日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年9月25日号

11年9月25日号  

名張事件−裁判官の心動かす運動を−9・10 全国集会に24都府県から330人  

再審決する秋の闘い  

 三重・名張毒ぶどう酒事件の一日も早い再審開始と奥西勝さんの釈放を勝ちとろうと、9月10日、愛知県名古屋市で全国支援集会がおこなわれ、24都道府県から330人が参加しました。集会では、弁護団報告と記念講演などを受け、勝利の決意を固め合いました。

 「ニッカリンTの成分分析の鑑定が出されるこの秋へ向けてのとりくみが、すみやかな再審開始を実現できるかを決する。奥西さんの雪冤を果たし、一日も早い釈放実現のためにともに奮闘したい」
 集会は、国民救援会愛知県本部の阪本貞一会長の開会あいさつで始まりました。

引延ばし許さぬ
 つづいて、名張事件弁護団の鈴木泉団長が裁判の現状について報告をしました。差戻し審で検察は新たな主張を持ち出し、弁護団は、奥西さんの早期の再審確定と検察の非科学的主張を打ち破るため、名古屋高裁が求めるニッカリンTの再製造と成分分析に同意したこと、9月末に鑑定人による鑑定結果が出されるが、弁護団の主張を裏付ける鑑定結果だった場合、検察はなおも新たな実験をする旨を主張していることを報告。そして、「そんなことをしても何も生まれず、85歳となった奥西さんの人権侵害は甚だしいと言わざるを得ない。私たちは、今回の鑑定の結果をもって、直ちに裁判所に再審開始の決定を求めていく方針です」と述べました。

一刻争う闘い
 弁護団報告のあと、元裁判官で法政大学法科大学院教授の木谷明さんが「一連のえん罪事件と検察官・裁判所の責任」と題して記念講演をおこない、全国から参加した支援者がステージに上がり発言しました。
 その後、特別面会人の稲生昌三さんが面会の様子を報告し、最近の奥西さんの言葉には「最後」という言葉がいつも入るようになったことを紹介し、一刻を争って再審開始を確定させたいとの思いで、4人の面会人は活動をおこなっていると述べました。

年内に10万署名
 名張事件全国ネットワークの田中事務局次長から、再審開始等を求める署名(9月9日現在、6万1287人分)を年内に10万人分集めること、毎月の要請行動への参加、全国で独自の宣伝・学習、支援集会などにとりくむことなどが行動提起され、集会決議のあと、参加者の大きな拍手が起こり、決意を固め合いました。
 集会の参加者からは、「奥西さんを一日も早く自由の身にするために、出来ることを今日から始めたい」、「犧任皀ギを握るのは裁判官瓩箸いΩ斥佞心に残りました。裁判官の心を動かす運動を強めていかなければと思いました」という感想が寄せられました。

今度こそ希望を…奥西さんのメッセージ(要旨)  

 再審無罪を求める全国支援集会の皆さん
 私の無実のため、長い皆さんのご支援に心からお礼申し上げます。
 「全国支援集会」を開いて頂いて、差し戻し審で再審を決め、一日も早く晴れて無実、自由の身となるための皆さんのご支えに、心よりありがとうございます。
 この秋、年内が差し戻し審の大きな山場とのこと。高齢、老齢の身となり、いつもこれが最後の願いとなることをただただ、待ち願っています。
 どうか、事実を調べ判って頂きたい。どうか差し戻し審で六年前の再審開始の決定の希望を、今度こそ果たさせて下さい。
 私も長生きし、えん罪を晴らすためにがんばります。皆さんのご支援しかありません。この秋、年内の山場で再審を実現できますようご支援をお願いいたします。                   奥西勝

全力で頑張る 各地の支援者が発言  

 奥西さんを救い出そうと、全国から支援者が参加しました。舞台に立った4人の方の発言(要旨)を紹介します。

怒り持ち活動  三重・岡本 章さん
 私は、奥西勝さんを救い出す三重の会の代表をしており、1977年の第5次再審請求で、王冠の歯形が作り出されたものであることが判明して以来、強い怒りを持って活動をしています。
 一人ひとりの声が正義の声として、司法の場へ届くよう今後も活動を続けていきます。

