日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年12月5日号

10年12月5日号  

国公法2事件の勝利めざす共闘会議が結成  

 国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件の最高裁での勝利をめざし、国公法共闘会議(国公法弾圧2事件の勝利をめざし、公務員の政治的・市民的自由をかちとる共闘会議)が11月16日、結成されました。総会は、東京・平和と労働センターで開かれ、約130人が参加しました。

 「結成総会が開かれたことが大変嬉しい」。代表世話人になった、憲法研究者で「九条の会」呼びかけ人である奥平康弘東京大学名誉教授はこう口を切り、2人の違憲無罪と猿払最高裁判決の変更を勝ちとるために、広範な市民の参加で共闘会議が結成されたことを喜びました。
 記念講演をおこなった晴山一穂専修大学大学院教授は、各国の公務員と日本の公務員の政治活動の自由を対比し、「言論・表現の自由は市民的自由。公務員の政治活動の自由を勝ちとることは市民的権利の拡充へとつながる」と述べ、時代遅れの猿払最高裁判決を「国際標準」に見合ったものに変えるべきだと提起しました。
 市民のたたかいにふさわしく、総会にはさまざまな立場、団体の市民が集まりました。
 これまでに共闘会議に参加したのは労働組合、女性団体、法律家、市民団体など25団体。事務局団体は、2事件の守る会と国民救援会の中央本部と東京都本部、全労連、国公労連、全教、自治労連、自由法曹団の9団体です。

 行動提起では、まず、古田裁判官の回避を求めるハガキ、電報、FAXの集中が呼びかけられました。これまでのとりくみで、すでに4千枚のハガキが普及されています。結成総会前におこなわれた弁護団の古田裁判官の回避を求める補充書の提出行動では、裁判所の担当書記官が、「たくさんのハガキが裁判所に届いています」と述べ、広がる支援の力が裁判所を揺さぶっていることが報告されました。
 また、大法廷回付と違憲無罪判決を要請する署名では、現在792の団体署名と2万人分を超える個人署名が集約されていることが報告され、ひきつづき来年1月末までに20万人分の署名を集めることが呼びかけられました。国民救援会では、年内に5万人分の署名を集めるとりくみを進めています。
 結成総会へ向けて呼びかけてきた国公法共闘会議への加盟をすすめるとりくみもひきつづきおこない、広く市民の声を最高裁に届けるために、毎月の最高裁要請行動への参加も呼びかけられました。

【代表世話人】(敬称略)
奥平康弘(東大名誉教授)
池田香代子(作家)
大澤豊(映画監督)
大黒作治(全労連議長)
宮垣忠(国公労連委員長)
山口隆(全教委員長)
野村幸裕(自治労連委員長)
菊池紘(自由法曹団団長)
堀江ゆり(日本婦人団体連合会会長)

共闘会議の3つの目標  

 国公法共闘会議は基本的人権としての言論・表現の自由を守り、世界標準にもとづいて日本の公務員の政治活動の自由を保障するたたかいを前進させる組織です。事務局長に選ばれた国公労連の岩崎恒男さんは、具体的に次の3つの目標を提起しました。

〆嚢盧曚膿獲されている2つの事件について、大法廷に回付させ、最高裁としての司法判断を求める。その上で両事件の違憲無罪判決を勝ちとる。

∈枷銃争を通して「世界標準」からも立ち遅れている国公法などの実態を国民的にも明らかにしていく。

9駝韻慮⇒を守る上でも、公務員の政治活動の自由が重要であることについて、国民的な賛同・共感を広げていく。

国公法弾圧堀越事件 堀越明雄さんの訴え  

 東京高裁の無罪判決は6年間の皆さんの力で勝ちとった無罪です。これから、大法廷に回付し、猿払最高裁判決を見直し、違憲無罪判決を求めるたたかいの始まりです。このたたかいに勝利するためにひきつづきご支援をよろしくお願いいたします。

世田谷国公法弾圧事件 宇治橋眞一さんの訴え  

 今日ここで共闘会議ができたことは大きな一歩だと思っています。古田裁判官の回避なくして大法廷での勝利はない。猿払最高裁判例は中身のないものであることは明らかです。皆さんと一緒にこの判例を消していきたい。よろしくお願いします。

