日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年4月5日号

救援新聞より

09年4月5日号  

三重・名張毒ぶどう酒事件 やくみつるさん招き東京で支援の集会  

画像の説明

 テレビのコメンテーターとしても活躍中の漫画家・やくみつるさんを招いて、名張毒ぶどう酒事件を支援する集会が3月14日、東京で開かれました。無実の死刑囚・奥西勝さん(83)はいま、再審を求めて最高裁でたたかっています。最高裁に特別抗告をして2年が経ち、いつ決定が出されてもおかしくない状況のもとで、一日も早く奥西さんを救い出そうと全国で支援運動が急速に広がっています。今回の集会は、最高裁がある東京で世論をさらに広げようと、名張事件東京守る会が主催したものです。

 「無実の奥西さんを死刑台から救おう!! 3・14ホワイトデー集会」――会場は100人を超える参加者で埋め尽くされ、若い人の姿も多くみられました。

他人事でない
 名張事件をわかりやすくまとめた東海テレビの『黒と白』の上映後、やくみつるさんと弁護団の伊藤和子弁護士が登壇しました。
 はじめに、冤罪に関心を持ったきっかけを聞かれたやくさんは、中学生のころ、推理小説をよく読み、そこから実際の事件や裁判の本を読むようになった、そこには信じられないことが書かれており、義憤にかられ、興味本位ではすまされない現実がわかってきたと、当時の思いを語りました。また、みずからが15年ほど前に、電車で痴漢に間違われそうになった経験を紹介し、「冤罪というものは日常にひそんでいて、他人事として看過できない」と述べました。
 やくさんは江川紹子さんの著書『6人目の犠牲者―名張毒ブドウ酒殺人事件』で名張事件を知ったと言います。そして、事件直後の関係者の証言が次第に奥西さんが犯人となるようにすりあわされていったことや、唯一の物証である王冠が、いつ・だれが開けたのかも、毒の入っていたぶどう酒瓶のものかもわからない、そんな王冠を重要な証拠として死刑判決が出されたことなどを知り、この事件が冤罪であると感じたと話しました。
 伊藤弁護士からは、再審を取り消した名古屋高裁決定の問題点や、多くの証拠が検察の手元に隠されていること、最高裁での弁護活動などが説明されました。とりわけ、再審取消し決定が、最新の科学的鑑定(毒物が有罪判決で認定されたものとは異なる)を無視し、奥西さんの「自白」を重視した点を厳しく批判しました。やくさんから伊藤弁護士に対し、「最高裁は弁護団の提出した記録を本当に読んでいるのか?」「これまでの冤罪事件を裁判所は学んでいるのか?」など次々と質問がされました。

再審の扉再び

 最後に伊藤弁護士は、「奥西さんを生きて救い出したい。弁護団として出せる証拠は全部出した。市民の声をあげてもらいたい」と呼びかけました。
 やくさんは、「奥西さんを社会に引き戻して温泉のひとつも入れてあげたい。他人事と受け流すべきではない」と述べたあと、昭和30年代に裁判官が書いた本のなかで、国民やマスコミの声が裁判の独立性を阻害するものだと述べていることを紹介し、「黙して裁判官にすべてをゆだねることがどんなに危なっかしいことかはその後の歴史も証明しています。我々は黙することなく声をあげていきたい。その声は奥西さんにも届いていることだろうと思います。再審の扉をもう1回開けたい」と締めくくり、会場から大きな拍手が起こりました。
 集会では、奥西さんからのメッセージが紹介され、守る会から最高裁への要請ハガキや街頭宣伝への協力が呼びかけられました。
〈再審開始要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第3小法廷・堀籠幸男裁判長

取り押さえで安永さんが死亡 佐賀地裁付審判請求認める  

 安永健太さん(当時25歳=顔写真)が警察官に取り押さえられ死亡した事件で、遺族から出されていた付審判請求について、佐賀地裁は3月3日までに、警察官1人につき特別公務員暴行陵虐罪容疑で審判(裁判)に付すことを決定し、遺族に通知しました。

◇  ◇

 安永健太さんは、佐賀市内にある知的障害者の通所施設に通っていましたが、2007年9月25日午後6時ころ、佐賀市南佐賀1丁目の国道上を自転車に乗って帰宅中、パトカーから停止を命じられたあと、警察官数人によって取り押さえられ、後ろ手に手錠をかけられるなどした直後、死亡しました。
 近くのレストランや通行中の車内から見ていた人から、複数の警察官が暴行していたとの目撃証言があり、健太さんの父親、安永孝之さんは08年1月17日、現場で取り押さえた警察官5人を特別公務員暴行陵虐致死容疑で佐賀地検に刑事告訴しました。
 しかし、佐賀地検は「警察官の取り押さえは保護の範囲、また取り押さえと死亡には因果関係がない」として3月28日に不起訴処分を決定。孝之さんはこれを不服として4月3日、5人の警察官を裁判にかけるように付審判請求を佐賀地裁に行いました。
 決定をした神山隆一裁判長は、「当初現場に駆けつけた制服警察官2人のうち1人が安永さんを手拳で殴打した」と、この警察官の暴行を認定。しかし、他の4人の警察官については「職務行為を逸脱した違法なものとはいえない」として、請求を棄却しました。また、暴行と死亡との関係については、地裁が独自に鑑定した結果として「多数の傷があるが、死因となる傷は認められない」として、致死罪容疑を否定しました。

◇  ◇

 この付審判決定について孝之さんは、「警察と検察は同じ穴のムジナと思ってきたが、これでやっと真実を明らかにするための裁判が始まる」と記者会見で話しました。一方、佐賀県警側は「警察官の行為は必要・適正なものだったと思っており、残念だ」とのコメントを出しました。
 今後、原告代理人以外の弁護士が検察官役を務め、刑事事件として裁判が始まります。
 遺族の支援団体「安永健太さんの死亡事件を考える会」が全国に呼びかけた付審判請求の決定を求める署名は3月3日現在、約11万筆を数えました。
 なお、孝之さんと、健太さんの弟の浩太さんは2月26日、「健太は警察官の暴行によって死亡した」として、国家賠償法にもとづき佐賀県を相手取り、約4200万円の損害賠償を求める民事訴訟を佐賀地裁に起こしました。

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