日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年9月15日号

11年09月15日号  

福井女子中学生殺人事件−「再審開け」の声、集中を−  

決定は9月下旬に  

 前川彰司さんが再審(誤った裁判のやり直し)を求めている福井女子中学生殺人事件で、8月30日、裁判所(名古屋高裁金沢支部)、検察、弁護団の三者協議がおこなわれました。その結果、弁護団によれば、9月下旬に再審請求に対する決定が出されることが明らかになりました。
 事件は、1986年、福井市内で女子中学生が殺され、その犯人として前川さんが犯人とされたものです。前川さんは一貫して無実を主張、一審では無罪を勝ちとりましたが、二審の名古屋高裁金沢支部は、一審で信用できないとされた、暴力団関係者とその知人などのウソの証言を採用し、懲役7年の不当判決を言い渡しました。97年、最高裁で有罪が確定。
 前川さんは「ぼくはやっていない」と、04年、再審請求を申し立てました。再審の審理のなかで、被害者の体の傷から、現場に残された2本の凶器以外にも別の凶器が存在したことなど、無実であることが科学的に明らかになりました。また、最近、「事件当日、血をつけた前川さんを見た」と裁判で証言した男性が、毎日新聞に対し、「事件当夜は会っていない」と証言(記事3面)するなど、冤罪であることがさらに明白になりました。
 再審開始を勝ちとるために、裁判所に対し、「前川さんは無実。再審開始を」の声を届けてください。
〈要請先〉〒920―8655 金沢市丸の内7―2 名古屋高裁金沢支部・伊藤新一郎裁判長

「一日も早い救済を」−再審開始求め宣伝と要請  

 前川彰司さんが暴力団員のウソの「証言」によって殺人事件の犯人とされ、懲役7年の判決を受けて現在名古屋高裁金沢支部に裁判のやり直し(再審)を求めてたたかっている福井女子中学生殺人事件で、福井、石川、富山の3県本部を中心とした第18次の裁判所要請行動が8月23日におこなわれました。
 要請には17人が参加。福井県本部の岩尾勉会長が、応対にあたった名古屋高裁金沢支部の訟廷管理官と庶務課長に1634人分の署名を提出しました。
 前川彰司さんの父・禮三さんは「事件のあった日、息子は我が家で食事をしていた。家族は一番近くでそれを見て、息子の無実を知っている。本人もやっていないと言っている。当然物的証拠だってない。これでなぜ有罪になるのか」、「冤罪は当たり前に生きている私たち市民に起こりうる最大の悲劇。それを裁判官のみなさんにどうしてもわかって欲しい。一日も早くこの悲劇からの救済をお願いします」と訴えました。各県の参加者も「前川さんが犯人ではないことは誰の目にも明らか。続く冤罪事件の報道や司法改革で市民の注目が集まっている。一日も早い再審開始決定を」と訴えました。
 要請に先立って金沢市内の繁華街でおこなわれた宣伝行動には21人が参加しました。
 「無実の前川彰司さんを助けてください」、「市民の声を届けるために署名にご協力を」と訴えると、「いつもご苦労さま、がんばってください」と声をかけてくれる方や、興味津々でビラを読む市民の姿などが見受けられました。約1時間の宣伝行動で400枚のビラを配布、39人分の署名が集まりました。

「前川が犯人」は、警察のストーリー・・・証人の男性が話す
 8月25日付の毎日新聞によると、二審の裁判で逆転有罪の決め手となる「事件当日、血の付いたトレーナー姿の前川さんに会った」と証言をした男性が、毎日新聞の取材に対して、「事件の夜は(前川さんと)会っていない」、「一審の無罪判決後、福井県警に呼び出されて警察側のストーリーを押しつけられ、自分の記憶が間違っていると思った」と話し、二審での証言を覆しました。
 これにより有罪の根拠が大きく揺らぐことになります。


大阪・東住吉冤罪事件−有罪判決覆す新鑑定−「自白」の放火は不可能  

 1995年、大阪市東住吉区で、青木惠子さんと朴龍晧さんが、自宅に火を放ち、保険金目的で娘を焼死させたとして無期懲役が確定し、現在、大阪地裁に再審請求している東住吉冤罪事件で、有罪判決を覆す再現実験鑑定が出され、2人の冤罪がいよいよ明らかになりました。早期再審開始にむけて全国からの支援をつよめましょう。大阪府本部・伊賀カズミさんのレポートを紹介します。

