日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年8月5日号

11年8月5日号  

東電OL殺人事件 DNA鑑定で新事実 犯行現場に第三者の可能性  

 ネパール人のゴビンダ・プラサド・マイナリさんが再審を求めている東京・東電OL殺人事件で、殺害された女性の膣内に残された体液のDNA型鑑定の結果、現場で発見されたゴビンダさんとは別人の体毛のDNA型と一致したことが、7月21日の報道で明らかになりました。この鑑定結果により、現場に立ち入り、被害者と殺害直前に性交渉をもった第三の男が存在したことが証明されることになり、ゴビンダさん以外の人物が殺害現場のアパートに立ち入ることはあり得ないとして無期懲役とした二審の事実認定が完全に崩れることになります。確定判決に重大な疑問が生じた以上、東京高裁は全ての証拠を精査し、直ちに再審開始を決定すべきです。
 事件は、97年に東京・渋谷区のアパートで、東京電力に勤務する女性が殺害され現金を奪われたもので、現場付近に住むゴビンダさんが犯人とされました。ゴビンダさんと犯行を直接結びつける証拠はなく、一審は無罪、しかし二審は逆転有罪となり無期懲役刑が確定しました。05年に再審請求、弁護団の要求で検察がDNA型鑑定をすることが決定していました。
 報道を受けて21日午後、ゴビンダさんを支える会の客野美喜子さんが横浜刑務所でゴビンダさんと面会。報道の内容を伝えると、胸の前で小さく手をたたいて喜び、「狄深造鷲ず勝つ瓩箸いΕ優僉璽襪慮繊覆海箸錣供砲現実になった」と話したそうです。

 弁護団は、検察から開示された鑑定結果の証拠採用を裁判所に求めるとともに、検察側に対してゴビンダさんの釈放を請求しました。

再審開始と釈放を 東電OL殺人事件 弁護団 高裁・高検に要求  

 東電OL殺人事件の弁護団は7月26日、再審請求補充書を東京高裁に提出し、記者会見を開きました。
 弁護団は、今回検察が提出したDNA鑑定書は、再審請求人のゴビンダさんに無罪を言い渡すべき新たな証拠であり、速やかに再審を開始すべきである、としています。
 補充書によれば、今回の鑑定で、被害者の膣内から採取された精液についてDNA型鑑定がおこなわれ、その結果、)楫閾監眄艮佞ら2人分のDNA型が検出された、⊂綉2人分のDNA型のうち、被害者以外のもう1つのDNA型は、事件現場となったアパートの部屋のカーペット上に遺留された陰毛中の少なくとも1本のDNA型と同一である、上記△裡庁裡膳燭論禅畤佑筺∋件当夜に性交した男性のDNA型とは異なる、という新たな事実が明らかになりました。そして、この鑑定結果は、確定している有罪判決が主な根拠とした、ゴビンダさん以外の男性が被害者と現場にいたとはおよそ考え難い、との事実認定を覆すに十分な新証拠と評価されるとしています。さらに、確定判決の認定は到底維持することができないばかりか、当該DNA型の男性が犯人である蓋然性がきわめて高く、ゴビンダさんが犯人であるとした判断が誤りであるとしています。
 弁護団は、同日、東京高検に対して刑の執行を停止し、釈放するよう求めたことを明らかにしました。

「ただちに再審を」再審えん罪全国連絡会 宣伝に市民の関心高く  

 再審・えん罪事件全国連絡会の毎月定例の宣伝行動が7月21日夕方、有楽町駅前でおこなわれ、冤罪事件の各守る会や国民救援会から約20人が参加しました。同日各紙で、DNA鑑定が報じられたことを受け、「東京高裁はただちに再審開始を」との横断幕をかかげ、ビラを350枚配りました。(写真)
 無実のゴビンダさんを支える会の客野美喜子さんがマイクを握り、急きょゴビンダさんの面会に行ったことを報告。DNA鑑定の結果を伝えると、ゴビンダさんが看守を気にしながらも胸の前で小さく手を合わせて「拍手」をしたこと、「真実は勝つ」というネパールの諺が本当になりましたと笑顔で語ったことなどを紹介し、支援を訴えました。
 多くのマスコミの取材があったこともあり、市民の関心は高く、いつもよりもビラを短時間で配りきることが出来ました。

彼を抱きしめたい ゴビンダさんの家族が声明  

 新たなDNA証拠の出現によって、私たちのゴビンダの無実はきわめて鮮明になりました。この事件が起きた当初から、私たちは愛するゴビンダがこのような凶悪な犯罪に手を染めることなどありえないと確信していました。
 今こそ、再審を開始し、身柄を釈放して、ゴビンダが犯してもいない犯罪のせいで甘受させられている、本来被るべきではなかった苦しみから直ちに解放されるべき時です。
 私たちは、事件に直接的・間接的に深く関わり、司法の過ちに対して声を上げ、様々な角度から力を貸してくださった方々、ことに好意的な報道をして下さった日本のメディア、愛情深く同情心にあふれた日本の皆様、人権活動家、そして何よりも「無実のゴビンダさんを支える会」の皆様、更には弁護団の皆様に対し、その不屈の人道的ご努力に最大の感謝を申し上げたいと思います。
 ネパールに居住する私たち家族一同は、最愛のゴビンダが出来るだけすみやかに帰国し、再会を果たし彼を抱きしめることを待ち望んでいます。

マイナリ家を代表して
インドラ・プラサド・マイナリ(兄)
ラディカ(ラダ)デヴィ・マイナリ(妻)

ネパール カトマンズにて

福井女子中学生事件 一日も早く再審を  

検察の不正義正せ 再審求めて要請行動 名古屋高裁金沢支部

 再審をめぐって近く決定が出ることが予想されている福井女子中学生殺人事件で、7月15日、国民救援会福井県本部をはじめ、石川、富山、長野、愛知県本部と中央本部の22人が、名古屋高裁金沢支部への要請行動をおこない、再審開始を決定するよう求めました。
 要請で福井県本部の五十嵐事務局長が、「弁護団・検察双方から最終意見書も出され、裁判所の再審開始決定が待たれている。一日も早く再審開始決定を出してほしい」と求め、富山県本部の藤田副会長は、「無罪を出すべきことが明白な事件であるにもかかわらず、ずるずると判断を出さないのは問題。一日も早く再審開始決定を出すべき」と要請しました。名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんの特別面会人でもある稲生昌三中央本部副会長は、「氷見、足利、布川事件と相次いで冤罪が正され、いまや『冤罪を無くせ』は国民の声。検察の証拠隠しや改ざんによって冤罪が『作られる』ことが明らかとなった。検察の不正義を厳しく正す役割を裁判所こそが果たさなければならない」と訴えました。
*  *
 要請に先立って金沢市内の繁華街で宣伝行動がおこなわれました。前川彰司さんの有罪証拠が皆無であること、同時に無実を証明する証拠がたくさんあること、名古屋高裁金沢支部は、一日も早く再審開始決定を出すべきだと訴えました。日差しが照り付けるなか、通行人の多くがビラを受け取り、50分ほどの行動で550枚のビラを配布し、20人分の署名が集まりました。
 再審の審理では、今年1月に法医学者の日大医学部・押田茂實教授の証人尋問がおこなわれ、被害者の体の傷から、現場に残された2本の凶器以外にも別の凶器が存在したことなどが明らかになったことや、血痕反応を調べる再現実験の結果から、前川さんを犯人とした暴力団関係者の供述が虚偽のものであり、前川さんの無実が科学的に明らかにされています。
 事実調べはすべて終わり、弁護側と検察側双方が最終意見書を提出しており、決定はいつ出てもおかしくない状況にあります。
〈要請先〉〒920―8655 金沢市丸の内7―2 名古屋高裁金沢支部 伊藤新一郎裁判長

厚労省労災訴訟監視問題 情報収集の中止と破棄を  

愛知県本部と争議団 労働局へ抗議

 厚生労働省が都道府県労働局に、労災訴訟の傍聴者の状況を報告するよう通知を出していた問題で7月20日、国民救援会愛知県本部、愛知争議団連絡会、「監視」対象となっているソフトバンク過労死事件原告の小出典子さんら17人が、愛知労働局に要請行動をおこないました。
 要請では、対象となる事件はどの事件なのか、集めた情報は厚労省に送っているのかを問い、ただちに傍聴者への監視をやめるよう申し入れました。
 労働局側は、「対象事件については答えられない。厚労省にはいまのところ傍聴者情報は報告していない」と回答しました。また、申し入れのやり取りの中で、7月11日付で厚労省から、裁判傍聴者の報告の範囲を訂正する通達が来ていることが判明しました。
 竹崎義久県本部事務局長は、「憲法で保障された裁判の公開原則を侵すもの。本来、労働局は労災を起こさないように企業を監督することが任務であって、被害にあった原告、家族、支援者らを監視するというのは本末転倒。直ちに中止を」と申し入れました。
 また今後の対応について、労働局側は「これからは人数を報告するように通達が来た。個人情報については報告しない」と回答。数を報告することが監視であり、憲法に違反した行為である認識を持っているのか、それでも続けるのかの問いに対して、「業務として指示されており、報告しなければならない」と回答し、今後、傍聴者の報告をおこなうことを明言しました。
 要請団は最後に、「監視をやめるまで、私たちは要請を続ける。厚労省に報告してください」と、訴えました。

