日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年11月25日号

09年11月25日号  

東京・葛飾ビラ配布弾圧事件 荒川庸生さん決意を語る  

 マンションのドアポストにビラを配布したことで、荒川庸生さんが住居侵入罪に問われ、一審無罪、二審逆転有罪で、最高裁に上告している葛飾ビラ配布弾圧事件で、最高裁は口頭弁論を開かないまま、あらためて11月30日に判決すると通知してきました。最高裁は9月にも判決日を通知してきましたが、荒川さんと弁護団、守る会や全国からの抗議をうけて、いったん判決日を取り消していました。守る会は、再び判決日指定の取消しを求めて緊急の要請にとりくんでいます。荒川さんの決意をうかがいました。

 各地へ訴え行脚をしておりますが、まだ31都道府県しかうかがえておりません。判決日指定が取り消されたときは、これで全国を回れると思っていたので残念です。
 このタイミングで判決を出すということは、12月に退官する今井裁判長と中川裁判官が、退官前に決着をつけるということでしょうし、異例といわれる判決日指定を取り消したのは、弁護団の補充書に耐える内容にするため、時間稼ぎをしたと考えざるを得ません。

 しかし、私はあきらめてはいません。口頭弁論を開かないからといって単純に上告棄却と決まったわけではありません。判決を聞くまで望みは捨てません。
 無罪判決を求める上で、私たちに有利な条件もあります。日本弁護士連合会が人権擁護大会で言論・表現の自由を確立する決議をあげたことです。私も分科会で訴えましたが、日弁連がこのテーマを真正面から受け止めて決議を出したというのは非常に大きなことだと思います。弁護団もこの決議を携えて、もう一度判決日指定を取り消せと申立てをしました。
 仮に最高裁が有罪を維持するとしても、私は二審判決をそのまま継承することは無理だと思います。二審判決は、敷地内に立ち入ったことがすでに住居侵入だといっています。これはあまりにも非常識で、日常的にビラが入り、色々な訪問者が来ることをまったく考えていません。いくら何でも最高裁はこれを継承できないと思うのですが。

 しかし、どんな悪い判決が出たとしても、それに負けずにビラを配っていけばいいんだと思います。ビラを配る行動によって、判決自体を実質的に葬り去ればいいんだと思います。そうすれば、この判決が間違っていることが逆に証明されますから。悪い判例というのは、悪い法律として機能しかねません。それを許さないたたかいが必要になってきます。
 そして警察や検察が手を出しづらい状況を作っていくことだと思います。日常的にビラが配られていて、それが当たり前の光景として続けば、警察もそうそう手を出せなくなるでしょう。ともかく市民常識の積み上げで、ビラ配りを犯罪だと言わせないような状況を広げていく必要があります。ビラを配り続けることが大切だと思います。

 一審で無罪判決をとった要因は弁護団の力もありますが、裁判傍聴、手紙、署名などの運動によって、裁判官が世間の当たり前のことを理解したからだと思います。
 すでに抗議ファックスやハガキ、色々な手紙が最高裁に届けられていると思いますが、「ビラ配りは犯罪じゃない」という市民常識の声をどんどん積み上げていただいて、かつ、もう1回判決日を取り消して、大法廷に回付し口頭弁論を開け、という声を寄せていただきたいと思います。
〈要請先〉〒102―8651 千代田区隼町4―2 最高裁第2小法廷・今井功裁判長

葛飾ビラ配布弾圧事件 弁護団が最高裁へ申し立て  

 葛飾ビラ配布弾圧事件の弁護団は、11月12日、判決期日の取消しを求めて、再び最高裁に申立てをおこないました。
 申立書には、日弁連が11月6日の人権擁護大会で決議した「表現の自由を確立する宣言」を添えて提出。宣言が、「裁判所は、『憲法の番人』として市民の表現の自由に対する規制が必要最小限であるかにつき厳格に審査すること」と述べていることを示し、大法廷に回付し、口頭弁論を開くよう求めています。
 また同日、ビラ配布の自由を守る会と国民救援会の代表が最高裁前で宣伝をおこない、その後要請しました。荒川庸生さんの妻・英子さんは、「判決期日が取り消されたので、弁論を開くか大法廷で審理されるものと思っていたので、ショックだし納得できません」などと訴えました。
 最高裁への要請は今回で25回目。無罪判決を求める要請ハガキ91通と1588人分の署名を提出しました。この日までに4605通の「裁判長への手紙」、7万9443筆の個人署名、2798筆の団体署名を提出しています。

日弁連が「表現の自由を確立する宣言」を決議  

 日本弁護士連合会は11月5日、6日、和歌山市で開催した第52回人権擁護大会で、表現の自由をめぐるいまの状況をふまえ、表現の自由の確立をめざし「宣言」を決議しました。同大会は、1年間の人権擁護活動を総括して今後の課題を明らかにする場として毎年開催される日弁連最大の行事です。
 今年は、「いま表現の自由と知る権利を考える―自由で民主的な社会を築くために」と題する分科会がもたれました。荒川庸生さんが招かれ、事件の報告をおこないました。基調報告やパネルディスカッションなどがおこなわれ、最後に「表現の自由を確立する宣言」(別項参照)が決議されました。
 「宣言」では、市民の表現の自由をめぐり「危機的な状況」にあると指摘。さらに、政府を批判するビラを配布したことで、住居侵入罪や国家公務員法で起訴、有罪にされている問題を取り上げ、「市民の政治的表現の自由が脅かされる事態」と懸念を表明。選挙における戸別訪問禁止や文書制限もふくめ、昨年、国連自由権規約委員会から表現の自由への不合理な制限の撤廃を求める勧告がなされたことを紹介。最後に、警察などが市民の表現行為に対し干渉・妨害をおこなわないことなどの提言をしています。
 なお同大会では、被疑者取調べ全過程の録画などを求める「宣言」も決議されました。

名張・布川事件 最高裁へ全国から要請  

 最高裁で重要な局面を迎えている三重・名張毒ぶどう酒事件と茨城・布川事件で、再審開始を勝ちとろうと、国民救援会は11月を「支援強化期間」と位置づけ、全国で宣伝行動をすすめています。
 11月13日、最高裁への全国要請行動がおこなわれ、8都県29人が参加しました。
 昼休みの最高裁前宣伝につづき、代表が最高裁へ要請しました。要請後は、参議院議員会館で学習・交流集会がもたれました。
 集会では、最高裁の要請についての感想、各地でのとりくみなどについての発言がされました。また、足利事件の菅家利和さんも参加し、「布川事件、名張事件で無罪判決が出ることを信じています。頑張りましょう」と、力強い挨拶を受けました。布川事件弁護団の青木和子弁護士、名張事件弁護団の小池義夫弁護士から両事件の裁判の状況などを報告してもらい、参加者からの質問に答えてもらいました。
 集会後、有楽町マリオン前で、雨の中、元気に両事件のビラを配り、布川事件の桜井さんや足利事件の菅家さんなどが次々とマイクを握り、行き交う人びとに布川・名張の再審開始への支援を訴えました。

福岡・前田光子先生不当解雇事件で勝利判決  

 自由ケ丘高校(北九州市)を不当解雇された前田光子先生が同校を経営する福原学園に対し解雇撤回を求めていた裁判で、福岡地裁小倉支部(岡田健裁判長)は11月5日、「解雇権の乱用にあたる」として解雇無効の判決を言い渡し、未払い賃金などの支払いを学園に命じました。
 07年、自由ケ丘高校が井上佳代先生を不当に整理解雇。前田先生らは井上先生の職場復帰を求め労働組合を結成。しかし、組合を嫌悪・敵視する学園が昨年、前田先生を不当解雇したものです。

東京・国公法弾圧堀越事件 弁護団が盗撮ビデオの証拠取調べを強く求める  

 東京・国公法弾圧堀越事件の控訴審第12回公判が11月4日、東京高裁(中山隆夫裁判長)で開かれ、弁護団は、開示された警視庁公安部による盗撮ビデオを証拠採用し取り調べるよう裁判所に強く求めました。
 弁護団は、盗撮されたビデオ22本の中に、一審判決でも違法とされた日本共産党千代田地区委員会への出入りの様子が撮影されたものが11本、日本共産党まりこ区議事務所への出入りの場面が14本もあったこと、その他もビラを所持していない堀越明男さんを撮影したものがほとんどで、友人・知人との対話や食事の場面などもあると指摘しました。これは、堀越さんを執拗に尾行して盗撮した重大なプライバシーの侵害で、公安警察の「捜査」の違法性を物語るものであり、こうした捜査を許す国公法の政治活動禁止規定の危険性と違憲性を示すものとして、本件盗撮ビデオ等を取り調べることは必要不可欠であると述べました。
 裁判所は、あらたに11月18日午前11時から第13回公判を開くことを決め、この日までに盗撮ビデオの証拠採用についての結論を出すとしました。

鹿児島・大崎事件 全国現地調査を開催  

 無実の原口アヤ子さんが殺人・死体遺棄罪とされ、第2次再審請求を準備中の大崎事件で第12回全国現地調査が11月7日、8日、5都県60人の参加で大崎町でおこなわれました。
 82歳となった原口さんが「やっちょらんもんはやっちょらん。私は事件とは無関係です。今後も支援をお願いします」と力強く訴えました。事前学習では弁護団から第2次再審請求の準備が完成に近いことも報告されました。集会には、志布志事件の川畑さんも参加しました。
 学習後、原口さんの説明もうけながら、関係場所で調査し、有罪判決の問題点を検証しました。
 翌日は、鹿児島県本部の福一事務局長から今後のとりくみについて報告がされ、アピールを採択し閉会しました。
 参加者は、役場周辺へ全戸配布し、鹿児島市の繁華街・天文館で宣伝をおこないました。

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