 伊藤昭彦・弘前大学教授の監修のもとおこなわれた再現実験の結果が6月30日、裁判所に提出されました。
 この実験結果は、有罪判決が認定した朴さんの「自白」にもとづく放火行為(自宅車庫の床にガソリン7・3リットルを撒き、ターボライターで火をつけた)が不可能であることを科学的に証明しました。

再現実験ではっきり
 実験は、当時の青木さん宅の土間兼ガレージを再現し、不備のないように事件当日とほぼ同じ気温のもとで実施されました。床面の傾斜なども正確に計測、当時と同様の状況のもと、火災発生時と同種の車両、風呂釜や浴槽、煙突なども設置しておこなわれました。また、今回の実験に先立ち、ポリタンクに入れた7・3リットルのガソリンを「自白」どおりの位置から床面に撒き切るには36秒かかることが検証されていました。
 準備の整った再現家屋のなか、36秒かけて撒き終わるように設置されたポリタンクから、「1秒、2秒」のかけ声とともにガソリンが流れ出ていきます。すると20秒になるかならないかで炎が燃え広がりました。ターボライターで着火するまでもなく発火しました。車庫の車から90センチも離れたところにある風呂釜の種火に、ガソリンの蒸気が引火し、たちまち大きな炎となったのです。

早期に再審開始を
 8月26日、伊藤教授に対する証人尋問が大阪地裁で、非公開でおこなわれました。
 弁護団の報告によれば、まず、弁護団がパソコンを駆使して、伊藤教授への質問も織り交ぜながら実験の状況を懇切丁寧に説明。その後、検察官や裁判官による質問に伊藤教授が応え、弁護人からの補充質問等を経て、午後3時過ぎに終了しました。「再現できなかった湿度や風速の違いが実験結果に影響を及ぼすことはないのか」という疑問が裁判官から出されて、伊藤教授が「影響ない」と答えたこと、10月末までに弁護人、検察官双方が最終意見書を提出するように求められたことが報告されました。弁護団は、「放火行為が不可能」という結果に裁判所が真(しん)摯(し)に向き合い、一日も早い再審開始をと強調しました。
 これまで青木さんと朴さんとは別個に審理されてきましたが、再現実験の実施とともに併合して審理がなされることになりました。それにともない、「東住吉冤罪事件を支援する会」では署名用紙も一本化しました。11月5〜6日には、初の全国集会も準備しています。
 科学的証拠を力に、一日も早い再審開始決定を実現するために全国からのご支援をお願いします。

「有罪の柱崩した」  主任弁護人 乘井弥生さんに聞く  

 東住吉冤罪事件の再現実験は、再審の審理にどういう影響を与えるのか――主任弁護人の乘井(のりい)弥生弁護士に話を聞きました。

 この事件の有罪の事実認定を支える唯一の直接証拠は、「自白」だけです。自白の内容は、7・3リットルのガソリンを土間兼ガレージの床に撒き、ガソリンが駐車中の車の右前輪と後輪のあたりにはみ出してきた所で、ターボライターで火をつけ放火したというものです。
 ところで、実際に火災が起こったガレージにはガス風呂釜があり種火がついた状態でした。弁護人は、弘前大学の伊藤昭彦教授に燃焼の専門家としての意見をうかがう中で、本当に自白どおりに7・3リットルのガソリンを撒いていたら、人が火をつける前に風呂釜の種火で引火をし、火災が起こってしまうのではないかと考えていました。伊藤先生は、風呂釜に備え付けられた排気用煙突が、ガレージ床付近の空気を吸い込む効果(煙突効果)があるという点に着目すべきだと指摘をしていました。

