日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年11月15日号

10年11月15日号  

国公法2事件 年内5万人署名に向けて各地で奮闘  

 最高裁に係属している国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件について、全労連、国公労連、自治労連、全教や守る会などは、両事件の違憲無罪判決と猿払最高裁判例の変更を勝ちとるための20万人署名を提起しています。国民救援会は、年内に5万人分の署名を集めようと目標を掲げ、1万4400人分(うち国民救援会集約は約9千人分)の署名が集まっています。会員数を超える署名を集めた県本部も生まれるなど、各地で運動が広がっています。各地のとりくみを紹介します。

神奈川・相模原支部 仲間も増やし署名も増える  

 相模原支部は200人以上の会員に救援新聞を手配りし、対面での会費の集金をおこない、その中で意識的に署名の呼びかけをおこなっています。
 国公法弾圧2事件だけでなく、支部に集まる署名は徐々に増えています。この1年で総計2千を超える署名を集め、三重・名張毒ぶどう酒事件、茨城・布川事件などの事件署名や司法修習生の給費制存続を求める署名なども、200、300と集まっています。
 支部の会員は270人。国公法2事件の署名は405人分(11月5日現在)を集めました。
 事務局長の赤間平和さんは、「署名の大切さが会員のみなさんに伝わっている実感があります」と話します。11月27日に支部大会をおこなう予定で、今月も会員を増やして40カ月連続拡大を達成しようと奮闘しており、「組織拡大の中でさらに署名を集めることができる」と期待を語ります。

愛知・東三河支部 署名のチカラ最高裁動かせ  

 東三河支部と国公法弾圧を許さない東三河の会では、国公法2事件が地裁、高裁に係属していた時も、5千人分の署名を集め、傍聴などにも参加していました。最高裁に係属するにあたって、「最高裁大法廷で憲法判断を」の声を届けるには署名を集めるしかないと議論し、最高裁を動かすためにこれまで以上の署名を集めようと奮闘して、すでに1400人分の署名を集めています。
 「国公法弾圧を許さない東三河の会」では支部と共同で言論弾圧事件の当事者を招いて毎年集会を開いたり、ニュースを発行するなどの活動を地域で積み重ねてきました。会には地域の労働組合や学者、民主団体など幅広い方が参加しています。守る会に加盟する豊橋市職労では、小泉内閣で「地方公務員法にも国公法のような罰則規定を」と議論されたことから問題意識を持ち、すでに1000人に迫る勢いで署名を集めています。

東京・清瀬支部 地域に根ざし署名呼びかけ  

 国民救援会清瀬支部と三多摩総支部は、10月3日に東京・清瀬市内でおこなわれた「きよせ平和と健康まつり」に参加し、国公法2事件の署名行動をおこないました。
 歌や踊り、バザーなどで賑わう会場。清瀬支部のメンバーは、事件関係の書籍販売用のテントの傍らで署名を呼びかけ、53人分を集めました。
 支部では、「地域に救援会の姿をアピールしよう」と参加を決定し、国公法2事件の署名を推進しようと決めました。通りがかった人からは、「救援会はここでも頑張ってるんだね」と声をかけられました。

検証・検察の不正義◆ ̄ぺい、組織あげ  

 証拠のデータ改ざんが明らかになった郵便不正事件。「公益の代表者」であることを忘れ、自分たちに都合の悪いことはすべて隠そうとする検察の隠ぺい体質の実態が浮かび上がってきました。

 「取調べをメモしたノートは、すべて廃棄しました」 
 偽の障害者団体証明書の発行を指示したとして、厚生労働省の村木厚子元局長が起訴された郵便不正事件の裁判で、関係者の取調べをした際のメモをすべて廃棄したと6人の検事が法廷で揃って証言しました。
 「供述の信用性が争われたとき、メモの廃棄が不利になると考えなかったのか」
 裁判長の苦言に、検事らは身を縮めました。

