日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年10月15日号

10年10月15日号  

国公法弾圧2事件で学習決起集会開く  

 休日に、職場から離れた場所で日本共産党のビラを配布したことが、政治活動を一律全面的に禁止した国家公務員法に違反するとして起訴された国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件で、両事件の守る会などが9月30日、東京都内で学習決起集会を開き、205人が参加。勝利への決意を固めあいました。

 満席で熱気に満ちた会場。あいさつに立った堀越事件の堀越明男さんは、「裁判がはじまってからの6年間、日本を『戦争しない国』にするためにたたかってきた。勝利に向けて20万署名に全力をあげたい」と決意表明。世田谷事件の宇治橋眞一さんは、「社会の発展が必然ならば、弁護団の奮闘と私たちの運動によって裁判所を変えることができる。ひきつづきご支援を」とそれぞれ訴え、大きな拍手を受けました。
 堀越事件は逆転無罪、世田谷事件は不当判決―今年の春、2事件は同じ東京高裁で判断が分かれ、どちらも最高裁第2小法廷に係属しています。最高裁でのたたかいについて弁護団の加藤健次弁護士は、「公務員の政治活動を罰することは憲法に違反しないとした1974年の猿(さる)払(ふつ)最高裁判決を変更させ、両事件の違憲無罪を勝ちとる」と、たたかいの目標を掲げました。また、最高裁での議論について、「政治について無関心で言いたいことも言わない公務員ばかりでは、国民の利益や人権を向上させる行政は期待できない。公務員の権利が攻撃されるときには、国民の社会保障や権利も削られ、世の中全体の民主主義や言論の自由が抑圧されるという点も突きつけて議論をすすめていきたい」と強調しました。菊池紘弁護士は、「勝利するには、判例変更をさせるために2事件が大法廷に回付されることが必要だ」と話しました。
 国民救援会の鈴木猛事務局長も決意表明。「最高裁での勝利は、2人の人権を守り、公務員の市民的権利を守ることと同時に、なにより『世の中を良くしたい』とビラを配ることを犯罪にさせない意義をもつ。事件の本質は、もの言わぬ国民を権力が作ろうとしていること。2事件で勝利すれば、国民の声で政治を動かす大きな力になる。国民救援会の歴史と伝統をかけてたたかう」と訴えました。
 参加者は、来年1月末の世田谷事件の控訴趣意書提出期限までに20万名の署名集約と、毎月の最高裁要請行動や学習会にとりくむ行動提起を確認しました。

弁護団が大法廷回付を申立て  

 国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件の両弁護団は9月22日、最高裁第2小法廷に、両事件を大法廷に回付し、猿払最高裁判決を変更するよう申し立てました。
 2事件で焦点となった2人のビラ配布行為は、いずれも公務員の職務の公正を害するおそれがないものでした。実際、公務に弊害がなかったことは、両事件とも高裁で認めており、堀越事件では、表現の自由を保障する憲法21条に反するとして無罪判決を出しました。一方の世田谷事件では、公務員の政治活動を禁止することは憲法に違反しないと判断した74年の最高裁猿払大法廷判決を全面的になぞり、ビラを配ること自体に抽象的危険があるとして有罪判決を出しました。
 弁護団は申立書で、対照的な判決に社会が注目しており、多くのマスコミが世田谷事件の有罪判決を批判している。最高裁はどちらの判決が憲法に適合し、現代社会において受け入れられるか、裁判官全員の意見をもって国民に答えるべきだと要求しています。

古田裁判官が堀越事件を回避  

 最高裁第2小法廷の古田佑紀裁判官が、堀越事件の審理から外れる回避を申し出ていたことが9月22日、分かりました。
 古田裁判官は、堀越事件の起訴時、最高検の検事として捜査を指揮する立場にあったとして、自ら回避を申し出ました。
 弁護団は古田裁判官が世田谷事件からも回避するよう求めています。

大阪地検特捜部で検事が証拠を改ざん  

 障害者向けの割引郵便制度の悪用をめぐり、厚生労働省の元局長などが起訴された「郵便不正事件」で、事件を担当する大阪地検特捜部の検事が、押収した証拠を改ざんしていたことが9月21日、報道などにより明らかになりました。その後、改ざんの事実を知った上司も隠蔽に関わるなど、組織的な犯行だった疑いが持たれています。
 刑事裁判においては、「事実の認定は証拠による」(刑訴法317条)とされています。その証拠が改ざんされれば、裁判官や裁判員は事実認定を誤り、冤罪を生むことになりかねません。裁判の根幹をゆるがす重大な問題です。

 検察はこれまでも、捏造された証拠を法廷に出す一方で、無実の証拠は隠しつづけ、数多くの冤罪事件を生んできました。名張事件や布川事件でも、捜査機関によって証拠が改ざん・捏造されたことが明らかになっています。
 起訴した被告をなんとしても有罪にしようとする体質が、公益の代表者であるはずの検察の正義に大きく影を落としています。今回の問題は、ひとりの検察官の個人的問題にとどめず、背景にある腐敗した体質にメスを入れる必要があります。同時に、このような検察の不当な起訴や立証を審理してきた裁判所の責任も、合わせて問われなければなりません。

