日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年2月25日号

救援新聞より

09年2月25日号  

裁判員裁判に立ち向かおう 攻勢的に署名・宣伝・学習を  

 国民救援会は2月7、8の両日、東京・平和と労働センターで第53回中央委員会を開き、昨夏の第54回全国大会からの運動の教訓に学び、今夏までの方針を決定しました(関連記事3〜5面)。とくに、国民救援会として5月に実施が迫った裁判員裁判に立ち向かう具体的方針を確認しました。全国で攻勢的にとりくみをすすめましょう。

裁判員制度に対する国民救援会の立場

 国民救援会は、裁判員制度には重大な問題点(裁判員への守秘義務の強制、防御権・弁護権を侵害する公判前整理手続など)があり、冤罪を増大させる危険性があると考えます。同時に、裁判員の参加が市民の健全な常識が通る裁判の実現にとって一切の可能性がない、という立場はとりません。
 国民救援会は、陪審制の実現をはじめ、冤罪を生まない司法制度の実現をめざし、抜本的な改革を求めるとともに、実施を3カ月後に控えたいま、次のとりくみをすすめます。

5項目緊急改善要求と全国の裁判所への要請

 国民救援会は、全労連・自由法曹団とともに、5項目の緊急改善要求の実現を求め、新たに署名活動を開始し、2月26日には国会要請を行います。
 3月には、裁判員裁判が開かれる全国60の地裁に対し、憲法や自由権規約で保障された刑事裁判の原則を守り、冤罪をつくらないように適正な運用を求める要請を行います。
〈5項目の緊急改善
 要求〉
〜楮困料寛當を可視化(録音・録画)すること。警察・検察がすすめる一部「可視化」は、「自白」場面だけを撮影し、かえって冤罪を増やします。
検察官の手持ち証拠すべてを事前に弁護人に開示すること。
8判前整理手続終了後、弁護人が新たな立証を行うことを制限する規定を廃止すること。
ず枷衆に刑罰をもって守秘義務を一生強制する規定を廃止すること。
ス駝韻虜枷夙稟修鯏┿襪垢襦検察開示証拠の「目的外」使用を禁止する規定を廃止すること。
〈国会要請行動〉
 2月26日(木)午後1時、衆議院第1議員会館第4会議室に集合。

学ぶことがいま大切支部で学習会開こう&color(foreground[,background]){text};

 裁判員裁判に立ち向かうためには、学習が大切です。昨年から、36都道府県本部・116支部177カ所で、約4500人が参加し、学習会が旺盛に行われています。
 山形県本部では全支部での学習会の開催を決め、労組・民主団体に呼びかけて実行委員会をつくって運動を広げています。市民の参加で大きく成功し、地域での国民救援会の存在を知らせ支部活動が活発になっています。

リーフ活用し宣伝を広く国民に訴えよう&color(foreground[,background]){text};

 裁判員裁判に対する関心と不安が広がっているいま、新リーフ(別掲)を大いに活用し、冤罪事件の支援とあわせ、裁判員となるかもしれない国民に次の点を訴えましょう。
〈訴えるポイント〉
▽冤罪を生む刑事裁判の現状(「自白」偏重や検察の証拠隠しなど)
▽裁判員制度の問題点と裁判員の責務
▽憲法で保障された刑事裁判の原則(逮捕された人も有罪が確定するまでは無罪の推定を受けるという「推定無罪の原則」、裁判公開の原則、検察の立証に疑問が残った場合は無罪にしなければならない、など)

裁判員裁判への意見・質問を

 救援新聞では今後、裁判員裁判についてさまざまな角度から取り上げたいと考えています。そこで、裁判員裁判について、みなさんのご意見やご質問、また編集部へのご要望をお寄せください。

奈良・冤罪香芝強制わいせつ事件 大阪高裁 証拠調べず有罪に  

 奈良・冤罪香芝(かしば)強制わいせつ事件で、大阪高裁(小倉正三裁判長)は2月5日、一審の有罪判決(懲役2年6月)を支持し、被告人とされた中南源太さんの控訴を棄却する不当判決を言い渡しました。
 この事件は、2006年12月12日午後10時ころ、奈良県香芝市の歩道で帰宅途中の女性にわいせつな行為をしたとして、軽度の知的障害のある中南さんが犯人とされたものです。客観的な証拠は何もなく、犯行時刻には母親とテレビを見ていたとアリバイを主張しましたが、警察は予断をもって、被害者に中南さんと中南さんに似た写真を見せて、「被害者が犯人と指摘した」として逮捕し、起訴した事件です。
 裁判の審理の中で、被害者が見た犯人の身長と中南さんの身長が10センチ以上違うことや、背格好、人相、服装ともに合致しないことが判明、さらに、警察で強制された「自白」が客観的な事実と大きく異なるために検察官が証拠調べ請求を撤回せざるを得ないほどでたらめな捜査だった実態も明らかになりました。
 控訴審では、弁護人が無罪立証のために請求した証拠調べに対し、検察官が同意したにもかかわらず、裁判所はすべてを却下し、いっさいの証拠調べを行わず結審しました。
 判決当日は、国民救援会関西府県本部などから支援者40人余りが駆けつけました。裁判長が「本件控訴を棄却する」と判決主文を読み上げると、傍聴席からは怒りの声があがりました。
 判決は、捜査官の言い分そのままを論拠にして、身長差についても「靴を履いたら高くなるから疑問を感じさせるほどではない」、事件のあった時間には家でテレビを見ていたというアリバイも、罪を逃れるためウソをついているとしました。
 報告集会では、古川雅朗弁護士が、「この判決によってもわれわれが主張・立証してきた無実の確信はいささかも揺らいではいない」と報告し、最後までたたかい抜く決意を表明しました。源太さんの母・まり子さんは、悔しさに唇をかみしめ、声を詰まらせながら支援へのお礼と決意を述べました。
 弁護団はただちに最高裁に上告をしました。
〈抗議先〉〒530―8521 大阪市北区西天満2―1―10 大阪高裁・小倉正三裁判長
〈激励先〉〒635―0024 大和高田市日之出西本町6―10―201 中南まり子さん

