日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年11月25日号

11年11月25日号  

救おう!無実の人々…なくせ冤罪!全国いっせい行動  

  11月13日から20日の8日間、「なくせ冤罪!全国いっせい行動」が、全国でとりくまれています。11月15日時点で37都道府県本部・63カ所で宣伝行動が予定されています。とりくまれた行動の一部を紹介します。

「他人事でない」=富山・高岡支部  

 富山県の高岡支部は11月13日、高岡市内で「なくせ冤罪!」の宣伝・署名行動を6人の参加でおこないました。
 「国民救援会は、多くの冤罪事件を支援してきました。すべての冤罪事件の犠牲者の救済と冤罪をなくすために、今こそ取調べの全面可視化・検察の手持ち証拠の全面開示の実現を求めて、全国でいっせい行動を展開しています」と訴えました。
 ビラを読んだ男性は、「他人事とは言えん。人間の尊厳を踏みにじるものだ」と話しながら署名に応じていました。(支部版より)

激励と募金受け=高知県本部  

 高知県本部では、13日、高知城のそばにある商店街の入口で20人が署名と宣伝行動をおこないました。観光客や買い物客で賑わうなか、再審を求めている白バイ事件の片岡晴彦さんも参加し、一緒にビラを配りました。
 ベンチに座ってじっとマイクの訴えに耳を傾ける人も。白バイ事件については、市民の関心が高く、署名しながら、「自分たちの非を庇(かば)う警察のやり方はひどい」「負けずに頑張って」と、激励の言葉やカンパが寄せられました。(事務局長・宮本尚)

「奥西さん救って」=大阪府本部ほか  

 大阪府本部では、12日に大阪市内で宣伝行動をおこないました。国賠判決で勝利したオヤジ狩り事件の支援者が訴えると、「解決したんですね」「警察の取調べはやっぱり問題がある」など、大きな反響がありました。
 また、名張事件の大阪守る会が中心になって、同じ日に名張市内でも「出張」宣伝行動をしました。名張市では、毎年町おこしのイベントをおこなっており、4年前からこの会場の一角を借りて、宣伝・署名活動をし、272人分の署名協力を得ることができました。
 80代の方たちからは、「何とかして早く助けてやってくれ」と求められ、20代の青年たちも「かわいそうだ」といった声が飛び交いました。(事務局長・姫野浄)

冬の気配のなか=岐阜県本部ほか  

 15日正午から午後1時まで、名鉄岐阜駅前で、いっせい宣伝署名行動をおこないました。
 岐阜、各務原、羽島の3支部と岐阜県本部から計8人が参加しました。
 「一刻も早く再審開始を」の横断幕や「取調べの全面的可視化、すべての証拠を開示せよ」の手作り横断幕を掲げ、ハンドマイクで訴えました。
 対話した若い女性は、「名張事件をテレビで知った。お母さんに聞いて関心があった。何とかしてほしい」と署名に応じていただきました。
 ビラ250枚を配り、署名30人分が寄せられました。(県本部より)

救援会の姿見せ=群馬県本部ほか  

 群馬県本部では、15日の早朝7時30分から通信労組と合同で高崎駅前で10人で元気よく宣伝行動をおこないました。マイクで冤罪の実態を話し、足早に駅を出てくる通勤客にビラを配りました。
 足利事件布川事件のことを知っている方も多く、「冤罪犠牲者を救うために、署名が力になるんです」との呼びかけに快(こころよ)く応じてくれました。訴えを聞いていた客待ちのタクシーや送迎車のドライバーも署名に協力してくれました。
 風もなくおだやかな天気のもと、1時間の行動でビラ550枚を配り、署名38人分を集めました。
 「交番の目の前で、よく冤罪のことを話すことができますね」と話しかけてきた通行人に、「国民救援会は権力の不正とたたかう人権団体だから、堂々と警察批判ができるんですよ」と答え、救援会の役割もアピールできました。(副会長・兼松進)

 

兵庫・井筒公選法裁判−自由な選挙の実現めざし−井筒 高雄(いづつ たかお)さん  

 政権交代によって自公政権の悪政にストップをかけるために、09年の衆議院選挙で、民主党などの候補者の支援を表明した地方議員の「活動報告」が公職選挙法違反として検挙された事件。井筒高雄さんは、憲法と国際人権規約を掲げ、自由な選挙の実現を求めてたたかっています。

 留置場の消灯時間を過ぎても延々と続く取調べ。井筒さんがどれだけ言葉を尽くして説明しても、捜査官は苛(いら)立つばかりで話を聞こうとせず、声を荒げて怒鳴りつけました。
 「応援した候補者が当選したら、金をもらおうとしてたんじゃないのか!」

政権交代をめざして

 兵庫県加古川市で、無所属で市会議員を2期務める井筒高雄さんは、長引く自公政権の悪政を食い止めるには政権交代を実現するしかないと考え、09年8月の衆議院選挙で、民主党など複数の政党の候補者を応援することを決め、そのことを記載した「活動報告」を手紙にして支持者に送りました。
 「無所属の地方議員の私が、なぜ政党の候補者を応援するのか、市民に説明する責任があると考えました。手紙には、『選挙による政権交代こそが、日本の民主主義を正常にする道』と書き、応援する3人の候補者の政策資料も同封しました」
 選挙で民主党を中心とした政権交代が実現した直後、井筒さんは警察に逮捕されます。出した手紙が公職選挙法違反にあたるとして、井筒さんのほかに発送作業をしたアルバイトの市民2人と、作業を指示した市議1人も逮捕されました。
 「文書違反による逮捕だと告げられたとき、別件逮捕だと思いました。手紙には、公選法で規制されている『一票入れてください』のような投票依頼の文言は入ってませんでしたから」

シナリオを描く警察

 23日間、朝10時から夜11時ごろまで延々と続く取調べに、同房者も異常さを感じます。「お前、人殺しでもやったんか?」
 「警察は、私が票の買収をしたという絵を描き、私が応援した候補者の失職を狙ったのではないかと思います。手紙については何も聞かれず、もっぱら金の動きについて聞かれました。政治で一番重視するべきなのは、候補者の政策だということが、彼らには理解できないようでした。議員は権力やお金の見返りを欲するものだという先入観が頭にあるのでしょう」
 買収のシナリオが成立しないと判断した警察は、逮捕の収拾をつけるために、文書違反の立件に切り替え、井筒さんに「自白」を迫ります。
 「違法文書だと認識して他の市議と共謀して手紙を郵送したな。お前が認めなければ、手伝ったアルバイトたちを任意でいくらでも引っ張れるぞ」
 逮捕された市民の一人は、2歳と4歳の子を持つ若い母親。爐海谿幣緻堆任呂けられない瓠宗讐しさを噛み殺して「自白」調書にサインしました。

真実を伏せる裁判官

 真実が勝つと期待して望んだ裁判は、今年8月、罰金50万円の有罪判決でした。公民権停止5年は、4年後の地方選に出られず、事実上8年間の議席を失うこととなり、井筒さんの政治生命が絶たれたも同然です。
 「法廷でいくら証言しても、裁判官は調書を採用します。それがどんな状況で作られたのかを検証もしません。取調べの過程が可視化されていなければ、裁判は被告の言い分を聞くだけの形式的な手続きでしかありません」
 「活動報告」の文言は、事前に総務省や選管のチェックを受け、投票依頼ではなく違法にならないことを確認していました。それがなぜ有罪なのか――判決は、「手紙を受け取った人が、親族・知人に働きかけることを期待している」として、手紙を受け取った人まで「共犯」扱いしました。事前に選管のチェックを受けたことについても、「選管の回答を安易に信用している」として、警察が「違法」と言えば違法になるという乱暴な認定でした。

人権の世界水準に光

 事件後、警察から電話や聞き込みが何度も来たことで、地域の後援会の人たちの選挙運動は萎縮します。共闘していた加古川市議の無所属の議員仲間も離れていきました。
 議会では議員辞職勧告決議が可決され、井筒さんは、迷惑をかけた責任を取って議員辞職を考えました。そんなとき、日本共産党の先輩市議から憲法と国際人権規約を掲げてたたかった大分の大石忠昭日本共産党市議の話を聞きます。ビラの枚数や配り方を細かく規制し、外国では当たり前の戸別訪問や文書活動を禁じた日本の公選法は、国際人権規約という国際条約に違反している事実を知り、暗闇に一筋の光を見つけました。
 「国際基準に照らしても、自分がやったことは何も間違っていないし、規約を文字通り読めば公選法は規約違反だと確信しました。むしろ、裁判所が憲法や国際人権規約を深く掘り下げて検証していないことに怒りを覚えました」
 井筒さんは、大石市議とともに不当な弾圧をたたかった国民救援会を紹介され、直後におこなわれた東播支部大会で支援を求めて訴えました。それが国民救援会との出会いでした。

もう一度地方政治へ

 事件直後から、関西一円の無所属議員などで作られた「井筒さんを救援する会」によって支援運動がはじまりました。国民救援会東播支部も地元の地の利を活かし、この会の事務局的な役割を担っています。
 逮捕された市民の体験を聞く機会が何度も設けられ、屈辱的な取調べの実態が知られるにつれ、この事件が、政治的立場の違いを超えた人権問題であるとの理解が広がっていきます。
 2010年の選挙で落選した井筒さんは、出身地の東京へいったん引き上げました。そんな井筒さんのもとに、国民後援会の役員から「もう一回、加古川に戻ってこないか」と声がかかっています。
 「救援する会と東播支部の共催で開いていただいた集会に参加した後援会の役員の方が、『国民救援会から国際人権の話を聞いて、弾圧の本質がわかった』とおっしゃってました。当事者である私がいくら説明しても受け入れてもらえませんでしたが、第三者である国民救援会が説明してくれたことに説得力があったようです」
 事件によって人生に大きな打撃を受けた井筒さん。期待していた政権交代は、自公政権と変わらず、国民不在の政治に終始する民主党政権をとても残念に思っています。しかし得るものも大きかったと話します。
 「この事件がなければ、冤罪事件は他人事でしたし、人権について深く考えることもありませんでした。さまざまな支援者に出会うことができ、『あなたは悪くない。自由な選挙を許さない警察・検察・裁判所がおかしいんだ』と言われ、正々堂々と政治活動を続けていいんだと勇気付けられました。再び地方議員に戻ったときには、警察常任委員会に入り、警察官のさらなる人権教育の環境整備にとりくみたいと思っています」
 井筒さんは大阪高裁に控訴。裁判勝利と自由な選挙の実現目指してたたかっています。

〈激励先〉〒650―0022 神戸市中央区元町通6―6―12 国民救援会兵庫県本部


大阪・東住吉冤罪事件---「犯行は不可能」を実感、第1回「現地」調査 106人が参加  

 11月5日〜6日、東住吉冤罪事件第1回「現地」調査が大阪市内でおこなわれ、12都府県106人が参加しました。
 この事件は、1995年7月に青木惠子さんの自宅が全焼し、入浴中だった小学6年の長女が逃げ遅れて焼死したものです。警察・検察は、青木さんと内縁の夫の朴(ぼく)龍晧さんを保険金目当ての放火殺人として逮捕・起訴、裁判では無期懲役が確定し、現在、大阪地裁に再審請求中です。
 この日の「現地」調査では、有罪判決の重要な証拠とされた、車からガソリン7・3リットルを抜いて駐車場に撒き、ターボライターで火をつけたという朴さんの「自白」を中心に3班に分かれ検証しました。
 検証では、駐車場に出火元のガレージを再現して、朴さんと同じ体型の男性参加者がガソリンにみたてた水を撒(ま)く再現実験をおこないました。ガレージ内は狭く、自転車などが置かれていて思うように水を撒くことができずに、朴「自白」の36秒以上の時間を要しました。
 また、弁護団が再審請求審で提出した新証拠(火災再現実験)の報告では、朴さんの「自白」どおりポリタンからガソリンを撒きはじめると、約20秒後には気化したガソリンがガレージ内にある風呂釜の種火に引火して、ガレージが一気に炎に包まれることが明らかにされました。
 全体の報告会では、「20秒以内にガソリンを撒いて着火は無理で、朴『自白』どおりでは、ガソリンを撒いている間に火だるまになってしまう」など、確定判決への疑問が次々と参加者から述べられ、青木さん、朴さんの無実をあらためて確信し、一日も早い再審開始を求める決議を採択しました。
 再審請求審は、10月に弁護団、検察双方から裁判所へ最終意見書が提出され、裁判所は来年3月までには判断を示したいという積極的な姿勢であることが弁護団から報告されました。

愛知・三菱電機派遣切り訴訟・・・偽装請負を認定  

 08年のリーマンショックの際、三菱電機名古屋製作所で正社員と同様に働いていた派遣社員が即日解雇され、職場復帰と損害賠償を求めて3人が提訴していた三菱電機派遣切り裁判で11月2日、名古屋地裁(田近年則裁判長)は原告勝訴の判決を言い渡しました。
 判決では、派遣先である三菱電機の責任を認定し、3人の原告らに損害賠償を命じ、偽装請負だったことを認定。リーマンショックを理由に年末に解雇し、他の職場を探すことすらしなかったことは、「身勝手極まりない」、新しい住居や働き場所を探さなければならない状況に追い込んだことは、原告らに「経済的・精神的に打撃を与えた」とし、雇用期間が決まっているにもかかわらず、生産の都合だけで解雇をおこなったことは「信義則違反」だったと、三菱電機を断罪しました。
 しかし、判決では職場復帰を認めませんでした。(県版より)

大阪・地裁所長オヤジ狩り事件国賠・・・勝訴判決が確定  

 大阪地裁所長が金品を奪われ、無実の少年たち5人が逮捕、暴行や威圧的な取調べによって「自白」を強要した警察・検察などの責任を追及している大阪地裁所長オヤジ狩り事件国賠で11月11日、大阪府は上告を断念し、大阪府警の違法な取調べがあったことを認定し、大阪府に対して賠償を命じる原告勝訴の判決が確定しました。
 国民救援会大阪府本部と支援する会は、「府が上告を断念したことで、5人の原告に当たり前の生活が戻ることを心から喜ぶ」とし、「今回の判決が取調べの全面可視化実現の大きな力になることを確信し、原告の長きにわたる苦労をねぎらい、今後も誤判や冤罪根絶に向けてたたかいつづける」と声明を発表しました。

裁判員制度の適正運用求め要請・・・山形地裁所長が応対  

 2009年5月21日に裁判員制度が施行されて2年余りが経過しました。国民救援会中央本部は裁判員制度施行3年後(2012年5月)の見直しにむけて、自由法曹団、全労連と改善要求をまとめ、政府・国会に要請する予定ですが、この間明らかになった問題点にもとづき10項目の適正運用要求として全国の地方裁判所に対して要請をおこなってきました。
 国民救援会山形県本部は自由法曹団山形支部と連名で10月12日に山形地裁に要請をおこないました。この要請には佐藤欣哉会長、木村事務局長、脇山拓自由法曹団山形支部長が参加。水野邦夫山形地裁所長が応対し、「請願事項を裁判官に伝える」と回答しました。(県版より)

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