団結して闘う  東京・落合 修さん
 東京の守る会は、立ち上げてから20年経ちました。
 月に1回、都内の主要駅頭での宣伝行動と、ビラ配布を欠かさず続けています。
 今年4月には、江川紹子さんとやくみつるさんを招いての対談を企画し、200人の参加で成功することができました。奥西さんを取り戻すまで、皆さんと団結してたたかいぬきます。

オルグを続け  大阪・棚尾 修さん
 大阪から48人で参加しました。
 大阪ではオルグ活動をずっと続け、カンパとハガキの普及、署名のお願いをしています。カンパによって、特別面会人の早川さんに自己負担無しで月々の面会に行ってもらっています。引きつづき頑張ります。

証拠開示こそ  兵庫・藤木洋子さん
 今日は兵庫から30人が参加しています。
 検事がおこなう取調べや調査費用は、私たちの税金でやっていることです。検事が持っている証拠は国民の共有財産であり、全面開示をしないやり方を、なんとしても改めさせなければいけないと思います。
 奥西さんを救出するために全力をあげて奮闘しようではありませんか。

国民監視で公正な裁判を 木谷元裁判官が講演  

 集会では元裁判官の木谷明さんが講演。木谷さんは、冤罪が生じる原因として、捜査機関の焦りによって、自白の強要や証言のでっち上げなどで犯人を作り上げ、起訴した以上何が何でも有罪にしなければいけないと考えていることを指摘。また裁判所は、捜査機関へ過大な信頼を置き、自白を重視し、証拠物の偽装があることは考えもせず盲信してしまっている現状を話しました。
 冤罪を阻止するためには、取調べの全面可視化や証拠の全面開示、代用監獄や人質司法の解消が必要であるとしました。
 最後に、裁判所による正しい判決がなされるよう、国民の努力が必要だと述べました


東電OL殺人事件、検察の証拠隠し発覚−弁護団、新たに証拠請求−  

 1997年、渋谷区のアパート内で、女性を殺害して金品を奪ったとして、ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんが無期懲役判決を受け、再審を求めてたたかっている東電OL殺人事件の再審請求審で、9月12日、弁護団はこれまで明らかにされていなかった当時の血液型鑑定を新たな証拠として提出しました。
 この鑑定書は、事件当時、捜査当局が被害者の乳房等から検出された唾液の血液型鑑定をおこなったもので、唾液はゴビンダさんと同じB型の血液型反応は出なかったというものです。鑑定書は、検察が9月8日に新たに開示した42点の捜査資料などのなかから見つかったものです。

重要な証拠を隠してた検察
 検察が新たに開示した42点の証拠は、7月に殺害現場にゴビンダさんではない第三者がいた可能性があるというDNA型鑑定結果が出されたことを受けて新たに開示したもので、被害者の身体に付着した唾液のほか、頚(けい)部から採取された皮膚片等、犯行行為と直接結びつく可能性の高いものです。検察はこれらの証拠のDNA鑑定を実施する方針を決め、裁判所と弁護団に意向を伝えました。
 弁護団は、9月9日におこなわれた三者協議で、「ゴビンダさんの血液型であるB型の反応が出ていないと分かっていながら、事件当時開示しなかったことは大変問題」と、検察の証拠隠しを批判しました。そのうえで、「これまで鑑定されなかった責任は、開示しなかった検察にある」として、証拠価値の高いもの10数点に限って鑑定することに同意しました。
 鑑定に同意した理由について弁護団は、「再審開始の決定が出ても検察は異議を申し立てることが多い。検察が主張した鑑定をおこなうことで、検察の異議申し立ての理由を封じたい」と話しています。

