日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年12月15日号

09年12月15日号  

東京・葛飾ビラ配布弾圧事件に不当判決  

 2004年12月、東京・葛飾区内のマンションのドアポストに日本共産党の区議団だよりなどを投函したことで、荒川庸生さんが住居侵入罪に問われていた葛飾ビラ配布弾圧事件に対し、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は11月30日、「管理組合の意思に反して立ち入ることは、住民の私生活の平穏を侵害する」などと形式的な判断でビラ配布弾圧を追認し、上告を棄却する不当な判決を言い渡しました。

 「裁判長!!」
 開廷直前、満員の傍聴者を背に弁護団の松井団長が立ち上がり、「平穏なビラ配りがなぜ罪になるのか。本事件は今後国際的にも検証される。国際基準に照らして恥ずかしくない判決を」と迫りました。
 しかし、今井裁判長が出した答えは上告棄却。高裁の判決内容をそのまま継承しました。裁判官が考えぬいて出した結論とは言い難い形式的な判決でした。

 判決は、表現の自由が民主主義社会において特に重要な権利として尊重されなければならない、本件のようなビラ配布は表現の自由の行使であるとしながらも、「しかしながら」として、憲法は表現の自由を無制限に保障したものではない、他人の権利を不当に害することは許されない、としました。そのうえで、葛飾事件について、管理権や私生活の平穏を侵害した、よって住居侵入罪にあたると判断しました。しかし、「特に重要な権利」である表現の自由を制限しなければならない重大な侵害があったのかどうかについて具体的に示さぬまま、有罪としました。また、判決は、国連から出された、言論活動への規制をなくすよう求める勧告にも何ら応えませんでした。
 最高裁の判決は、市民感覚にも反するものです。いまも毎日のように各地の集合住宅にはビラが配られ、市民はそれを活用しています。判決についての社説でも、「合点いかぬ最高裁判決」(朝日)、「表現の自由が縮こまる」(東京)、「言論規制を拡大させるな」(愛媛)など批判・懸念が出されています。
 なお、今回の判決の適用範囲について、弁護団は声明で「集合ポストに対するビラ配布まで違法としたものとはいえない」と指摘しています。

 報告集会では、弁護団の松井団長が「あんな形式的で薄っぺらな判決しか書けないのは、私たちのたたかいが圧倒して、彼らにまともな議論を出来ないところまで追い詰めたからだ。最後は形式的な形で逃げた」と指摘。ビラ配布の自由を守る会の事務局長・小松香代子さんが次のように行動提起しました。「ビラ配布は日本中いたるところでおこなわれている。確信を持って、これからもビラ配布を大いにおこないましょう」
 国民救援会は不当判決に対し直ちに抗議声明を出し、ひきつづき言論・表現の自由を守るためにたたかう決意を表明しました。
〈抗議先〉〒102―0092 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長
〈激励先〉〒124―0012 東京都葛飾区立石8―14―5 平和センター ビラ配布の自由を守る会
※救援新聞では、不当判決の問題点や5年間のたたかいについて、ひきつづき紹介していきます。

「ビラ、配り続ける」――判決直後の荒川さんの訴え  

 慎重な審理をしてくれることを期待していましたが、紋切り型の上告棄却判決でした。最高裁は、警察や検察の言論弾圧に歯止めをかける役割を放棄しました。最高裁に『憲法の番人』という資格はございません。
 最低な判決は、歴史が必ず葬り去ってくれると信じています。ビラを配り続けることによって、そしてビラを読む方たちの信頼を得ることによって、この悪判決の牋法瓩箸靴討竜’修鯀忙澆垢襪海箸出来ると思っております。

言論の自由を求める12・4集会 1600人を超える参加で成功  

 ビラ配布への弾圧を許すな、ビラ配布の権利を守ろう――12月4日、「言論・表現の自由を求める日比谷集会」(同集会実行委員会)が東京・日比谷公会堂で開かれ、1600人を超える参加者で埋まりました。直前に出された葛飾ビラ配布弾圧事件に対する最高裁の不当判決への怒りと国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件で必ず勝利しようとの思いにあふれた熱気ある集会になりました。
 集会は、大黒作治・全労連議長の主催者あいさつで始まり、日本共産党の小池晃参議院議員が連帯のあいさつをおこない、「ビラは民主主義社会を支える貴重な言論を保障するもので、これへの攻撃は基本的人権そのものに対する攻撃です」と述べました。つづく記念講演では脚本家のジェームス三木さんが、戦前の言論統制のもとで、「そんなことを言うと警察ににらまれるよ」と、つねに市民が震えていたと自らの体験も紹介し、「(言論)規制には気をつけなくてはいけない」と述べました。

東京・沖田国賠訴訟 東京高裁が不当判決  

 東京・沖田国賠訴訟の差戻し審で東京高裁(大橋寛明裁判長)は11月26日、沖田光男さんの痴漢行為の存在を否定しつつも「被害申告」の虚偽については立証が尽くされていないとして、女性に対する沖田さんの賠償請求を退ける控訴棄却の不当判決を出しました。事件発生から10年、「今日こそは」と臨んだ沖田さん夫妻の思いを裁判所はまたも裏切ったのです。
 事件は99年、JR中央線車内で携帯電話を使用していた女性に注意した沖田さんが、女性に「痴漢された」と虚偽の「被害申告」をされ、違法に逮捕・勾留されたものの嫌疑不十分で不起訴となったものです。沖田さんは女性と警察、検察を相手に賠償訴訟を起こしましたが、一、二審は「痴漢行為があった」との不当な認定で、沖田さんの訴えを退けました。しかし最高裁は、昨年11月、携帯電話で通話していた相手方の男性の証人申請を却下しながら女性の不合理な供述を鵜呑みにした二審判決を審理不尽だとして高裁に差し戻しました。
 差戻し審では男性の証人尋問によって痴漢行為が存在しなかったことがいっそう浮き彫りになり、満員電車ではない本件では「勘違い」も「人違い」もありえない以上、女性が虚偽の「被害申告」をしたこと以外に結論がないことは明白でした。
 それにもかかわらず判決は「女性が痴漢被害を訴えにくくなる」とか「男性の証言も事件から10年たって限界がある」などと言い逃れを重ね、公正な判断を避けたのです。勘違いなどでなく、事件をでっち上げた女性に責任をとってもらうのは当たり前のことであり、10年の歳月を作ったのは、捜査記録を廃棄した検察と証人を採用しなかった裁判所の責任です。
 沖田さんは「あいまいな判決で許すことができない。真実と正義が裁判所にあるのか。たたかいつづけることで正義をとりもどしたい」と、最高裁へ再上告する決意を表明しました。判決報告会には120人が参加し、今後も沖田夫妻を支えていくことを熱い拍手で確認しました。
(生江尚司)
〈抗議先〉〒100―8933 千代田区霞が関1―1―4 東京高裁・大橋寛明裁判長

岡山・山陽本線痴漢えん罪事件の控訴審が結審  

 山本真也さんが2件の痴漢事件で無実を訴えている岡山・山陽本線痴漢冤罪事件の控訴審第2回公判が11月25日、広島高裁岡山支部でおこなわれ、100人を超える傍聴者が集まりました。
 弁論では、秋山賢三弁護士が、控訴審のテーマとして「被告人と犯人は同一人物か、被告人に痴漢行為の常習性が認められるかどうかを判断しなければならない」とし、「高裁になって検察官が開示した、痴漢がいると通報した女子高校生の通報内容によれば、痴漢をした者は『岡山駅で下車せず、そのまま西大寺方面に行った』と述べている。しかし、山本さんは通勤で岡山駅で乗り換えており、痴漢行為者と山本さんは別人であることが明らになった」と述べました。
 石田正也弁護士は、2件の事件について、「いずれも身長差によって痴漢行為はできない。山本さんは終始一貫して否認している。満員のギュウギュウ詰めの車内で、一審の有罪判決が認定したような足を広げたり、曲げたり、肩を下げたり、腕を伸ばしたりはできない」と指摘。
 また、水谷賢弁護士は、4月の防衛医大教授痴漢冤罪事件の最高裁無罪判決にもとづいて「疑わしきは被告人の利益に、の原則の下で、有罪を立証する証拠が供述証拠のみの場合、『合理的疑いを超えた証明』との関連で慎重な検討が求められることは判例になっている」と一審判決を厳しく批判しました。
 裁判は結審し、判決は、来年1月15日午後1時30分に。
 県本部は11月19日、全国から寄せられた署名(累計で個人7352筆、団体374筆)を高裁に提出しました。手元にある署名を県本部にお送りください。(竹原正樹)

栃木・足利事件の第2回公判 「自白テープ」を証拠採用  

 栃木・足利事件の再審第2回公判が11月24日、宇都宮地裁で開かれました。
 公判では、再審開始の決め手となったDNA型再鑑定をおこなった鈴木広一・大阪医科大教授と本田克也・筑波大教授に対する尋問がおこなわれました。
 2人の証人は、現場に残された体液のDNA型と菅家さんの型が異なっていることを証言しました。さらに本田教授は、有罪の根拠となった警察庁科学警察研究所の旧DNA鑑定が、鑑定のおこなわれた90年代初期の技術からいってもあまりに稚拙なものであると証言し、デタラメな鑑定で無期懲役という刑が科されたことが明らかとなりました。
 佐藤正信裁判長は、今回、菅家さんを取り調べた森川大司・元宇都宮地検検事の証人採用と、菅家さんの「自白」を録音したテープのうち、検察が取り調べた4本を証拠採用しました。
 今後の公判予定も決まり、3月26日午前10時に判決を言い渡すことが決まりました。
 この日、公判に先立ち、国民救援会栃木県本部と無実の菅家さんを守る会のメンバー21人は、早朝から地裁前で宣伝をおこない、「裁判所は誤判原因の究明を。検察は誤判原因の究明を妨害するな」と訴えました。この行動を通して、傍聴に来た市民1人を含め3人が救援会に入会しました。

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