日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年12月15日号

10年12月15日号  

再審えん罪事件全国連絡会の記念集会が開催  

 11月20日、再審・えん罪事件全国連絡会第19回総会記念集会「『私は犯人じゃない』―冤罪被害者の叫び」が、東京・南大塚ホールにおいて開かれ、約200人が参加しました。

 参加者が聞き入るなか、事件当事者や支援者が登壇し支援を訴えました。

 仙台筋弛緩剤冤罪事件の守大助さんの父・勝男さんは、「事件からまもなく10年が経ちますが、私たち家族にとっては30年も経つような時間でした。無実の息子を取り戻すために、皆さんのお力をお借りしたい」と、話しました。
 名張毒ぶどう酒事件の面会人・稲生昌三さんは「奥西勝さんの救出は、時間との競争となっています。奥西さんは来年1月14日に85歳を迎え、誕生日行動を成功させ、奥西さんを生きてかえせの声を大きく広げていただきたい」と語気を強めて訴えました。
 東住吉冤罪事件の朴(ぼく)龍(たつ)晧(ひろ)さんの母、李文子さんの「息子がやったと認めている、罪を認めて償うよう一筆書いてくれと警察から言われ、その手紙を見せられた息子は、親にも信じてもらえず、ウソの自白をしてしまいました。警察は家族も騙(だま)しました」との訴えを聞いた会場では、涙ぐむ人の姿も。

 この他、東電OL殺人事件、痴漢えん罪練馬駅事件、袴田事件、特急あずさ35号窃盗えん罪事件、福井女子中学生殺人事件日野町事件、大阪地裁所長オヤジ狩り事件、山陽本線痴漢冤罪事件大崎事件布川事件から、支援の訴えがされました。
 すべての事件の訴えが終わり、全員が壇上に並ぶと、集会参加者から大きな拍手が送られ、冤罪を無くし、苦しんでいる人を一日も早く救いだそうと決意を固め合いました。

壇上で支援を訴える、冤罪被害者と支援者

元裁判官 木谷教授が講演  

 元裁判官で法政大学法科大学院教授の木谷明さんが、「裁判所は変わるのか 私たち市民に今できること」と題して講演しました。
 木谷さんは、刑事裁判で一番重要なことは、無(む)辜(こ)(無実の人)を処罰しないことであるとしました。しかし、裁判所では犯人を取り逃がさないことが大切なことだという考え方が伝統的に強く、このような考え方では冤罪が生まれてしまうと説明しました。
 証拠開示については、開示範囲が広がったものの、検察が被告人に有利な証拠を持っていたとしても隠すことができてしまうことを指摘しました。証拠開示は、被告人・弁護人のためのものにもかかわらず、検事の判断により、検察側に役立つものだけを残す構造になっており、全面的証拠開示の必要性を話しました。
 また、検察による証拠改ざん問題で、国民の間でも理解されつつある取調べの全面可視化が必要であり、これは世界の潮流であること、このままではアジアの中ですら後進国となってしまうと指摘しました。
 最後に、「私たち市民にできることは、これまでにも増して、裁判所を監視・監督して、正しい判決がおこなわれる環境づくりをしていくことだ」と述べました。

茨城・布川事件 桜井さんが熱唱  

 記念集会第1部では、「歌と詩で語る獄中の29年間」と題して、布川事件の桜井昌司さんが獄中で作った歌を披露しつつ、自らの体験を交えながら冤罪事件について語りました。
 はじめに桜井さんから、再審開始決定を受けてからの経過が報告されました。事件について語りつつ、声量豊かな歌声を会場いっぱいに響かせる桜井さんでしたが、無実を信じて待ち続けていた母への想いが込められた歌「母ちゃん」の途中では、感極まって目を潤ませ、顔を上げ涙をこらえていました。
 桜井さんが「税金で集めた証拠を、検察官が独占して隠すような裁判制度は間違っている。いままで沢山の冤罪事件があるが、誰一人として逮捕された警察官、検察官、裁判官はいない。このような事が許されていいのでしょうか」などと訴えると、会場からは大きな拍手がおくられました。

滋賀・日野町事件の阪原さんが病状悪化  

 84年におきた強盗殺人事件の犯人とされ、無期懲役刑で服役中の阪原弘(ひろむ)さんが、病状を悪化させ重篤な状況にあることが12月2日、家族が阪原さんの面会に訪れた際に明らかになりました。弁護団は6日、阪原さんに適切な治療を受けさせ、刑の執行停止をするよう広島刑務所に要請しました。

 阪原さんの病状については、広島刑務所に次女・則子さんが面会に行った際、刑務所側の説明により明らかになったものです。それによれば、阪原さんは1カ月前から食事が食べられず、食べても吐いてしまう状態で、逆流性食道炎を起こしている、免疫力が落ちているので、抗生物質を投与しているが、それが効かなかった時は、急変する(死に至る)こともあり得ると説明。最悪の場合は外部の病院に入れることもあるとのこと。また、動脈硬化がかなり進んでおり、脳梗塞、心筋梗塞の危険性もあるとのことで、体重は34〜35キロとなっており、病状は悪化を続けています。
 面会室に現れた阪原さんは、車椅子に乗り、鼻には酸素チューブを入れ、則子さんの言葉にうなずく程度にしか反応できないほど衰弱していました。
 適切な治療が受けられない刑務所では、病状の回復はおろか、生命を危機にさらすことになります。
 弁護団は12月6日、広島刑務所に行き、阪原さんを直ちに外部の病院に移送して受診をさせ、検察官に刑の執行停止の上申をするよう申し入れました。この日、面会室に現れた阪原さんは、ストレッチャーに寝かされ、点滴と酸素吸入の管を付け、自ら言葉を発することがありませんでした。日野町事件対策委員会は、緊急に刑務所に対する要請ハガキや要請の集中を呼びかけました。
 そうした運動のなか、7日午後3時過ぎ、広島刑務所から家族のもとに電話が入り、「阪原さんを外部の病院へ移した。こちらに来れば病院に案内する」と連絡が入りました。現在則子さんと長女・美和子さんが広島刑務所に向かっていますが、阪原さんの容態については明らかになっていません。詳細は次号で報道します。

