日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

12年1月5日号

12年1月5日号  

大阪地裁所長オヤジ狩り事件国賠で勝利/救援会が心の支えでした  

姉・浜谷 恵(はまたにめぐみ)さん&元原告・藤本敦史(ふじもとあつし)さん姉弟インタビュー

 大阪地裁所長オヤジ狩り事件の国賠裁判で昨年10月、警察の取調べを違法と断罪する判決を勝ちとりました。事件から7年間たたかった、原告の一人・藤本敦史さんと、裁判を支えた藤本さんの姉・浜谷恵さんにお話を伺いました。

――7年に及ぶ裁判闘争が勝利で終わりました。今のお気持ちは?
敦史 正直ホッとしたというか、終わったなという気持ちです。警察と検察に謝らせたいという気持ちはありますが、彼らは謝らないでしょうから、このうやむやは一生取れないと思うんです。
 私、裁判に勝ったら絶対に嬉しいと思っていたんです。警察が悪いことをしてると、裁判所にも認めてもらえば、心からスッとした気持ちになると思っていたけど、ぜんぜんそんな気持ちわかなくて。「ああ、これで終わり?」って。
敦史 国賠勝利が確定して賠償金を直接受けとる機会があり、大阪府警の警視が現金を持参してきましたが、悪びれる様子はありませんでした。
 警察は振込みで済ませたかったそうですが、弁護団の戸谷先生が私たちの思いをくんで、警察に謝罪の機会を作ってくれたんです。お金を持ってきて、何も言わずに帰ることはないでしょうから。でも警視の態度と目つきは、反省とか悪いなんていう気はさらさらないんです。弁護士の先生とは名刺交換をしましたが、すぐ横にいる敦史をあえて無視です。この腹立つ気持ちを伝えるすべがもうなくなると思ったら、本当に歯軋(ぎし)りする気持ちで、涙ためながらこらえていました。

しんどいときも、そばに
――刑事裁判から国賠まで、国民救援会も支援してきただけに、勝利がとてもうれしいです。

敦史 国民救援会のみなさんは、裁判所への要請や傍聴席をいっぱいにしてくれた。何の見返りもないのに、ああして一生懸命来てくれたということが、すごいなと思うし、救援会の力があったからこそ、勝利できたんやろなと思います。もちろん救援会だけじゃないけど、救援会の力はすごい大きかったですね。寒い中足運んで、時には裁判所の前で叫んでくれて。世の中にこんな人がおるんかと思いました。自分に一番力になってくれる人たちでした。
 救援会の方たちに助けられたのは、決して無理強いしないというところです。集会なんかでも、声高に叫んで弟を救いたいと思うときもあれば、「もう事件のことは離れたいねん、勘弁してや」って思うこともありました。子育てもあり、なかなか時間も作れませんでした。
 そんなときでも、ほったらかしにしないで、「ほんなら、代わりにやっとくからな」って言ってサポートしてくれるんです。「あんたらのためにやってんねんで」っていう気持ちを感じたことないんです。まさに寄り添う。私らが必要としてるときでも、「しんどいねん」っていうときでも、黙ってそばにいててくれてるというか。で、行ったときにはいつでも温かく迎えてくれる、そういう方ばかりに出会えたんです。
 家族には「しんどい」ってなかなか言えないんです。一番苦しいのは敦史だってわかっているから。敦史が勾留中、母が料理しながら、「温(ぬく)いもん、食べてんのかなぁ」って泣いたりすると、「私も泣けずに我慢してるのに」って当たったりもしたけれど、救援会の人に会うときには、しんどいと言えて涙も出ました。それにすごく助けられました。
 私、今回ほど、人に支えられていることを実感したことがないんです。恵まれていたんだなあって実感したんです。