葛飾ビラ配布弾圧事件 最高裁に補充書を提出  

 ビラ配布の自由を掲げて最高裁でたたかう東京・葛飾ビラ配布弾圧事件。弁護団は2月9日、最高裁に対し上告趣意補充書を提出し、ビラ配布活動が憲法と国際人権規約で保障された、いかに大切な活動であるのか、逆にその活動を住居侵入罪とした東京高裁の判決がいかに不当なものなのかを明らかにしました。そのポイントを紹介します。

地方自治に資する行為

 区議団だよりや区民アンケートなどを配った荒川さんの行為は、地方議会の情報を伝え、地域住民からの意見を集めるものです。
 これは、憲法21条(表現の自由)で保障されたものです。
 また、事件当時、「地方分権」がすすめられ、「地方議会の活性化」が国政上の最重要課題となっていました。荒川さんの行為は、地方議会の活性化につながり、地方自治に資するものです。
 これに対し有罪判決は、地方議会に関する情報の自由な流通を大きく阻害し、地方議会の活性化への努力に対し重大な打撃を与えるものです。

国連からも弾圧へ批判

 ビラ配布が逮捕・起訴されたことに対し、国際社会からも厳しい批判が向けられています。
 昨年10月の国連自由権規約委員会の日本政府審査では、委員の一人から、「政治ビラを配って逮捕された人がいるようだが、ビラ配布を禁止して、どうやってメッセージを伝えるのか。逮捕しなければならない理由がわからない」と疑問の声が上がりました。同委員会の「総括所見」でも、事件への懸念が表明され、自由権規約19条(表現の自由)で保護されている政治活動を警察、検察、裁判所が過度に制約しないよう求める勧告が出されました。
 この国連での審査や勧告からも、有罪判決が、国際社会の常識から外れたものであることは明らかです。最高裁はいまこそ、国際社会にも受け入れられる判決(荒川さんに対する無罪しかない)を出すことが期待されています。

無罪に社会的評価高く

 最高裁にとって、一審無罪判決と二審有罪判決について、社会的にどのような評価がなされ、どのような影響が生まれたのかを知ることは不可欠です。
 新聞の社説を検討すると、無罪判決については「うなずける判決だ」(朝日)、「素直に受け入れられる判決だ」(信濃毎日)など、多くの社説が判決を支持し、高く評価しています。
 他方、有罪判決については、「市民感覚からずれている」(西日本)、「寛容さのない社会を助長する判決は残念だ」(北海道)など、批判的な見解が大勢を占め、今後の表現活動に大きな萎縮効果を及ぼすことへの危惧を表明する論調が圧倒的です。
 その危惧が現実のものになりました。08年、日本共産党の国分寺市議が、マンションの集合ポストに市議会報告を配布したことを住居侵入罪だとして書類送検されたのです(その後不起訴に)。
 最高裁は、このような有罪判決への社会的評価や影響について正しく認識し、判断をすべきです。

立川判決前提でも無罪

 自衛隊官舎に自衛隊派兵反対のビラを配布し、住居侵入罪で起訴された立川自衛隊官舎ビラ事件に対し、最高裁第2小法廷は昨年4月、二審の有罪判決を支持し、上告を棄却しました。この立川事件の最高裁判決、葛飾事件の有罪判決、いずれも憲法違反の判決といわざるを得ません。
 そのうえで、立川最高裁判決を、事実が大きく異なる葛飾事件の先例とすることは意味を持ちません(立川の場合は、建物の回りを高いフェンスや鉄線で囲まれているが、葛飾の場合は玄関出入口奥のドアや別の出入口のドアは常に無施錠だった。立川の場合は、警察に以前にも被害届が出されていたが、葛飾の場合は、本件以前には被害届もビラ配布への抗議も行われていないなど)。立川最高裁判決を前提にしたとしても本件は無罪です。

「荒川さんを無罪に」第3回全国要請行動

 3回目となる葛飾ビラ配布弾圧事件の最高裁全国要請行動が2月9日行われ、地元葛飾の支援者をはじめ5都県本部37人が参加しました。早朝からの宣伝行動、弁護団の上告趣意補充書提出の激励行動、それにつづいて最高裁への要請行動を行いました。
 要請では、弁護団も含め代表17人が、矢後洋文・訟廷首席書記官補佐に対し、「ビラを安心して配れる国にして欲しい」「荒川さんの人を見て判断をして欲しい」「裁判員制度を控え、最高裁自身が一般人の感覚を採り入れると言っているが、この事件でこそ、一般人の感覚で無罪判決を出して欲しい」などと訴えました。弁護団からは、補充書の内容に触れ、無罪にすべきであると訴えられました。最後に、荒川庸生さんの妻・英子さんが今井功裁判長にあてた手紙を読み上げ、夫の無罪を訴えました。

〈事件〉2004年12月、荒川庸生さんが、東京都葛飾区内の、オートロックではないマンションのドアポストに、日本共産党の「区議団だより」「都議会報告」「区民アンケート」「返信用封筒」を配布したことを住居侵入罪とされ、逮捕・起訴されました。東京地裁は06年8月、ビラ配布を罰する社会通念はないとして無罪。しかし東京高裁は07年12月、形式的に住居侵入罪が成立するとして罰金5万円の不当判決を行い、現在最高裁で審理がすすめられています。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional