日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年3月5日号

11年3月5日号  

東京・世田谷国公法弾圧事件で「許さない会」が総会  

 「世田谷国公法弾圧を許さない会」の第6回総会が2月15日、東京都内で開かれ、45人が参加しました。1月31日に提出された上告趣意書の内容について弁護団の小林容子弁護士が報告し、宇治橋眞一さんの力強い発言で、会場は国公法弾圧2事件で勝利する決意を固め合いました。

 「これまでも弾圧があったが、裁判所はこれを容認をしてきた。裁判所は検察と手を切って目を覚ましてほしい」と熱弁をふるう宇治橋さん。「事件の本当の狙いは国民の言論表現の自由に向けられたもの。無罪判決を勝ちとるために、一人でも多くの人に事件を広げてください」と訴えると会場から大きな拍手が沸き起こりました。
 世田谷事件は、昨年5月に東京高裁で不当な有罪判決を受け、宇治橋さんは直ちに上告しました。1月末に上告趣意書を提出。最高裁でのたたかいが始まってから初めての総会です。会場には、言論・表現の自由を守ろうと45人の市民が駆けつけました。

 国公法共闘会議事務局長で、国公労連副委員長の岩崎恒男さんは、「この裁判はなんとしても勝ちたい。自由にものが言えることはとても大事なこと」と挨拶。
 弁護団の小林容子主任弁護人が上告趣意書の内容を説明、国家公務員の政治活動を一律全面的に禁止していることは、憲法違反で国際法や国際基準に照らしても問題があると指摘しました。
 堀越事件の堀越明男さんが連帯の挨拶をおこない、「公安警察の違法捜査は許されない。最高裁で明確な憲法判断をしてもらいたい」と述べました。
 国民救援会中央本部の鈴木猛事務局長は、「この運動を国民救援会の運動の枠にとどめず、労働組合や民主団体共同の運動にしようと訴えています。自分たちに関わる問題だと立ちあがる人びとを広げることが大事です。そのためにも学習をし、運動を広げましょう」と挨拶しました。

 許さない会の藤巻一世事務局長は、違憲無罪判決を求める署名の目標20万人分を早期に最高裁へと届けようと強調。さらに、多くの人の参加で、最高裁要請行動を大きく成功させようと呼びかけました。活動報告では、去年の3月から宇治橋さんが全国74カ所を精力的に回って事件を広げていることが報告され、3月24日におこなわれる上告趣意書学習会も成功させようと訴えがありました。

学習資料世田谷国公法弾圧事件上告趣意書 頒価500円(お問い合わせは中央本部まで)

茨城・布川事件で47都道府県本部の会長が連名で要請  

 布川事件の再審裁判判決が出されるにあたって、国民救援会は2月15日、中央本部会長と全国47都道府県本部会長の連名で、桜井昌司さんと杉山卓男さんに無罪を言い渡し、事件の構造的な誤判原因の解明と、冤罪の再発防止につながる判決にするよう裁判所へ要請しました。要請には中央本部・鈴木亜英、茨城・田村武夫、千葉・鷲尾清、東京・安井純夫各会長が参加しました。
 要請で鈴木会長は、「布川事件は冤罪のデパートと言っていいほど、自白の強要などありとあらゆることがおこなわれた。裁判がなぜ誤ったのかを判決で解明し、言及していただきたい」と要請。田村会長は、「無実の人を44年も苦しめる裁判が発生しないよう、毅然たる判決を求めます」などと要請。全国の会長による直筆の署名を提出しました。

〈無罪要請先〉〒300―0043 土浦市中央1―13―12 水戸地裁土浦支部 神田大助裁判長

東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件が再審請求  

 膠原病強皮症によって手指を動かすことが困難な小林卓之さんが痴漢の犯人とされ、懲役1年10月の刑によって獄中から無実を訴えたたかっている東京・痴漢えん罪西武池袋線小林事件で、弁護団は2月14日、裁判のやり直し(再審)を東京地裁に申し立てました。同日に支援する会は再審開始と刑の執行停止を求める集会を開き、72人が参加しました。
 小林さんの主治医は、刑の執行は適切な治療を奪うもので、生命の危険が危惧されると指摘しています。今回、再審を求める上で提出された新証拠には、この主治医の「小林さんが痴漢をおこなうことは不可能」とする意見書や、車内の再現実験、供述心理鑑定書などがあります。
 集会では、「みなさんからの手紙を一日に何回も読み、励まされています。心を強く持ってがんばりたい」との獄中の小林さんからのメッセージが読み上げられ、長男が「父を取り戻すためにみなさんの力が必要です」と訴えました。
 小林さんの一日も早い刑の執行停止と再審開始を勝ちとるために全力をあげてとりくむ決意を込めたアピールが採択されました。