取調べは全面可視化に
――警察の取調べは違法と断罪した判決を得ましたが。
敦史 警察の取調べが違法と認定されたんだから、それを解決するにはどうしたらいいかといったら、取調べを全面可視化するしかないでしょう。僕の取調べでは、馬乗りにされたり、自殺の仕方を教えられたりしました。可視化されてたらこんなんできへん。僕たちの事件の判決で、可視化の実現に勢いがついてほしいという思いを強くしています。
――裁判に勝利した要因は? 
 勝てたのは運。幸運だったと思います。まず、信頼できる弁護士の先生に恵まれたということ。無罪の決定的な証拠の防犯ビデオが出てきたのも、報道の方が探り当てたことですし、弁護士の先生たちがつながってくれて、うまくやってくれはった。岡本君にたまたま当番弁護士としてついたのが戸谷先生(大阪府本部会長)で、そこから救援会と出会えたのも幸運でした。何一つ私らの力でやったことなんてないし、皆さんの頑張りと運に助けられて勝ったんです。
 でもね、ほんとはそれやったらあかんと思うんです。「あの時こうやったら」って裁判が運で左右されるんでなしに、誰でも等しく公正な裁判が受けられないといけないと思います。

あきらめずたたかおう
――勝利判決で得た経験。今後どう活かしていきますか?
敦史 7年間パワーを使ってきた裁判です。この悔しい思いを解決するにはまず警察に謝ってもらいたいけど、それはないでしょ。それならこの経験を、世間に知らせていくことだと思います。そして、他の冤罪で苦しむ人にも、あきらめずたたかえば希望が見えることを伝えたい。それを話すことによって、僕の心が安らぐ面もあるやろうし。
 いい結果をもらってもこんだけ心に傷が残ったり、嫌な思いが残っています。冤罪でつかまった人や家族が、みんなが想像しているよりも辛くてしんどい思いをしているということを、経験したからこそ理解できる立場やと思うんです。私は支援してくれる人たちに助けてもらったし、何より「信じてるよ」と言ってもらえる人がいてるということが、なによりも心の支えになったんです。いま、苦しんでいる人のそばにい続けてあげたい。「大丈夫、信じてるよ」と言い続けていくことが、私たちのこれからのたたかいというか、「生きがい」かな。そっちに向いていかなければと思っています。
敦史 ちょっと、わしにもしゃべらせてえな。
 弟の分まで話してしまった。しゃべり始めると堰(せき)を切ったように言ってしまって、だめですね(笑)。

■大阪地裁所長オヤジ狩り事件

 2004年、当時の大阪地裁所長が「オヤジ狩り」に遭い、金品を奪われた事件。藤本さん、岡本太志さん、そして3人の少年が逮捕され、暴行や威圧的な取調べによって「自白」を強要されました。裁判で無罪判決が確定。その後、警察・検察などの責任を追及して国賠を提訴。昨年10月、大阪高裁で一審判決に続き、警察の違法な取調べの責任を認める勝利判決(確定)。

真の復興、事件勝利へ 新年にあたり決意新たに  

   日本国民救援会会長  鈴木 亜英(つぐひで)

 2012年の年頭にあたり、新年のごあいさつを申し上げます。
 咋年3月11日、東北地方を襲った地震と津波は2万人に及ぶ尊い生命を奪い、家屋や家財を押し流し、家族や地域の絆を剥(は)ぎ取りました。福島第一原発事故は、今なお除染が進まず多数の人びとに避難生活を強いるという言語に絶する悲劇となって、私たち日本の社会を襲いました。新年にあたり、私たちはこの悲しみを乗り越え、力を合わせて真の復興を目指してゆく決意を新たにしたいと思います。

◇  ◇

 さて、こうした不幸のなかにあっても、国民救援会が支援する事件では度々明るいニュースが飛び込んできました。布川事件の桜井昌司さん、杉山卓男さん、あらためておめでとうございます。福井女子中学生殺人事件の前川彰司さんの再審開始は嬉しい限りです。東電OL殺人事件ではゴビンダさんの再審手続きは劇的な展開を遂げました。名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんを早く取り戻したいとの運動は弁護団のたたかいとひとつになって大きな前進を示しています。仙台筋弛緩剤冤罪事件の守大助さんの救援運動も全国的な拡がりを見せています。袴田事件でも明るい兆しが見えてきました。目白押しの再審申し立て事件を励ます状況が生まれています。