三重・名張毒ぶどう酒事件で名古屋高裁が農薬の再製造と再鑑定の意向示す  

 奥西勝さんの再審をめぐって、名古屋高裁(下山保男裁判長)で差戻し審がおこなわれている名張事件で、裁判所、弁護団、検察による3者協議が11月17日おこなわれました。名古屋高裁は、奥西さんが犯行に使ったとされた農薬「ニッカリンT」の再製造をおこない、成分分析鑑定をおこなう意向を示しました。弁護団は、「鑑定の条件が明確でない」と、裁判所の意向を厳しく批判しています。

 3者協議後の弁護団の記者会見によれば、ニッカリンTの再製造について裁判所は、大学や研究機関から鑑定人を選任し、その上で鑑定人から化学薬品メーカーにニッカリンTの再製造を依頼させ、その成分を分析する方向を示しました。さらに裁判所は、ぶどう酒も再製造し、事件当時と同じ実験方法であるペーパークロマトグラフ試験をおこなう意向も出しました。
 これに対し弁護団は、ニッカリンTの成分分析には合意しましたが、ペーパークロマトグラフ試験については、当時と同条件で試験をおこなうことは無理で、さらに長期の時間を必要とするものであり、効率よく分析をおこなうよう指示した最高裁の決定にも反すると批判しました。

 国民救援会は、一日も早く再審を開き、奥西さんをただちに釈放するよう求め、裁判所へのブロック要請、署名運動にとりくんでいます。急速に世論を広げましょう。

特別面会人・稲生昌三さんの話  

 奥西さんは、来年85歳を迎える老齢の身。自身もここで再審に道を開きたいと訴えています。検察は自らの主張が破綻するなかで、あらたにニッカリンTやぶどう酒の再製造・再現実験を主張するなど、いたずらに審理の引き伸ばしを図っています。今回の裁判所の意向は、こうした検察の思惑に乗ったもので、私たちは厳しく批判しています。
 裁判所は、最小限のニッカリンT成分分析のみをおこなって、検察の主張が崩れれば、ただちに再審を確定し、奥西さんを釈放するべきです。

「私は無実です」――兵庫・えん罪神戸質店事件をあらたに支援決定  

 05年10月18日、神戸市内の質店、タバコ店などを経営していた男性が、店舗内で殺害され、翌日遺体が発見されました。被害者は頭を鈍器で少なくとも28回殴打され、頭蓋骨粉砕骨折をともなう脳挫(ざ)傷(しょう)により殺害されており、現金1万円余りが奪われていました。1年10カ月後の07年8月、神戸市で電気工を営んでいた緒方秀彦さんがスピード違反で指紋を採取され、その指紋が質店の店舗内に残っていた指紋と一致したとして、事件当時「不審者」を目撃した人に面割りをおこなったのち、9月に強盗殺人の罪で逮捕されました。緒方さんは一貫して無実を訴えています。

  • 裁判の経過

 検察は、店舗内に残っていた指紋のほか、緒方さんとDNA型が一致するタバコの吸殻があったこと、緒方さん宅から押収された靴と一致する靴跡が発見されていること、犯行があったとされる夜、店舗前の路上で不審者を見たという目撃証人が、緒方さんと似ていると言っていることから緒方さんを起訴しました。
 一審の神戸地裁(岡田信裁判長)は08年6月、緒方さんに無罪を言い渡しました。判決では、緒方さんは以前、この店舗に防犯カメラの取り付けの相談を受けて立ち入り、タバコとビールをごちそうになったと証言しており、店内の遺留物はその主張と矛盾しないこと、目撃者の面割りは警察官に誘導された可能性があることなどを指摘し、自白もなく、凶器もなく緒方さんと犯行を直接結び付ける証拠はないとしました。
 しかし、二審の大阪高裁(小倉正三裁判長)は09年9月、検察側の主張を受け入れて、全く同じ証拠について正反対の評価をし、緒方さんが金品の強取の目的で被害者を殺害したと認定し、無期懲役の逆転有罪判決を言い渡しました。

  • 緒方さんは無実

 しかし、緒方さんを有罪にするには多くの疑問が残されています。
 まず、不審者の目撃証人は、髪型は「スポーツ刈り」、服は「黒っぽいスポーツウェア」だったと一貫して証言しています。しかし、緒方さんは「縮れ毛で、額に垂れた」髪型で、服装も営業で店舗内に入ったので「薄緑色の作業着」を着ています。加えて、目撃者も「目は似ているが全体的には似てない」ことを繰り返し供述しています。
 次に、現場の状況も緒方さんの無実を証明しています。被害者はベッドに血溜まりを作って大量に出血しており、店内の壁や天井には多数の血痕があり、血液が付着した手で電話機に触った痕跡、血液の付着した足跡などが発見されました。このことから、犯人の体や着衣などには多量の血液が付着していたと考えられます。それにもかかわらず、現場に残されていた緒方さんの指紋や犯行当時履いていたとされる靴などからは、血液反応が一切検出されていません。そもそも、犯行の際に使った靴を1年10カ月も所持していることや現場にタバコの吸殻や指紋などを無造作に残していくこと自体が不自然で、防犯カメラの設置などを業務とする緒方さんが、計画的に犯行をおこなったとするのは不合理です。
 また、緒方さんは、被害者から相談を受けた際、ビールの空き缶を捨てるように頼まれ、ゴミ箱に捨てて帰ったことなどを証言しています。証言の通り、部屋からは空き缶が発見されておらず、タバコの本数や銘柄も一致し、信用できる証言です。
 一審の無罪判決では、被害者が生前、金銭トラブルを抱えていたものの、事件後の店内からは借用書の類が一切発見されず、さらに頭蓋骨が粉砕する凄惨な殺され方をしていることなどから見ても、現金目当ての殺害とは矛盾することも指摘されました。
 緒方さんは今年1月に最高裁に上告して、拘置所から無実を訴えてたたかっています。家族も緒方さんの無実を信じて支援を続けています。緒方さんは、事件とは無関係です。

〈激励先〉〒534―8585 大阪府大阪市都島区友淵1―2―5 大阪拘置所 緒方秀彦

茨城・布川事件の再審第5回公判で検察が無期懲役を求刑  

 茨城・布川事件の第5回再審公判が11月12日、水戸地裁土浦支部でおこなわれ、検察は「2人の自白の信用性は極めて高い。犯人であることは明らか」などとして、桜井昌司さんと杉山卓男さんにあらためて無期懲役を求刑しました。

 検察は約3時間掛けて論告をおこないました。
 桜井さん・杉山さんの初期の自白は、任意かつ極めて信用性の高い状況でなされたものであり、これだけでも2人の犯行であることが認められる、自白は客観的事実と符合して矛盾しておらず、初期自白以降の自白も、任意性が明らかに認められると主張。
 取調べで桜井さんのウソの「自白」を録音したテープにある13カ所に及ぶ編集跡は、重要でない部分を編集したものであり問題は無いとしました。
 2人が犯行時間帯に犯行現場に居たことは目撃証言から明らかであり信用性が高く、第3回再審公判で被害者宅の軒下に立っている人物は「杉山さんではない」と証言した女性の証言は、供述が変遷しており、不明確で信用性が低い。また、2人は虚偽のアリバイを主張し、これは犯人であることの裏返しであるなど主張。これらの結論として、2人が強盗犯人であることは明らかであり、2人はまったく反省しておらず、厳罰をもって臨むべきだとして、検察官は不当にも無期懲役を求刑しました。