裁判愚弄する検察のやり方
 無実のゴビンダさんを支える会は、検察側が隠していた証拠を開示したことを受けて9月9日、抗議声明を発表し、「追加鑑定」のために再審開始決定がいたずらに引き延ばされることは、ゴビンダさんや家族にとっても耐え難いことだと述べ、都合が悪くなると新たな主張を次々と出す検察の不誠実な「後出しじゃんけん」は、裁判制度そのものを愚(ぐ)弄(ろう)するものだと批判。即時の再審開始決定と刑の執行停止を求めました。

「これからは笑って話そう」妻・ラダさんら来日し面会  

 ゴビンダさんの妻・ラダさんと兄・インドラさんが9月12日、横浜刑務所を訪れ、約半年ぶりにゴビンダさんと面会しました。ラダさんたちは、事件現場に第三者がいた可能性を示すDNA型鑑定の結果を受けて来日しました。

 2人が横浜刑務所の正門に現れると、30人近くの報道陣に囲まれました。ラダさんは、「DNA鑑定でいい結果が出たことを喜び合いたい」と、インドラさんは「ネパールの人びとの喜び(新聞で大きく報道されている)をお土産にもってきた」と話し、いくぶん緊張した面持ちで刑務所に向かいました。
 1時間後、ゴビンダさんとの面会を終えた2人は、少しほっとした表情になり、ラダさんからは時折笑顔がこぼれました。
 面会に同席した支える会の蓮見順子さんによると、面会室に現れたゴビンダさんは、「これまでの面会では泣いたりわめいたりすることが多かったが、近いうちに釈放される状況が生まれたのだから、もう泣くのはやめよう。これからの面会は笑って話をしよう」とラダさんに話しかけましたが、堅い表情でした。インドラさんは、「ゴビンダはDNA鑑定の結果に安堵しながらも、無実の人間を14年間も牢に入れた検察に対する怒りで表情を堅くさせていたのだろう」と話しました。
 また、インドラさんが、ネパールでこの件が大きく報道され、友人からくる沢山のお祝いの電話などについて話すと、ゴビンダさんは、「ネパールの人たちが、私にほんの少しの疑いを持っていたとしても、それは今回の鑑定の結果ですべて払拭された」と答えました。
 面会を終えたラダさんは、「これまでは先が見えないなかで希望だけを持っていたけれども、いまはゴビンダが戻ってくることが現実味を帯びてきた」と話しました。一方、検察が新たにDNA型鑑定をしようとしていることについて、「決定的な無実の証拠が出たのに、なぜさらに鑑定をする必要があるのか」と疑問を呈していました。
 救援新聞の取材に、ラダさんとインドラさんは次のように話しました。
 「国民救援会の皆さんには、以前から支援をしていただきありがたく思っています。いま、裁判は最後の段階にきています。最後の一押しを救援会の皆様にご努力いただいて、ゴビンダを私たち家族の元に取り戻すために、ご支援をいただけるようお願いします」

「一日も早く助けて」ゴビンダさん 支援者に手紙  

 無実を明らかにするDNA鑑定の結果を受けて、ゴビンダさんが「支える会」に宛てて書いた手紙(8月8日付)の要旨を紹介します。

 支援者のみなさん、ナマステ! 無実ゴビンダです。先月21日、DNA実験の良い、明るい知らせを聞いて、大変嬉しかったです。やっと少し心が晴れましたよ。
 DNA実験で、私は無実であることが明らかになっても、刑務所にいなければいけないのはなぜですか? 本当に辛い悲しいです。
 14年間人生の一番いい時期、無駄になりました。私の人生の赤字、もう戻らないです。私を一日も早く釈放して、ネパールに帰してくれることを信じています。
 一日も早くお母さん、家族と会いたい。私はPTSDという病気で大変苦しんでいます。夜眠れない、食欲もない。どうぞ助けてください。

無実ゴビンダ・プラサド・マイナリ(横浜刑務所にて)


