日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年4月15日号

09年4月15日号  

三重・名張事件 第27回現地調査開く  

 無実の死刑囚・奥西勝さんが再審開始を求め、最高裁でたたかう三重・名張毒ぶどう酒事件。いつ決定が出てもおかしくないという緊迫した情勢のもと、三重県名張市で第27回全国現地調査(主催・名張事件全国ネットワーク、国民救援会、再審・えん罪事件全国連絡会)が3月28〜29日、北海道〜九州まで19都道府県80余人の参加で行われ、参加者は改めて冤罪であることを実感しました。

 参加者は、バス3台に分乗し、現地調査に向かいました。
 バスは、問題となったぶどう酒の運搬に関わる場所や、奥西さんがウソの「自白」のなかで犯行に使った農薬の瓶を捨てたことになっている名張川などを回りました。参加者は、各所で行われる弁護団の説明に真剣に耳を傾けながら、有罪判決の問題点を一つひとつ検証しました。そして最後に、事件の起きた葛尾(くずお)の集落に向かい、奥西さんの自宅があった場所や事件現場となった公民館があった場所をめぐりました。
 参加者からは、「事件の真相が世間で言われている実態とは全然違い、冤罪を実感できた」、「聞くだけと、見て聞くのとは違うことが分かった。これからは、事件への気合いの入り方が違う」などの感想が聞かれました。

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 前日には、名張市内で事前学習会がもたれました。そのなかで弁護団の鈴木泉主任弁護人が、「一昨年1月に最高裁に特別抗告した。裁判迅速化法によれば、裁判所は、第一審についてではあるが2年を目安に裁判を終えることを目標としている。最高裁に係属して2年3カ月が経ち、いつ決定が出てもおかしくない状況。弁護団は、18点もの新証拠を最高裁に提出し、調査官と5回面接し、奥西さんの無実を説明してきた。奥西さんは、孤独な死刑囚ではない。支援するみなさんがいる。何としても再審・無罪判決を勝ちとるよう支援をお願いします」と述べ、拍手に包まれました。

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 現地調査後にまとめの集会が行われ、最後に、奥西さんの再審開始と無罪判決を勝ちとるために奮闘する決意を込めて、「団結ガンバロー」を参加者全員で唱和し終了しました。
 国民救援会は一日も早い再審開始をめざし、毎月の地域別最高裁要請行動や全国オルグをすすめ、運動を強めています。
〈再審開始要請先〉
〒102―8651
千代田区隼町4―2
最高裁第3小法廷・堀籠幸男裁判長

裁判員裁判 適正な運用求め裁判所へ請願  

 国民救援会は、5月21日の裁判員制度実施を前に、日本国憲法・国連自由権規約・刑事裁判の原則を守り、冤罪を防止するため、5項目の緊急改善要求(取調べの可視化、検察証拠の全面開示など)と、10項目の適正運用要求の実現を求めて、各地の裁判所への請願などを行っています。4月2日現在、11都県で行われました。

〈愛知〉
 3月24日、裁判員制度に対する緊急改善を求め、名古屋地裁岡崎支部に対し要請を行いました。行動には、県本部、岡崎額田支部、西尾幡豆支部、東三河支部から11人が参加しました。
 要請では、5項目の緊急改善要求と、10項目の適正運用要求を請願しました。応対した柘植泰人庶務課長は、文書を受け取り、「ここで答える立場にないので、請願内容、ご意見は伝えます。国民救援会や世論は十分に承知している」と答えました。(県版より)

〈徳島〉
 徳島県本部の川上邦美副会長ら4人が3月6日、徳島地裁を訪れ、適正運用を求め、10項目について請願を行いました。川上副会長は、国民救援会の再審・冤罪事件の支援活動を説明し、冤罪防止の請願趣旨を伝えました。同地裁の河野恭司事務局次長と都築浩一総務課長が応対し、「請願があったことを裁判官に伝えます」と請願書を受け取りました。
 3月10日には、裁判員制度の実施に向けた5項目の緊急改善要求について、徳島県選出の衆議院議員の地元事務所を訪問し要請しました。訪問した事務所の所長や議員秘書は、要請書を国会の議員に直ちにファックスしますと快く要請を受けてくれました。(県本部)

〈福岡〉
 4月2日、自由法曹団、北九州地区労連、国民救援会北九州総支部の代表が、福岡地裁小倉支部に対し、裁判員制度の適正な運用を求め請願を行いました。代表は、国会で超党議員による見直しを求める動きがあることを紹介し、「拙速に推し進めるべきではない」と述べました。
 応対した南毅彦庶務第1課長は「裁判員裁判を進めるためには国民の理解と協力がなければならない。そのためにも裁判所も努力していくのでご協力を」と答えました。(北九州総支部)

横浜事件に免訴 国民救援会が抗議声明  

 戦時下最大の言論弾圧事件とも言われる横浜事件の第4次再審裁判について、横浜地裁(大島隆明裁判長)は3月30日、第3次と同様、治安維持法の廃止と大赦を受けたことを理由に、有罪か無罪かの実質的な判断を避け、裁判を打ち切る免訴の判決を言い渡しました。
 横浜事件は、第2次大戦中、雑誌『改造』をめぐり、特高警察が事件をデッチあげ、60人を上回る言論人を治安維持法違反で弾圧し、拷問によって4人が獄死した事件で、裁判所が裁判記録を焼却し、証拠隠滅をはかった権力犯罪です。
 今回の再審裁判では、権力犯罪の実態とその責任を明確にし、無罪判決を言い渡すべきでした。しかし、横浜地裁は、「裁判記録が故意に破棄されたと推認される」「裁判所が不都合な事実を隠そうとした可能性が高い」などと認定したものの、無罪判決によって元被告らの名誉と人権の回復を行うことを避けました。
 この判決に対し、国民救援会は4月1日、鈴木亜英会長名で抗議声明を発表しました。声明では、「免訴判決は、国民の司法への信頼を失墜させたものと言わざるを得ない」と強く抗議し、「日本政府は、可及的すみやかに、治安維持法によって逮捕・投獄され、残虐な拷問や刑罰をうけたすべての犠牲者と家族に謝罪し、名誉回復と損害賠償を行う」よう強く求めています。

表現の自由侵す危険のある「鳥取県人権条例」廃止に  

 2005年に成立した「鳥取県人権条例」の廃止が、3月25日の県議会で決まりました。
 同条例は、人種差別や虐待、セクハラなどを禁止し、加害者が勧告に従わない場合、過料などの罰則を設けました。行政の判断で加害者の氏名公表や罰則を科す内容に、成立直後から「言論・表現の自由を侵す危険がある」として、県弁護士会や市民団体、国民救援会が廃止を求め、06年に条例の施行を停止する条例案が可決されていました。
 この間、弁護土、学識経験者、関係機関担当者などにより検討委員会が設けられるなどして、事例や実態などを具体的にとりあげ検討がされてきました。
 その結果、「鳥取県人権条例」を廃止し、人権相談窓口の新設などを盛り込んだ「鳥取県人権尊重の社会づくり条例」改正案が可決(民主党系が反対、自民党系や公明党、共産党などの賛成)、成立しました。
 人権侵害の条例を施行させず廃止に追い込んだことは大きな成果です。

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