 公判前、「どのように屁理屈をこね回して、求刑をするのか楽しみ」と桜井さんは話していましたが、記者会見では怒りを抑えながら、「虚しさ、哀れと思いながら検察官の論告を聞いていた。大阪地検特捜部の証拠改ざん問題があり、検察を改革すると言っているときに、布川事件での証拠隠しに対して平然としながら、無期懲役の求刑をしたことに、『ご苦労さん』という意味で手をたたいた」と話しました。
 杉山さんは、「論告求刑を聞いて、開いた口がふさがらなかった。ナンセンスであり、時間や紙やインクなどいろいろ無駄なことをした論告求刑だった。私も哀れさと怒りがこみ上げてきた」と話しました。
 弁護団も公判をふり返って報告しました。「検察は、2人の初期の自白には信用性があることを殊更に強調した。2人の自白は最終的にはまったく別な自白に変わっており、完全に崩れているのに、その自白が信用できるとするのは、何の意味があるのだろうか。再審公判で弁護団の新しい主張には一切触れず、昔の確定審の証言にしがみついているのが今日の検察官の姿だったと思う」
 最後に次回の最終弁論について桜井さんは、「日本の司法はおかしすぎる。言葉を尽くして、検察のひどさを語ろうと思っている」と、杉山さんは「言いたいことを言って、今日積もった鬱憤を晴らしたい」とそれぞれ語りました。
 再審裁判は、次回12月10日に最終弁論がおこなわれて結審し、来年春には判決が言い渡される予定です。

司法修習生給費制問題で院内集会 国会議員らに訴え  

 司法修習生に対して給与を支給する給費制が廃止され、生活資金を貸し付ける貸与制に移行しました。若手法律家などで組織するビギナーズネットや日弁連、「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」は、今臨時国会会期中の法改正を求めて運動を続けています。
 11月16日、参議院議員会館において、「司法修習生に対する給費制存続を求める院内集会」を開き、約200人が参加しました。ほぼすべての党派から議員やその秘書が出席し、国会議員へ給費制の存続を求めて訴えました。
 ビギナーズネットからの参加者全員が登壇し、「給費制維持を求める声を国会議員の皆さんに届けたい。これまでに200人を超える国会議員が給費制維持を表明しました。私たちはその声を信じて、今日まで頑張ってきました。今日の集会で決断する場所にしたい」と訴えました。
 集会に参加した国会議員からは、「給費制を維持することができず申し訳ない気持ちでいっぱい。ビギナーズネットの方たちがあきらめず、なお頑張っている姿を見て、驚きと感動を覚えた」などと発言がありました。
 給費制維持を求める賛同は831団体、67万8630人分の署名が集まりました。

 給費制の打ち切り後の11月18日、民主、自民、公明の3党が幹事長会談をおこない、貸与制への移行を1年間先送りする方針で合意しました。今国会で法案提出の予定です。
 自民党は貸与制への移行前から、給費制の維持に反対でしたが、維持を求める公明党との連携を重視する立場から、公明党の意向を受けて協議に応じたもので、11月24日の衆院法務委員会に法案が提出される見通しです。

滋賀・日野町事件で第8回全国現地調査  

 阪原弘さんが無実を訴え再審(裁判のやり直し)を求めている滋賀・日野町事件の第8回全国現地調査が11月13日、14日、滋賀県日野町でおこなわれ、11都府県から90人が参加しました。
 1日目は、阪原さんの「自白」がウソであることを心理学の角度から鑑定した浜田寿美男さん(奈良女子大学名誉教授)が記念講演。浜田さんは、裁判所は有罪の理由を「自白は証拠に合致する」としているが、虚偽自白は警察から与えられた証拠にもとづいて作られるもので、一見「証拠と合致している」ようにみえるなど、虚偽自白の実態を説明し、「裁判所は虚偽自白の実態を知らないで判断している」と批判。阪原さんの「自白」がウソであることを解説しました。
 阪原さんの長女・美和子さんが訴えに立ち、「逮捕されて22年。長く辛い22年でした。いま父は、刑務所で十分な治療も受けられず、死の恐怖も感じています。父を生きて取り戻したい」と訴えました。
 2日目の現地調査では、事件に関わる現場を訪ずれ、有罪判決の問題点を調査。阪原さんの「自白」の不自然さを検証しました。
 まとめの集会では、逮捕から22年以上も拘束され、体重が35キロを切り、病弱となっている阪原さんの仮釈放を求める運動が新たに提起され、参加者は一日も早い再審開始と阪原さんを元気なうちに取り戻す決意を固め合いました。

※浜田鑑定書は、日野町事件だけでなく、他の冤罪事件の「自白調書」を読み解くうえでも大変参考になります。1冊千円(別途送料80円)。ご注文は、日本国民救援会滋賀県本部まで
077(521)2129 FAX077(521)2534

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