青森・東奥学園高校不当解雇事件で勝訴確定  

 4年間常勤講師として勤務していた長内佑輔さんが東奥学園から突然雇い止めされ、地位確認などを求めていた青森・東奥学園高校不当解雇事件で1月27日、最高裁は学園側の上告を棄却し、長内さんの訴えを認めた高裁判決が確定しました。
 弁護団は最高裁の棄却決定について、有期雇用であっても合理的理由がなければ雇い止めできないことを示したもので、「非正規労働者の権利保護の点でも意義がある」と評価しました。
 長内さんは「ひきつづき職場復帰に向けて努力したい」と語り、支援者へのお礼を述べました。

比例定数削減阻止向けて国会で集会と要請  

 民主党が狙う衆議院の比例定数削減を阻止するための学習決起集会が2月17日、衆議院議員会館でおこわなれ、56人が参加。あわせて、国会議員への要請行動もおこなわれました。
 学習会では、神戸学院大学大学院の上脇博之教授が「比例代表制の議席が減り死票の多い小選挙区制の比重が高まると、大政党が過大評価される一方、小政党は過小評価されてしまう。こうしてできた議会は国民の縮図と言えず議会制民主主義とはいえない」と指摘。予算の削減が比例定数削減の口実として使われ、議員も「身を削る」と言っているが、それならば政党助成金を切ることから始めるべきだと批判しました。
 日本共産党の赤嶺政賢衆院議員は、沖縄の基地押し付けの実態を報告。少数意見の排除は、一番苦しんでいる人たちを切り捨てることだと訴えました。

日弁連が取調べの全面可視化を求める集会  

 2月17日、日弁連主催による「取調べの可視化(取調べ全過程の録音・録画)の実現を求める院内集会」が衆議院議員会館で開催され、80人が参加しました。
 集会では、布川事件の杉山卓男さんが自らの体験を講演。杉山さんは、一問一答でリハーサルして「自白」テープが作られたことを紹介し、警察・検察が主張する「一部録画」では新たな冤罪を生むと批判。冤罪をなくすには全面可視化と検察の手持ち証拠の全面開示が必要だと力説しました。
 民主、自民、公明、共産、社民、新党大地の各党議員は全面可視化早期実現の決意を述べました。

連載・布川事件の判決控え弁護団に聞く 上  

 茨城・布川事件は水戸地裁土浦支部で再審裁判の判決を迎えます。布川事件の弁護団として、長年ともにたたかい続けてきた山本裕夫弁護士に、あらためて冤罪を生んだ原因とこれまでのたたかいについてお話を伺いました。

 布川事件は「冤罪のデパート」なんです。まず自白の強要、目撃証言の誘導、証拠の改ざん(録音テープの編集など)。それに公判での証拠隠し。この事件は、こうして捜査機関が桜井昌司さんと杉山卓男さんを犯人に仕立て上げた事件で、2人を犯行に結びつける物的証拠はもともと何一つありません。

 警察は、まず桜井さんを別件で1967年10月10日に逮捕して、「8月28日(強盗殺人が起きたとされる日)にお前は何をやっていたか」と問い詰めました。40日以上も前のことをすぐに言えるわけがありません。それでも桜井さんが何とか思い出して「兄のアパートにいたのではないか」と言うと、「いや、兄は来ていないと言っている」と返しました。当時、警察がウソをつくと思っていなかった桜井さんは「そうかな」と混乱し、ますます追い込まれていきます。
 「こいつが犯人だ」という予断にもとづき「カマ」をかけ、うまく答えられないと、「やはりこいつが犯人だ」となって自白を強要する。これが昔も今も変わらぬ取調べの実態です。外部と遮断された代用監獄(警察留置場)の密室で、「犯人はお前しかいない」と決めつけられ、言い分を何も聞いてもらえない。そうした状況に追い込まれた20歳そこそこの青年に、自白の圧力に抵抗するだけの力は、もうありませんでした。

 検察の取調べで、2人はいったん否認します。しかし、あらたに投入された検察官は、再度自白を迫り、今度は、「認めれば何年かで出られるが、否認していると極刑になる」と脅しました。
 桜井さんが獄中で書いた日記には、公判を控えて悩む姿が綴られています。本当のことを言って死刑になるか、それともウソの「自白」をして生き残り、刑務所を出てから真犯人を捜すか。桜井さんは、悩みに悩んだ末に真実に従うことを決意し、第1回公判で否認しますが、そこまで迷うほど検察官の脅しが重くのしかかっていたんです。
 そうして採った「自白」に任意性などあるわけがありません。布川事件で桜井さんと杉山さんを無期懲役とした有罪判決は、この強要されたウソの「自白」と誘導された「目撃供述」でかろうじて成り立っていたものでした。(つづく)

布川事件 1967年8月に茨城県利根町布川で起きた強盗殺人事件。近くに住む桜井昌司さんと杉山卓男さんが別件で逮捕され、ウソの「自白」を強要された。78年に最高裁で無期懲役が確定。第2次再審請求で09年、再審開始決定が確定。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional