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名張毒ぶどう酒事件第7次再審最高裁決定について

【声明】

名張毒ぶどう酒事件第7次再審最高裁決定について  

2010年4月7日
日本国民救援会
会長 鈴木亜英

  6日、最高裁第三小法廷(堀籠幸男裁判長)は、奥西勝さんに対する名張毒ぶどう酒事件第7次再審請求特別抗告審において、再審開始を取消した原審・名古屋高裁(門野博裁判長)の決定を取消して、同高裁に差戻す決定を関係者に通知した(決定は5日付け)。
  ことし84歳となった奥西さんは、1961年、35歳当時に発生したこの事件において、公判開始以来一貫して無実を訴え続け、これまで二度にわたる「無罪」の裁判を受けながら、今日に至るまで、実に半世紀におよんで雪冤の願いが退けられてきた。ことに、1969年の原・二審判決によって、一転死刑判決を宣告されて以降は、死刑執行の恐怖に怯えながら、冤罪を訴え続けてきたのである。今回の決定は、いったん認められた再審開始と死刑の執行停止を取消した名古屋高裁の決定を、改めて取消したもので、奥西さんの、まさに生涯をかけた願いの実現に向けて、新たな展望ある第一歩が踏みだされた。
  本件再審の審理においては、確定死刑判決の、ぶどう酒に農薬:ニッカリンTを混入して、殺害および未遂を行ったとした事実認定が、完全に誤りであることが明らかとなった。犯行事実の根幹を占める凶器=毒物が違っていたのである。ところが、原審・名古屋高裁は、「推定有罪」の立場に立ち、「疑わしきは被告人・請求人の利益に」という刑事裁判の鉄則を踏みにじって、この厳粛な科学的事実に対して眼を塞いだばかりでなく、非科学的な歪曲解釈すら行って、有罪判決を強引に維持していた。
  最高裁決定は、この取消決定について、「科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、その推論過程に誤りがある疑いがあ(る)」とした。また、検察が、それ以前に入手していた「証拠」でありながら、その「脆弱性」によって持ち出すことができず、特別抗告審に係属してからでも2年以上経って初めて行った新しい主張についても、その科学的あいまい性を指摘している。したがって、「再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りる」という1975年の白鳥決定の見地からすれば、差戻しによってさらに審理を継続させることなく、自判して、再審開始決定を確定させるべきであった。
  差戻審においては、事件発生から50年近くを経過していることや、奥西さんの高齢とも併せて、検察によるこれ以上の引延ばし策を許さないことを最重要事とするべきことを強く要請したい。そのために、そこでの証拠調べは、田原睦夫裁判官が補足意見で指摘するように必要最小限の範囲に限定し、検察が指摘された疑問点を直ちに解明できなければ、時をおかずに再審開始を決定するべきである。
  国民救援会は、これまでに倍して奥西さん救援の活動を全国で展開し、さらに広範な人びとに事件の真実を訴えて、「良心」の声を名古屋高裁に集中し、早急な、再審開始決定の確定に続く再審公判における無罪判決を勝ちとって、奥西さんを社会にとりもどすために全力を挙げるものである。そのことが、裁判員裁判において期待されている、冤罪・誤判の根絶のための、あるべき刑事裁判を実現していくうえでも大きく寄与するものと信ずる。

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