めぬ、一審勝訴破棄  

 東京高裁(加藤新太郎裁判長)は11月7日、矢田部過労死裁判に対し、一審判決を取り消し、原告の請求を棄却する不当判決を言い渡しました。
 裁判は2000年、くも膜下出血で死亡した矢田部暁則さんの過労死認定と会社への損害賠償請求を求め、両親が提訴したものです。11年、一審で労災を認める勝訴判決が出され、国側が控訴していました。

長野・高見澤電機不当労働行為事件 労働者切捨て不当な判決  

 東京高裁(奥田隆文裁判長)は10月30日、高見澤電機不当労働行為事件に対して、原告の請求を棄却する不当判決を言い渡しました。
 事件は1993年、高見澤電機信州工場を閉鎖し、他工場への転籍か希望退職かを強要されたものです。JMIU組合員100人が転籍も退職も拒否し、親会社・富士通の使用者責任を問い、団体交渉に応じるよう求め、地労委で救済命令が出され、中労委で不当決定。中労委決定の取り消しを求め提訴、1審は不当判決が出され、控訴していました。

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