日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

10年1月15日号

10年1月15日号  

東京・国公法弾圧堀越事件が結審 判決は3月29日  

 社会保険庁(当時)の職員だった堀越明男さんが、休日に自宅近くで日本共産党のビラを配ったことが、国家公務員法・人事院規則で禁止された政治活動にあたるとして一審で罰金10万円・執行猶予2年の不当判決をうけた国公法弾圧堀越事件の控訴審第14回公判が12月21日、東京高裁(中山隆夫裁判長)で開かれました。堀越さんの意見陳述と弁護団の最終弁論がおこなわれ、裁判は結審しました。判決言い渡しは3月29日に決まりました。

 「この事件では国民の基本的人権、とりわけ表現の自由が問われています」
 公判の冒頭に堀越さんが意見陳述をおこないました。堀越さんは傍聴者を背に、大きな声で裁判官にきっぱりと述べました。
 「裁かれるべきは、私のビラ配布行為ではなく、1カ月も私を尾行・盗撮してプライバシーを侵害した公安警察です」

 つづいて弁護団が最終弁論をおこないました。21人の弁護団が、これまでの公判で得られた法学者や元公務員労働者の証言などを踏まえ、堀越さんが無罪であることを気迫を込め弁論しました。
 弁論は、公務員の政治活動を一律に禁じた国公法・人事院規則は憲法に違反しないと判断した74年前の猿(さる)払(ふつ)事件最高裁判決の批判にはじまり、国際的見地からも公務員の政治活動規制が異常であること、さらに公安警察による尾行・盗撮そのものが違法捜査であることを明らかにしました。
 公務員が政治活動をすることの公務への影響について述べた小部弁護士は、「郵政民営化により、業務内容は変わらないにもかかわらず、25万人の職員の政治的行為に対する規制が一切消滅した」と紹介。「しかし、当時の政府も国会も規制の是非について議論していない。堀越さんの政治活動の是非についてまともに議論しているのは私たちだけで、このこと自体が滑稽で違和感がある」と述べると、傍聴席から笑いがこぼれました。
 松川事件の弁護団を務めた竹沢弁護士が、作家広津和郎の言葉、「何よりもまず 正しい道理が通る国にしよう この我(われ)等(ら)の国を」を紹介し、司法に携わるものが道理の通る判断をすべきだと訴え、傍聴席から拍手が起こりました。
 最後に主任弁護人の石崎弁護士が、「裁判所が法律家としての見識を有するならば、本事件の判決は無罪しかありえない。猿払最高裁判決の呪縛(じゅばく)と決別すべき時だ」と述べ、5時間にわたる弁論を締めくくりました。

 公判後の報告集会で堀越さんは、「公安警察とは違い、私のビラ配りには正義と道理があります。絶対に負けるわけにはいきません」と目を潤ませて訴えました。
 加藤弁護士は、「弁論は終わりですが、判決日までのこれから3カ月が大切です」と強調。判決に向けたさらなる支援を訴えました。
 東京高裁あてに提出した署名は現在約8万筆。守る会は判決に向けて署名の集約を急ごうと呼びかけています。逆転無罪めざし全国からの支援をお願いします。

〈無罪判決要請先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・中山隆夫裁判長

栃木・足利事件第3回再審公判 当時の科警研所長が証人尋問  

 DNA型再鑑定の結果、菅家利和さんの無実が明らかになり、昨年6月に再審開始が決まった栃木・足利事件の第3回再審公判が12月24日、宇都宮地裁でおこなわれました。
 この日は、誤ったDNA型鑑定をおこなった警察庁科学警察研究所の福島弘文所長が証人として出廷しました。福島所長は足利事件からそれ以後の法医学の分野で重要なポストを占めている人物であり、足利事件で間違ったDNA型鑑定がおこなわれていることを熟知し、しかもそのDNA型鑑定の危険性を認識していた人物だけに、証言によっては足利事件の誤判原因の究明が大いに進むことが期待されました。しかし、福島証人は弁護団の尋問に対して明快に回答しようとはせず、弁護団の粘り強い尋問の末、足利事件の確定審で使われた科警研の旧DNA型鑑定に問題があることをようやく認めました。
 福島証人は尋問のなかで、DNA型鑑定をするときには被害者のDNA型をあらかじめ排除することは鑑定の基本であると即座に答えておきながら、科警研がそれをやっていなかった事実について追及されると、質問とかけ離れたあいまいな証言をして、回答を避けようとしました。さらに、論文を発表するときには、旧鑑定のように様々な問題がある鑑定結果は使わないとしながら、刑事裁判というとりわけ正確な鑑定が必要とされる場合に旧鑑定が使われたことには何の問題意識も示しませんでした。
 尋問の最後に、菅家さんが、「誤った鑑定によって有罪判決を受けたのだから謝ってほしい」と発言すると、福島証人は、「当時の技術には問題があったが、我々はミスを犯していない」と、謝罪を拒否しました。
 公判終了後、弁護団報告を兼ねたクリスマスパーティー&忘年会が開催されました。支援者は、弁護団や菅家さんを迎え、福島証人の尋問に対する態度に新たな怒りを燃やしました。栃木県本部から菅家さんにクリスマス・プレゼントが手渡されると、菅家さんは大変喜び、その場にあったサンタクロースの帽子を被って、支援者の皆さんにお礼を述べ、場は大いに盛り上がりました。

