日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

11年10月15日号

11年10月15日号  

大阪・大阪地裁所長オヤジ狩り事件国賠−二審も勝利判決を−10月28日判決控えて宣伝・要請  

 暴行や威圧的な取調べで「自白」を強要した警察・検察などの違法捜査の責任を追及している大阪地裁所長オヤジ狩り事件国賠の二審判決が、10月28日、大阪高裁で言い渡されます。警察や検察の横暴に歯止めをかけ、取調べの全面可視化(録音・録画)の実現をすすめるためにも、警察の違法捜査を断罪した一審に続く勝利判決が不可欠です。判決の直前まで、裁判所への要請を集中しましょう。

「警察おちょくってんのか!」
 大声で怒鳴りつけ、髪をつかむ、首を持って壁に押さえつける、机を高く持ち上げ叩きつける、警察の望む答えが出るまでファイルの角で何十回も小突く――暴力団まがいの暴行と脅迫で当時13歳から16歳の少年たちに迫った大阪府警の刑事。少年たちは「取調べ」という名の恫喝に晒(さら)され、ウソの「自白」をさせられました。その「自白」をもとに逮捕された2人の青年も、腕をねじ上げてうつ伏せにされ、刑事に尻で頭を踏み
つけられるなどの人格を壊す取調べを受けました。

冤罪生み出す警察の「威信」
 2004年2月に起きた路上での強盗致傷事件は、被害者が大阪地裁所長の裁判官だったこともあり、大きく報道されました。そのため捜査機関は犯人検挙に躍起(やっき)となり、事件と無関係な地元の少年たちを別件逮捕し、締め上げて「自白」を得る前時代的な捜査をおこないました。「自白」を拒み続けた藤本敦史さんの取調べのなかで警官が、「特高警察を知っているか」「昔は取調中に死んだ者もおるんや」という言葉を発したことからも伺えるように、違法だと認識した上での拷問による自白強要でした。その結果、犯人は4人であるのに、10人余が事件への関与を認めるという歪んだ構図の事件となりました。
 裁判では、客観的事実と矛盾する青年たちの供述を隠していたこと、アリバイ供述をもみ消していたことなどが判明。防犯ビデオの解析結果から青年たちの無実が明らかになり、08年、少年事件の不処分を含む、犯人とされた5人全員の無罪が確定しました。
 5人は、警察・検察などの責任追及と謝罪を求めて国賠訴訟を提起しますが、その法廷でも警察官は、暴行の事実を否定するばかりか、「今でもクロ(犯人)と思う」などと証言しました。こうした捜査機関の歪んだ威信とメンツが冤罪を生む温床になっています。

勝利の判決で、可視化促進を
 「取調べは不当に威圧的なもので違法」
 国賠の一審判決で大阪地裁は、警察の捜査を違法と断罪し、1500万円あまりの賠償を命じました。弁護団の戸谷茂樹弁護士は、暴力的な取調べをやめさせるためには全面可視化することが必要であることを示唆した判決だと評価しました。二審判決は、警察の違法捜査をさらに強く批判し、一審で免罪された検察の責任も認めさせることが求められています。
 志布志事件、氷見事件、足利事件布川事件、郵便不正事件と、捜査機関の自白強要による冤罪が次つぎと明るみに出ています。捜査機関に自浄能力がない以上、密室の取調べをすべて録音・録画して国民の監視のもとにおくことは必須です。
 国連の自由権規約委員会からは、取調べ可視化の実施を求められ、世論調査でも81%が可視化に賛成(毎日新聞10年10月)しています。国民救援会も、2月に全労連や自由法曹団とともに江田五月法務大臣(当時)に可視化の実現を要請。こうしたなか、江田法相は、最高検に全面可視化の試行を指示し、法制審議会の特別部会で審議させるなどの動きが出ています。
 勝利判決を勝ちとることは、青年たちの名誉回復にとどまらず、可視化実現の流れを加速させる重要な意味を持ちます。支援する会と大阪府本部は、判決直前の10月26日まで要請を続け、世論の力を追い風に、1万人分の署名を積み上げ勝利しようと奮闘しています。

【激励先】〒530―0041 大阪市北区天神橋筋1―13―15 大阪グリーン会館5階 国民救援会大阪府本部内 オヤジ狩り国賠支援する会 TEL06(6354)7215
【要請先】〒530―0047 大阪市北区西天満2―1―10 大阪高裁・坂本倫城裁判長

可視化で冤罪なくせ     原告のひとり 藤本敦史さん  

 無罪判決につづき、国賠の一審で勝利。ここまでこれたのは署名してくれた全国の皆さんの力です。この事件で家族や友人には大変な苦労をかけてしまいました。冤罪は当事者だけでなく周囲の人も巻き込みます。二審でも勝利し、可視化などの実現で冤罪がおこらないようにしたいです。


この秋 大いに 学ぼう!!各県・支部で学習会  

 この秋、全国各地で学習会が開かれ、会員でない人を含め多くの人が参加し、救援運動への確信を深めています。一部を紹介します。

京都・綴喜八幡(つづきやわた)支部…大会で名張事件を学ぶ  

 京田辺市や八幡市の会員で構成する綴喜八幡支部の第14回支部大会が8月26日、京田辺市内で開催されました。参加は15人。
 第1部の名張事件の学習会では、事件を解説したDVDを上映したあと、無実の死刑囚・奥西勝さんの特別面会人の稲生昌三さん(中央本部副会長)が講演しました。
 稲生さんは、「奥西さんは85歳で残された時間は少ない。検察側は鑑定論争に引きこんで時間を伸ばしている。早く裁判をやり直せという運動が必要。再審を開始するかどうか、凶器とされた農薬の鑑定結果が出る9月が大きな山場となる。署名やハガキ、奥西さんを励ます絵手紙を送っていただきたい」と力を込めて訴えました。(府版より)

兵庫・灘支部…緒方さん救出の思い固め  

 灘支部は9月4日、えん罪神戸質店事件の真相学習会を開催しました。県内各支部を回って開いている連鎖学習の一環で、灘支部が8カ所目になり、台風の中集まった19人が語り合いました。県本部の濱島隆昌事務局次長が講師を務め、事件の概要と犯人とされた緒方秀彦さんが無実であることの説明がされました。
 参加者からは、「事件当夜、一瞬見た不審者の顔が、1年10カ月も経って緒方さんの写真に似ているという証言で有罪にしていいのか」「冤罪は許せない。守る会づくりに協力したい」などの感想があがりました。また、後日「緒方さんと面会したい」と連絡する人もいて、年内に守る会を組織して、緒方さんを早く救いだそうという思いを強くしました。
 緒方さんのご両親も「みなさんからの励ましで、元気をいただけました」と話していました。

北海道・札幌3支部…布川事件の闘いを聞く  

 札幌支部、札幌西支部、札幌手稲支部は共催で、10月2日、布川事件の再審無罪報告集会を開き、100人が参加しました。札幌では、5月24日の無罪判決の日におこなった宣伝への関心が高く、人権運動に画期的な、44年のたたかいを当事者に語ってもらおうと企画しました。
 桜井昌司さんは、国民救援会に支えられてたたかうことができ、事件に巻き込まれたことは悔しいが、自分の人生にとってはプラスになったと報告。杉山卓男さんは、人生の半分以上を事件で費やしたが、今後は人に役立つようなことをしたいと話し、参加者は感銘を受けました。(札幌支部事務局長・宮子明)

東京・足立支部…国民救援会の歴史学ぶ  

 足立支部では、国公法弾圧2事件の最高裁の勝利をめざす学習会と合わせ、足利事件布川事件の無罪判決が報道され関心があることから、「言論・表現の自由を守ろう! えん罪事件をなくそう!」と間口を広げて「国民救援会と語る9・16足立集会」を9月16日に開き、24人が参加しました。
 中央本部の望月憲郎副会長が、国民救援会の活動を紹介。天皇制圧政の中で争議や共産党への大弾圧とのたたかいの中で結成され、犠牲者の法廷闘争支援や家族の生活援助・就職活動支援など多岐に渡っておこなっていたことを学びました。
 世田谷国公法弾圧事件の宇治橋眞一さん(写真)からは、最高裁は公判がないので署名と直接の要請行動しかない、署名20万人分の達成と元検事の古田裁判官の忌避要請ハガキの協力要請がありました。ハガキは100枚すべてが売り切れ、「救援会の入会も検討します」という人もいました。参加者の半分以上が未会員なので、今後入会を訴えて行こうと元気になりました。(足立支部・渡辺政次)

静岡・沼津支部…袴田さんを救おう  

 静岡県の国民救援会沼津支部は9月12日、えん罪被害者をつくらない司法の実現を目指す学習会を、沼津市内で開きました。
 旧清水市(現静岡市清水区)で1966年、みそ製造会社の専務一家4人が殺害された袴田事件で、死刑囚とされている袴田巌さんの第2次再審請求の概要を、弁護団の角替清美弁護士が説明しました。角替弁護士は、事件から1年2カ月後にみそ工場のタンクから発見された犯人のものとされる5点の衣類は捜査機関の捏造証拠だとし、履くことができないズボンのサイズの問題などを指摘。衣類をみそ漬けにした実験で衣類の色が変色した写真を示し、証拠とされている衣類が変色していない問題を再審請求で訴えていくと強調しました。
 巌さんの姉・秀子さんは、長い間拘置所に閉じ込められ精神を病んだ弟の健康を心配している心境を語り、「一生懸命頑張って、巌の無実を晴らしたい」と決意を述べました。(県本部・内田伸治)

高知県本部…証拠の捏造(ねつぞう)を確信  

 8月27日、高知市内で高知白バイ事件真相究明の集いが、支援する会と高知県本部の共催で開かれ、会場には50人を上回る参加者がありました。
 はじめに、事件の経過についてビデオ上映があり、続いて日本自動車交通事故研究所の石川和夫所長が、裁判所から提出された証拠写真のブレーキ痕の疑問、事故現場写真捏造の疑問について、具体的に解析した説明があり、警察がハイテク科学を駆使して捏造した証拠であることを証明しました。
 再審弁護団の生田暉雄弁護士から、再審裁判の進行状況について報告があり、これまで提出されていなかったバスに乗車していた中学生の調書と、証拠写真といわれる135枚のネガが、裁判所、検察、弁護士の三者協議で提出させることができたと報告がありました。
 集会では、開示された証拠を解析依頼する費用を準備するためにも、裁判所を包囲する体制を組織するためにも、支援する会の会員の増大が必要だと強調されました。(県版より)


中央常任委=秋のたたかいで前進を、11月に「なくせ冤罪!全国いっせい行動 

 国民救援会は9月26〜27日、第7回中央常任委員会を開き、年内の方針を確認しました。

――情 勢
 野田政権は、東日本大震災や原発事故へ十分な対策を打たない一方で、「復興増税」や原発再稼動、普天間基地の県内移設など、公約を投げ捨て、アメリカ・財界優先の政治をすすめています。これに対し、脱原発など、かつてない共同のとりくみが広がっています。

――事件支援
 国公法弾圧2事件の支援を広げるために、11月〜来年2月を「学習期間」として大いに学び、それを力に署名も前進させます。
 冤罪事件では、足利、布川事件で勝ちとった「無実の人を救おう」との流れをさらに大きくし、冤罪事件の勝利めざし、「なくせ冤罪!全国いっせい行動――足利、布川に続き、無実の人びとを救おう」(11月13日〜20日)をとりくみます。街頭宣伝や集会・学習会、裁判所要請にとりくみ、会員も無罪要請ハガキや獄中の人への激励ハガキにとりくみます。

――組 織
 県本部・支部大会、「年末組織財政強化期間」(11月〜12月)を成功させます。会員に依拠した募金活動や、多くの人に救援運動に参加してもらい、魅力を実感してもらうなかでの会員拡大をすすめます。

◆京都・全厚生懲戒取消裁判−形式的判断で請求棄却  

 京都の社会保険事務所で働いていた川口博之さん、北久保和夫さんが、「無許可専従行為をしていた」などとして社会保険庁から懲戒処分を受け、国に対して取消しを求めた全厚生懲戒取消裁判で、京都地裁(大島眞一裁判長)は9月28日、川口さんの請求を棄却する不当判決を言い渡しました(北久保さんは、9月1日に人事院によって懲戒処分の取消しが決定)。
 判決では、事務分掌表で担当が与えられていないことなど、川口さんの仕事の内容より、形式をとらえて「専従行為」と認定。懲戒処分を理由に解雇された分限免職処分については、大阪地裁でおこなわれる「分限裁判で判断されるべき」と他の裁判官に委ねる姿勢を示しました。
 報告集会で、弁護団から控訴する意向が示され、川口さんは不当判決への悔しい思いと決意を述べました。(府本部版より)

