日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年4月5日号

10年4月5日号  

東京・世田谷国公法弾圧事件が結審 判決日は5月13日  

 集合住宅の郵便ポストに日本共産党の「しんぶん赤旗」号外を配ったことが、国家公務員法違反だとして元厚生労働省職員の宇治橋眞一さんが逮捕・起訴された東京・世田谷国公法弾圧事件で、3月19日、東京高裁(出田孝一裁判長)で宇治橋さんの本人尋問と、弁護団の最終弁論がおこなわれ、結審しました。判決は5月13日です。

 「一審有罪判決は事実や証言に基づいておらず、非論理的でいい加減なものだ」
 控訴審の第3回公判となるこの日、弁護人の質問に答える形で、宇治橋さんの意見陳述がおこなわれました。宇治橋さんは、きっぱりとした口調で一審判決を批判し、無罪判決を求めました。

 一審判決では、宇治橋さんは世田谷区内の集合住宅でビラ配布をしていたところを、現行犯逮捕されたと認定されています。しかし、その根拠となった警察官の証言はデッチ上げたものでした。これについて宇治橋さんは、「警察官の証言は何回も変遷し、法廷で明らかになった事実や証拠と矛盾し、ウソは明白でした。なのに一審は信用できるとしている」と厳しく批判しました。
 また、一審判決は、宇治橋さんのビラ配布が、国家公務員としての公務の中立性を侵害したと断定しています。「私の元上司が証言台に立って、私の行為が業務に影響を与えたことはなかったし、国民からの批判や意見もなかったと証言しています。実害はありませんでした。私の行為が有罪であるというのなら、実害の証拠を出すのが筋ではないでしょうか」
 一審はさらに、宇治橋さんのビラ配布行為を「政治的な重大な偏向」と認定しました。「ビラ配布は言論・表現の自由として憲法で保障された権利。それを政治的な『偏向』とした地裁判決は、人権や憲法そのものに対する認識が誤っています。事件後、職場を定年退職しましたが、厚労省や人事院から事情聴取も行政処分もなかったことは、私の行為は何も問題がなかったということです」
 宇治橋さんは最後に、「裁判所が検察官の弁護人に成り下がることなく、数十万人の国家公務員の言論表現の自由を守るかどうかという重要な問題であることを考慮して、社会的な評価に耐えうる判決を出してもらいたい」と強く求めました。

 続いて、弁護団が最終弁論をおこないました。
 弁護団は、一審判決が74年の猿(さる)払(ふつ)最高裁判決(国家公務員の政治活動を禁止した国公法は合憲と判断)に全面的に依拠して、公務員の表現の自由を規制することは憲法違反とはならないとしていることを厳しく批判。昨年11月に最高裁が公務員であっても地方議員のリコール請求の代表者になれるとした大法廷判決を示し、公務員の中立性を口実に政治活動の自由を一律に禁止することは許されないと指摘。また、一審が宇治橋さんを「管理職に準ずる立場にある」として、統計業務を「主観的な判断が入り込む余地がないとはいえない」と強弁したことは、元上司2人の証言から明らかになった事実に反しており、公務の中立性は損なわれていないことも強調しました。
 また、世界では公務員の政治活動は原則自由であり、自由権規約委員会から日本政府に対し、警察や検察、裁判所が不当な規制をしないよう、国内法を変えるべきだと勧告が出されていることを指摘。不当な言論規制の主体に裁判所をも挙げていることに留意し、当裁判所が言論弾圧の主体になってはいけないと述べました。
 最後に、東京高裁が弁護側の証人を全員却下したことは裁判所の職責を放棄したものであり、実質的な審理をおこなわず「見ざる、言わざる、聞かざる」になったと批判。判決に当たっては、時代遅れの猿払最高裁判決を見直し、宇治橋さんのビラ配布が憲法で保障されている権利であることを明確にし、人間の尊厳を守る判決をするよう強く要求しました。
 判決は、5月13日午前10時と指定されました。

大阪・枚方冤罪事件で逆転無罪判決  

 自宅で介護をしていた叔父の首をベルトで絞めて殺そうとしたとして逮捕された倉美由紀さんが、一貫して無実を訴え続けていた大阪・枚方冤罪事件。一審判決では懲役3年・執行猶予5年の不当判決を受けていましたが、3月19日、大阪高裁は逆転無罪の勝利判決を言い渡しました。
 判決言い渡しは、満席の傍聴人が見守るなか始まりました。
 「それでは判決を言い渡します。主文、原判決を破棄し、被告人は無罪…」逆転無罪の判決です。その時、傍聴席の最前列から、突然大きな泣き声が。倉さんの娘さんたち2人、まさに感極まって肩を震わせながら泣き続けます。傍聴席のあちこちからもすすり泣く声が。しかし裁判長は制止することなく、少し頬を紅潮させながらも、判決文を読み進めました。
 事件の争点は、首の傷がベルトで絞めた痕であるかどうかでした。弁護団は首の傷は褥瘡(床ずれ)であると主張し、医師・教授らもベルトで絞めた痕とは考えにくいと証言。検察側証人の近畿大学の巽教授は、ベルトによる絞殺痕であると証言していました。
 判決は、まず検察側証人・巽教授の証言の変遷をとらえ、合理的・科学的説明なしと断定。叔父さんが病院に運ばれた直後の臨床医の証言なども丁寧に検討し、ベルトによる絞殺とするには合理的な疑いが残るとしました。さらには叔父さんが倉さんによる絞殺行為を認めたとする警察官の証言なども検討し、証拠の収集などをキチンとおこなうべきであったと警察の捜査のあり方にも言及しました。
 判決後、弁護士会館において開かれた報告集会には弁護団をはじめ、国民救援会の各支部や、関西の冤罪事件の連絡組織であるたんぽぽの会のみなさんが集いました。倉さんは「国民救援会との出会い、たんぽぽの会との出会いが心の支えでした。これからは救援会とともに生きていきます」とあいさつし、ともに喜びを分かち合いました。

茨城・布川事件が3者協議、検察側が有罪立証  

 昨年12月に最高裁で再審開始決定が確定し、水戸地裁土浦支部で再審公判がおこなわれる茨城・布川事件で3月19日、弁護人、検察官、裁判官による第1回の3者協議がおこなわれ、検察側が再審公判で有罪立証をする方針を明らかにしました。裁判の進行や証拠の整理などについて、今後も引き続き協議されます。次回の3者協議は6月11日に予定されています。
 当日おこなわれた記者会見では、桜井昌司さんは「検察が『有罪立証をする』というならやってみろ、という気持ちだ」、杉山貞男さんは「無罪判決をもらって早くやり直したい」と述べ、冤罪を必ず晴らす決意を語りました。
 守る会は2人の一日も早い無罪判決と、誤った裁判がおこなわれた原因を解明するために検察が持つ全ての証拠の開示を求めて、土浦市で毎月の宣伝行動を予定しています。

東京・葛飾ビラ配布弾圧事件の荒川さんが国連人権理事会に文書発言  

 国連の特別協議資格を取得しているNGO、国際人権活動日本委員会(国民救援会も加盟)が、3月1日からジュネーブで開催されている国連人権理事会に、葛飾ビラ配布弾圧事件についての文書発言(英文)をおこないました。この事件は、日本共産党の「都議会報告」などの政治的なビラをマンションに配った荒川庸生さんが、住居侵入罪で逮捕・起訴され、最高裁で罰金5万円の不当な有罪判決を受けたものです。
 文書は、荒川さん本人が書いた草稿を補強したもので、「警察、検察、裁判所が自由権規約・日本国憲法を尊重せず、言論・表現の市民的自由を侵害している」、「その結果、日本では政治ビラに限らず、すべてのビラという媒介を用いた言論・表現の伝達行為が大きく萎縮し、受け取る側としての知る権利にも重大な障害が生じている」と日本の現状を報告しています。また、最高裁判決が、08年10月に自由権規約委員会から日本政府に対して出された勧告を一顧だにしなかった点についても告発しています。

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