 密室での取調べの様子が記録されたメモは、取調べの全過程が可視化されていない現状では、供述の信用性を示す客観的な証拠になります。最高裁もこのメモの価値を認め、「個人的メモの域を超え、捜査関係の公文書で、証拠開示の対象」とする決定を07年に出しています。最高検もこれを受け、メモを適正に保存するよう求める通知を、08年に2度にわたって全国の地検・高検に出しています。
 こうした判例や通知があるなかでのメモの廃棄。実は、最高検は通知を出した際に、「補足説明」と題した内部文書を添付し、自分たちが不利になるメモは速やかに廃棄するよう指示していたことが10月24日の報道で明らかになりました。
 「補足説明」には、必要性の乏しいメモを安易に保管しておくと、メモを開示するかどうかで無用な問題が生じかねない、必要なメモは保管し、それ以外のメモは、プライバシー保護などの観点から速やかに廃棄すべき、などとあります。
 広島の少年院での暴行事件や、要介護者を放置死させたとする事件の裁判などでも、検事が被疑者などを取調べた際に書いたメモを廃棄していたことが報道されています。最高検の「補足説明」に従って、プライバシー保護を建前に、各地の検察庁で組織的にメモの廃棄がおこなわれた疑いがあります。

 証拠改ざんと隠ぺいに関わった3人の検事を起訴し、不正を正す構えを見せている最高検ですが、実は早い段階から、特捜部の捜査に疑問を持ちつつ放置していたことが10月15日の参院予算委員会(社民党・福島みずほ参院議員の質疑)で明らかになりました。
 法務省側の回答によれば、無罪判決が出る半年前の今年5月、最高検は供述調書と改ざんされた証拠に食い違いがあることを認識。この点について大阪地検に対して質問状を送っていました。
 また、5月の公判で、村木元局長を有罪とする関係者の供述調書の大半が「信用できない」として証拠採用されませんでした。村木元局長の逮捕・起訴は、最高検が承認したもとでおこなわれていたので、この時点で当初想定した有罪の筋書きは崩れていたのです。それにもかかわらず、最高検は裁判を取りやめる指示はおろか、検討さえしませんでした。

 データ改ざん問題は、事実を知った公判担当検事らの内部告発で発覚したとされています。このことを「美談」として報じるメディアや、「信用が地に落ちた検察に一(いち)縷(る)の望みがあった」とコメントする元検事の弁護士などがいますが、被告人が無実であることを確信しながら有罪判決を求めて論告求刑までした事実はどう説明するのでしょうか。
 結局、検事の正義感や人間性では公正さを保つことは無理で、捜査の全過程可視化と証拠の全面開示をするしかないことが浮彫りになりました。
 最高検は、データ改ざん問題について、「徹底検証し、思い切った改革策を講じる」と原因探しを続けています。しかし、被告の無実を示す証拠は隠し、無実とわかっても裁判を続ける自身の「隠ぺい体質」こそが根本の原因であることに、まだ気づかないのでしょうか。

全国31地検に要請 各地でとりくみすすむ  

 証拠改ざん問題をうけて、全国の国民救援会の組織が検察庁と裁判所に対しておこなっている要請行動は、11月4日現在、予定しているところも含めて31都府県がとりくみ、10カ所で宣伝行動がおこなわれています。
 マスコミも関心を持って報道し、宣伝に市民から「改ざんは許せない」と怒りの声も寄せられています。

司法修習生給費制問題 引き続き運動を  

 司法試験に合格した司法修習生に対し給与を支給する給費制が廃止され、生活資金を貸し付ける貸与制に移行する改正裁判所法が11月1日施行されました。
 若手法律家などで組織するビギナーズネットや日弁連、「司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会」は、現在開かれている臨時国会の会期中(12月3日まで)の法律の再改正を求めてひきつづき運動を継続する方針です。

 国民救援会も参加する「市民連絡会」は、6月の結成以降、日弁連やビギナーズネットなどと共同で幅広く運動をすすめてきました。請願署名は9月29日の段階で66万7千人分を国会に提出。国会前での2千人パレードをはじめ、全国各地で無数の街頭宣伝や集会がおこなわれました。4度にわたる国会議員会館での集会には、多いときで70人の国会議員が参加しました。
 人権擁護と社会正義の実現への情熱をもった人が、経済的な理由で法曹になれなければ、司法の民主的発展はないという問題提起は、短期間のうちに世論を高め、マスコミも運動の動向に注目しました。