 国民救援会中央本部は、問題の徹底究明を求め、9月22日と10月6日、最高検に対し要請をおこないました。今後、全国の検察庁や裁判所に対し、申入れをおこなう方針です。

国民救援会大阪府本部が大阪地検へ  

 大阪府本部は9月22日、大阪地方検察庁を訪れ要請をおこないました。申入れをしたのは府本部の姫野浄副会長と伊賀カズミ副会長。証拠改ざん問題の真相究明と再発防止、検察の手持ち証拠の全面開示、取調べの全面可視化を求めました。

 「こんなところで申し訳ありませんが」と案内されたのは、取調室とおぼしき狭い部屋。姫野副会長が要請文を読み上げて差し出すと、応対した特捜部の検察事務官は、「(証拠改ざんは)前代未聞のことです」と、ことさらに強調。続けて「前田検事がどうして改ざんをおこなったのか疑問に思うし、不信感を持っている」などと立て続けに述べると、報道の直後から抗議のFAXや電話が殺到していることを明かして、困惑しているかのような表情を見せました。
 これに対し伊賀副会長は、「今回の問題は、証拠を『改ざん』したことに注目が集まっているが、オヤジ狩り事件で否認している被疑者に『自白』が強要されたように、やってもいない犯行を『やった』と言わせるのも『改ざん』ではないのか」と追及。さらに、布川事件で無実を証明する重要な目撃証言を、検察が40年近く隠し持っていたことなどを例示して、「有罪の筋書きに合わせて自分たちに有利に『捜査』し、公判をすすめるという検察の悪しき体質があった。それによって、いままで多くの冤罪が生み出されてきたのではなかったか」と責めました。饒舌だった事務官は反論することなく口を閉ざし、要請文を検事正に届けると約束しました。

 申入れをした伊賀副会長は、「最近では、個別事件の要請に訪れても、庁舎の入口で書類を渡すだけにとどまっていた。いま、検察は国民の声を受け入れざるを得ない状況に陥っており、今こそ抗議や要請行動を積極的におこなう機会だ」と申入れの意義を話しています。

名張事件全国ネットワークと愛知県本部が名古屋高検へ  

 大阪地検特捜部の証拠改ざん問題を受け、名張毒ぶどう酒事件全国ネットワークと国民救援会愛知県本部は、9月24日、名古屋高等検察庁と名古屋高等裁判所に対し、緊急の申入れをおこないました。
 名張事件では、奥西勝さんが犯人になるよう、村人の目撃供述がいっせいに変えられたほか、死刑判決の決定的根拠となった奥西さんの歯形の鑑定が、実は拡大倍率を操作し捏造されたものだったことや、再審の審理のなかで検察が証拠として提出した検分調書に添付された写真の日付が書き換えられるなど、悪質な証拠改ざんが顕著に見られます。
 名古屋高検の要請には5人が参加し、名張事件の証拠改ざん問題にふれ、未開示の証拠すべてを開示するよう求めました。参加者は、「不正義の検察に異議申立ての資格なし」などと要請しました。
 名古屋高裁には阪本貞一愛知県本部会長をはじめ5人が要請。要請書を手渡した後、「検察官の証拠が信用できないものとわかった以上、ただちに再審を」などと求めました。
 要請に参加した愛知県本部の竹崎義久事務局長は、「週末におこなわれた集会でも、『検察の証拠の改ざん問題を話してくれ』と要望が出るなど、国民救援会に対する期待が高まっている。今こそ大きく打って出ることが、すべての支部、事件関係者に求められている」と話しています。

中央本部が最高検へ  

 国民救援会中央本部は鈴木亜英会長をはじめ代表が2回にわたり最高検に申入れをおこないました。
 最高検として今回の事件を徹底的に調査し、国民に公表することを求めたうえで、検察組織の自浄能力には限界があり、第三者機関による検証が不可欠だと強調しました。さらに、これ以上の冤罪事件を生まないために、検察官の手持ち証拠の全面開示と、取調べの全過程の可視化(録音・録画)を求めました。

証拠改ざん問題
 障害者団体向け割引郵便の不正利用をさせるため、偽の障害者団体証明書を発行したとして、厚生労働省元局長などが逮捕された事件をめぐる検察の証拠改ざん疑惑。大阪地検特捜部が捜査で押収したフロッピーディスクに入っている文書の日付データを、捜査の見立てに合うよう意図的に改ざんしたことが報道で明らかになり、最高検は9月21日、改ざんをおこなったとして前田恒彦主任検事を証拠隠滅の疑いで逮捕した。その後、改ざんの事実を知りながら公表を隠したとして、特捜部長と副部長も逮捕された。検察が組織ぐるみで無実の人に罪を着せる犯罪行為をしていた疑いが持たれている。証明書偽造を指示したとされた元局長は9月に無罪判決が確定。

宮城・自衛隊の国民監視差止訴訟で防衛省幹部の証人尋問を求める  

 陸上自衛隊の情報保全隊による国民の監視と情報収集の差止めを求めて107人の原告が仙台地裁(畑一郎裁判長)に提訴している裁判で、9月27日、第17回口頭弁論が開かれました。弁護団は、監視の目的などを明らかにするため情報保全隊の幹部などに対する証人尋問を認めるよう求めていました。公務員などを証人として職務上の秘密について尋問する場合は、当該監督官庁の承認を得なければならないため、地裁は、この証人尋問を防衛省に照会しましたが、防衛省は認めず、弁護団はそれに対する反対意見を述べ、あらためて証人尋問の必要性を訴えました。証人の採否については、11月1日におこなわれる次回の口頭弁論で決めることになりました。
 防衛省は具体的事実を述べることなく、尋問を予定している事項について「職務上の秘密にあたる」などと一般的に述べた上で、証言をおこなうことで、「国の安全が害される恐れが生じる」として、証人尋問を承認しませんでした。
 弁護団は、国民監視は「職務」ではなく、また尋問事項も「秘密」ではなく、まして公務員に対する証人尋問が法律で認められている以上、一般的な「職務上の秘密」であるという回答だけで拒否することはできず、仮に「公務の遂行上著しい恐れがある」と判断される事項があったとしても、それ以外については尋問できることなどを指摘。裁判所に対して、証人を呼び、法廷で判断すべきだと迫りました。
 原告団は証人尋問を求める署名をさらに広げよう、と呼びかけています。
〈署名集約先〉〒980―0081 仙台市青葉区一番町2―10―24 翠ビル2F 一番町法律事務所気付 自衛隊の国民監視差止訴訟を支援するみやぎの会 TEL022(262)1901

大阪・地裁所長オヤジ狩り国賠が結審  

 9月21日、大阪地裁所長オヤジ狩り国賠裁判の最終意見陳述がおこなわれ、結審しました。
 意見陳述に立った弁護団は、「本件は大阪府警と検察庁の杜(ず)撰(さん)・悪質な捜査ミスによる作られた『冤罪』である。捜査の違法性と、これに漫然と加担した児童相談所の違法性が国家賠償という形で断罪されてこそ、真の完結と将来における同種事案の予防という存在意義の確立を見る」と訴えました。つづけて原告が受けた不当な取調べの様子などを述べ、被告の大阪府、国、大阪市それぞれの違法性を明らかにし、責任を追及。裁判所に判断を迫りました。
 「自分たちを犯人扱いした被告らに、とにかく一言謝ってほしい」と切望する原告の気持ちを踏みにじり、国賠裁判の法廷においてさえ、被告である警察や検察は、今も捜査に誤りはないと強弁しています。
 裁判終了後、報告集会に集まった人たちからは、許せないという怒りの声とともに、何としても、国賠裁判に勝利しようとの決意が交々述べられました。
 判決は1月20日。支援する会では、引き続き署名にとりくむとともに、ハガキ運動も提起しています。
〈要請先〉〒530―8522 大阪市北区西天満2―1―10 大阪地方裁判所民事第7部 吉田徹裁判長

岐阜・小池代読裁判で障がい者の自己決定権認めぬ判決  

 発声が困難になった元中津川市議の小池公夫さんが、市議会で代読による発言を求めたところ、パソコンの音声変換ソフトなどを使った発言を強制されたため、参政権の侵害と障害者に対する差別で人権侵害だとして損害賠償を求めた小池代読裁判。岐阜地裁(内田計一裁判長)は9月22日、市議会の措置の一部を違法として、市に10万円の損害賠償を支払うよう命じる判決を言い渡しました。
 判決は、議会が「パソコンによる発言」という手段を当初に強制したことを認め、違法だとする一方で、その後議会側が出した、一部代読を認める折衷案を小池さんが拒否したことなどをとらえ、「代読に固執した」などとして違法性を認めませんでした。また、小池さんの発言方法の自己決定権については、「議会には自律的に決定・処理する権限がある」として認めない障がい者への理解を欠く判決でした。
 小池さんは、「事実が認められず、納得いかない」と障がい者の権利確立を訴え、後日控訴しました。

宮城・筋弛緩剤冤罪事件の支援が各地で広がる  

関東の守る会が交流  

 9月18日、宮城・仙台筋弛緩剤冤罪事件で無実を訴えている守大助さんの関東地方の守る会の交流会が東京で開かれ、6都県と宮城の救援会、支援団体とご両親の26人が集まりました。
 参加者は各地の現状と活動の報告を出し合い、交流しました。今後は独自の運動をおこないながら、再審請求の準備、国民救援会との協力・共同を進めていくことなどを話し合いました。

愛知で守る会が結成  

 10月2日に「仙台筋弛緩剤えん罪事件・守大助さんを守る愛知の会結成総会」がおこなわれ、40人が参加しました。
 医療関係者も多数参加し、裁判所の非科学的な判決に、「おかしなことばっかりだねえ」などの声も。ご両親に激励金を手渡し、会場では30人が守る会に入会しました。

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