日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年11月15日号

12年11月15日号  

滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件 予断と偏見の不当判決  

 JR東海道線の車内で、女性のお尻を撫で上げる痴漢行為をおこなったとして、迷惑防止条例違反の罪に問われていた高校教師の柿木浩和さんの裁判で、京都地裁(市川太志裁判長)は、10月29日、柿木さんに罰金40万円の有罪判決を言い渡しました。
 裁判では、被害にあったとされる女性の供述調書は採用されず、女性は証人尋問も拒否。犯行を裏づける客観的な証拠はなく、混雑した車内で「痴漢行為を目撃した」とする2人の警察官証言が正しいかどうかが判断されました。裁判所は、警察官証言を全面的に採用。柿木さんの証言については、「不自然、不合理」と切り捨てました。
 柿木さんが、車内で警察官に押されたと述べたことについて、判決は、逮捕時に弁解しておらず不合理だと非難。一方、警察官の証言で、犯行が行われたのがドアが開く後から前に変遷していることについては、「違いを訂正し正確にしたもの」と擁護。警察官が視認できないはずの位置にあった柿木さんのカバンについても、犯行前に逆にかけかえたとしても不自然ではないなどと推論して擁護しました。
 判決直後に開かれた報告集会で柿木さんは、「支えてくれた方々や家族のことを考えていたら、『次もまたがんばらなあかん』と気持ちを切り替えることができた。変わらぬ支援をお願いします」と控訴に向けた決意を話しました。
 妻の伸子さんは、「たたかってきた私ら家族と多くの仲間たちに自信を持ち、誇りに思っています。最後まで、勝つまで、助けてください」と、むせび泣きながら訴えました。
〈抗議先〉〒604―8550 京都市中京区丸太町通り柳馬場東入菊屋町 京都地裁 市川太志裁判長

静岡・袴田事件 DNA型袴田さんと違う 弁護側鑑定人が証言  

 1966年に清水市で味噌製造会社専務一家4人が殺害され、従業員の袴田巌さんが強盗殺人事件の犯人とされ、80年に死刑が確定した袴田事件。静岡地裁(村山浩昭裁判長)の第2次再審請求審で11月2日、弁護側鑑定人の尋問(非公開)がおこなわれました。
 確定判決が袴田さんを有罪とした最大の決め手は、事件から1年2カ月も経過した後に味噌工場内の味噌製造タンクから麻袋に入って発見された「5点の衣類」でした。衣類は血液が付着していたとされ、発見されたブリーフとよく似た物を袴田さんがはいていたことなどから、犯行時の着衣と認定し、袴田さんを犯人としたのです。
 記者会見で弁護団は、鑑定人は「鑑定試料が古く、味噌漬けであることなど、鑑定が非常に困難であったが、予備実験をおこない、臨んだ」と、熱意を持って鑑定したことを説明。鑑定の結果、袴田さんのDNA型は検出されず、被害者とも違う型が検出され、鑑定人は「非常に疑問に思う」と証言しました。これは、「5点の衣類」が犯行時の着衣であり、被害者の返り血が付いたとする確定判決は誤りであり、捜査機関の捏(ねつ)造(ぞう)であることを裏付けるものです。
 袴田さんの姉・秀子さんは「再審開始にむかって動いていると思います」と答えました。
 当日は国民救援会など支援者が地検に対して、隠されている証拠の全面開示と、袴田さんの釈放を強く要請。また、地裁に、署名4011人分(累計1万3221人)を提出し、再審開始を要請しました。
 〈要請先〉〒420―8633 静岡市葵区追手町10―80 静岡地裁 村山浩昭裁判長

宮城・自衛隊の国民監視差止訴訟 「復興予算流用やめよ」原告団が防衛省に要請  

 自衛隊の情報保全隊が国民監視をしている問題で、その監視の差止めを求め、仙台高裁で裁判をたたかっている原告団と弁護団、支援する会は11月1日、防衛省に対し、復興予算の流用削除と原告の監視の中止を求め、要請しました。当日は、日本共産党の井上哲士参議院議員が同席し、安保破棄実行委員会、国民救援会の鈴木猛事務局長が参加しました。
 要請団は、来年度予算の概算要求のなかで、防衛省が復興予算枠で要求している情報保全隊関係の8035万円余を全額削除すること、国民監視の予算をすべて削除することなどを求めました。これに対し、防衛省は、東日本大震災では自衛隊員が数多くの人と接触することになり、さまざまな働きかけから保全するために部隊の対処能力向上が必要と認識し、そのための予算であると回答。これに対し支援するみやぎの会の中嶋事務局長は「震災のなか、自衛隊員と住民が一緒になって救助などやっているときに、誰が隊員に危害を加えたり、働きかけたりしますか」と厳しく反論しました。
 次に原告団は、監視の中止要求について、2010年12月に原告団らが開いた集会を情報保全隊が監視していた問題で、今後監視しないよう求めました。これに対し、防衛省は、「『監視』はしていない。法令にもとづいて適切な方法で必要な情報を収集・整理している」と回答。小野寺弁護士が「それは今後も監視するということか」と問いただしたことに、「法令にもとづき…」と先と同じ回答を繰り返しました。

「県警は干渉・妨害はやめよ」 街宣の自由守る会結成 群馬  

 憲法で保障された街頭宣伝の自由を守ろうと、「街頭宣伝の自由を守る群馬の会」が10月25日、結成されました。
 本年5月頃より、県内各警察署は宣伝の道路使用許可申請について「走行宣伝」と「停止宣伝」に分け、それぞれ別の許可申請をおこなうように求めてきており(10月5日号既報)、守る会はこれに反撃するため結成されました。
 結成総会では経過報告がおこなわれ、前橋市内では「住民から苦情があった」「駐車禁止」を理由に干渉してくる実態が報告されました。いずれの場合も「渋滞するような著しい交通の影響は与えておらず、宣伝活動を干渉してくるのは憲法21条を踏みにじる」などと反撃し宣伝を続けています。
 「群馬の会」は30日には代表5人が県警に要請しました。
 県警は「細則の変更はなく、署ごとにバラバラだった解釈を統一し厳密に適用した。道路の上の安全確保のため必要な措置」と回答。「憲法論議をする立場にない」として文書の受け取りを拒否し離席しました。(「群馬の会」ニュースより)

東電OL殺人事件 検察が無罪を主張  

 10月29日に開かれた東電OL殺人事件の第1回再審公判では、検察側が「被害者の爪から被告人のものではないDNAが新たに検出されたことなど、被告人を有罪と認めることはできない」と主張し、無罪を言い渡すように求めました。
 これに対し弁護側は、「検察は『合理的疑いがある』とされた一審の無罪判決に対し、決定的な新しい証拠を全く提示せずに控訴した。この場で、検察官が『被告人は無罪』と言うのは当然だが、それだけで責任を免れるものではない」と検察を批判。
 さらに、検察が新証拠と言っているものは一審段階から存在していたにもかかわらず隠し続けていたことについて、「新技術によるDNA鑑定の結果、ゴビンダさんが犯人でないことがわかったなどというのは言い訳に過ぎない。証拠をもっと早くに開示していれば、無実の人を罰することはなかった」と主張。捜査、公判での全ての関係資料を明らかにし、第三者機関による検証をするなど徹底的な原因究明をすることが、冤罪防止のためのあるべき姿だ。そして、誤った裁判をした裁判所も批判されるべきだと強く求め、結審しました。
 当日は朝から支援する会や国民救援会からも多数の支援者が裁判所前で宣伝行動、65席の傍聴席に270人の希望者が殺到し、列をなしました。
 報告集会では、弁護団の報告の後、ゴビンダさんの近況がビデオで流されました。
 「メッセージ
 私は無実なのに人生の大切な時間を失いました。判決の中で12年前の裁判が誤っていたことを認めてほしいと思います。
 弁護団、支援者のみなさん、本当にありがとうございました」。

兵庫・レッドパージ国賠裁判 原告3人の請求棄却(大阪高裁)
 アメリカ占領軍の示唆を受けた政府と財界により、4万人が公職と企業から追放されたレッドパージで人権侵害を受け、国が名誉回復や補償などを怠ったのは違法として、男性3人が損害賠償を求めている国家賠償請求裁判。控訴審判決が10月24日に言い渡され、大阪高裁(西村則夫裁判長)は一審に続き、原告の請求を棄却しました。
 判決はレッドパージを「GHQの実質的な指示によるもので超憲法的」とし、国に救済義務はなく、補償も「国会の裁量」と退けました。原告の大橋豊さんは、「絶対に勝つまでたたかい続ける」と話しました。

愛知・鳥居公務災害認定訴訟 中学校教員の労災を認める(名古屋高裁)  

 名古屋高裁(渡辺修明裁判長)は10月26日、鳥居公務災害認定訴訟について、一審に続き鳥居建仁さんの訴えを認め、基金側の訴えを退けました。
 裁判は、豊橋市内の中学校教諭の鳥居さんが通常業務以外に部活動、体育祭などの激務の中で、脳出血で倒れ、半身不随となったことについて、公務災害の認定を求めて地方公務災害補償基金を提訴したものです。
 教員の労働実態に対し違法性を認めたもので、学校現場の改善に対する大きな励ましの結果になりました。

福岡・TNC正社員化宮崎裁判 宮崎さん敗訴(福岡高裁)  

 福岡・TNC正社員化宮崎裁判で福岡高裁(大飼眞二裁判長)は10月29日、宮崎幸二さんの正社員化を認めず、請求を棄却しました。
 裁判は、テレビ西日本(TNC)の100%子会社から、TNCに派遣され働いていた無線技術士の宮崎さんが正社員化を求めて09年に提訴したものです。一審の福岡地裁は請求棄却の不当判決。
 判決は、宮崎さんの従事した業務は重要な業務であり、安定した雇用環境にある者が担当することが望ましく、派遣労働は相当でないと派遣法違反を認定しましたが正社員化を認めませんでした。

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