◇  ◇

 私たちは、このような冤罪多発の原因は、被疑者から嘘の自白をとり、不利な証拠を隠し、何が何でも有罪にするという、憲法に保障された刑事原則から見てあるまじき捜査の実態にあるとしてきました。このことをさらに明らかにしたのが、郵便不正事件のでっち上げでした。
 国民の強い批判の前に法務省や最高検察庁は重い腰を上げざるを得ませんでした。「常に有罪そのものを目的とし、より重い処分を成果と見なす姿勢になってはならない」「無実のものを罰したり、真犯人を逃したりしないよう知力を尽くして真相解明にとりくむ」。これは昨年9月30日、最高検が発表した「検察の理念」10カ条の一部です。かけ声だけでは不十分。全面可視化と手持ち証拠の全面開示を実現させてはじめて、私たちの救援運動は新たな展望を見出すことになります。

◇  ◇

 さて、大法廷回付と猿(さる)払(ふつ)判決の変更を求める国公法弾圧2事件は最高裁を舞台に、公務員の政治活動と言論表現の自由を求めてたたかわれています。今春はこれまでの署名活動に加えて全国的な学習運動を早期に展開し、この事件の勝利が私たちの社会の将来にとってどれほど大切かを理解しましょう。そしてこれを違憲・無罪を求めるエネルギーに変えてゆく。このことが私たちの今の仕事です。

憲法と民主主義の確立めざし  

   自由法曹団団長 篠原 義仁

 「救おう!無実の人びとを」――冤罪事件の根絶は刑事司法の基本中の基本。取調べの全面可視化と捜査当局の手持ち証拠の全面開示は、近時の足利事件布川事件の経験からも必須のものとなっています。
 大阪地検特捜部の証拠捏(ねつ)造(ぞう)事件を契機に、法務大臣の諮(し)問機関「検察の在り方検討会議」が発足し、3月31日に「検察の再生に向けて」の試行的提言がおこなわれ、1年を目途とする検討作業が進行し、法制審議会も「新時代の刑事司法制度特別部会」を設置し、その審議を深めています。
 しかし、情勢は楽観を許さず、国民救援会を中軸に全労連、自由法曹団は11月21日に平岡法務大臣に直接面談し、早期に、そして完全なる制度の実現を図るよう申し入れをしました。
 裁判員制度の発足に伴って国民目線に立った公正な裁判のあり方が、具体的に提起されるに至り、前記制度の確立はこの視点からも絶対に不可欠です。

 具体的事件に目を転じてみると、2つの国公法弾圧事件で最高裁で勝利することはきわめて重要です。「国家公務員も一人の市民で」「市民が休日を利用して勤務と関係なく」ビラ類を配布する行為を国公法違反で刑事処罰する不条理は、憲法の規定に照らして糾(ただ)される必要があります。猿払判決の後進性は、国際的視野からみても明らかで、最高裁の新たな判断は必然です。
 このほか、国民救援会がとりくむ課題・事件は多様ですが、自由法曹団は国民救援会と連携を密にして、個別事件等で具体的、実践的にたたかい、平岡法相への前記申し入れ行動や「裁判交流集会」の企画などについても奮闘してゆく決意です。

 改憲勢力は、東日本大震災を口実に「非常事態規定」の創設をうたって新憲法制定議員同盟を再開。憲法審査会の規程の整備、改憲手続の要件緩和をもくろみ憲法96条改正議員同盟を発足。そして、南スーダンへのPKO派遣、「武器輸出3原則の見直し」、緊迫する沖縄情勢。運用改憲の波状攻撃も強まっています。
 3・23最高裁判決は、総選挙での「1人別枠方式」を違憲と断罪しましたが、小選挙区制で漁夫の利を得ている民主・自民は、野党の反対を押し切り、小手先の選挙制度の見直しで、最高裁判決を乗り切り、次に比例定数の大幅削減を狙っています。小選挙区制の廃止、民意の反映する選挙制度の構築は急務の課題となっています。
 新しい1年、共同の力で頑張ってゆきましょう。

