日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年6月25日号

10年6月25日号  

東京・世田谷国公法弾圧事件で地元の会が決起集会  

 国家公務員の宇治橋眞一さんが休日に「しんぶん赤旗」号外を配ったことが、国家公務員法違反にあたるとして逮捕・起訴された世田谷国公法弾圧事件。5月に出された東京高裁の不当判決に抗議し最高裁での勝利をめざす決起集会が6月9日、事件が発生した地元の守る会「許すなビラまき弾圧! 世田谷の会」の主催で、世田谷区内でおこなわれ、56人が参加しました。

 世田谷国公法弾圧事件の弁護団・米倉勉弁護士は冒頭に「判決全文を読んで衝撃を受けた。公務員の政治活動を憎み、むき出しの敵意を感じる。国際自由権規約委員会の国際標準からかけ離れているという勧告に対し、出田裁判長はまったく熱意のない判決を出した。ひるまず足を止めずに政治活動をのびのびとおこない、裁判所にその重要性をアピールし、正しい憲法解釈を求める正念場が来た」と報告しました。
 また、葛飾ビラ配布弾圧事件の元世話人で憲法学者の小沢隆一さんは、「判決は、憲法21条(表現の自由)について何も書かれていないお粗末な判決。また、公務員への攻撃的な判決で、ありもしない仮定を立てている。猿払判決の一番悪いところを引き継いだ判決。葛飾事件の荒川さんも、堀越さんも1勝している。最高裁で宇治橋さんも1勝しよう」と述べました。
 国公法弾圧堀越事件の堀越明男さんは、「(堀越事件の無罪判決で)歴史は一歩前進したと思っています。大きなたたかいを進めるためには皆さんと一緒にたたかわないと前進できない。最高裁で猿払判決を乗り越える憲法判断をしてもらいたい」と述べました。
 世田谷国公法弾圧を許さない会事務局長の藤巻一世さんは、「最高裁では悔いのないたたかいをしたい。どういうことをすれば裁判官にきちっとした判決を書かせることができるのか十分考え、皆さんのお知恵を拝借しながら、最高裁のたたかいを進めていきたい」と述べました。
 最後に宇治橋眞一さんが、「最高裁で無罪判決を勝ちとることは、国民のビラ配布の自由につながります。国民全体の言論・表現の自由が根底にあることを頭に置きながら、運動していきたい。国公法が違憲と判断されなければ、安心して政治活動ができません」と述べました。
 閉会の挨拶で、世話人の古川立生さんは、「一人でも多くの人に事件の不当性を知らせ、会員を増やし、運動を進めていくことです。世田谷の会も全力をあげましょう」と述べ、参加者全員が団結がんばろうで決意を固めました。

選挙運動の権利を守る共同センターが学習会と宣伝行動  

 全労連、自由法曹団、国民救援会で構成する「選挙運動の権利を守る共同センター」は6月8日、のびのび街頭宣伝・選挙学習会を東京・平和と労働センターでおこない、20人が参加しました。
 葛飾ビラ配布弾圧事件の弁護団事務局長・西田穣弁護士と国公法弾圧堀越事件の弁護団事務局長・加藤健次弁護士が講演をおこない、「ビラ配布は憲法で保障された大事な権利。これからもビラを配り続けていただきたい」と述べました。
 また、6月16日には東京・御茶ノ水駅前で街頭宣伝をおこない、15人が参加し、「のびのび旺盛な選挙・政治活動で国民の思いを実現させましょう」と訴えました。

三重・名張毒ぶどう酒事件 名古屋市で全国活動者会議  

 無実の死刑囚・奥西勝さんが裁判のやり直し(再審)を求めてたたかっている三重・名張毒ぶどう酒事件。最高裁は4月5日に、再審開始決定を取り消した名古屋高裁決定は「科学的知見に基づく検討をしたとはいえない」として、同高裁へ審理を差し戻しました。事件発生から49年、検察・裁判所の引き延ばしを許さず、一日も早い再審開始と奥西さんの釈放を勝ちとらなくてはいけません。6月12日、名張毒ぶどう酒事件全国ネットワークと国民救援会中央本部の主催で名古屋市内で全国活動者会議が開かれ、16都道府県56人が参加しました。

 活動者会議には、会場に溢れんばかりの支援者が駆けつけました。
 名張弁護団事務局長の平松清志弁護士が弁護団報告をおこない、特に三者協議で検察が最高裁で主張してきたことを留保し、新たな主張をおこなうために実験をしたい、などと言い出したことについて、「引き延ばしにしかならない場当たり的な主張は許されない」と厳しく批判しました。最高裁決定では、毒物の成分が検出されなかった問題で、検出されにくい成分だったという検察の主張にもとづいて、審理が尽くされていないと差し戻されたにもかかわらず、この名古屋高裁の審理で新たな主張をすることはいたずらに審理を遅延させるものだ、と指摘しました。検察は7月20日までに意見書を提出して、そこで実験計画を提示し、判断される予定となっています。

 弁護団報告を受けて、名張事件全国ネットワークの田中哲夫事務局次長が、これらの検察の不当な引き伸ばしを許さず、裁判所に検察の異議申立てを棄却させ、再審開始決定を確定させるための運動が早急に求められている、としてとりくみの3つの柱を提起し、確認されました。

〈とりくみの3本柱〉
〇愿Δ気譴討い覽震篥世鮓〇,直ちに解明できなければ、時をおかずに再審開始を決定すること。
奥西勝さんに対して、死刑の執行停止にとどめずに、即時に釈放させること。
8〇,糧樟さにわたる「証拠隠し」を放置せず、全証拠を開示させること。

 全国の活動報告では、足利事件布川事件の再審開始決定などの報道によって、市民の関心が高まり、「打てば響く」情勢になっていることを鋭くとらえ、果敢に打って出ようという積極的な発言が多くありました。とりわけ、釈放の問題については、奥西さんが高齢であることや無実を訴えていること、そして死刑の執行が停止されている状態であることを考えれば、拘置する根拠はなくなっている、など発言がありました。

 今後のとりくみとして名張毒ぶどう酒事件全国ネットワークと国民救援会は、8月から毎月、全国ブロック別要請行動を予定しています。また、愛知県本部とともに死刑判決からちょうど41年になる今年9月10日、「人間の鎖」で裁判所を包囲するとりくみなどを計画しており、全国からの積極的な参加が呼びかけられました。

宣伝行動では市民から激励の声  

 全国活動者会議に先立ち、11日の正午から名古屋駅前で街頭宣伝行動がとりくまれ、全国から35人が参加し、一日も早い奥西さんの釈放を、と訴えました。
 特別面会人の大阪・早川幸子さんは「昨日奥西さんの面会に行ったら『とにかく早くしてほしい』と言っていた。奥西さんは文字通り命を削ってたたかっている。検察は隠している証拠を開示し、裁判所は再審開始決定と奥西さんの釈放を」と力強く訴えました。また、北海道・東京・富山などからの参加者もハンドマイクで訴え、奥西さんの支援が全国各地で広がっていることを市民にアピールしました。
 1時間の宣伝行動でしたが、ちょうど100人分の署名が集まり、参加者からは「引き返して署名してくれるなど、反応がよかった」などの感想が出されました。
 署名をした愛知の大学生2人は、「事件のことはニュース報道などで知っていた。証拠等を見ても奥西さんの無実は明らか。早く釈放を」と話しました。

名古屋高裁、名古屋高検に要請行動  

 活動者会議前日の6月11日には名古屋高裁、名古屋高検への要請行動がおこなわれ、全国からそれぞれ17人が参加しました。前回5月21日の要請行動から3週間で集まった6217人分、74団体の署名を提出しました。
 裁判所要請では、検察の不当な引き延ばしに振り回されることなく、一日も早く再審開始の決定を出すよう強く要請し、応対した訟廷管理官からは「必ず担当裁判官に伝えます」との確認をとりました。
 また、検察庁要請でもこの点が多く出され、名張事件全国ネットワークの砂野道男事務局長は、「こんな引き延ばしは許されない。検察は異議申し立てを取り下げるべき」と強く批判しました。また、「奥西さんはもう84歳。人道的に見ても、奥西さんを釈放させていただきたい」、「証拠が全て開示されていないのに死刑なんて国民は許さない」、「検察の正義が問われている」など指摘しました。いずれとも17人の参加者全員がそれぞれ要請をおこないました。
 次回は7月28日に要請行動などが予定されています。

茨城・布川事件で再審裁判の日程が決まる  

 茨城県利根町布(ふ)川(かわ)で1967年に起きた強盗殺人事件で犯人とされ、無期懲役が確定した桜井昌司さんと杉山卓男さんが無実を訴えている布川事件
 昨年12月14日の最高裁での再審開始確定を受け、再審裁判がおこなわれます。その第1回公判が、7月9日(金)午後1時30分から水戸地裁土浦支部(神田大助裁判長)でおこなわれることが、6月11日に開かれた裁判所、検察、弁護団による三者協議で決まりました。
 再審裁判では、2人の冤罪を一日も早く晴らすことが求められます。しかし検察側は、有罪を求め、争う構えです。三者協議でも、現場の遺留品のDNA型鑑定の実施を求めました。これに対し弁護団は、取調べなどの際に2人の唾液が飛んで遺留品に付着した可能性など誤鑑定の危険性を指摘し、鑑定は許されず、必要性はないと強く反対しました。
 協議後の記者会見にのぞんだ桜井さん、杉山さんは、みずからの誤りを認めず、あくまで2人を犯人にしようとする検察の姿勢を厳しく批判しました。

第2回以降の公判日程
  (いずれも1時30分から水戸地裁土浦支部)

 第2回 7月30日
 第3回 9月10日
 第4回 10月15日
 第5回 11月12日
 第6回 12月10日
〈無罪要請先〉〒300―0043 茨城県土浦市中央1―13―12 水戸地裁土浦支部・神田大助裁判長

滋賀・日野町事件で宣伝行動  

 強盗殺人事件で犯人とされた阪原弘さんが無実を訴え、現在大阪高裁で再審を求めている滋賀・日野町事件で、地元日野町民に事件の真実を知らせ、再審への支援を訴える宣伝・署名行動が6月13日、同事件対策委員会の主催でおこなわれました。
 関西各府県の「守る会」と国民救援会、そして家族を含め61人が参加。雨のなか、署名行動班8組、4台の宣伝カー、3組のハンドマイク隊、1組のスーパー前での宣伝隊と、役割分担をして約2時間半とりくみました。
 各戸を訪ねてリーフを配り、住民と対話し、署名をお願いする行動では、149筆の署名を得ることができました。大半の住民から、「大変ですね」「がんばってください」と、ねぎらいの言葉をかけられ、座布団をすすめられたり、お茶をいただくなど、心が温まりました。
 「町民のみなさんの温かさを感じることができました」と阪原さんの長女・美和子さんは話します。
 行動のまとめでは、日野町民の激励に確信を持ち、重要段階を迎えた高裁での即時抗告審で必ず勝利するためにがんばろうと誓い合いました。

弁護団が裁判所に証拠の説明行う  

 日野町事件弁護団は5月19日、裁判所に対し、鑑定など証拠の説明をおこないました。
 谷田弁護士が、被害者の死因に関する鑑定内容のポイントと阪原さんの「自白」との違いを、また岡根弁護士が、遺体の手首に残っていたヒモの結び方と「自白」との違いをそれぞれ説明しました。3人の裁判官は、弁護団の説明を熱心に聞き取りました。

2010年司法総行動「市民のための司法に」裁判所などに要請  

 2010年司法総行動が6月11日、東京でおこなわれました。この行動は、市民の立場からの司法の改革をめざし、99年からほぼ毎年おこなわれているものです。主催は同実行委員会(全労連、自由法曹団、国民救援会、東京地評、東京争議団共闘会議など9団体が事務局を務める)。
 総行動では、政権交代がなされたもとで、司法も大きな変化が期待されていることを指摘したうえで、最高裁、東京地裁・高裁、中労委、都労委、警察庁、法務省に対して、市民のための司法にするべく、制度の改善を求めました。
 要請では、裁判員裁判の実施から1年経過したことをふまえ、足利事件をはじめ相次ぐ冤罪事件が明らかになるなかで、冤罪を生まないために取調べの全面可視化(録音・録画)などの制度実施を求めました。また、国連からの厳しい勧告や国公法弾圧堀越事件の逆転無罪判決などをふまえ、言論・表現の自由を最大限保障すること、裁判所は本来の労働委員会の役割をふまえ、労働委員会の労働者救済命令を尊重すること、裁判所・省庁で国際人権規約を徹底して教育することなどを強調しました。
 取調べの可視化について法務省は、「大臣をはじめ政務三役も積極的にすすめ、早くやりたいとは思っている」と前向きの回答を示しましたが、警察庁は、「研究会や海外視察をしている。じっくり議論していきたい」「録音した状況で(被疑者が)真実を話すだろうか」などと述べました。
 最高裁への要請では、事前に送付した要請項目の概要を説明し、回答を求めました。これに対し、秘書課の審査官は、「事前に担当する部署に連絡したが、今日出席していないということは回答する必要がないと判断したのだと思う」と述べました。

東京・痴漢冤罪の2事件が集会  

 東京の西武池袋線小林事件と痴漢冤罪練馬駅事件の守る会は、法政大学法科大学院教授の木谷明さんを招いた支援集会を5月22日おこない、63人が参加しました。両事件とも誤認にもとづく「現行犯逮捕」で痴漢の犯人とされ、一・二審有罪判決が出されました。現在、無実を訴えて最高裁でたたかっています。
 最高裁調査官や東京高裁裁判官を務めた木谷さんは記念講演で、裁判員制度の施行とこの間の相次ぐ冤罪事件、無罪判決による国民の刑事裁判への関心の高まり、マスコミの報道や市民の理解の広がりのなかで、最高裁の審理に肯定的な変化が現れていると指摘。「小林さんの事件もNさんの練馬駅事件も必ず明るい未来が開ける」と激励しました。
 当事者の小林さんの奥さんとNさんが「絶対に負けるわけにはいかない。最後までご支援をお願いします」と訴え、参加者全員でアピールを採択。一日も早い無罪判決を、と決意を固め合いました。

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