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名張毒ぶどう酒事件第10次再審声明

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名張毒ぶどう酒事件

第10次(死後)再審・請求棄却決定に抗議する
2017年12月8日 
名張事件全国ネットワーク
日本国民救援会中央本部
再審・えん罪事件全国連絡会

 本日、名古屋高裁刑事第1部(山口裕之裁判長)は、名張毒ぶどう酒事件の第10次(死後)再審請求について、これを棄却する決定を下した。
第10次再審の申立から2年。この間弁護団は、毒物鑑定に対する名古屋高裁の勝手な推論を否定する新証拠に加え、封緘紙の二度貼りの事実を明らかにして真犯人の存在を強く推認させる「糊鑑定」、奥西勝さんの「自白」どおりの犯行は不可能である実験結果やその「自白」が虚偽自白であること示す供述分析など、数々の新証拠を提出した。そして、これら新証拠に対する必要な事実調べの実施とそのための進行協議の開催、さらには検察官が隠し続ける証拠の開示命令も再三にわたって求めてきた。しかし、名古屋高裁はこれらを全く行わずに棄却を決定しており、実質的審理を放棄した極めて不当な決定である。また、新証拠を否定した判断も科学的知見に基づくものとはとても言えず、「死刑」の結論が始めにありきのおざなりの判断である。かかる不当決定に対し、満身の怒りを込めて抗議する。

 そもそも本件一審判決は、検察官による恣意的供述変更を批判し、奥西勝さんの「自白」の信用性を否定した無罪判決であった。本来これで決着がつくべきであったが、検察官控訴を受けた名古屋高裁が戦後の裁判史上例をみない「破棄自判による死刑判決」を下したがために奥西勝さんは無実の罪で54年間苦しめられ、最後は獄死をさせられたのである。しかも、その死刑判決の唯一の根拠ともいえる王冠の歯痕鑑定は偽造鑑定であった。さらに、これまでの再審審理において、奥西勝さんに犯行機会がないことを示す事件当時の名張警察署長の捜査メモ、犯行に使われた農薬は奥西勝さんの「自白」にいう「ニッカリンT」ではなかったことを示す毒物鑑定など、死刑判決に合理的な疑いを生じさせる新証拠が次々と提出されているのである。さらに第10次審における新証拠を真摯に検証すれば、奥西勝さんの無実は明らかであり、早急に再審が開始されるべきは当然である。しかし、ただ裁判所のみがこれらの新証拠の意義に目をつむり、いったんは再審開始を決定したことがあっても、単なる可能性や勝手な推論で科学的証拠を否定し、「自白」に過度に寄りかかっては幾度となく奥西勝さんに死刑判決を突きつけ続けてきたのである。これはもはや司法による殺人以外の何ものでもない。

 今こそ名古屋高裁は、54年間無実を叫び続けながら獄死を余儀なくされた無実の死刑囚奥西勝さん、そしてその兄の無念を晴らして名誉を回復させるべく本件を申し立てた岡美代子さんの無実の叫びに真摯に向き合うべきである。そして、無辜の救済のための真剣な審理をしてこそ、国民が信頼する裁判所たり得ることを肝に銘じるべきである。

 私たちは、これまで全国から寄せられたご支援に心から感謝を申しあげ、また、弁護団の献身的な弁護活動に敬意を表しつつ、奥西勝さんの無念を晴らして名誉が回復されるその日まで、全国の支援者のみなさん、そしてえん罪に苦しむ多くのみなさんとも手を携え、全力を尽くすことをあらためて表明するものである。

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