さあ、全国大会へin兵庫  

過去最高の会員数で 開催地が奮闘決意  

 今年は国民救援会の全国大会が兵庫で開かれます。全国の救援会員を迎えいれる兵庫県本部の意気込みを、県本部の近藤正博事務局長に聞きました。

 全国大会を兵庫県で迎えるにあたって、開催地として、多くの事件での勝利・前進と、支部の活性化を実現し、兵庫県で過去最高の会員数を達成した喜びの報告の中で全国の皆さんを迎えたいと決意しております。
 昨年は、布川事件福井女子中学生殺人事件をはじめ、全国の冤罪事件で大きな勝利・前進がありました。しかしその一方で、不当な判決も出されています。兵庫県内でも、姫路強制わいせつ事件、井筒公選法裁判、えん罪神戸質店事件などで不当な判決・決定が相次ぎました。
 こうしたなかで開かれる全国大会は、勝利の喜びと感動、そして不当判決の怒りを共感し合い、事件当事者と支援者が心をひとつにすることができる場になるものと確信しています。
 全国大会は、各地で人権侵害とたたかう事件当事者の人たちと、それを支える不屈の救援運動をすすめている人たちの生の声が聞ける絶好の機会です。できるだけ多くの人に傍聴してもらい、救援運動の真髄(ずい)に触れてもらいたいと思っています。こうしたことが、国民救援会の力を強くし、運動を広げる力になると思っています。

成長への機会に   開催地・垂水支部事務局長 釘宮正二さん

 全国大会に見合った拡大をして迎えなければと、支部常任委員はみな、そういう構えです。1年半前にポスター弾圧事件をたたかった神戸西区支部とは、ほぼ同時期に結成し、同程度の勢力だったのですが、あの闘争の結果、西区支部は会員を倍に増やしました。運動を通じて会員の意識も高まり、組織拡大され、支部も強くなりました。我々もこの全国大会を迎えるとりくみを通じて支部の強化を図ります。
 人権を侵されるというのは、人間性を否定されることです。救援運動は、そうした人たちを助ける意義ある活動ですから、組織を一挙に広げる可能性があります。最近前進している冤罪事件は、人権が一番侵害される典型的な事柄です。ごく限られた人たちが救援会で活動しているのではなく、もっともっと運動の幅を広げる必要があります。その一番いい時期に、救援会の全国大会が開かれるのですから、これを契機に、支部としても大きく成長しようと思っています。

希望

被災住民に寄り添って  

福 島/美しいふるさと 取り戻す日まで頑張る  

阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出てゐる青い空が
智恵子のほんとの空だといふ。
 (高村光太郎「あどけない話」より)
 福島第一原発の爆発事故による放射能の大量飛散。土地、生活すべてに甚大な影響を及ぼし、いまなお拡大している福島。県民、そして救援会員は、かつてない事態と向き合っています。
 福島県本部は12月4日、安達太良山(あだたらやま)のふもと二本松市で大会を開きました。避難している会員からは、ふるさとへ戻れるのかとの不安な思いと支援へのお礼が述べられました。支部からは署名活動などの事件支援や支部の確立など、前向きな発言が相次ぎました。
 「原発事故の困難を…乗り越え、『美しいふるさと』を取り戻し、人権と民主主義が花開く福島県をつくりましょう」。最後に採択されたアピールに思いと決意がつまっています。

宮 城/新鮮野菜いっぱい 仮設住宅を回り届ける  

 宮城県では、いまも2万戸を超える仮設住宅で多くの人が避難生活を送っています。そこで暮らす人たちに新鮮な野菜を食べて元気を出してもらいたい――国民救援会宮城県本部は震災直後から、女川町に野菜や支援物資を届けています。
 12月4日、強風が吹き荒れるなか、女川町の町営野球場に建てられた189戸の仮設住宅を訪れ、青空市を開き、全戸にいっぱいの新鮮野菜や支援物資を届けました。
 この日の行動には、地元女川町議で会員の阿部律子さん、高野博さん、そしてみずからも被災した国民救援会石巻支部のみなさん、東京・葛飾区から日本共産党石巻救援センターに来られたみなさん、仙台から参加した母娘ら総勢20人が参加。
 県本部に加え、県農民連、長野県池田町などから提供されたコメ380キロ、新鮮野菜(白菜190本、大根210本)、冬物衣類およそ30箱などをトラックに積んで届けました。
 野菜などをお届けすると、住民の方からは「助かります」「初めて支援物資を持ってきていただきました」と感謝の言葉が返ってきました。同時に、「家も船も家族もみんななくなった」とつぶやく男性、津波でいなくなった友達を「壊れたの」という女の子など、いまも心が癒(いや)されない日々が続いていることも感じました。
 初めて支援活動に参加した仙台市の阿部さんは、「同じ被災者であっても、ここでは今もこんなにも環境が違う中で生活をしていかなければいけないのだと実感しました」と感想を述べています。
 被災地支援は息の長い活動が求められ、心のケアも必要です。県本部としても、長期的、系統的な支援、交流のつながりを創っていきたいと考えています。(県本部事務局長・吉田広夫)

岩 手/共に力合わせて 支部から支部へエール  

 津波で大きな被害を受けた沿岸部の釜石支部の立て直しを支えようと、内陸側に隣接する花巻支部が支援することを決めました。その具体化の一歩として、11月7日、花巻支部の事務局長・金野昭人さんと常任委員の梅木悦志さんが、釜石支部事務局長の三浦勝男さんを訪ねました。
 会員から提供されたコメ80キロと野菜を車に積んで、三浦さんの暮らす仮設住宅へ。現地を見てわかったことは、仮設住宅の自治会長もつとめる三浦さんは、被災者の生活の切り盛りで手一杯で、支援を受け入れる体制をとるのが難しい現実でした。それでも釜石の会員に花巻に来て被災の体験を語ってもらい、救援会として何ができるのか模索したいと話し合いました。
 「短時間の訪問でしたが、まずは、お互いの信頼関係ができたと思う。心かよう気持ちになれたことがよかった」と話す金野さん。支部が支部を支援する第一歩を踏み出しました。

被災会員からお礼の手紙

 女川町での災害救援活動に心から感謝申し上げます。町民からは「いつも苦しい時に助けていただいてありがとうございます」「野菜やお米は本当に助かります」など感謝の言葉が寄せられます。
 宮城県本部の皆さんには5月頃から「女川には支援物資が届いているのですか」と何度となく野菜や米を運んできていただきました。9月18日に国民救援会あげての大規模な支援活動がおこなわれ、漁業集落の仮設住宅にお米と野菜を届けていただき、漁民のみなさんから異口同音に「あの時は、どれほど助かったかわかりません」と感謝されました。
 町全体が壊滅的被害を受け、復興や原発の再稼働をめぐっても重要な局面を迎えます。女川町民は、みなさんの善意を力に前を向いて元気に立ち向かうことと思います。末永くご支援いただければ幸いです。高野 博

兵庫・えん罪神戸質店事件/最高裁が不当決定  

 緒方秀彦さん(53)が無実を訴えている兵庫・えん罪神戸質店事件に対し、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は12月12日付で、二審判決(無期懲役)を支持し、緒方さんの上告を棄却する不当決定を出しました。

 事件は、2005年10月、神戸市内の質店で店主が殺害され、現金1万円余りが奪われた強盗殺人事件です。電気工の緒方秀彦さんがスピード違反で指紋を採取され、その指紋が店内に残っていた指紋と一致したことや目撃者の証言から逮捕されました。
 緒方さんは一貫して無実を訴え、神戸地裁は08年、緒方さんに無罪判決を出しました。判決は、緒方さんが以前、この店舗に防犯カメラの取り付けの相談で立ち入っており、指紋があっても矛盾しないこと、目撃者の証言は警察官に誘導された可能性があるなど指摘し、緒方さんと犯行を直接結び付ける証拠はないとして無罪を言い渡しました。しかし、大阪高裁は09年、検察側の主張を受け入れ、無期懲役の有罪判決を言い渡しました。

 不当決定直後に面会した支援者によれば、緒方さんは手も震え、相当動揺していて、かける言葉もみつからなかったとのことです。また、支援者がご両親に電話で連絡すると、お母さんは「どうか助けてください」と小さな声で訴えたそうです。
【抗議先】〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・千葉勝美裁判長
【激励先】〒650―0022 神戸市中央区元町通6―6―12 国民救援会兵庫県本部気付