 こうした運動の成果で、与野党の垣根を越えて、多くの国会議員が給費制存続への賛同を表明し、民主党の法務部会でも存続する方針が決定されるなど、運動の成果があらわれていました。しかし、自民党と民主党の協議で調整がつかず、存続まであと一歩のところで立ち止まっています。
 市民連絡会と日弁連、ビギナーズネットは、11月1日、それぞれ声明を発表し、世論の後押しを受けて今臨時国会で法改正を実現させようと、運動を継続することを表明しています。

福井・女子中学生殺人事件で3者協議  

 86年に福井市で起きた殺人事件の犯人とされた前川彰司さんの再審請求をめぐる審理がおこなわれている名古屋高裁金沢支部(伊藤新一郎裁判長)で、10月22日に裁判所、弁護団、検察による3者協議がおこなわれ、弁護団が求めていた関係者の供述調書などの証拠が検察から弁護団に開示されました。これにより、供述を誘導する違法な捜査がおこなわれていた疑いや、検察が自分に不利な証拠を隠していた事実が明らかになりました。
 開示された証拠は、犯行当時、前川さんが乗っていたとされる車を所有する男性の供述調書など22点と、車内を撮影した写真29枚です。
 前川さんの有罪が確定した判決では、犯行前に前川さんに車を貸したと認定されていますが、開示された供述調書によって、男性は当初、「車を貸した記憶はない」と話していたことが明らかになりました。
 弁護団は記者会見で、男性の供述が変遷していることから、捜査官の誘導やすり替えがあったことを裏付けるものと指摘。不利な証拠を隠し続けていた検察の姿勢をあわせて批判しました。
〈再審開始要請先〉〒920―8655 金沢市丸の内7―2・名古屋高裁金沢支部 伊藤新一郎裁判長

東京・沖田国賠訴訟で最高裁に要請行動  

 痴漢にでっち上げられた沖田光男さんが、国(検察)や虚偽告訴した女性などを相手にたたかっている国家賠償訴訟で、沖田さんを支援する「警察・検察をただす会」は10月15日、最高裁への要請行動をおこないました。
 要請では、大阪地検の証拠改ざん・隠ぺい問題に関連して、沖田国賠でも検察が捜査書類を「破棄」する証拠隠しがおこなわれたことにより裁判が2年半空転し、長期化した事実を指摘。差戻し審の東京高裁判決が、目撃証言に準じる人物の証言は、10年の時を経過しており、全面的に依拠できないとして沖田さんの請求を棄却したことは、長期化の責任を沖田さんに転嫁するもので不当だと追及しました。また、こうした検察の違法行為を容認してきた裁判所の姿勢も問われるとして、早期救済を求めました。
 沖田国賠では、事件記録の提出を国側(検察)に求めたところ、検察は「誤って破棄した」と発表。一方、提出された準備書面には、事件の捜査状況が詳細に記され、「破棄」されたはずの調書の内容が引用されていました。

三重・名張毒ぶどう酒事件でブロック要請  

 ぶどう酒に農薬を入れて5人を殺害したとして死刑判決を受けた奥西勝さんが再審を求めている名張事件で、10月22日、国民救援会首都圏・関東ブロックによる名古屋高裁と高検への要請行動がおこなわれ、9都府県23人が参加しました。事件は05年に出た再審決定の確定をめぐり、最高裁が審理を高裁へ差し戻している状況です。
 はじめに訪れた高裁では、「検察官の不当な主張に惑わされる事なく、ただちに再審開始を」などと訴えました。
 次に訪れた高検では、「検察は名張事件でも証拠の改ざんをおこなっている」「まだ隠している証拠をすべて開示せよ」などと要請しました。
 この日、高裁に提出した署名は7059人分。累計で3万3022人となっています。

東京・東電OL殺人事件でゴビンダさんからお礼状  

 「再審無罪をもらって国に帰りたい」―強盗殺人の罪で無期懲役刑が確定し、横浜刑務所で裁判のやりなおしを求めてたたかっているゴビンダ・プラサド・マイナリさんから、昨年の年末募金の激励金に対するお礼が届きました。
 逮捕から13年たち、今年43歳になるゴビンダさん。「人生で最も良い時期は、拘置所と刑務所の中で終わった」と書く一方、「支援者の励ましがなければ、私もネパールの家族たちも、とうてい耐えることはできなかった」と明かしました。
 手紙はていねいな字でしたためてあり、「たくさんの署名を集めて、家族のところに帰れるようこれからも助けてください」と結ばれていました。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional