日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年9月15日号

10年9月15日号  

国民救援会の葛飾支部が再開大会  

 葛飾ビラ配布弾圧事件が起こされた東京・葛飾区で、長らく休止状態だった国民救援会の葛飾支部が活動を再開しました。事件の終結後、ビラ配布の自由を守る会の運動を引き継ごうと支部再建の話し合いが続けられてきました。9月2日の再開大会には102人が参加し、熱気あふれる再スタートとなりました。

 「守る会でともにたたかった葛飾の仲間たちが、今度は国民救援会という場で新たな飛躍をしてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです」
 ぞくぞくと人が集まり満席となった再開大会の会場で、ビラ配布の自由を守る会の元事務局長・小松香代子さんがそっとつぶやきました。駆けつけた参加者の多くが、葛飾事件の裁判闘争を支えた守る会の会員でした。

 葛飾では2004年に、マンションのドアポストにビラを配っていた荒川庸生さんが、住居侵入罪で起訴される事件が起きました。直後に結成された支援組織は荒川さんを守る会ではなく、「ビラ配布の自由を守る会」と命名され、「一枚のビラとの出会いで自殺を思いとどまった」など、ビラの大切さを伝える体験を手紙で裁判所に届ける運動を全国に広げました。
 裁判所に寄せられた手紙は9千余通、こうした市民の声が裁判官の心を動かし、一審で無罪判決を勝ちとりました。二審で逆転有罪となり、昨年11月に最高裁で確定しましたが、ビラ配りを犯罪とするのは市民常識に反すると、新聞各社や著名人からの批判が相次いだのは、世論を動かした運動の大きな成果でした。
 こうしたたたかいの財産を、事件の終結とともに手放してしまうのは惜しい、どうすればいいかと話し合いが続けられてきました。

 「この運動をどういう形で継続させるかという話になって、それはもう国民救援会しかないということになりました」と話す荒川さん。葛飾支部は、かつて60年代に区内の弾圧闘争をたたかいましたが、70年代後半以降は活動が休止状態でした。いま、弾圧とのたたかいのなかで、あらためて国民救援会の役割が再確認されました。
 この日、真新しいのぼりとともに新しい役員体制でふたたび旗揚げした葛飾支部。事務局長に選出された小松伸哉さんは、「国公法弾圧2事件に勝利したい。それが実質的にはビラ配布の勝利になる。支部組織をあげて支援していく」と力強く語りました。
 「誰でも安心して自由にビラ配りができる社会にしたい」――同じ思いを分かち合い、葛飾支部の新たな船出です。

副支部長となった葛飾ビラ配布弾圧事件元被告の荒川庸生さんの挨拶  

 私たちの守る会運動が大きく広がったことによって、世田谷事件以来、起訴事件を出しておりません。たたかってこそ権利が守られることが証明されつつあると思います。
 私たちがビラを配り続けることによって、「ビラを配ることは犯罪じゃない」という市民常識を確固たるものにしていくことができれば、いずれ安心してビラ配りができる時代が来ると思います。守る会の5年余にわたるたたかいの成果は、ここに一番示されていると思います。
 守る会に結集してくださったみなさんが持っていた熱意やエネルギーを、他の事件を含めた広い人権運動としてあらためて盛り上げていきたいと思っています。

三重・名張毒ぶどう酒事件で裁判所が再鑑定の意向示す  

 名古屋高裁に差し戻された名張毒ぶどう酒事件で、審理の進め方を話し合う3者協議(弁護団、検察、裁判所)が8月30日おこなわれ、名古屋高裁(下山保男裁判長)は、奥西勝さんが犯行に使用したとされた農薬「ニッカリンT」を再製造し、新たに鑑定をやり直す意向を示しました。弁護団は、近く検察が提出する意見書に反論する予定です。この問題について、特別面会人の国民救援会中央本部稲生昌三副会長に話を聞きました。

 名張事件の再審開始をめぐって、最高裁は4月に再審開始を取り消した決定を破棄し、審理を差し戻す決定をおこない、現在名古屋高裁で3者協議がつづけられています。2回目の協議となる8月30日、名古屋高裁は、毒物が混入された飲み残しのぶどう酒を再現して、あらためて鑑定をする意向を明らかにしました。そのうえで、当時と近い条件で実験するために、必要な具体的条件を9月13日までに提示するよう検察に求めました。その後弁護団が意見を提出することになっています。
 しかし、実験の目的は明らかになっておらず、4月の最高裁決定が示した実験の範囲から逸脱しています。また、実験の結果を受けて検察が新たな論点を持ち出して審理を長引かせる恐れがあります。

 差戻し審で求められる実験については、最高裁が明確にその対象を限定しています。
 奥西さんは、警察の取調べの際、「ニッカリンTをぶどう酒に入れた」とウソの自白をさせられました。しかし、事件直後の鑑定では、ニッカリンTであれば含まれているはずの成分のひとつが検出されませんでした。
 最高裁の審理では、この問題が焦点となり、検察はニッカリンTに含まれる成分の発色が弱いから検出されなかったと、いままで出さなかった新たな主張をしました。
 最高裁は再審を取消した決定について、科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、推論過程に誤りがある疑いがあり、事実は解明されていないと認定しました。そのうえで、この問題が再審開始に影響を及ぼすことは明らかで、再審決定を取り消した判断は誤りだと指摘しました。
 ニッカリンTの成分が検出されなかった原因は、ぶどう酒にニッカリンTが含まれていなかったからなのか、濃度が低く発色反応が弱いからなのか――最高裁は、当時と近い条件で実験するなどして、審理を尽くす必要があるとして審理を差し戻しました。最高裁が求めている実験は、この点を明らかにするための実験です。

 5月におこなわれた初めての3者協議で検察は、発色の問題について主張はしないと明言。意見書でも、「従来の主張はおこなわない」と述べています。こうなると、「濃度が低かった、発色反応が非常に弱い」という検察の主張はすでに決着がつき、実験で証明する必要はなくなったといえます。
 そうであれば、最高裁で生じた疑問はすでに解消されており、名古屋高裁はただちに検察官の異議申し立てを棄却し、再審を確定すべきです。
 差戻し審において検察は、「検出されなかった成分は弁護側が主張する成分とは別のものの可能性がある」という新たな論点を持ち出し、実験をおこなうことを主張しました。これはいたずらに審議を引き伸ばし、あれが駄目ならこれを主張する、見苦しい「証拠漁り」行為です。
 目的が定まらない再現実験をおこない、際限の無い化学論争が延々と続けば、84歳となる奥西さんの人生が獄中で終わることになりかねません。
 9月10日は、一審の無罪判決を破棄し、名古屋高裁が奥西さんに死刑判決を言い渡して41年の日にあたります。この日、名古屋高裁を人の輪で取り囲む「人間の鎖集中行動」を予定しています。真実と道理にたつ世論で裁判所を包囲します。
〈要請先〉460―0001 名古屋市中区三の丸1―4―1 名古屋高裁・下山保男裁判長

関西ブロックが高裁・高検要請行動  

 8月24日、関西ブロックを中心に名張毒ぶどう酒事件の要請行動がおこなわれ、大阪、兵庫、滋賀、奈良、京都などから20名が参加しました。
 初めに訪れた名古屋高裁では、参加者が「検察官のこれ以上の引き伸ばしに応じるな」「奥西さんはもう84歳、ただちに再審を」などと口々に要請をおこないました。書記官ら2名が対応し、「要請のあったことや内容について、裁判官にお伝えします」と返答しました。
 続く名古屋高検への要請行動では、刑事事務課長、公安事務課長、公安係長の3名が対応。参加者は、「次から次へと主張を変える検察官のやり方は正義に反する」「はっきり負けを認めて、異議申し立てを取り下げ、奥西さんを釈放せよ」などと訴えました。検察官が最高裁での主張を留保し、ニッカリンTなどを再製造しておこなう実験で新たな主張を展開しようとしていることへの批判が相次ぎ、社会正義を実現する検察官としての職責を全うして欲しいと強く要請しました。10月22日は関東ブロックの要請行動がおこなわれます。(愛知県版再審開始をめざすニュースより)

滋賀・日野町事件で阪原さんが体調不良訴える  

 現在、広島刑務所で再審を求めてたたかっている日野町事件の阪原弘さんは体調不良に苦しみ、体重も35キロ以下に落ち込んでいます。阪原さんの状況を伝える「日野町事件即時抗告通信」を転載します。

 阪原さんは長期の拘禁生活によって、体力が低下し、度々、体調不良に見まわれています。7月初旬には病舎に移されるという事態があり、家族や弁護団が広島刑務所に病状や治療内容などの情報開示を求めました。
 広島刑務所は7月28日付の回答書で、阪原さんの病名を「気分不良」とし、「左足背に浮腫が少しあったが、呼吸音は正常で、血液検査と腹部エコー検査をおこなっても、異常は認められない」とし、結論的には「たいしたことはない」との見解でした。
 しかし阪原さんは、この間面会した弁護人や家族に体調不良を強く訴え、「刑務所外の病院での診断と治療」を強く求めています。こうした中でも阪原さんは外から送られてくる手紙やハガキに励まされ、体調不良を押して再審開始を求め頑張っています。

〈激励先〉〒730―8651 広島市中区吉島町13―114 広島刑務所 阪原弘さん

「一日も早く父を」 次女・則子さん  

 私たち家族は、父が元気でいるから頑張れるんです。7月2日に面会しましたが、刑務所にいる父は決して健康とはいえず、会話ができないほどの状態になっていました。
 途中で面会を切り上げて帰りましたが、心配で4日後にもう一回会ってきました。大丈夫って聞いたら、「しんどい」と一言。そして「ご飯も食べれない。食べても戻してしまう」と言いました。
 点滴を打ってもらっているのかと聞けば、「聴診器だけだ」と。「けれども、薬はもらっている。頭が痛いからバファリンを、便秘だからコーラックを、足がむくんで痛いから湿布をもらっている」とのことでした。
 刑務所でおこなわれているのは、家でもできるような治療です。父にちゃんとした治療を受けさせてやりたい、そして再審を勝ちとりたい。無実の父を一日も早く生きて取り戻すことができますように、どうか皆さんのご支援をお願いします。

鹿児島・大崎事件が第2次再審を申し立て  

 殺人事件の犯人とされた無実の原口アヤ子さんが裁判のやり直しを求めてたたかっている鹿児島・大崎事件で8月30日、原口さんと弁護団は、鹿児島地裁に第2次再審請求書を提出しました。原口さんは、第1次再審請求で02年にいったんは再審開始決定を勝ちとりましたが、04年に福岡高裁宮崎支部で取り消され、最高裁で確定していました。
 午後1時過ぎ、支援者が待つ鹿児島地裁前に原口さんは車椅子で現れました。今年83歳になった原口さんは数年前から足腰が弱り、杖が欠かせない生活になりました。けれども「高齢な私にとって無実を明らかにする最後の機会になるかもしれない」との思いで、今日の日を迎えました。
 地元鹿児島県本部をはじめ、九州の各県本部や大崎事件首都圏の会など68人が裁判所の中へ入る原口さんと弁護団を拍手で見送りました。
 その後、報告集会がおこなわれ、全国から300人の支援者が駆けつけました。原口さんは「第2次再審請求の申立てができて大変うれしい。私は義弟を殺してはいません。罪を着たままで死ぬことはできません。この申立てを裁判所に認めてもらえるよう皆様のお力をお貸しください」と訴えました。
 続いて弁護団が第2次再審請求の概要について報告。弁護団は、これまでの現場の状況と「共犯者」の自白がかみ合わないことを示した再現実験などの証拠と合わせて、さらに当時の供述調書を供述心理学の専門家に分析してもらい、「共犯者」供述は、中核部分が変遷するなど実体験に基づかない可能性が高いとする意見書を提出しました。そして、「問われているのは、司法全体に対する信頼である」と裁判所に対して強く再審開始を求めました。
 足利事件の菅家さん、布川事件の桜井さん、志布志事件の川畑さん、氷見事件の柳原さんなども参加し、原口さんへ応援メッセージを送りました。
 最後に「事件の真実を知ってください」と市民に向けたアピールを読み上げて報告集会は終わりました。

 守る会では今回の再審申立てにともない、すでに新しい再審開始を求める要請署名を作成し、全国で広げています。また、10月16日〜17日には第13回の全国現地調査を予定しています。原口さんが元気なうちになんとしても再審無罪を勝ちとるために、大勢の参加で成功させようと呼びかけています。

福井・女子中学生殺人事件で名古屋高裁金沢支部が公開の証人尋問を決定  

 前川彰司さんが殺人事件の犯人とされ、裁判のやり直しを求めている福井女子中学生殺人事件で7月28日、名古屋高裁金沢支部は裁判所、検察及び弁護団による3者協議を開催しました。協議の結果、弁護団が提出した法医学者で日本大学医学部の押田茂實教授の意見書を受け、同教授の証人尋問を10月22日、公開の法廷でおこなうことを決定しました。押田教授の意見書は、前川さんが使った車の内部の状況や被害者の傷口などが、警察・検察が作り上げた筋書きと有罪の根拠とされた「関係者供述」にそぐわないことを明らかにしたものです。
 同時に裁判所は、検察に対し、押田教授の意見書への反論意見書や反対証人があれば提出するよう求め、次回の3者協議は9月29日に予定されました。
 この事件では、弁護団が、警察・検察が隠していた「関係者供述」の調書を09年11月に開示させ、前川さんの無実を裏付ける証拠が新たに提出されています。弁護団は、再審請求審の審理は大詰めを迎えているとして、早期に前川さんの再審開始決定と無罪判決を必ず勝ちとると決意を述べています。福井県本部は傍聴席を埋め尽くそうと、近県にも呼びかけて準備を進めています。

福岡・九州定温輸送不当解雇事件で福岡高裁が逆転不当判決  

 労働組合をつぶす目的で子会社である九州定温輸送株式会社の解散をおこなった株式会社ワイケーサービスに対して、九州定温輸送で働いていた5人の労働者が地位確認と慰謝料を求めてたたかっている福岡・九州定温輸送不当解雇事件で8月26日、福岡高裁(小山邦和裁判長)は、会社の不法行為の一部を認め、慰謝料の支払いを命じた一審の判決を破棄し、原告の請求を全て棄却する不当判決を言い渡しました。
 判決は、会社側の言い分を鵜呑みにし、解散はやむをえなかったとした上で、さらに被告の組合員に対する嫌がらせについても、子会社内の業務におけるもので、ワイケーサービスに不当労働行為の意思が存在しているとはただちに言えないなどと一方的に断定する不当なものでした。
 九州定温輸送分会の原告らは、上告を断念したものの、「会社に対しては、引き続き『労働組合』として解決を求める」とコメントしています。

兵庫・姫路強制わいせつ事件の男性が釈放  

 アリバイがあるにもかかわらず女性の虚偽の供述で上司のO・Kさんが強制わいせつの犯人とされ、懲役2年の刑が確定し、獄中から無実を訴えていた兵庫・姫路強制わいせつ事件で、滋賀刑務所に収監されていたO・Kさんが8月26日、仮釈放されました。
 滋賀刑務所の前では、地元の国民救援会の支部をはじめ、枚(ひら)方(かた)冤罪事件で逆転無罪を勝ちとった倉美由紀さんや滋賀・日野町事件の阪原弘さんの次女・則子さんら支援者11人とO・Kさんの婚約者ら家族3人が横断幕を掲げ、「お帰りなさい」と出迎えました。
 支援者から仮釈放おめでとうのメッセージ集などが手渡され、O・Kさんは「本当に嬉しい。刑務所では支援者のみなさんからの励ましの手紙が心の支えでした。特に救援新聞で、全国の多くの人が無実を訴えているのを知って……」と涙で声を詰まらせました。家族らは、「こんな遠いところまで本当にありがとうございました」と感謝を述べ、現在自称被害者の女性が起こしている損害賠償裁判への支援を訴えました。(兵庫県本部)

愛知・豊川幼児殺人事件で地元支部と県本部が現地調査  

 トラック運転手の田辺雅樹さんが幼児を誘拐し殺害したとされ、懲役17年の刑を受け、大分刑務所から無実を訴えている愛知・豊川幼児殺人事件の現地調査が、東三河支部と愛知県本部の共催でおこなわれ、地元東三河支部を中心に28人が参加しました。
 マイクロバスで幼児を連れ去ったとされたゲームセンター、殺害したとされた三河湾の岸壁などを見て回りました。参加者からは、現場の状況に沿うように「自白」が変遷したことはおかしい、ありえない事件だ、などの意見や感想が出されました。
 学習会では、中部日本放送作製の事件DVDを視聴し、後藤昌弘弁護士が報告し、「再審では厳しいたたかいになるが、必ず再審無罪を勝ちとる。力を貸してほしい」と訴えました。(県版より)

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