緒方さんとの面会記…食事ものど通らず  

  兵庫県本部専従の濱嶋隆昌さんが12月15日、大阪拘置所を訪れ、緒方さんと面会した様子を紹介します。
 緒方「弁護士さんに電報を打つために願箋(せん)を出すのにも手が震えて書けない状態で…。昨日は昼食のカレーものどを通らず、ぼーっとしていたら、みぞおちのあたりが痛くなり、薬を飲むまでのたうち回った。夕食ものどを通らず、考えてはいけないと思いながら、どうしても考えてしまい、結局一睡もできなかった」
 濱嶋「お母さんには電話で伝えた」
 緒方「両親にはどう伝えればいいのか…。兄は親より早く死に、弟の自分がこうで、本当に親不孝と思う。できることは親の元へ帰ってあげることだけだったが…」
(刑務官が時間を示唆)
 濱嶋「緒方さん、あなたは決して親不孝じゃない。悪いのは裁判官だ。あなたとご両親は被害者じゃないか」
 緒方(うなずく)
 濱嶋「緒方さん、絶対に勝とう。絶対に勝とう」
 緒方(何度も頭をさげながら面会室を出る)

袴田事件/検察が証拠176点開示 弁護団「一つ大きな前進」  

 1966年、静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務一家4人を殺害し金品を強奪したとして、無実の袴田巌さんが死刑判決を受け、再審(裁判のやり直し)を求めている袴田事件で12月12日、弁護団、静岡地検、静岡地裁の三者協議がおこなわれました。
 これまで弁護団は検察に対して証拠開示を請求し、裁判所は検察に対して、検察官が存在を認めた全ての証拠を開示するよう勧告していました。この日の三者協議で、検察は取調べを録音したテープや供述調書、事件現場での再現実験を撮影した写真のネガなど、176点の証拠を開示しました。
 録音テープは、袴田さんが起訴された後の1966年9月21日におこなわれた警察官による取調べを、約60分にわたって録音したものです。複製されたCDが弁護団に渡され、会見で冒頭部分が再生されました。警察官が「録音することに承諾するか」と言うと、袴田さんはか細い声で「はい、いいです」と応えている様子が明らかにされました。
 弁護団によると、録音の内容は有罪判決の唯一の証拠である「自白」調書をなぞった内容が録音されているものの、なんら具体性が無いことを指摘。実際に体験した人の供述か疑わせるに十分であると感じたと話しました。
 また、犯行現場への侵入方法を再現実験した写真について、「自白」どおりに侵入することができないとする内容の捜査報告書があるにもかかわらず、その再現実験のネガが無く、警察による違法な捜査については証拠開示においてもまだ証拠を隠していることがうかがわれるとしました。
 弁護団は証拠開示について、「一つ大きな前進だと思う。裁判所の積極的な姿勢を評価したい。これで全部の証拠が開示されたわけではなく、さらに記録を詳しく精査していく。これ以外にも、開示されていない証拠がある。検察側にさらに証拠開示を求めていく」と話しています。
 会見で、袴田さんの姉、袴田秀子さんは、「一歩前進だと思います。まだ(検察に)証拠はあるようなので、全面開示していただきたい。一日も早く再審開始されることを望みます。再審開始にむけて頑張ってまいります」と話しました。

開示の動きが広がる可能性  弁護団の小川秀世弁護士

 弁護団は、これまでに裁判所に提出されたすべての記録から、具体的に重要な証拠が存在し、それが隠されていることが明らかだということを主張してきました。また、公判前整理手続きで一定限度ですが権利が認められてきた証拠開示を、再審でも認められなければおかしいという議論を、法律的な根拠もふまえて主張してきたことが実を結んだのではないでしょうか。
 また、裁判所や検察庁・法務省の姿勢も変わったように感じられます。他の再審事件、世論、検察の証拠改ざん事件が生じたことなどが、いろいろな形で影響したのではないかと思います。
 福井女子中学生殺人事件で、裁判所から検察に対して証拠開示の勧告が出されたことを、袴田事件でも裁判所に訴えました。袴田事件にも大きな影響を与えていることは間違いありません。
 証拠開示について、短期間で、ものすごく進んだということは、再審を求めている事件、証拠開示が遅れている事件に、非常にいい影響を与えるのではないかと思います。このような動きが全国的に広がる可能性は十分にあると思います。

