日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年12月5日号

11年12月5日号

11年12月5日号  

取調べ可視化実現を 国民救援会など3団体 平岡法相に要請  

 冤罪事件の発生を防ぐためには、捜査機関の取調べの全面可視化(全過程の録音・録画)と検察の手持ち証拠の全面開示が不可欠です。国民救援会、全労連、自由法曹団の3団体は、11月21日、平岡秀夫法務大臣と直接面談し、一日も早い可視化と証拠開示の実現を求め、要請をおこないました。なお、今回の要請は、日本共産党参議院議員・井上哲士事務所の協力で実現したものです。

 要請行動の冒頭、国民救援会の鈴木亜(つぐ)英(ひで)会長が3団体を代表し、要請書を平岡大臣に手渡し、要請の趣旨を伝えました。
 鈴木会長はまず、足利事件布川事件など、冤罪事件が相次ぎ明らかとなり、取調べにおける弁護士の立会権がないなかで、取調べの実態を明らかにするには、その全過程の可視化が必要であり、法務省として大事な課題としてとりくむこと、次に、検察が持っているすべての証拠を事前に弁護人に開示する法改正をすることを、平岡大臣に要請しました。その際、国民救援会が支援する事件の当事者・支援者からの不当な取調べの実態、証拠隠しの実態を告発した声を集めた資料を手渡しました。
 続いて、自由法曹団の篠原義仁団長が、「裁判員制度の導入の際、取調べの全面可視化と検察の手持ち証拠の開示が同時におこなわれるべきだった。千葉法務大臣の頃からの要請事項となっており、ぜひ実現をお願いしたい」と要請。足利事件の再審裁判で弁護人を務めた自由法曹団の泉澤章事務局長は、「足利事件の菅家さんは、過酷な取調べでウソの自白をさせられ、いつも取調べの可視化をしてほしいと言っている。法務省の主導で可視化を実現してほしい。また、無実の人が不当に拘束されないためにも証拠の全面開示を」と要請しました。
 全労連の高山由孝組織部長は、「多くの人が冤罪事件に巻きこまれている。人権と民主主義のためにも取調べの可視化の実現を」と要請しました。

「できる限りの開示が基本」
 要請に対して平岡大臣は、「野党時代から取調べの可視化の問題はすすめてきたので、頑張っていきたいと思っている。(法制審議会に新たに作られた)特別部会でもしっかり議論し、多くの方からいろいろな意見を出していただきたい。手持ち証拠の開示については、足りない部分について指摘をしていただければ検察庁へ伝える。できる限り開示することが基本的な流れであることは理解をしている」と回答しました。
 鈴木会長は、「最高検から『検察の理念』が発表されたが、取調べの可視化や手持ち証拠の全面開示の実現で、その理念を裏付けをしてほしい」と重ねて要請しました。

44年の苦しみ 大臣に訴えて
 国民救援会の瑞(ず)慶(け)覧(らん)淳副会長は、要請に参加できなかった布川事件の杉山卓男さんから、2点について大臣に伝えてほしいと託されたとして、「証拠開示がされていれば、44年間苦しむことはなく、また29年も獄中に閉じ込められることはなかった。証拠開示は緊急の課題として実現してほしい。また、取調べの一部を録音したテープが証拠として出され、有罪の根拠とされた。取調べの一部の可視化では、冤罪に苦しむ人が生まれるだけ。全面可視化が不可欠」とのことばを、平岡大臣に伝えました。
 平岡大臣は、「検察庁は取調べの可視化の試行をしており、件数が集まってから検証することになっている」と回答しました。
 最後に、安井純夫副会長が、「最高裁でたたかう事件当事者とともに活動する機会が多く、取調べの可視化と手持ち証拠の全面開示を切々と求めている。早期の実現を」と訴え、要請を終えました。

宮城・自衛隊監視差止訴訟/国民監視はやめよ 違憲性は明白、来春判決へ  

 自衛隊の情報保全隊による国民監視は違法だとして、差し止めを求めて仙台地裁でたたかっている宮城・自衛隊の国民監視差止訴訟が11月14日に結審し、3月26日に判決を迎えます。これまでの裁判を通して明らかになったこと、このたたかいの意義を、原告団事務局長の堤智子さんに聞きました。(聞き手=編集部・吉田)

 陸上自衛隊の情報保全隊が、集会やデモなどの国民のあらゆる運動を監視しているという事実は、2007年に告発された内部文書によって発覚しました。ちょうど自衛隊のイラク派兵は違憲だとして、全国で裁判がおこなわれているさなかのことでした。仙台地裁でイラク派兵違憲訴訟裁判をたたかっていた3人も含めて、多くの団体および個人の運動が監視され、記録されている事実が明らかになりました。警察に提出したデモ行進の届出の記載内容も記録されており、警察とつながって情報収集していたこともわかっています。
 このことによって、集会への参加をためらったり、知人を誘えなくなるといった萎(い)縮効果や、自宅に出入りする人たちや家族にも監視が及んでいるのではないかといった不安がひろがりました。

監視の理由は
 自衛隊にとって邪魔だと思える人たちを組織的・日常的に監視し、情報を分類して、系統的に記録する行為は、単に眺めているだけの監視ではありません。軍隊は、目的を遂行するうえで邪魔になるものはつぶしていくという本質的な性格を持っています。イラクなどでの戦争遂行に邪魔になる国民の運動をつぶして戦争に突き進んでいくことは、国民が平和に生きる権利が保障された憲法の理念に真っ向から反するものです。
 情報保全隊の監視対象が、国民の運動だけでなく、元航空幕僚長の田母神俊雄氏や、自衛隊OBの佐藤正久参議院議員など一部の自民党議員にも及んでいることも明らかになりました。自衛隊にとっては、イメージを悪くする極右的なものも困るので、つぶす対象になるのです。

裁判をも監視
 裁判での国側の態度は、監視の事実の認否をしないという姿勢で一貫していました。一般的に裁判は、訴状に書かれたことが事実かどうかを明らかにしたうえで、その事実を裏付けるものとして証人を調べたり証拠を出したりするわけです。監視行為について肯定も否定もしないということは、裁判そのものを否定する態度です。これによって当初、裁判は立ち往生し、困難を極めました。しかし、当時の久間章生防衛大臣が国会で監視の事実を認める答弁をしたことや、国側が答弁書で、「原告の言う『監視』という概念があいまいだ」とか、「自衛隊の組織規範の中でやっている行為だ」と回答したことから、実質的には、監視行為の事実を法廷で明らかにすることができました。証人尋問や学者の意見書などで、監視の内容や被害の実態と違憲・違法性を明らかにし、実質的な審理に入ることができました。
 原告のうち5人が証言したのですが、国側は反対尋問を一切せず、また一人の証人も立てませんでした。そのうえさらに、法廷の被告(国側)席に現役の情報保全隊員が座っていたことも判明しました。裁判を否定し開き直るばかりか、もっと挑戦的な態度で、傍聴人を含め法廷全体を監視していたのです。裁判を敵視する態度には、並々ならぬものがあります。国を相手にする裁判は薬害訴訟や原爆訴訟などいろいろありますが、自衛隊を相手に裁判することの厳しさを身にしみて感じました。

ひろがる支援
 4人の原告からスタートした裁判は、6次にわたって追加提訴し、原告107人、弁護団101人という大きな訴訟になりました。
 裁判闘争の原動力は、やはり原告であり、多くの事例が示しています。名古屋のイラク派兵差止訴訟で違憲判決を勝ちとったのは、3千人に及ぶ多くの原告の力があったためです。
 私たちの裁判も、支援者が原告としてたたかいに加わっていくことで、単なる裁判支援の力をもっと積極的な形にすることができました。原告になりたくても、「内部文書」に関わりがなかった人は、原告になれません。そうした人たちが支援する会を立ち上げたことで、原告と弁護団と支援する会の協力による裁判闘争をすすめてきました。
 また、監視対象となったのは、新婦人がおこなった憲法9条守れの宣伝や、民主商工会による消費税増税反対の行動などでした。団体は原告にはなれないのですが、団体としてもこの裁判闘争を高く位置づけてともにたたかう状況に至ったことは、この裁判の支援運動の特徴です。

人命救助こそ
 3月11日の東日本大震災で原告も被災しました。直接自衛隊の世話になって助けられた原告もおり、自衛隊の姿の一面が国民から支持されています。
 自衛隊に求められるのは、武器をとって戦争をすることではなくて、あくまで災害救助、人命救助の活動です。そうした意味でも、監視活動を認めることはできません。監視されずに自由に生きる権利を取り戻すために、この裁判に勝利したいと思っています。

〈要請先〉〒980―8639 仙台市青葉区片平1―6―1 仙台地裁・畑一郎裁判長
※署名などの問合わせは国民救援会宮城県本部TEL022(222)6458まで

国公法共闘会議が第2回総会/最高裁は違憲無罪を  

「あべこべ」社会の変革を  

 「国公法弾圧2事件の勝利をめざし、公務員の政治的・市民的自由をかちとる共闘会議」が11月16日、東京・平和と労働センターで第2回総会を開き、約100人が参加しました。弁護団と検察双方から事件に関する書類が出そろい、この秋以降最高裁での本格的審理がすすめられる可能性があり、いっそうの運動の推進のために開かれたものです。
 この日、憲法学者の小澤隆一教授が、『ビラ配布の自由と民主主義―「石流れ木の葉沈む日々」を終わらせるために』と題して記念講演。小澤教授は、「ビラ配布」に象徴される、公務員の「一市民の立場での政治活動」の自由の獲得が、日本の民主主義の充実にとって必須の課題であること、そのためにも、ぐるみ選挙や政官財の癒(ゆ)着が放置される一方で、このような事件が起こされる「あべこべ」の国家・社会を変革することがいかに切実であるかを国民に広めることが大切であると訴えました。

20万署名達成へ
 共闘会議は、審理の大法廷回付と違憲無罪判決を求める署名運動とともに、最高裁に対し定期的な宣伝・要請行動にとりくみ、地域や地方の支援組織との共同での現地調査、上告趣意書や答弁書提出にあわせた最高裁前での行動、そして学習会などの運動を広げるとりくみをすすめてきました。11月9日現在、署名は13万6239人分、団体署名は3159、堀越事件の捜査を指揮した元最高検次長検事の古田裁判官の裁判からの回避を求める要請はがきは9千枚を普及しています。
 最高裁に違憲判断を迫る世論作りの一環として10月からとりくんだ「国公法弾圧2事件を大法廷に回付し、国民の言論表現の自由を守るよう求めるアピール」文化人署名に、210人を超える方がたから賛同が寄せられています。
 共闘会議は、この1年間で新たに8団体が加盟し合計33団体になり、全国の守る会や共闘会議は12団体が結成されています。

各地で学習広げ
 共闘会議は、ひきつづき20万署名推進、古田裁判官の回避を求めるハガキ運動の強化、支援組織の結成・拡大をすすめること、その推進のために弁護団の協力も得て労組・民主団体との共同した学習会、集会などの開催をすすめること、来春のシンポジウム開催などにとりくむ方針を決定しました。

静岡・袴田事件/「自白」テープ開示を 県本部が裁判所に要請  

  再審をめぐって静岡地裁で審理がおこなわれている静岡・袴田事件で、11月16日、袴田巌さんの「自白」を録音したテープが存在することが明らかになりました。
 テープの存在は、静岡地検が提出した意見書の中で明らかになったもので、ウソの「自白」調書が作成されたいきさつや、取調べの内容を明らかにするうえで欠かせない証拠です。弁護団は、「自白の任意性を客観的に明らかにできる証拠だ」として開示を求めていますが、検察側は開示を拒否する姿勢を見せています。
 こうした状況を受けて、国民救援会静岡県本部は11月22日、静岡地裁に対して申し入れをおこない、「自白」テープの開示も含め、検察が隠し持っているすべての証拠の開示命令を出すよう要請しました。

なくせ冤罪!全国いっせい行動  

各地で大きな反響 42都道府県・約80カ所で宣伝

 「無実の人を救え」を合言葉に、全国42都道府県・82カ所で「なくせ冤罪! 全国いっせい行動」の宣伝・署名・学習活動が展開されました(予定も含む)。今年は東日本大震災や原発問題の影響から、幅広い年齢層の間で人権問題への関心が高まり、各地のとりくみでもさまざまなドラマが生まれています。

若者も署名に
 岩手では1支部3団体、6人が参加し、盛岡市内での宣伝・署名行動にとりくみ、320枚のビラを配布、35人分の署名を集めました。東電OL殺人事件に関心のある中年女性は、「疑わしきは罰せずは大事なことだ」と意見を寄せてくれました。
 滋賀では9支部43人が参加し、9カ所で宣伝行動にとりくみました。「中学校の先生が痴漢冤罪事件に巻きこまれ裁判をたたかっています」と訴えると、出張中の青年が「本当にそんなことあるの?」と快(こころよ)く署名に応じてくれました。高校生がノボリ持ちに立ってくれるなど、1260枚のビラを配布し、署名66人分を集めました。
 三重では、津市内全域を宣伝カーで回ったあと、近鉄津駅前で4支部7人が駅頭に立ち、宣伝・署名行動をおこない、高校生や若い女性が積極的に署名をしてくれました。
 山口では1支部12人が山口市内の商店街に集合し、ビラ配布と5事件の署名行動にとりくみました。行動参加者は「冤罪事件の街頭署名は初めて。みんな我が事のように心配して署名してくれた」と手ごたえを感じていました。80人分の署名が集まりました。

ビラに好反応
 宮崎でも宮崎市内で9人が参加し、340枚のビラを配布しました。反応がとてもよく、横断歩道を渡って一度通り過ぎた人が、戻って来てビラを受け取ったり、冤罪事件の内容を聞きにくるという場面もありました。参加者からは「冤罪事件への関心が高まり、年齢を問わず幅広い層が注目している証拠だ」との感想が出されました。

東京・東電OL殺人事件/再審に期待高まる 報告集会と現地調査おこなう  

 「無実のゴビンダさんを支える会」は11月20日、東京・渋谷区内で再審請求審報告集会と現地調査をおこないました。
 今年夏に検察側が開示したDNA型鑑定結果により、被害者の体内から採取された体液が、ゴビンダさん以外の第三者のDNA型であることが判明しました。これにより事件をめぐる状況が急展開し、この日も多数のマスコミが注視する中での学習会となりました。
 佃克彦弁護士が争点となった鑑定を一つひとつ解説し、それに続く質疑応答では、再審へのとりくみや刑の執行停止などの質問が出され、佃弁護士は「直ちに再審開始決定を求める」「刑の執行停止を求める要請もしている」と回答しました。
 学習会につづき現地調査がおこなわれ、事件現場となった渋谷区円山町周辺と、被害者の定期券が捨てられた豊島区内の現場を再検証しました。参加者は、ゴビンダさんの一刻も早い「再審開始決定」と「刑の執行停止」を求めて署名活動などの要請行動をいっそう強めていこうと決意を新たにしました。

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