日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年5月25日号

10年5月25日号  

東京・世田谷国公法弾圧事件で不当判決  

 2005年9月、総選挙投票日前日、東京・世田谷区内の警察官舎に、「しんぶん赤旗」号外を配布したことが、国家公務員の政治活動を禁止した国家公務員法・人事院規則に違反するとして厚生労働省職員(当時)の宇治橋眞一さんが起訴された世田谷国公法弾圧事件に対し、東京高裁(出田孝一裁判長)は5月13日、一審の罰金10万円の不当判決を支持し、宇治橋さんの控訴を棄却しました。宇治橋さんと弁護団は直ちに最高裁に上告しました。

 開廷。出田裁判長は宇治橋さんを立たせ、「主文 本件控訴を棄却する」と判決を読み上げました。「不当だ」と傍聴席から声があがりました。

 今回の判決は、「国公法を合憲とした最高裁大法廷の猿払判決やそれに追随した一審判決よりもひどい」(弁護団)ものでした。
 堀越事件で無罪判決を出した東京高裁(中山隆夫裁判長)が10人の学者や元国公労働者を証人採用し徹底的に審理したことに比べ、出田裁判長は弁護団の申請した証人をことごとく拒否し、自ら証拠を調べて判断しようとしませんでした。

 判決は、「猿払判決とすべて見解は同じ」との立場をまず示し、宇治橋さんが政党機関紙を配ったことは「政治的行為の中でも党派的偏向の強い」ものと決めつけ、「政治的中立性を損なうおそれが大き」いとして、処罰は合憲だとしました。
 この判断の根底には、公務員や革新政党の活動への敵視と偏見があります。
 判決では、「(ビラまきなどの政治的行為が)自由に放任された場合には、公務員の中には、……政治的党派の活動に組み込まれ、その職務遂行に党派的偏向を生じ、更には、行政組織内における党派的勢力の浸透、確立をねらう政治的党派の意向に沿った行動をとる者も出てくるおそれがあり、……政治的党派による行政への不当な政治的介入や干渉を招くおそれがある」と述べています。
 しかし裁判所の判断は、何ら証拠にもとづかない、裁判官の頭の中だけの空想です。猿払判決後の30数年の時代の進歩をふまえ、「民主主義が成熟している」として、ビラ配布の処罰は憲法違反だとした堀越事件の無罪判決と比べ、社会の流れに逆行するものです。
 また、国連自由権規約委員会が国公法弾圧事件を名指しし、裁判所が過度に政治活動を制約しないよう勧告を出したもとで、弁護団は国際的な人権水準に沿った判断を求めましたが、各国で歴史的な違いがあり、国連の指摘は当たらないと跳ねつけました。

 報告集会で弁護団は、堀越事件と合わせ審理を大法廷に回付させ、猿払判決を覆す歴史的な勝利判決を勝ちとりたいと決意を述べました。堀越明男さんも駆けつけ、宇治橋さんとともにたたかう決意を述べました。
 最後に世田谷国公法弾圧を許さない会から、高裁への抗議とともに、急いで最高裁への要請を強めようとの訴えがありました。
〈抗議先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―4―4 東京高裁・出田孝一裁判長

宇治橋眞一さん「最高裁で問う」  

 裁判は裁判官の質で決まると考えています。今回の裁判官は最低の裁判官です。
 そもそも国公法は公務の中立性を確保するための法律です。私の行為はなんら公務の中立性に影響を与えていません。この裁判官は、公務員が政治活動をやることをはじめから否定しています。
 日本の民主主義をどうするのか、ぜひ最高裁で問うていきたいと思います。ご支援をお願いします。

時効廃止法案が成立 国民救援会は反対  

 殺人などの凶悪犯罪の時効を廃止する法案が4月27日、衆院本会議で可決・成立し、即日施行されました。これにより、殺人罪など最高刑に死刑が定められた事件の時効がなくなり、そのほかの犯罪については、時効期間が現行の2倍になります。また、法施行前に発生した犯罪で、時効が成立していない進行中の事件についてもさかのぼって適用されます。国民救援会は、新たな冤罪を生む可能性があるなどとして、法案に反対する立場をとっていました。
 時効制度は、被疑者・被告人の人権を守り、適正な刑事手続きを保障するという憲法の要請にもとづいたものです。時効が廃止になれば、時間の経過によって散逸した証拠が、事実の発見・解明にも支障をきたし、冤罪や誤判が生まれる危険性が高くなります。「たとえ9人の犯人を逃したとしても、1人の無辜を処罰してはならない」という刑事裁判の原則が危ぶまれることになります。
 この法案は、国会でわずか4週間の審議しかされておらず、問題点が国民に充分明らかにされませんでした。

大阪・地裁所長オヤジ狩り国賠裁判で警察官を証人尋問  

 大阪地裁所長オヤジ狩り事件の国賠等請求裁判が5月11日、大阪地裁で開かれました。この事件では、5人の青年・少年らが大阪地裁所長を襲った犯人として仕立て上げられましたが、刑事裁判、少年審判で無罪が確定。謝罪などを求めて国賠裁判をたたかっています。
 はじめに事件当時13歳の少年の取調べをした警察官の証人尋問がおこなわれました。警察官は児童相談所まで何度も出向き、立ち会いもなく大声を出して取り調べ、相談所から善処を求められたことなどが明らかになりました。5人の無罪が明らかになった今も少年を犯人だと認識しているのかと問われ、今も自分は犯人であると思っていると答え、傍聴席からは驚きの声があがりました。
 午後からは岡本太志さん、藤本敦史さんの両青年と、彼らを取り調べた警察官の尋問がおこなわれました。取調べをうけた青年2人は暴力的な取調べの様子を具体的に語り、全面可視化の必要性も訴えました。警察官らに対しての尋問では、無実ならそのことを証明せよ、と取調べで迫ったことなどが明らかになりました。
 警察官らは無罪判決が確定した今もかたくなにそのことを認めず、あたかも裁判では負けたが自分たちは間違っていないと言わんばかりの証言に終始しました。

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