国公法弾圧反対滋賀県共闘会議/公務員の政治的自由を 結成総会に50人が参加  

 12月7日、国民の知る権利、ビラを配る権利を守り、国家公務員の政治的活動の自由を勝ちとろうと、「国公法弾圧2事件学習と共闘会議結成総会」が滋賀弁護士会館で開かれ、50人が参加しました。
 記念講演で、立命館大学の大久保史郎教授が、「しんぶん赤旗」号外を配って逮捕・起訴された堀越事件と世田谷事件はなぜ起こったのか時代背景も含めて講演。言論・表現の自由、政治的活動の自由の重要性を解明しました。
 参加者からは、「公務員の問題だけでなく市民の知る権利を抑圧する問題で大変なこと」「国連からも人権問題として日本に注文を投げかけられている。応援しないといけないと思った」と感想が寄せられ、「分かり易い講演だったし、面白かった。みんなに理解してもらえるよう宣伝をしなくてはいけない」など、感想と会場での発言がありました。
 国公法弾圧反対滋賀県共闘会議の結成総会で役員を選出し、代表に選出された玉木昌美弁護士(自由法曹団滋賀支部長)は、「宣伝活動に参加すれば、刑事罰をもって弾圧する日本ほど、公務員を抑圧している国はない。人権を保障し権利を勝ちとっていくため、全国の運動に呼応し滋賀で頑張ろう。署名2千人分を集めよう」と呼びかけました。(「救援会交流しが」より)

取調べ全面可視化を・・市民集会 230人が参加  

 国民救援会も参加している取調べの可視化を求める市民団体連絡会は12月7日、東京・弁護士会館で市民集会「なぜ、無実の人が『自白』してしまうのか〜取調べの可視化が必要なワケ〜」を開催し、230人が参加しました。
 まず、青山学院大学の高木光太郎教授が、法心理学の専門家の立場から基調講演をおこないました。高木教授は、自白は、必ずしも暴行や恫(どう)喝(かつ)をしない、穏やかな取調べで自白することもあるとして、足利事件の菅家さんの取調べでのやり取りを解説。日本の捜査当局の取調べは古典的な手法で、取調べの全面可視化が実現すれば、取調べの問題点を検証できると強調しました。
 続いておこなわれたパネルディスカッションでは、布川事件の桜井昌司さんが「取り調べる側と取り調べられる側に信頼関係など生まれるはずがない。全面可視化が実現していれば、私は起訴されなかったし、起訴されても一審で無罪になった」と発言すると、会場内は共感の拍手と笑いに包まれました。
 布川事件弁護団の青木和子弁護士は、「布川事件では、自白部分の録音を裁判官は信用してしまった」と、検察・警察が主張する一部可視化の危険性を指摘しました。
 小坂井久弁護士は、日本の取調べについて「叩いて伸ばして、枠に入れて固める板金捜査」と言われる古典的手法を用いていると強調し、取調べ等について議論されている法制審議会の部会でも全面可視化に向けての動きは遅々として進んでおらず、捜査当局の根強い抵抗があることを指摘しました。
 高木教授は、全面可視化とともに取調べ技術の高度化が必要であり、時代に見合った科学的なものにしていく必要性を指摘しました。
 最後に、「一日も早く取調べの全過程の録音・録画を実現することを求める」アピールを採択しました。

国際人権活動日本委員会/法務省等へ要請  

 国際人権デーの12月10日を最後の日とする1週間は「人権週間」とされています。人権週間のとりくみとして12月6日、国民救援会も加盟する国際人権活動日本委員会(鈴木亜英議長)は、法務省と外務省へ、個人通報制度の実現をはじめ、日本の人権問題の改善を求める要請行動をおこない、国民救援会から2人が参加しました。
 午前は法務省に対して要請をおこない、取調べの全面可視化、証拠の事前全面開示の実現などを要請。検察の捜査・起訴の問題が明らかとなり、法務省・検察は自ら真(しん)摯(し)に反省することが必要と訴えました。
 昼は、総務省前で宣伝行動をおこない、各団体や事件当事者が日本の遅れた人権状況の実態を訴えました。
 午後は外務省に同様の要請をおこない、日本委員会の吉田好一代表委員は、「個人通報制度は、国連が世界中の人に与えた権利であり、日本政府は権利を妨害している」と厳しく批判しました。

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