日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

09年10月15日号

09年10月15日号  

葛飾ビラ配布弾圧事件で最高裁が判決日を指定  

 荒川庸生さんがマンションの各戸ドアポストに、日本共産党の区議団だよりや区民アンケートなどを配布したことが住居侵入罪にあたるとして逮捕・起訴され、一審無罪、二審逆転有罪判決を受け、最高裁に上告してたたかっている東京・葛飾ビラ配布弾圧事件。最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は、9月28日付で、10月19日午前10時30分に判決を言い渡すと文書で通知してきました。荒川さんと弁護団、ビラ配布の自由を守る会は、判決を延期し15人の裁判官で審理する大法廷へ回すよう求めています。

 判決を通知する文書が最高裁から発送された日、弁護団は上告趣意補充書を提出しており、そのことは事前に最高裁に通告していました。
 弁護団が提出した6通の補充書は、東京高裁の有罪判決に全面的に反論したもので、とくに荒川さんが配布した区民アンケートについて、返送された回答結果を分析してその有用性を詳細に論述したものです。
 最高裁は、補充書が出されるのを知りながら、目も通さずに判決を強行しようとしています。

 たたかいが最高裁に移ってから、守る会と国民救援会は、最高裁に22回の要請をおこない、裁判官にあてた手紙は4472通になりました。個人署名は7万5759筆、団体署名2749通を提出。また、法学者および学者・文化人258人分の賛同署名と、添付された169人のコメントを最高裁に届けました。荒川さんは全国27都道府県を訴え歩き、守る会が主催した4回の大規模な集会では、のべ約2千人を集め、「ビラ配りが自由なのは当たり前」「一枚のビラが命を救うこともある」という声を全国に広げてきました。
 弁護団は、上告趣意書提出後も補充書を追加提出し、今年の2月に5通、6月に2通、そして今回6通の補充書を提出して、ビラ配布を犯罪とすることの誤りを明らかにしてきました。
 荒川さんと弁護団、守る会、国民救援会は、この裁判が憲法で保障された言論・表現の自由を争う重要な裁判であることから、判決日を延期して大法廷に回付し、事件の真相を明らかにするための口頭弁論を開くよう最高裁に求めています。

 10月3日、国民救援会東京都本部大会が開かれ、守る会の小松香代子事務局長が発言し、決意を語りました。「裁判所がどんな判決をしようとも、歴史をつくるのは司法ではなく私たち国民。私たちは、正々堂々とビラ配布ができる時代を確信している。私たちにこそ正義がある。何があってもビラは配り続ける。そういう決意で今後も頑張ります」。
 大会後の交流会に駆けつけた荒川さんは、「最高裁の傲慢(ごうまん)な訴訟指揮はきわめて不当であると思うが、一縷(いちる)の期待だけは持っていきたいと思う。残り少ない時間となりましたが、みなさんとともに全力を出してたたかっていきたい」と訴え、大きな拍手に包まれました。
 守る会と国民救援会は10月6日、緊急に最高裁に対し宣伝と要請をおこないました。同日、荒川さんと弁護団も最高裁に対し、判決期日の指定を取り消して口頭弁論を開くよう申立てをおこないました。
 守る会と国民救援会は、緊急の要請ハガキ、ファックスを最高裁に集中するよう呼びかけています。

言論弾圧3事件が統一行動  

 重要な段階を迎える言論弾圧3事件の勝利を勝ちとろうと9月28日、葛飾ビラ配布弾圧事件国公法弾圧堀越事件世田谷国公法弾圧事件の各守る会と国民救援会の代表が、最高裁と東京高裁への要請をおこない、合わせて宣伝行動と支援集会をおこないました。全国13都道県から65人が参加しました。

 今年中に結審し、来年春には判決を迎えると予想される国公法弾圧堀越事件と、この秋に控訴審の初公判が開かれる世田谷国公法弾圧事件は、ともに東京高裁に係属しています。
 午前11時、両事件の被告・堀越明男さんと宇治橋眞一さんが支援者とともに東京高裁を訪れ、「憲法に恥じない無罪判決を」と要求しました。

 正午からは、葛飾ビラ配布弾圧事件の宣伝行動を最高裁前でおこない、その後、荒川庸生さんと弁護団が6通の上告趣意補充書を提出。つづいて要請行動をおこないました。要請には、堀越さんと宇治橋さんも参加しました。
 秋田から来た嶋田さんは、厚さ10センチほどにもなるビラの束を示して、「半年の間にこれだけ多くのビラが我が家のポストに入った。これが社会の日常。ビラ配りが犯罪になるならば、戦前の暗黒時代のように何も物が言えなくなる」と訴えました。
 福岡からきた河野さんは、「北九州は、生活保護が受けられずに餓死する人が相次いでいる。私たちが配った『生活保護110番』というビラを大切に持って相談に来る人がいる。一枚のビラには人の命がかかっている。ビラがなくなれば、この人たちの命が奪われる」と訴えました。
 また、今回初めて要請に参加した荒川さんの長女・結さんも、「裁判官も、私の父の立場になって市民の気持ちで考えて欲しい」と訴えました。

 要請後、参議院議員会館で3事件合同の支援集会が開かれ、各事件の被告がたたかう決意を表明しました。
 堀越さんは、「葛飾事件で無罪判決を勝ちとり、自由にのびのびとビラを配る力になってほしい」と荒川さんにエールを送り、宇治橋さんは、「たたかえる時間は限られている。判決が出てからでは遅い。全国でいっそう運動をすすめてほしい」と訴えました。荒川さんは、「私が出会い、話をしてきたなかで、ビラ配りが犯罪だと言った人はいなかった。この事件は市民の常識が反映される裁判員裁判でやるべき。勝利判決を勝ちとり、みなさんと喜び合いたい。私の勝利判決で、堀越さんと宇治橋さんがやがて来る道を清めて待っていたい」と訴えました。
 最後に、3事件の勝利をめざし、全員で「ガンバロー」を唱和しました。

岡山・山陽本線痴漢冤罪事件で控訴審始まる  

 山陽本線痴漢冤罪事件の控訴審第1回公判が9月30日、広島高裁岡山支部で開かれました。
 この事件は、山本真也さんが2人の女性に痴漢行為をおこなったとして「迷惑防止条例」違反で起訴され、今年5月に岡山地裁で懲役6月・執行猶予3年の不当判決を受けていたものです。
 公判では、弁護団が控訴趣意書を説明。地裁判決について、被告人と被害者の身長差から見ても不可能な犯行を、「足を曲げたり、肩を下げたり、腕を伸ばしたり、これらを組み合わせたりなどすれば」可能だと、証拠にもとづかない「想像判決」を言い渡していることを批判。また、被害者などの不合理・不自然な供述を短絡的に信用して「常習」「有罪」の根拠にしている点についても、山本さん以外の第三者の犯行の可能性があり、山本さんが性犯罪の性向がないことも主張しました。さらに、山本さんの「手」について、繊維鑑定やDNA鑑定のような証明力の強い補強証拠を総合して事実認定がなされていないことも地裁判決の誤りであると述べました。
 弁護団は、高校生の痴漢目撃の通報を受けた際に鉄道警察隊員が作成した報告書の開示請求をおこないましたが、検察官は、「廃棄した」と拒否しました。
 裁判所は、山本さんの腕の長さや身長を計測し、審理をおこなう姿勢を見せました。
 この日の公判傍聴には救援会や、支援者など約百人が参加し、法廷に入れない人もいました。

愛知・梅尾人権裁判で障害者の人権無視する不当判決  

 全盲の視覚障害者・梅尾朱美さんが、介護サービスを受けていた名古屋市が運営するホームヘルパー事業所の廃止にともない、他の業者と契約しなおすよう一方的に通告されたことは、障害者の人権を無視したもので契約違反であるとして、名古屋市を相手にたたかっていた梅尾人権裁判の控訴審判決が9月9日、名古屋高裁で言い渡されました。
 判決は「市の財政状況が厳しい折、行政の裁量権で公務としてのヘルパー派遣が民間に委託されるのはやむを得ない」として、梅尾さんの控訴を棄却しました。
 判決後の集会で弁護団が、「裁判所は、私たちが主張したことをいったんは認めながら、『しかしながら』と、ことごとく否定する手法で控訴棄却を言い渡した。お墨付きを与えるように、行政の主張していないことまで追認している」と報告しました。
 原告の梅尾さんは、「裁判所から『障害者は苦労して当たり前、平穏に生活する権利を奪われても障害者だから仕方ない』と言われているように感じました。私は安心して暮らしたいだけなんです」と怒りの訴えをおこないました。

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