司法修習生の給費制1年継続が決定  

 10月に廃止された司法修習生に対する給与の支給(給費制)を、1年間継続する法案が11月26日、参院本会議で可決し成立しました。これにより、「給費制」に代わってお金を貸し付ける「貸与制」への移行は来年11月に先延ばしされることになりました。
 給費制を廃止し、あらたに貸与制を導入する問題をめぐっては、04年に成立した改正裁判所法により決定していました。法改正の際につけられた付帯決議では、貸与制の導入にあたり、「経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことのないよう、法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め、関係機関と十分な協議を行うこと」と明記されていました。しかし、改正法に手が加えられることはなく、11月の施行期日を迎えました。
 今年の春以降、若手法律家や司法修習生を中心としたビギナーズネットや、国民救援会も加盟する「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」、日本弁護士連合会などが、「高い人権意識があっても、経済的な理由だけで法律家になれなければ、司法の民主的発展はない」などと主張して、給費制継続を求めて運動を展開しました。この結果、民主、自民、公明の3党が協議して給費制を1年間継続する法案を提出することで合意しました。
 市民連絡会は声明で、貸与制導入を1年間先送りしただけで終わらせず、法曹養成制度に対する財政支援の在り方について、市民参加による開かれた場での検討を求めていくと発表しました。

三重・名張毒ぶどう酒事件で北海道・東北ブロックが要請行動  

 再審をめぐって名古屋高裁で審理がすすめられている名張毒ぶどう酒事件で、北海道・東北ブロックを中心とする要請行動が11月29日におこなわれ、7道県本部から13人が参加しました。
 名古屋高裁に対しては、「奥西さんは来年85歳となる。いつまで引き伸ばしをはかる気だ」「毎日を空虚に送らず、連日実質審理をおこなうことこそが、最高裁決定の意にも沿う道だ」などと訴えました。
 続く名古屋高検では、「証拠を隠したまま、死刑を維持しようとはどういうことか」「あなたたちの組織の刷新というのは、人事異動をおこなうことか。本当に刷新するというのなら、名古屋地検、高検のこれまでの改ざんを明らかにすることであり、名張事件の証拠を全面開示することではないか」などと訴えました。
 この日、名古屋高裁に個人署名6863人分を提出。累計で3万9885人分となりました。
(愛知県版名張事件ニュースより)

取調べの可視化を求める市民集会が東京・弁護士会館で開催  

 冤罪の実態を告発し、取調べの可視化を実現しようと、集会「待ったなし 今こそ可視化の実現を〜冤罪はこうしてつくられる〜」が12月2日、東京・弁護士会館でおこなわれ、400人が参加しました。主催は国民救援会も参加する「取調べの可視化を求める市民集会実行委員会」。
 集会では、足利事件の菅家利和さんが暴力行為を伴う取調べで「自白」させられたことを話し、任意同行の段階から可視化をすべきだと訴えました。
 布川事件の桜井昌司さんは、「警察は取調べの技術を磨こうとしないで、殴ったり蹴ったりして自白させようとするから、可視化に反対している」と指摘。杉山卓男さんは、「事前に練習したシナリオどおりの『自白』をさせられテープに録音させられた。一部可視化ではなく、全面可視化でなければ意味がない」と話しました。
 郵便不正事件の弁護団は、検察が第三者の供述を根拠に有罪立証したことを受け、参考人を含めすべての供述調書の作成過程が分かるようにすべきと主張しました。

再審・えん罪事件全国連絡会が総会  

 国民救援会も参加する再審・えん罪事件全国連絡会の第19回総会が11月20日〜21日、東京で開かれ、12事件約40人が参加しました。
 冒頭に坂屋事務局長が1年間の加盟事件の特徴的な動向を報告。これを受けて活発な討論がおこなれました。
 支援運動をいかに広げるかについての討論では、仙台・筋弛緩剤冤罪事件の守る会が、守大助さんの両親が訴えることで、守る会の全国的な広がりが出ていると報告。本人や家族の訴えが心に響けば、国民の健全な社会常識を高めることができるなどと話しあわれました。
 また、刑務所の処遇改善をすすめる課題については、刑務所での医療処置について日野町事件の阪原さんの支援者が報告。阪原さんの病状が思わしくないにもかかわらず刑務所が必要な処置をおこなわない現状が報告されました。
 このほか、「検察の証拠改ざん問題を受けて、証拠の全面開示への追い風となっているいま、制度改革の運動を進めていきたい」といった決意が語られ、討論を受けて、処遇問題など学習へのとりくみ、国民救援会と協力し全国いっせい宣伝行動、死刑制度について反対するという意思表明をしていくことなどが確認されました。

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