いまこそ 取調べの全面可視化を---冤罪のない社会をめざして  

 「取調べの可視化(録音・録画)に着実にとりくむ。目指すべきは全過程、全事件の可視化だ」――平岡秀夫法務大臣は9月2日の会見で決意を語りました。相次ぐ冤罪事件とこれまでの救援運動で、取調べの全面可視化を求める声がかつてなく広がっています。一方、警察・検察はそれに強く抵抗し、捜査権限の強化を狙っています。取調べの可視化をめぐり、激しいぶつかり合いが起きています。

相次ぐ冤罪に衝撃広がる世論と共同  

 冤罪が生まれるもっとも大きな原因は、警察や検察の密室の取調室で作られるウソの「自白」です。死刑再審で無罪となった4事件(免田、財田川、松山、島田)から最近の足利、布川まで冤罪事件のほとんどで、ウソの「自白」が有罪の「決め手」となっています。
 ウソの「自白」を防ぐためには、のちに検証ができるように、取調べの始めから終わりまで、その全過程を録音・録画することが必要です。国連の自由権規約委員会からもその実施を08年に勧告(「取調べの全過程について体系的に録音・録画し、さらに全ての被疑者に、弁護人が取調べに立ち会う権利を保障すべきである」)されています。
 足利、布川など相次ぐ冤罪事件は国民に衝撃を与え、長年にわたる冤罪のたたかいとあいまって、取調べの全面可視化を求める世論が広がっています(「毎日」10年10月の調査=81%が可視化に賛成)。
 共同の運動も広がっています。国民救援会は、昨年12月、アムネスティ・インターナショナル日本などの市民団体や日本弁護士連合会などと共同して可視化の実現を求める集会を開催しました。2月には、全労連と、自由法曹団とともに、江田五月法相(当時)に直接面会し、全面可視化の実現を求めました。
 このようなとりくみのなかで、江田法相は最高検に全面可視化の試行を指示し、法制審議会に元厚労省局長の村木厚子さんや映画監督の周防正行さんなどを委員とする特別部会を設けて可視化の議論を諮(し)問するなど、これまでにない動きとなっています。
 8月25日には、民主党法務部会が警察・検察の取調べの全面可視化を求める提言を発表しました。

警察・検察は反対捜査権限強化狙う  

 これに対し、〃抻,噺〇,麓萃瓦戮料缶眠鳥覯修剖く反対、◆峅鳥覯宗廚垢襪覆蕕仭楮左限の強化が必要との主張が出ています。
 〃抻…は、2年間試行した取調べの一部「可視化」の検証結果を公表しました。それによれば、取調べ官の97%が録音・録画は公判の立証に「効果がある」、一方、全過程の録音・録画は「真実の供述が得られなくなる」は91%。つまり、全面可視化は反対、「自白」部分だけの一部「可視化」ならいいというものです。この一部「可視化」がさらに冤罪を生みだすことは、布川事件で桜井昌司さんの「自白」部分の録音が有罪の「決め手」となったことからも明らかです。
 ∋嵯仗景垢錬儀遒布川事件再審無罪判決を受けて、「可視化には、新たな捜査手法の導入とセットで議論を」との「主張」を掲げました。この主張は警察・検察の狢緤朖瓩任后
 また、4月、国家公安委員長の諮問機関の「研究会」が中間報告を出しました。そのなかで、DNA型データベースの拡充、通信傍受(盗聴)制度の見直し、会話傍受制度の導入、司法取引、刑事免責その他の取調べの機能を補強するための方策、潜入捜査、無令状の逮捕・捜索・差押え、黙秘に対する不利益推定、性犯罪者等へのGPS監視、全国民の指紋登録制度、参考人の出頭・証言強制等の捜査手法等を、今後の検討課題としてあげました。ここに上げられている「新たな捜査手法」は、憲法で保障された基本的人権を侵害する危険なものです。それを、「可視化」論議のなかで一気に獲得し、捜査権限の強化をはかろうとしています。

