日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年10月5日号

12年10月5日号  

自衛隊国民監視差止訴訟 拒否から一転、保全隊幹部が証言へ  

 自衛隊の情報保全隊が国民の活動を監視していた問題の責任を追及し、監視の差止めを求めている裁判の控訴審第1回口頭弁論が9月21日、仙台高裁(佐藤陽一裁判長)で開かれ、原告の2人が意見陳述しました。被告の国側は、監視行為をおこなっていた04年当時の情報保全隊長を証人申請しました。情報保全隊の活動の実態が明らかになる可能性が出てきました。

 意見陳述に立った原告団長の後藤東陽さんは、「私は、1925年に治安維持法と共に生まれた。戦争や軍部への批判は命がけの行為で、選挙演説も、戦争に批判的なことを言えば、憲兵の『演説中止』の大声で候補者は手錠をかけられた。それを何十回この目で見たか知れない」と涙を拭いながら話し、「監視行為を許せば、憲兵政治への道を転がり落ちる。監視の実態を明らかにし、監視をしないよう命じてほしい」と述べました。
 一審で損害賠償を認められたシンガーソングライターの男性は、「イラク派兵反対を訴えて路上ライブをして署名を集めた。そんなささやかな行動が監視され、本名を調べられ、自衛隊のデータベースに蓄積されることに恐怖を覚える」と話し、「この恐怖と不安を取りのぞき救済できるのは裁判所しかない」と訴えました。

 監視の事実を国側が認める

 一方、被告の国側(自衛隊)は、一審では監視行為について、否定も肯定もしない曖昧な態度で裁判に臨んでいましたが、控訴審では一転して監視行為の正当性を主張。04年の内部文書が作られた当時の陸上自衛隊情報保全隊長であった鈴木健氏(現在は東芝の子会社に勤務)を証人に申請しました。保全隊関係者の証人尋問は、一審段階から原告側が求めていましたが、国側が「必要ない」と拒否したため実現しませんでした。証人採用するかどうかは、次回12月10日に決定される予定です。

「監視は正当」 国の主張破綻

 国側は控訴理由書のなかで、監視行為をおこなったことを事実上認め、「自衛隊のイラク派兵に反対する活動などから、自衛隊の秘密や施設を守るため」と正当性を主張。また、5人の原告について個別に監視した理由を述べ、「駐屯地から直線距離で7キロの場所でイラク派遣反対活動をおこなう予定であり、隊員および家族への悪影響が生じる」「イラク派兵反対のライブ活動がおこなわれた亘(わた)理(り)町は、駐屯地がある柴田町に隣接する」などと、正当性を主張しました。
 こうした国側の主張に対し、原告弁護団は記者会見で、「9月4日付けの『しんぶん赤旗』で、自衛隊がイラクから撤退した現在も監視活動を継続していることが判明した。イラク派遣時に限定した問題ではなく、日常的に監視をおこなっていたことは明白」と反論。駐屯地からの距離で監視を正当化したことについては、「どんな場所でも自衛隊から10キロと離れていない。東京の市ヶ谷駐屯地から円を書くと、都心部は全て入る。日本のあらゆるところが、自衛隊の家族に影響を与える可能性があるという馬鹿馬鹿しい議論だ」と批判しました。

▼自衛隊国民監視差止訴訟
04年に、イラクへの自衛隊派兵に反対するデモや集会などを「反自衛隊活動」として、当時の陸上自衛隊情報保全隊が違法に監視し情報収集していたことが、しんぶん赤旗が公表した「内部文書」で発覚。監視の被害を受けたとして、原告107人が監視差止めを求めて提訴。国側は監視の事実や「内部文書」の存在すら認めなかったが、一審仙台地裁は、情報保全隊が情報収集をして文書を作成したことを認め違法と判断。原告5人に慰謝料の支払いを命じた。しかし、監視行為の差止めは認めず、双方が控訴。現在原告94人、弁護団135人。

国公法2事件署名推進期間  

 国民救援会は10月〜11月を「国公法弾圧2事件の勝利をめざし、20万署名達成、学習・宣伝推進期間」に設定し、国公法共闘会議と協力して運動を進め、最高裁に無罪判決を迫っています。弁護団も、積極的に講師派遣に応じる構えで、各地の県本部大会に予定が入っています。

  • 東京・江戸川支部 盗撮のビデオ見て驚きの声
     国民救援会江戸川支部では、はじめての国公法事件学習会を9月18日に開きました。
     講師の芝崎孝夫さん(国民救援会中央本部)は、この事件が引き起こされた背景には、イラク戦争に日本が参戦することに反対する運動を弾圧する狙いがあり、当時の政府が次々と憲法違反の政策を実行に移し、国民の反対運動が大きく巻き起こった中で、葛飾ビラ配布弾圧事件などとともに堀越事件、世田谷事件も起こされたことを詳しく解説しました。
     また、堀越明男さんを延べ171人の公安警察が尾行、盗撮した実態をビデオで上映し、警察の憲法違反、プライバシー侵害の実態を改めて厳しく告発しました。盗撮ビデオには、参加者から驚きの声が上がりました。
     堀越さんは、「なんとしても違憲無罪を勝ちとりたい」と支援を訴えました。
     最高裁で違憲無罪を勝ちとるために署名を旺盛に集めようと支部からの訴えがあり、19人の参加者の多くから「いい学習会だった」と好評でした。(東京都本部・安井純夫)
  • 山梨  最高裁の闘い意義わかった

 国民救援会山梨県本部は、「言論・表現の自由を守る山梨センター」を2年半前に結成、会員数の3倍近い1000を超える署名を集めています。9月8日に開かれた第36回県本部大会で、世田谷国公法弾圧事件の小林容子弁護士が特別報告しました。
 小林弁護士は、「たたかいのなかで勝ちとってきた東京高裁の中山判決(国民の政治的意識の変化と国際標準に基づく判断をした)をふまえて、74年の猿払判決を乗り越えるために、大法廷で違憲無罪を勝ちとることが、大阪・橋下市長の強権政治や、地方公務員の政治活動を刑事罰で禁止しようとする攻撃、警備公安警察の不当捜査の拡大を許さない力になる」と報告。「国民の言論の自由を守り、民主主義を前進させるため20万署名の達成を」と訴えました。
 参加した会員から、「最高裁の情勢、闘いの意義がよくわかった」などの感想が寄せられました。

  • 岐阜・岐阜支部 学習し署名を広げる事確認

 国民救援会岐阜支部は9月9日の支部大会に引き続き、世田谷国公法弾圧事件の宇治橋眞一さんを講師に学習会を開催し、30人が参加しました。
 宇治橋さんは、勤務時間外の、職務と無関係のビラ配布がなぜ犯罪になるのかと問いかけ、2事件の経過、最高裁のたたかいの状況を訴えました。
 参加者から「事件は国家公務員だけの問題ではなく、国民の言論・表現の自由を奪う問題というお話に、事件の本質が理解できた」との感想がありました。国公法2事件の署名を広げていくことを参加者一同確認し合いました。
 会場には年金機構の労働者も多数駆けつけ、終了後、宇治橋さんを囲む交流会ももたれました。(岐阜支部)

  • 奈良 全会員参加の署名運動作る

 国民救援会奈良県本部では、これまでの多くの署名は役員が集会や大会などに行って集めてくる方法で、肝心の会員は、署名運動の埒外にいました。
 8月の県本部常任委員会で、班や会員が主体になって集める署名運動を組織しようと決め、全会員に国公法弾圧2事件と名張毒ぶどう酒事件の署名用紙と県本部宛の受取人払の封筒、訴えの入った県版を救援新聞とともに全会員に届けました。支部が届ける時に会員に声をかけ、電話も使って会員に働きかける事も決めました。
 この結果、国公法弾圧2事件の署名は2000人の目標を突破。また、これがきっかけで、中和支部の女性常任委員3人が新婦人香芝支部大会に行って、署名を訴え、協力を得るなど、積極的な変化も生まれています。会員から署名と千円カンパを添えて送ってくるなど嬉しい変化も生まれています。
 県本部は、県版を毎月3回発行し、連続的に支部や会員の取り組みを紹介し激励しています。(県本部)

東住吉事件 最高裁が棄却決定 釈放取消しに全国から抗議を  

 最高裁第3小法廷は9月18日付で、大阪・東住吉冤罪事件の青木惠子さん、朴龍皓さんの「刑の執行停止」を求める特別抗告を棄却する不当決定を出しました。
 大阪地裁は今年3月7日の再審開始に引き続き、刑の執行停止(釈放)も決定しましたが、検察が抗告し、大阪高裁は刑の執行停止決定を取り消しました。弁護団は直ちに、特別抗告を行い、釈放を求めていました。
 東住吉冤罪事件を支援する会と国民救援会大阪府本部は、16年以上の長期にわたり拘束されてきた2人の早期釈放を求め要請を強めてきたところです。
 今回の最高裁の決定は、刑の執行停止の当否には全く触れることなく特別抗告の要件を満たしていないとした不当なものです。
〈抗議先〉〒102―8651 東京都千代田区隼(はやぶさ)町4―2 最高裁第3小法廷 大谷剛(たけ)彦(ひこ)裁判長

福井女子中学生殺人事件 前川さんに再審無罪を 5都県25人で高裁要請  

 福井女子中学生殺人事件の再審開始決定に対する検察の異議申立を直ちに棄却せよと9月14日、名古屋高裁へ3回目の要請行動がおこなわれ、地元福井、石川、富山、愛知、中央本部から25人が参加しました。(写真)
 前川彰司さんの父・禮三さんは、「あの日、息子は家族と食事をしていた。その息子がなぜ同じ時刻に別の場所で犯行を行うことができるのか。絶対に息子は無実です。再審開始決定を受けて、息子は健康を取り戻しつつ、秋からは高校に復学し、頑張っております。一日も早く、裁判所が無罪判決を出してください」と、切々と要請しました。

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