火付ける前に、火災発生する
 今年5月20日に弁護人が行った大規模な再現実験では、実際に火災のあったガレージの空間の広さや床の状態、風呂釜、煙突を忠実に再現しました。事件時駐車されていた車と同型の車も用意しました。風呂釜と煙突を忠実に再現した実験は今回が初めてです。その状態で、実際にポリタンクから撒いたガソリンがどのように広がり、種火によって火災が何秒後に起こるかを観測しました。実験条件の設定に関しては、事前に弁護側と検察側で議論を闘わせました。裁判所は検察側に対し、火災直後の現場の様子が分かる証拠につき証拠の開示を促し、火災直後の現場写真(ネガ)を全て開示させました。
 実験の結果、「自白」どおりに再現すると、朴さんがライターで火をつける前に、すなわち、撒いている最中に、種火による引火で火災が起きてしまい、「自白」の放火行為は実行不可能だということが証明されました。有罪の事実認定の柱が崩れたわけですから非常に大きな新証拠であると思っています。

「原因不明」で、「放火」と判断
 もともとこの事件は、人が亡くなった火災であるのに、火災原因が分からないことから、放火の疑いがもたれた事件でした。警察も消防も、当初、風呂釜の種火で引火したのではないかということを調査しています。ところが、車から何らかの原因でガソリンが漏れたとしても、火災後風呂釜には特異な燃焼痕はなかったなどとして、種火による引火可能性を捜査の初期の段階で簡単に否定しました。確定審の判決は、この判断に基づき、「風呂釜の種火からの引火可能性は認められない」とする一方、「自白」は詳細で客観的事実にも合致し、任意性を疑わせる事由もなく、「自白」に基づいて事実認定できる、という構造になっています。火災原因が事故でないならば、放火の可能性が高く、「被告人には放火の機会があった」という消去法的事実認定をしたのです。
 今回の実験で、ガソリンを撒いて液体が濡れた状態のところと、種火との距離が60センチ以上も離れているところで、ガソリン蒸気が吸い込まれる形で引火している映像が撮影できました。このような証拠から見たとき、「風呂釜種火は本件火災とは関係ない」という確定審の判断は崩れます。さらに、確定審は「自白」に依拠して事実認定しているのですが、その「自白」どおりの放火行為は不可能だということが証明されたわけで、両方の視点から確定審の誤った判断を崩せる実験だったと思っています。

「無実、この目で確信」  朴さんの母・李文子さん  

 再現実験は私も参加しました。ガソリンに引火してみるみる炎が上がるのをこの目で見て、「ああ、これはありえんことを警察がウソをつかせた」と確信しました。息子も、この再現実験をずっと待ち望んでいました。
 7月に大分刑務所で息子と面会したときには、お互いに、「よかったよかった」と喜び合いました。息子も、「(自白が)全部ウソだと分かってもらえる。まず一歩進んだかな」と嬉しそうにしていました。
 息子が逮捕された翌日、刑事に言われるがまま、私たち夫婦は、「やってしまったことは仕方ないから、警察の言うとおりに罪を償ってこい」と手紙を書かされました。刑事はその手紙を息子に突きつけ、「病気の親父もこんなに言うてるやろ」と息子を追い込みました。私たちも息子も、警察のなすがまま騙されてしまいました。
 ゴビンダさんや前川さんの事件も、冤罪であることが明白になって、嬉しく思っています。息子の事件も、無実を明らかにしなくてはいけないと、弁護団や支援する会、国民救援会の皆さんの力を借りて、いま頑張っているところです。

大阪・東住吉冤罪事件
 95年、大阪市東住吉区の青木惠子さん宅で火災が発生し、当時11歳の青木さんの長女が死亡。青木さんと内縁の夫・朴龍晧さんによる保険金目当ての放火殺人として、警察は2人に「自白」を強要。一、二審は無期懲役で06年に確定。09年に大阪地裁に再審請求。
※署名用紙の問合せは、国民救援会大阪府本部TEL06―6354―7215まで