NTTリストラ大阪訴訟で原告勝訴が確定  

 NTTが51歳以上の職員に対し、退職させた後賃金をカットした上で再雇用する11万人のリストラ計画を提示し、退職に同意しなかった人に遠隔地配転を強要したことは違法だとして、全国7地裁に提訴されたNTTリストラ裁判の大阪訴訟(原告21人)で12月8日、最高裁第3小法廷(近藤崇晴裁判長)が原告と被告双方の上告を棄却。原告17人に対して賠償請求を認めた二審・大阪高裁判決が確定しました。
 09年の二審判決は、「業務上の必要性を認められず、配転は違法」などとリストラを断罪していました。

国民救援会福岡県本部が取調べ可視化等求め、鳩山党首宛に要請  

 国民救援会福岡県本部の山本一行会長ほか3人は、民主党福岡県連を訪れ、警察の取調べ全過程を可視化する法案の早期成立を求める要請書と、人権侵害を国連に訴えることができる「個人通報制度」の批准を求める要請書を政務担当者に手渡し要請しました。
 いずれも先の総選挙で、民主党がマニフェストで公約しているもので、どちらも緊急な課題となっており、次期国会で提案・成立させるよう鳩山党首宛に要請しました。

愛知県本部と天白支部が布川事件の再審開始決定受け、緊急宣伝行動  

 布川事件の再審開始決定が明らかになった12月15日、国民救援会愛知県本部と天白支部が合同で植田駅前で宣伝をおこないました。7人で訴えながら、ビラを配布。通常の倍近い300枚を約1時間で配りました。「よかったですね」などと言いながらビラを受け取りに来る人が多数いました。
 また、翌日16日も名古屋駅前で15人で宣伝。マスコミの取材も受け、翌朝NHKで報道されました。このとりくみのなかで救援会に入会する人もあり、多くの人から激励の声をもらいました。

「冤罪に終止符を」 新聞社説・コラムから布川事件を見る  

 昨年12月、布川事件の再審開始決定が最高裁で確定しました。各紙とも、再審の扉を広げた決定を評価する一方、無実の証拠を隠しつづけた検察を批判し、警察の取調べ可視化(録音・録画)の必要性を強調しています。各紙の社説・コラムを紹介します。

 「正義と公正を欠いた司法権力は野に放たれた虎にも等しい」(朝日新聞・天声人語)
 無実の証拠隠しをおこなった警察と検察に浴びせられた言葉です。

 布川事件では、桜井昌司さんと杉山卓男さんが犯人だとする物的証拠はなく、強要されたウソの「自白」とあやふやな目撃証言が有罪の根拠とされました。再審開始の決め手となったのは、検察が隠し続けてきた重要な目撃証言や桜井さんの「自白」を録音したテープなどの新証拠でした。
 「証拠を一手に握っているのは検察側だ。証拠を意図的に出さなかったり、テープを改ざんしたりしては、公正な裁判は望めない」(読売新聞・社説)
 「裁判員裁判で、裁判員は法廷に出された証拠に基づいて判断する。……証拠開示のあり方もさらに見直しが必要ではないか。少なくとも殺人のような重大事件や再審では全面開示を義務付けるべきだ」(毎日新聞・社説)

 桜井さんと杉山さんの「自白」は客観的事実に反し、犯人しか知りえない「秘密の暴露」もありません。警察官の誘導のままに「自白」が作られたことは、録音テープの編集痕からも明らかでした。
 「冤罪を防ぐためにも、全面可視化を急ぎたい。都合のいいところだけをつなぎ合わせることができる一部可視化ではかえって、信頼度が低下することも考えられる。法務・検察当局の決断が待たれる」(新潟日報・社説)
 「足利事件に続き、自白の信用性―取り調べの信頼性が崩れたことに強い不信感を抱かざるを得ない。取り調べ全過程の録音・録画(全面可視化)の必要性をあらためて強調しておきたい」(岐阜新聞・社説)

 足利事件につづく布川事件の再審決定。いま、開かずの再審の扉に一筋の光が差し込んでいます。
 「無実の人を罰するのは重大な不正義だが、真犯人を取り逃がす意味でも不正義だ。『疑わしきは被告人の利益に』の原則を徹底したい。名張毒ぶどう酒事件など再審を求める事件はいくつもある。冤罪が潜んでいないか、総点検することが司法の信頼を高める」(東京新聞・社説)
 誤判救済の新たな潮流を確固たるものにするために、全国それぞれの冤罪事件の支援活動に力を注ぎましょう。

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