日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年11月15日号

11年11月15日号  

大阪地裁所長オヤジ狩り事件国賠…二審も勝利判決  

 大阪地裁所長が襲われ金品を奪われた04年の大阪地裁所長オヤジ狩り事件。暴行や威圧的な取調べによって「自白」を強要された無実の青年・少年5人が、警察・検察などの責任を追及している国賠裁判で大阪高裁(坂本倫城裁判長)は10月28日、一審判決に続き、大阪府警の違法な取調べがあったことを認定し、大阪府に対して賠償を命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。

警察の違法捜査を断罪  

 判決が言い渡された大阪高裁の傍聴席は満席となり、多くの支援者が法廷の外で、判決を不安げに待っていました。判決の言い渡しが終わり、弁護団の戸谷茂樹弁護士が支援者に「勝利判決と評価していい」と伝えると、「やった!」、「よかった!」と歓声が沸き起こり、ホッとした表情となりました。

一審に続いて違法性認める
 判決は、一審に続き大阪府警による違法な取調べがあったことを認定。元少年たちへの賠償額は、違法な身柄拘束期間に応じて1人の賠償額を減額し、もう1人の賠償額を増額しました。一方、事件を起訴した検察庁や、少年保護を放棄した児童相談所など、国や大阪市の責任は、一審同様認めませんでした。
 裁判は、2004年に大阪地裁所長が金品を奪われ、犯人の検挙に躍起となった大阪府警が、事件とは無関係の青年・少年たちを逮捕した事件で、強盗致傷罪に問われ、無罪判決などが確定した5人が、取調べで暴行や脅迫を受け「自白」を迫られたとして大阪府(府警)や国(検察庁)などを訴えていたものです。
 大阪高裁は判決で、元少年の供述について、「取調官による誘導や威圧的取調べ等なしに本件事件に関する供述を続けたとは到底理解できない」として、誘導や威圧的な取調べがあったことを認定しました。
 また青年への取調べについて、「特高警察を引き合いに出して恐怖心をあおることは、取調官に許容される裁量を逸脱した不当に威圧的な取調べと評価すべき」、「大声で怒鳴る、黙秘した際に机をたたき、あるいは蹴るなどの行為や、証拠はそろっている、黙秘をすると不利になるといった程度の発言はあったものと認めるのが相当」としました。そのうえで、「このような取調べ方法は、不必要に威圧的で、人格を侮辱し、黙秘権等の人権を侵害しかねないものであり、国家賠償法上違法といわざるを得ない」とし、大阪府警による取調べを断罪しました。
 報告集会で弁護団は、違法な取調べであったことを改めて認定し、高裁が大阪府の責任を認めた意義は大きく、一審判決に劣らない、それ以上の価値があるとしました。

全国の支援がたたかう力に
 原告の岡本太志さんは、仕事のため報告集会には参加できませんでしたが、感謝の気持ちを述べて退席しました。原告の元少年たちは、「皆さんがいなかったら、絶対ここまで来られなかったと思うし、皆さんが頑張ってくれたことでいい結果となりました」「警察は、亡くなった母親に謝ってほしい。救援会の皆さんには、この8年間、顔も知らない僕らのために活動してくれたことに感謝しています」などとお礼を述べました。
 原告の藤本敦史さんは、「警察と検察には謝ってもらいたい。それが本当のスタートではないかと思います。また、今日あらためて思いましたが、国民救援会という救世主が、冤罪で苦しんでいる人の力となって、良き日本に変えていく力ではないかなと思っています。僕にとって大切な会です」と語り、参加者から大きな拍手が送られました。

可視化めざし意義ある判決
 報告集会で発言した兵庫の大藤信子さんは、「難しい国賠裁判をたたかい、違法な取調べだったことを明らかにしたことは大きな意味がある。こういう運動を積み重ね、取調べの可視化につなげていきたい」と話し、支援する会の川村寛治事務局次長は、「皆さんの色々な形の支援が今日の勝利を勝ちとった。警察に謝罪せよと、おおいに宣伝していく」と決意を述べました。
 国民救援会大阪府本部と大阪地裁所長オヤジ狩り事件の国家賠償請求を支援する会は、10月31日、大阪府に対して一審判決を「知事の専決」で控訴したことを批判し、上告をするなと要請。大阪府警には取調べの全面可視化と冤罪の再発防止を申し入れました。

【上告断念要請先】〒540―8570 大阪市中央区大手前2―1―22 大阪府知事 FAX 06(6944)1010


被災地の国民救援会が頑張っています  

ふるさとを元に戻せ!なくせ!原発集会に1万人(福島)  

 10月30日、「なくせ!原発 安心して住み続けられる福島を! 10・30大集会inふくしま」が福島市四季の里でおこなわれ、1万人を超える人が参加しました。
 集会で、浪江町の馬場有(たもつ)町長は、「東電は原発事故の被害者に対して、補償をするから書類を書けと目線が上だ。これからも国と東電に対して果敢に挑戦していく」と訴えると、会場からは大きな拍手が送られました。飯舘村の菅野典雄村長は、「大変辛い思いをしているが、必死にふるさとを取り戻すため全力で頑張っている。ふるさとは、そこに居て慈(いつく)しむものという思いでいっぱい」と訴えました。
 日本共産党の志位和夫委員長は、「徹底的な除染をおこない、国民、子どもの命を守ろう。電力業界が核燃料サイクル計画で積み立てた原発埋蔵金で徹底的な除染と補償をおこなえの声を、みなさんご一緒にあげましょう」と挨拶すると、参加者からは「そうだ」の声や、大きな拍手がおこりました。
 原発をなくし、震災前の福島へ国と東電の責任で戻すことを求める集会アピールを採択。その後「原発いらない!」、「徹底的に除染しろ!」などとシュプレヒコールをしながら、福島市内をパレードしました。

「県民に大きな力」−石川信事務局長−全国からたくさんの方が参加し、原発事故に立ち向かう福島県民にとって大きな力となりました。浪江町長や飯舘村長など被災地のまっただ中に居る方がたの訴えに、改めてこの事故の深刻さと重大さ、運動を広げることの大切さを感じました。会場で、国民救援会の旗が見え、とても心強かったです。

〈宮城〉被災地で初の県本部大会  

 東日本大震災から7カ月余、10月30日、宮城県本部大会が開催されました。当日は、福島での原発反対集会と重なり、会員の多くも集会に参加したため、参加者は例年より少ない約30人でしたが、熱心な討論がおこなわれました。
 冒頭、大震災で亡くなった7人を含め、今期亡くなった会員に対し黙祷を捧げました。報告にたった吉田広夫事務局長は、大震災で運動が一時的な停滞と後退は余儀なくされたものの、被災の大きかった石巻支部でも会議を開き、再び前進にむけてとりくみがはじまったこと、地元事件をはじめ全国100を超える事件の支援など役割を発揮することを強調し、そのためにも来年夏の第56回全国大会にむけて1300人の組織にしようと呼びかけました。
 筋弛緩剤冤罪事件の勝利を勝ちとるためにも、再審無罪を勝ちとった布川事件の経験に学ぼうと、弁護団の山本裕夫弁護士による記念講演がおこなわれ、討論では、石巻支部の代表が、この間常任委員会も数回開催し、支部大会を成功させたいと決意を語りました。
 最後に鹿又副会長が、「守大助さんの再審無罪、自衛隊の国民監視を許さず、そのためにも1300人会員の実現めざそう」と、「団結ガンバロー」を三唱して終了しました。


司法修習生給費制問題−国会の場で制度延長を−与野党に働きかけ強めて  

 司法修習生の修習期間中に給与を支給する給費制の維持をめぐる問題で、民主党の前原政策調査会会長は11月1日、給費制を廃止し、貸与制に移行する政府方針を明らかにしました。今後は国会の場で存続の是非が検討されることになります。
 給費制は昨年もいったんは廃止されましたが、その後の国会審議のなかで、実施を1年延長する法改正を勝ちとった経緯があり、日本弁護士連合会では、与野党による修正協議のなかで、給費制を存続する内容の修正を求めていく構えで、与野党に対して働きかけを強めていく方針です。
 10月27日には、国民救援会も参加する「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」や日弁連、ビギナーズネットなどの共催で集会・国会パレードをおこない、約1500人が制度存続を求めてアピールしました。議員面会所では、公明党、共産党、社民党などの野党議員が出迎え激励。制度存続を求めてエールの交換をおこないました。

国公法弾圧2事件=大法廷で憲法判断を、共闘会議が最高裁要請  

 「国公法弾圧2事件の勝利をめざし、公務員の政治的・市民的自由をかちとる共闘会議」の最高裁要請行動が、10月26日におこなわれました。約20人が参加して早朝の宣伝行動と最高裁第2小法廷への要請をおこないました。
 要請のなかでは、この秋に開かれた国民救援会の5つの都県本部大会による「違憲無罪判決を求める要請決議」が提出され、千葉、東京、愛知の各都県本部の代表が決議の趣旨を伝えました。
 千葉労連の代表が、「この事件は国民の言論表現の自由に関わる問題であり、労働組合としても極めて重視している。最高裁にふさわしい憲法判断を」と要請。愛知の代表は、「裁判官は、憲法21条をきちんと読んでほしい、国際的な流れに沿った判決を」と訴えました。
 国公法共闘会議の代表は、共闘会議が10月にとりくんでいる学者文化人アピールで、150人を超える著名な学者文化人から賛同が寄せられ、注目されていることを報告し、こうした声に応えられる判決を求めました。

秋田・大仙市事件で現地調査…「筋書き」は不可能  

 幼児を殺害したとして服役中の畠山博さんの冤罪を晴らすため、国民救援会秋田県本部は、事件発生から5年目にあたる10月23日に、大仙市事件の現地調査をおこない、県内のほか山形、青森、岩手から28人が参加しました。
 畠山さんが車内で暴行をおこなったとされる「道の駅・かみおか」の駐車場では、警察の実況見分や一審の判決どおりに事件を再現しました。警察・検察のストーリーでは、畠山さんが自分の軽四輪の助手席で幼児に暴行したとされていましたが、幼児の母親と2人が重なりあった状態では、傷害を与えるには狭すぎて物理的に不可能であることが参加者全員の前で明らかになりました。また、1分間に74台の車が出入りする駐車場では、周囲に気づかれずに幼児に暴行することはできないことも確認しました。
 参加者は、幼児が遺体で発見された用水路の現場で花束を捧げ、現地調査で得た確信にもとづいて弁護団と協力して再審請求にむけ活動を広げる決意を新たにしました。(県本部・小林泰夫)

占領下の謀略「三鷹事件」⇒62年を経て、真相語り継ぐ会が発足  

 三鷹事件のモニュメントをつくる運動を発展させた「三鷹事件の真相を究明し、語り継ぐ会」発足のつどいが9月11日、三鷹市内で開かれ、約150人が参加しました。
 三鷹事件は、占領下の49年、無人電車が暴走し、6人の死者を出した事件で、国鉄首切りに反対する「共産党の犯行」と喧伝され、国労組合員10人が起訴されたもので、竹内景助さんの単独犯行とされ、死刑判決が確定。竹内さんは脳腫瘍で獄死するまで無実を訴え続け、国民救援会も故・森山四郎氏を中心に粘り強く支援しました。
 つどいでは松川事件の弁護団の一員だった松本善明・元衆議院議員が記念講演をおこない、下山・三鷹・松川の三大謀略事件をアメリカによるオペレーション(作戦行動)の視点で見直すことが重要だと指摘しました。代表世話人に松本善明さん、堀越作治さん(元朝日新聞編集局次長)、宮本二郎さん(元国労三鷹電車区)の3氏を選出しました。


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