愛知・豊川幼児殺人事件「世論の力で無罪を」守る会結成総会に80人  

 「豊川幼児殺人事件・田邉さんを守る会結成総会」が7月24日おこなわれ、80人が参加しました。
 国民救援会愛知県本部の阪本貞一会長が、「この地で起きた冤罪事件を、地元のみなさんに支援していただけることは誇りです。推定無罪原則の徹底、検察の証拠隠しを許さない世論が必要」とあいさつ。多くの方からの連帯のメッセージが紹介されました。
 犯人とされた田邉雅樹さんのお父さんは、「息子は当初から一貫してやっていないと言い続けてきています。大分刑務所にいる息子を助けてください。このような会を立ち上げていただき感謝します」と述べました。
 後藤昌弘弁護士は、「この事件は物的証拠がないままに田邉さんが犯人とされた。それだけに再審請求のハードルは高いといえる。しかし遅くない時期までに、弁護団の体制を整えて再審申し立てをおこなう予定です。みなさんのいっそうのご支援をお願いいたします」と報告しました。
 最後に役員を選出し、会長に選ばれた佐藤典子弁護士は、「支援の輪が大きく広がっていることを実感。いっしょに事件を学習して、一日も早く田邉さんを救出しましょう」と決意を述べました。

愛知・マツヤデンキ過労死訴訟勝利判決が確定  

 2000年12月に障害者枠でマツヤデンキ豊川支店に採用された、心臓疾患を持つ小池勝則さんが、健常者と同じ業務内容、ノルマを与えられる中で、心疾患により死亡したマツヤデンキ過労死労災認定訴訟で、国側の上告申し立てに対し、最高裁は上告棄却の判決を言い渡しました。
 遺族は労災認定を求めて提訴。一審の名古屋地裁では請求棄却、10年4月に二審の名古屋高裁は請求を認め、原告勝訴の判決を言い渡していました。国側はこれを不服として、最高裁に「上告受理申し立て」をおこなっていましたが、その申し立てが棄却され、名古屋高裁の「労災不認定を取り消す」判決が確定することになります。

大阪・近大泉州高校争議解雇無効の判決  

 経営難を理由に整理解雇され、不当解雇撤回と現職復帰を求めて5人の教師がたたかう、近大泉州(元・飛翔館)高校争議で7月15日、大阪高裁(岩田好二裁判長)は原告敗訴の一審判決を取り消し、解雇無効と地位確認を認める逆転勝利判決を言い渡しました。
 高校を運営する泉州学園は、08年3月、経営難を理由に7人の教師を整理解雇し、話し合いも拒否。
 09年12月、一審の大阪地裁堺支部は、1人の訴えを認め、4人について訴えを認めない不当判決で、双方が控訴していました。
 判決は、「財政的にも7人の解雇の必要性はなく、解雇の回避努力や手続きも十分ではなく、人の入れ替えのための解雇は認められず、解雇は無効」であるとして、一審判決を取り消し、5人の雇用契約上の地位を確認し、この間の給与の支払いを全額認める、逆転勝利判決を言い渡しました。学園側は、上告する意向で原告らとの話し合いを拒んでいます。
 国民救援会は地元・岸和田支部を中心に、宣伝行動や集会、裁判傍聴を続けてきました。

石川・絹川商事大下裁判勝利和解が成立  

 建設工事代金の損失を「自己の責任で負担せよ」と責任を押しつけられ、14年勤めた建設会社を解雇された絹川商事大下裁判で7月5日、原告の大下好訓さんと、相手方の絹川商事との間で和解が成立しました。
 大下さんを支援する会の世話人会では中間総括をおこない、原告・弁護士・支援する会・国民救援会が共同し、また支援する会の会員が広がり、団体の支援も受け、団結の力が大きくなったことを評価。会社側は当初「会社には一切責任はなく、全面的に争う」と主張していたが、一転して和解協議に応じるようになったのは、1年3カ月あまりの裁判闘争のなかで、支援する会や国民救援会が、公開でない論点整理や和解協議の時でも裁判所へ駆けつけ、進行を見守る支援をおこなった結果として、和解金が増額されたことはたたかいの成果であったなどと総括しています。

国公法弾圧事件20万署名 12万人に到達  

 最高裁で違憲無罪判決を求めてたたかっている国公法弾圧2事件の最高裁あての署名が、7月25日、12万1410人分3012団体に到達しました。国民救援会の集約では、31都道府県本部・174支部が会員数を突破し、全国で8万4165人分となりました。
 7月8日におこなわれた国公法弾圧2事件の学習会では、「20万署名の目標達成」が強調され、訪問と訴えによる早期の目標達成が提起されました。

布川事件 無罪嬉しい」国連拷問禁止委員が歓迎  

 布川事件の再審無罪を、国連拷問禁止委員のひとりマリーニヨ・メネンデスさんが大変喜んでいたと国際人権活動日本委員会代表委員の吉田好一さんから報告がありました。
 メネンデスさんは、07年にジュネーブで開かれた国連拷問禁止委員会の日本政府報告審査で主査を務めた人物で、杉山卓男さんと桜井昌司さんの妻・恵子さんが現地の公式ミーティングで直接訴えていました。委員会は、冤罪の温床である代用監獄を廃止するよう「勧告」を出しました。
 吉田好一さんは、「歴史記憶法を学ぶツアー」でスペイン滞在中の6月28日にメネンデスさんと会談。持参した報道記事のコピーを差し出し勝利報告。記念に「雪冤」手ぬぐいを渡しました。メネンデスさんは、「布川事件の勝利は大変嬉しい」と応えました。

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