 国民救援会は、冤罪のない社会を実現するために、取調べの全面可視化を早期に実現させることをめざします。
 同時に、憲法に反する「新たな捜査手法」の導入の狙いと危険性を知らせ、徹底的に批判し、反対していきます。


震災復興と比例定数削減ぁ (杆郢痢‥鎮罅[  

民主主義取り戻す時期

 もう一度震災と選挙制度を結んだ問題に戻ります。

脱原発の声消すな
 (09年の総選挙で衆議院は違憲状態とする)最高裁判決があって、このまま選挙をやるわけにいかないため、民主党も自民党も改革案を発表しだしています。政治不信が高まるなかで、真正面から批判する第3政党以下をとにかく外してしまえというところに延命策を見出す可能性は十分にあります。しかも、参議院選挙は13年7月、衆議院議員の任期満了が13年8月ですから、来年中には公選法改正をやらざるを得ない。だから、いつ比例削減の公選法改正案が登場してもおかしくない状況にあります。
 ポイントを2つ。
 ひとつは、この問題が震災や原発の問題と本質的につながっていることを理解し、震災や原発の問題を民主主義の問題として取り上げてほしい。原発の危険性を言い続けてきた政党がどこだったか考えてほしい。共産党・社民党しかないわけです。その脱原発の声が、国会から消されていいのかということです。被災者の生活再建支援や住民本位の復興を財界に依存する政党が主張できるか。一度はそう考えた民主党議員の声が吹き消されたことは、前に紹介しました。財界ときっぱり縁を切っている政党が健在であれば展望が見えてくる。生活再建支援法はそのようにして実現しました。
 もうひとつ。いまの選挙制度を守るたたかいではなく、民主主義を再生させるたたかいだということを肝に銘じておいてほしい。政治改革以前の中選挙区制は、それなりに民意を反映する選挙制度だったから、あの70年代に私たちは「民主連合政府」や「革新連合政府」を具体的に展望することができました。くらしを守り、平和を守るために、比例代表制や大選挙区制・中選挙区制といった民意を反映する選挙制度に変えるたたかいが必要になります。

戦争の道繰り返すな
 震災復興と比例削減という2つの問題を取り上げました。
 被災地は悲惨です。しかし、永田町もまた惨状を呈していると思います。この惨状を引き起こしたものは、この20年間の政治だったということをもう一度確認しておきたい。奪われたものは、住民が主人公となって住民を守るまちと、国民が主人公となった政治すなわち住民自治と民主主義でした。奪ったものは、政治改革・構造改革などの国家改造でした。その道を転換させて、住民自治と民主主義を取り戻す時期が来ています。
 地震や津波は自然現象で、どこかの知事が言ったように「天罰」として発生するものではありません。だから、政治の動きと震災の発生そのものは、やはり関係はない。しかし、政治が行きづまって改革や改造が叫ばれているときに発生した震災は、危険な方向に政治を突き動かすインパクトになりかねません。
 政治改革を序曲とした国家改造が始まった時期に阪神・淡路大震災が発生し、自衛隊の積極活用がはかられ、緊急事態法の制定が主張されました。その動きが、「9・11」事件を機にした海外派兵につながり、有事法制・国民保護計画を生みました。もっと歴史をたどるならば、関東大震災は、昭和恐慌に結びつき、侵略戦争につながりました。あのときも、改造論が声高に叫ばれていました。
 政治世界で改革や改造が叫ばれるときに、大震災という事態が重なると、1つ対処を間違うと戦争の道への転換点になる危険をはらんでいます。そんな歴史を繰り返させないために、どちらの分野でもともにたたかいたいと思います。(終)


東京・築地警察署公務執行妨害デッチ上げ事件国賠裁判「警察の無法許せない」  二本松 進さん  

 車の前に立ちふさがる警察官に「そこどいてくれませんか」と言ったことがきっかけで、公務執行妨害で逮捕された二本松進さん。警察・検察が組織をあげて警察官の虚偽告訴を隠蔽(ぺい)する体質を正すため、国賠訴訟を提起してたたかっています。

 「警察官といっても、50過ぎの独身女なんだから、『ごめんなさい』くらい言えば、ヒステリー起こされなかったのに」
 取調室を出て留置場へ向かう道すがら、取調官が吐いた言葉に、二本松進さんは頭の血が逆流するのを感じました。
 「だったら、同じ職場の人間で後始末してくれないか」。そう言いかけてぐっとこらえました。とにかく、不当逮捕を明らかにして、早くここから出なければ。そう思いながら、留置房の中で悪夢のような一日を振り返りました。

自作自演の暴行
 活気あるマグロの競りが観光客に人気の東京・築地市場。日本一の取引量を誇る市場の周囲は、買い付けに来る様々な業者の放置車両であふれています。
 東京・神楽坂で寿司店を営む二本松さんは、2007年10月、 寿司ネタの買出しのために、早朝の築地市場に車で出かけました。
 運転する妻の月恵さんを車に待たせ、買い付けを終え、車に戻り店に帰ろうとしたそのとき、巡回中の2人組の女性警察官のひとりが、車の前に無言で立ちはだかりました。
 「車を動かしますから、そこをどいてくださいよ。先を急ぎますから」。二本松さんの言葉に警察官はムッとした表情になり、「ここは法定(駐車)禁止エリアだ」と言い出しました。
 「確かにそうかもしれないけど、いつでも運転できる状態なのに何で違反なの?」。二本松さんは放置状態で駐車されている何十台ものトラックやバンを指差し、語気を強めて言いました。「放置車両は許して、運転手がいる車を取り締まるなんて理不尽じゃない」「発車しようとする車を止めて妨害するなんて警察官としておかしいよ」
 何も答えられなくなった警察官は、「免許証を出せ」と言いながら、手にしていた切符ケースを二本松さんの腹部にぐいぐいと押し付けてきました。後で分かったことですが、警察官は公務執行妨害を取り付けることを狙っていました。二本松さんは気味が悪いので、後ずさりして回避しました。追いつめる警察官は、「謝りもしないで、今日は絶対行かせない」とわめき散らしました。
 車の横で再び問答。警察官がつかむドアがフラフラするので、二本松さんがドアを閉めると、警察官はヒラリと身を翻(ひるがえ)して無線を取り出し、「暴行を受けています」と通報しました。
 「えっ、何が暴行なの?」。詰め寄る二本松さんを無視して警察官は誇らしげに笑うと、高々と掲げた左手を指差し、50人近くいた観衆に向けて、「暴行!暴行!」とアピール。到着したパトカーで二本松さんは連行されました。

ストーリーを捏(ねつ)造
 取調べ室に入れられた二本松さんは、すべて女性警察官の自作自演だと訴えましたが、刑事は耳を貸しません。
 「暴行しただろ」「自白しないなら、ずっといてもらうよ」
 自白するまで拘束することを示(し)唆(さ)し、「明日の新聞で話題になるんじゃないの。お店大変なことになるよ」と脅しました。
 翌日、二本松さんは検察庁に送致されました。検事から「警察官の胸を7、8回肘で突いたでしょ」と言われ、「暴行」による傷害は、「右手関節打撲で全治10日」と告げられ耳を疑います。肘で突くなど、前日までの刑事たちの取調べにはなかったし、警察官が「暴行」と言って掲げていたのは左手でした。
 そのころ妻の月恵さんは、3日間にわたって朝の5時半から事件現場で事件の目撃者を探していました。そして、3人の目撃証人を捜し当てました。
 この証人などによって、警察官の狂言が崩れはじめます。3人の目撃証人が、「暴行はなかった」と証言したのです。検事も警察官の被害届がおかしいと認めざるを得なくなりました。
 逮捕から19日目。検事は二本松さんに、「暴行は一回もなかった。ドア閉めによる傷害は警察官の自傷だった」と告げ、「自白調書にサインすれば起訴しない」と付け足しました。
 二本松さんが示されたストーリーは、「巡査が突き出した切符ケースに手が触れ、その振動が腕を伝わって胸に響いたかも知れず、申し訳ありませんでした」とする、事実とはまったく異なるものでした。本来、警察官の虚偽告訴を追及すべき検察官は、二本松さんに罪を着せて「公務執行妨害罪の起訴猶予処分」にすることで収拾を図ったのです。身体を拘束されたまま裁判をたたかうことは過酷すぎて不可能だと思った二本松さんは、不承不承調書に署名せざるを得ませんでした。そして、その日のうちに釈放されました。

冤罪の根本正す
 自由を得た代償に、二本松さんは起訴猶予とはいえ、前歴を背負うことになり、悔しくて眠れない日々が続きました。月恵さんが当時を振り返ります。
 「店の営業を終えたあとも寝ないで法律書を読んでました。夜中に、突然大声を出して飛び起きることも度々ありました」
 事件から2年後、二本松さんは名誉回復と警察・検察の責任追及を求め国賠を提起します。
 現在、東京地裁でつづく弁論準備の攻防。二本松さんは、自身が署名した調書をはじめ、現場目撃者の聴取メモ、虚偽告訴をした警察官の調書など、検察が保有している証拠資料の全面開示を求めました。しかし検察側の代理人は、「原告(二本松さん)のプライバシーを保護する必要がある」と言って、ほとんど開示しません。そればかりか、検察自身が不起訴とした事案にもかかわらず、「起訴前の事件の捜査資料だから開示できない」と、言い逃れます。
 「検察側の資料を精査して分かったのですが、公務執行妨害の公訴時効はすでに経過しているんです。『起訴前』という検察側の主張は通りませせんよ」
 検察側の詭(き)弁を切り崩して、証拠の全面開示を果たしたいと決意を語る二本松さん。
 「組織ぐるみで不祥事を隠蔽し事件を捏造する体質が冤罪の根本。この裁判を契機に全面的な証拠開示を判例化し、国賠事件において警察の違法行為を抑止する機能を発揮させる機会にしたい」

〈激励先〉〒113―0034 文京区湯島2―4―4 平和と労働センター 救援会東京都本部内 
築地署公務執行妨害デッチ上げ事件裁判を支援する会


厚労省の労災訴訟傍聴者監視問題−「ただちに監視やめよ」−国民救援会などが厚労省に抗議・要請  

 厚生労働省が労災訴訟の裁判を監視していた問題で、全労連、自由法曹団、働くもののいのちと健康を守る全国センター、国民救援会の代表は9月6日、小宮山洋子厚生労働大臣に対し、監視の中止を求め要請しました。要請には、東京、千葉、愛知の代表を含め13人が参加しました。

 この問題は、厚生労働省が昨年8月に労災の補償を求める訴訟で裁判に出廷した「原告側出廷者や傍聴者の状況等」について報告するよう、全国の労働局に対し通知を出していたことが今年7月に報道され、発覚したものです(問題発覚直後、「傍聴者の状況等」を「傍聴者の有無やおおむねの人数」に変更)。

 4団体は要請にあたり、今回の問題は、労災訴訟をたたかう人と支援者を敵視し、監視するものであると同時に、憲法で保障された「裁判の公開」にもとづく傍聴の権利を侵害するものであるとして厳しく抗議し、通知の撤回、監視の中止を強く求めました。
 これに対し、厚労省側は、「人数を数えることは監視ではない。国民の関心の高さを知るため」と開き直り、通知の撤回については回答を避けました。
 要請では、労災認定を求め訴訟をたたかう愛知・ソフトバンク労災訴訟原告の小出典子さんが過労自殺による夫の無念の死を語り、「これ以上、苦しめないでください。ただちに監視をやめてください」と訴えました。他の参加者からも「現場では、自分の裁判も監視されているのではないかとの不安が広がっている」との発言や、「裁判で監視問題を問われた国の代理人は回答を拒否したが、問題がないというならなぜ回答しなかったのか」と実態が指摘されました。また、「『国民の関心の高さを知るため』というのは、裁判対策のための詭(き)弁(べん)だ」「300件も労災訴訟があり、その対策が必要だと言ったが、それだけ多くの訴訟がされているのは、政府の指導や労災の基準に問題があるからだ」と批判が相次ぎました。

 要請に先立ち、厚労省付近で宣伝をおこない、問題を市民に訴えました。


命令による教育統制狙う条例案 “教育に強制なじまない” 大阪 反対集会に千人超  

 橋下大阪府知事の属する大阪維新の会が、9月府議会で提案しようとしている、教育基本条例案・職員基本条例案に反対する府民集会が9月6日、国民救援会府本部を含む8団体の共催によって大阪市で開催されました。参加者は千人を超え、ロビーにも人があふれました。
 教育基本条例案は、「学校目標は政治家・首長が決める」として、命令・処分による教育統制をおしすすめるなど、政治が教育を支配し、思うままにできる内容です。
 職員基本条例案は、知事のめざす財界・大企業奉仕の府政推進に貢献する職員の育成を意図し、従わない職員には、人事評価・職務命令違反・余剰人員を口実に自由に免職できるとの内容となっています。
 いずれもその内容が明らかになると、あまりの不当な内容に教職員や府民の間で批判の声が起こり、府教育長も「実行されれば大混乱が起きる」と反対の意思を表明しています。
 集会では、東大名誉教授の堀尾輝久氏が「教育に強制はなじまない」と題する講演を中心に、父母や教職員などによるリレートーク、日本共産党議員団から府議会の動向報告などがおこなわれました。
 最後に学習・宣伝などを強化し、2条例を許さないために全力を挙げようとの行動の呼びかけを採択し終了しました。

国旗国歌の強制、抗議・撤回求め…岡山県本部など  

 岡山県議会は7月1日、あらゆる場所で国旗国歌の強制を促す決議を採択しました。
 これに対して、治安維持法同盟と国民救援会の岡山県本部は9月5日、大日本帝国軍国主義の過ちを乗り越えることこそが、国際社会の平和と発展に寄与するなどとして、県議会に対し抗議と決議の撤回を求める要請書を提出しました。


福岡・爪ケア事件 「虐待とは言えない」 北九州市=謝罪せず新たな認定  

 入院患者の爪を深く切ってケアしたことで、看護師の上田里美さんが傷害罪とされた福岡・爪ケア事件で、
北九州市は8月26日、07年におこなった「虐待」の認定を、「虐待とはいえない」と再検証結果を発表しました。
 市は2007年、第三者機関の意見を受け、上田さんの行為を高齢者虐待防止法の「虐待」と認定。昨年10月の上田さんの無罪判決確定後、市は認定の再検討を表明、上田さんも市に認定取り消しを求めていました。
 しかし、市は「認定の取り消しではなく、新たな認定」とし、また当初の認定は「やむを得なかった」として、上田さんに謝罪はしない方針です。
 上田さんは代理人を通じて、「虐待ではなかったと明確に述べていただいてうれしい」とコメントしました


「権力による虐殺許すな」 亀戸事件88周年 追悼会ひらく  

 1923年9月、関東大震災の混乱に乗じて、高まりつつあった民主主義運動の弾圧をねらい、民青同盟の前身、共産主義青年同盟の初代委員長・川合義虎など10人を軍隊が虐殺した亀戸事件の追悼会が、9月4日、「亀戸事件犠牲者之碑」がある東京・江東区亀戸の赤門浄心寺でおこなわれました。
 追悼会は、国民救援会も参加する実行委員会の主催でおこなわれ、約50人が参加しました。日本共産党都議団、民青同盟、治安維持法同盟の代表などから追悼の言葉が送られ、石播労働者合唱団がたたかいの歌を歌い、最後にこのような悲劇を二度と繰り返させない誓いをこめて、碑に献花しました。

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