静岡・袴田事件−DNA再鑑定を決定、結果は半年後の見通し  

 1966年に、みそ製造会社の役員一家を刃物で殺害し放火したとして、死刑判決を受けた元プロボクサー・袴田巌さんの再審を求めている袴田事件の第2次再審請求をめぐり、静岡地裁(原田保孝裁判長)は8月23日、袴田さんが犯行時に着用していたとされる衣類と被害者の衣類に付着した血液のDNA型と血液型が、被害者のものと一致するか再鑑定することを決定しました。
 鑑定の対象となるのは、袴田さんが犯行時に着ていたとする5点の衣類のうち4点と、被害者が着ていた衣類4点。ズボンは袴田さんの体型よりも小さく、はけないことや、ズボンよりも下着に大量の血痕が付着しているなど矛盾が多く、弁護団は「捜査側の捏造だ」と指摘していました。
 第1次再審請求時にもDNA型鑑定はおこなわれましたが、鑑定不能とされました。弁護団は、「その後、鑑定技術が進歩した」と再鑑定を求めていました。
 静岡地裁は、弁護団と検察側の双方が推薦した2人を鑑定人に選任。弁護団によると鑑定結果は半年程度で出る見通しです。


鹿児島・大崎事件−原口さん元夫、再審を請求  

 義理の弟を殺害したとして、犯人とされた原口アヤ子さんが再審を求めている鹿児島・大崎事件で、原口さんの元夫で、ウソの自白をさせられた男性の遺族が8月30日、裁判のやり直し(再審)を求めて、鹿児島地裁に再審請求をしました。弁護団は、新たな証拠として、医学鑑定書や供述心理分析鑑定書などを提出しました。
 男性には知的障がいがあり、警察や検察の取調べに対して、いったんは原口さんを首謀者として共謀して犯行をおこなったとするウソの「自白」をおこないました。その後関与を否定し、1980年9月に開かれた原口さんの刑事裁判には証人として出廷し、「自分もやっていない」と主張しました。
 鹿児島市内で開かれた報告集会には約70人が参加。足利事件の菅家利和さん、布川事件の桜井昌司さんと杉山卓男さんら、冤罪被害者が激励に駆けつけました。
 男性の遺族は、「私たちが立ちあがらなければ、今後も私たちと同じように苦しむ人が出てしまう。裁判の間違いは、裁判で明らかにしてほしい」と訴え、原口さんは、「この罪を晴らさずに死ぬことはできない。無罪判決が出るまでたたかい続けます」と決意を語りました。


愛知・豊川幼児殺人事件−自白の矛盾に確信  

第1回全国現地調査に65人

 無実の田邊雅樹さんがウソの「自白」で殺人事件の犯人とされ無実を訴えている豊川幼児殺人事件で8月27日、28日に第1回全国現地調査がおこなわれ、13都道府県65人が参加しました。
 1日目の事件学習会では、守る会の佐藤典子会長が「現場を回ることで無実を確信し、一日も早く田邊さんを取り戻すためがんばりましょう」と挨拶。
 ビデオ上映の後、後藤昌弘弁護士から事件の説明があり、会場からは活発に質問が飛びました。田邊さんが収監されている大分刑務所で毎月面会している国民救援会大分県本部の児玉博邦さんからは、「人懐こい性格で、殺人をするような人ではない。警察に利用され犯人に仕立て上げられた。無実を晴らすまで面会を続けたい」と田邊さんの人柄を語りました。父親の政夫さんは「気の弱い子だった。物的証拠は一切ない。『自白』さえさせられなければ……」と捜査機関への怒りを述べ、支援を訴えました。
 2日目の現地調査では、まず田邊さんが幼児を誘拐したとされる現場を調査。「殺害現場」とされる岸壁では、被害者に見立てたパイプを投げ込む体験などをして、「自白」どおりの投げ方では被害者の遺体に傷がつき、事実と矛盾することに確信を持ちました。
 まとめの集会では、質疑応答が活発におこなわれました。「自白のみで検察が起訴し、自白のみで裁判所が有罪にして、最高裁が許してしまうという司法の現状に憤りを感じた」、「地元でこの事件を話して広げたい」などの感想も出されました。最後に、事件を広く知らせて支援の輪を広げるなど、再審請求を後押しする運動を作ることなどの行動提起がされ、参加者全員で確認しました。


