日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年11月5日号

11年11月5日号  

名張毒ぶどう酒事件−鑑定結果が無実証明−「再審決定を直ちに」高裁・高検に18人が要請  

 再審をめぐる審理がおこなわれている名張毒ぶどう酒事件で、再審に決定的な影響を与える毒物の成分分析の結果、毒物が「自白」のニッカリンTではなかったことを示す鑑定が出たことを受けて、名張事件全国ネットワークと各地の守る会、国民救援会は、10月18日、名古屋高裁と高検に要請行動をおこない、ただちに再審開始決定を出すよう求めました。

 「もうこれ以上、奥西さんの人生を弄(もてあそ)ぶな」
 名古屋高裁の一室で、全国から参加した支援者が口々に再審決定と奥西勝さんの釈放を求めました。大きな争点だった毒物の鑑定結果が10月3日に出されたことで、この日の要請は緊迫感の漂(ただよ)う行動となりました。

条件満たした  直ちに再審を
 審理が差し戻されて1年半。最高裁から速やかな審理が要求されているなか、それに応えない裁判所の姿勢に、要請団の批判が集中しました。
 「最高裁が指示した『速やかな最小限の実験』の結果、検察の主張は崩れた。再審しかない」「犁燭錣靴は被告人の利益に瓩療澗Г暴召ぁ∈匿海魍始すべきだ」と訴えが続きました。
 愛知県本部事務局長の竹崎義久さんは、「最高検が出した『検察の理念』なる倫理規定には、『無実の者は罰してはならない』と書いてあるが当たり前のこと。こういう検察を育てた裁判所にも責任があり、その反省に立ち、一刻も早く再審決定を」と迫りました。長野県本部副会長の滝下祐市さんは、「憲法18条には、犯罪の処罰以外の苦役に服させられないとあるが、奥西さんは犯罪ではなく冤罪。不法な苦役で憲法違反だ。また、公平で迅速な裁判とは言えず37条にも違反している。奥西さんを自由の身にすることは裁判所の職責だ」と強調しました。奥西さんとの特別面会人の一人、大阪守る会の早川幸子さんは、「命が消える前に助けることは裁判所にしかできない」と述べ、面会で奥西さんが、「鑑定が出たので、一日も早く再審を」と話したことを紹介しました。
 続いて名古屋高検では、ただちに異議申し立てを取り下げて奥西さんを釈放するよう訴えが相次ぎました。名張事件全国ネット事務局長の砂野道男さんは、「検察がマスコミにリークして、自分に都合が良くなるよう世論誘導するのは恥ずべき行為。堂々と会見を開き、公式な見解を表明せよ」と強い口調で批判しました。
 要請行動には、三重、愛知、東京、長野、大阪、兵庫から18人が参加しました。

山場を迎えて 各地で声あげ
 鑑定結果が出て、審理は山場を迎えました。要請行動の前におこなわれた弁護団による「成分分析報告会」のなかで、夏目武士弁護士は、「弁護団も再審開始を裁判所に迫るが、運動体も大いに声をあげてほしい」と呼びかけました。裁判所の背中を押す世論の力が求められています。
 こうした状況のなか、鑑定結果を学んで早期に再審を確定させる力にしようと、各地の救援会の県本部・支部が学習会を計画しています。10月には、北海道の函館、室蘭と青森の八戸で学習会が開かれ、中央本部副会長の稲生昌三さんが毒物鑑定の結果を報告し、支援を訴えました。支部結成準備中の名古屋市北区では、名張事件について学び、支部結成に勢いをつけようと学習会を計画しています。長野、富山、兵庫でも学習・報告会が計画され、再審決定を迫る世論を大きくしていく構えです。また、名張事件全国ネットでは鑑定結果を受けて新たな署名用紙を用意しました。
 国民救援会は、11月13日から「なくせ冤罪!全国いっせい行動」を展開します。各地の県本部・支部は街頭で訴え、署名やハガキなどで、「再審決定と釈放を」の声を裁判所に集中しましょう。

〈要請先〉〒460―8503 名古屋市中区三の丸1―4―1 名古屋高裁・下山保男裁判長


鹿児島・大崎事件−原口さんの無実を実感/第14回現地調査に84人  

 10月15、16の両日、鹿児島県大崎町で大崎事件の第14回全国現地調査がおこなわれ、10都府県から84人が参加しました。
 集会で原口アヤ子さんは、支援者の手を借りて立ちあがり、「私は、やっていないことの罰を受けたまま死ぬことはできません。体に気をつけて頑張りますので、ご支援、ご協力をお願いいたします」と、一日も早く雪冤を果たしたい気持ちと、ひきつづく支援を訴えました。
 弁護団が、新たに提出した新証拠について解説。新証拠によって、被害者の「殺害」がおこなわれたとされる現場での被害者の体液の痕が、「共犯者」とされた人たちの「自白」と異なり、客観的証拠と矛盾することが明らかになったと説明しました。
 また、弁護団の証拠開示要請に対して検察は、「警察が持っている証拠のため、検察は分からない」など、極めて不誠実で不当な対応をしていることが報告されました。
 その後、参加者はマイクロバス2台に分乗して、被害者が自転車で落ちた現場の用水路に向かい、再現実験をおこないました。その結果、人形を乗せた自転車が用水路に激しく落下。人形も真っ逆さまに用水路に落ち、大きくゆがみました。人間であれば相当な負傷を負うことが分かり、被害者は殺害されたのではなく事故で死亡した可能性が高いことを実感しました。
 また、遺体が発見された被害者宅近くでは、「共犯者」とされた人たちの「自白」や、用水路に落ちた被害者を運んだ人たちの供述などを紹介しながら、原口さんが「事件」と無関係であることが説明されました。

全面可視化、早期に!/市民団体連絡会 民主党法務部門へ要請  

 取調べの可視化を求める市民団体連絡会(呼びかけ団体=アムネスティ・インターナショナル日本、監獄人権センター、日本国民救援会、ヒューマンライツ・ナウ)のメンバーが10月13日、民主党法務部門会議・松野信夫座長と面談し、取調べの全面可視化の早期実現について要請しました。国民救援会からは鈴木猛事務局長が参加しました。
 要請では、足利事件布川事件など相次ぎ再審無罪判決が出され、冤罪が社会的に問題になっているいまこそ、取調べの全面可視化を実現するチャンスであり、与党である民主党がイニシアチブをとって法制化することを求めました。松野座長も、「思いはみなさんと同じ」とし、可視化実現にむけて努力していきたいと語りました。
 同部門会議は8月25日、冤罪を防止するために、警察・検察の取調べの録音・録画が不可欠であり、「被疑者・参考人を問わず、取調べの全過程を録音・録画する必要がある」との提言を発表しています。

平和・人権守り90年=自由法曹団=記念行事と総会開く  

 自由法曹団の創立90周年の記念行事が10月21日、都内で開催され、団員の弁護士をはじめ労組・民主団体などから約620人が駆けつけました。
 自由法曹団は1921年8月に結成され、平和、人権、民主主義の擁護を掲げる弁護士団体で、現在、約2千人の弁護士が参加。国民救援会とも、戦前は治安維持法弾圧犠牲者の裁判闘争、戦後も松川事件をはじめ、言論弾圧事件、冤罪事件、労働事件など、ともに運動をすすめてきました。
 記念行事では、「流れをかえる―9・11と3・11そして」をテーマにして、伊波洋一前宜野湾市長など多彩なパネラーによるリレートークがおこなわれ、今後の展望を語りあいました。つづくレセプションでは、国民救援会の鈴木亜(つぐ)英(ひで)会長が乾杯のあいさつをおこないました。
 翌22日には団の総会が開かれ、東日本大震災の復興や比例定数削減、非正規労働者のたたかい、国公法弾圧2事件のたたかいなどが熱心に討議され、議案を採択しました。また、団長に篠原義仁氏(新)、幹事長に小部正治氏(再)、事務局長に泉澤章氏(新)を選出しました。


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