仙台筋弛緩剤冤罪事件 「看護師の仕事がしたい」・・・守 大助さん  

 9月17日、18日に開かれた「守大助さんの再審無罪を勝ち取る全国交流集会」に寄せられた、守大助さんのメッセージを紹介します。

 本日はお忙しい中有り難うございます。短期間で再審開始を勝ち取るために、皆さんのお力をお貸し下さい。お願いします。
 東日本大震災から半年が過ぎました。被災地では、復興に未だ程遠いという状況の中で、本日地元宮城で「全国交流会」を開催していただき、感謝しております。私の無実の受刑生活も、早いもので爍廓7カ月瓩砲覆蹐Δ箸靴討い泙后この間、毎日のように各地から激励の便りが届き、心強く生活することができています。
 医療界とは全く関係無い革靴製造という仕事をしていますが、オーダーメイド班で一生懸命頑張っています。一方でなぜ!私がこの様な仕事・生活をしなければならないのかと、憤りでいっぱいです。一日でも早く看護師の生活・仕事がしたいんです。
 私は学生時代にケガをし、入院・手術を受けて、看護師の仕事を見て、私も人の役に立ちたいと思い、医療界に進んだのです。なのにどうして患者さんを苦しめたり、あやめたりできるでしょうか。医師の指示に基づいて点滴をしただけです。絶対に筋弛緩剤を混入していません!
 皆さん、私は絶対に無実です。助けて下さい。

2011年9月17日 無実の守大助

滋賀・JR山科京都駅間痴漢冤罪事件=国民救援会が新たに支援決定した冤罪事件=「私は無実です」、痴漢常習者と間違われ  

 2011年1月18日、中学校教諭の柿木(かきぎ)浩和さんはJR東海道本線の石山駅から高槻駅への通勤途中、山科・京都駅間で、尾行張り込みを続けていた私服警察官たちに取り囲まれていました。山科駅を出発してから右隣の男から電車内で何度も執拗に押されたという柿木さんは、逮捕後その男が警察官で車内には5人もの警察官がいたことを知ったのです。

■身動き取れず
 事件発生前、柿木さんと同じ路線を利用する女性から、京都府警に痴漢の被害にあったと相談が寄せられ、警察は捜査を開始しました。
 警察は、複数の痴漢被害者が話した犯人の「風貌」に似ているとして柿木さんを、痴漢の常習者としてマーク。10日間にわたって監視、追尾をしていました。
 事件当日の朝は、雪のために、ダイヤが乱れていました。柿木さんの乗った電車も発車が遅れ、列車内は大変混雑しており、身動きもとれない状態でした。

■物証なき事件
 柿木さんを痴漢常習者としてマークしていた警察は、5人の警察官が同じ電車内に乗り込み、柿木さんの動向を注視していました。電車が京都駅に到着する際に、前にいた「被害者」の臀(でん)部を撫で上げるという痴漢行為を5人の警察官のうち2人が「現認」したとして、柿木さんは次の長岡京駅で「逮捕」されました。
 しかし、「被害者」とされる女性は、京都駅で電車を下車して立ち去ろうとしていたところ、同じく下車した女性警察官2人に呼び止められ、「被害」申告をしたというもので、果たして「被害」の自覚があったのか疑問です。加えて、「被害」の内容についても「京都駅を降りる際に臀部を撫で上げられた感触があった」という警察官の「現認」行為以上のことについても、ほとんど触れられておらず、警察官の誘導が強く伺えます。
 また、当日の混雑した電車内で痴漢行為を現認することは、弁護団がおこなった再現実験でほとんど不可能であることも明らかになりました。
 そして何より、逮捕直後におこなった微物検査では、柿木さんの手には被害女性の服の繊維が付着しておらず、柿木さんと犯行を結び付ける客観的証拠は何もありません。
 つまり、柿木さんが痴漢行為をおこなったとの証明は、直接的には警察官の証言しかなく、その警察官の目撃供述でさえ曖昧で、その内容は変遷しています。

■逮捕へ躍起に
 捜査の端緒となったそもそもの「痴漢被害者が話した犯人の風貌」についても、実際にその日の柿木さんの服装や風貌とは全く異なっていて、別人としか考えられないものでした。柿木さんを「痴漢の常習者」としたことが見当違いだったのですが、複数の痴漢被害の申告がなされ、犯人逮捕のために構えて出動していた警察には「犯人」を捕まえないわけにはいかない事情がありました。
 柿木さんは、逮捕後から一貫して容疑を否認し、現在、京都地裁でたたかっています。

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