大阪・泉南アスベスト国賠訴訟−国の責任否定、逆転不当判決  

 アスベスト(石綿)によって中皮腫や肺がんなど健康被害を受けた、アスベスト紡績工場の元労働者や近隣住民29人と遺族らが、健康被害の国の責任を認めるよう求めてたたかっている、大阪・泉南アスベスト国賠訴訟で8月25日、大阪高裁(三浦潤裁判長、田中澄夫裁判長代読)は、国の責任を初めて認めた一審判決を取り消し、原告側逆転敗訴の不当判決を言い渡しました。
 判決では、国は1947年以降、健康被害を防止するため措置を講ずることを義務づけていたとして、国の責任を否定。厳格な許可制の下でなければ操業を認めないというのであれば、工業技術の発達及び産業社会の発展を著しく阻害すると述べました。
 原告団、弁護団は、「生命、健康よりも経済発展を優先させた国の責任を不問に付す暴挙である」と声明を発表。31日、最高裁判所に上告しました。


震災復興と比例定数削減 弁護士 田中 隆  

「議員ムダ論」に潜む危険
  
 問題を政治改革に移します。
 震災以降の永田町は迷走を続けています。震災に応急対処し、原発事故の早期収束を実現するには、強い指導力と徹底した情報開示が必要でした。しかし、それはできなかった。その後は、被災地窮状をよそに、「とにかく不信任」だの「そのうち退陣」だのの「政局ゲーム」が続きました。国会改革法案は廃案になりましたが、官僚排除は既成事実になっており、震災問題でも行政官僚を直接呼び出して追及することができなくなっています。こんなことをやっていて、国民に責任を持てる政治ができるわけがない。
 政治の迷走について世論は、この大事な時に「こんなだらしない政治でいいのか」と言っています。確かにそのとおりです。ところがその政治不信は、「リーダーシップが必要だ」「与党も野党も一緒にやるべきだ」となっていきます。さらに、震災以降一種の「総自粛論」とでも言うべき風潮があり、これが「議員ムダ論」を補強する役割を果たしています。「リーダーシップ必要」論と、「議員ムダ論」をかけあわせると、比例定数を削減して強権的な政治をという、財界などの年来の主張を補強するものになりかねない。この風潮の危険性は軽視できないと思います。

最高裁の違憲判決
 今年の3月23日、最高裁判所が、09年の総選挙の一人別枠方式について違憲状態だという判決を下しました。さらに、07年の参議院選挙については、違憲とはしてませんが、合憲としながら定数不均衡の是正を求める最高裁判決が、昨年9月30日に出されています。この判決の意味はかなり大きいと思います。
 衆議院の方が違憲状態ですから、事実上解散権が凍結されています。このまま総選挙をやったら、衆議院は違憲状態とされることは必至で、「違憲の国会」で重要な法案の審議を続けることはできないからです。
 「一人別枠方式」という、17年前に小選挙区制が導入された時の枠組みの1つが違憲とされたことには、重要な意味があります。「一人別枠方式」というのは、「ローカル県」の民意を国会に反映させるためということで、いわば「議席の上げ底」をやった制度です。それが違憲とされたのですから、では正しく民意を反映する制度とはどんなものかという論議が起こらなければならないことになります。
 さらに言えば、衆議院と参議院が同時に問題になっているため、二院制とは何のためにあるのか、それぞれにどのような民意の反映が望ましいのかも検討しなければなりません。

一票の価値の平等
 もう一つ。違憲判決の前提は、「一票の価値は平等でなければならない」ということです。この場合の平等とは投票する権利の平等、つまりチャンスの平等です。お隣の県の方が1票の価値が2倍では、公平な選挙になりません。
 では、平等はそれだけでいいか。投票の権利の平等は入口の平等であって、自分が投票した投票の中身が平等に扱われるかどうか、つまり結果の平等までは含んでいません。では、機会さえ平等なら、結果はどうでもいいか。そんなことはないはずです。
 ここでいう結果の平等とは何か。これこそ私たちが言っている民意の反映です。国民の声をできるだけ正確に反映することこそが、一票の価値を本当に平等にします。つまり私たちは、最高裁判決が前提とする一票の形式的価値の平等から、実質的な平等――一票をそのまま平等に公平に国会の議席に結びつける選挙制度を実現しようとしていることになります。(つづく)

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