第６章 裁判員候補・裁判員に選ばれたら
国民救援会の裁判員制度へのとりくみ＞裁判員裁判ーその制度の仕組みと問題点
第６章 裁判員候補・裁判員に選ばれたら
１ 刑事裁判の原則に立ってこれを守り、冤罪・誤判に加担しない国民的潮流の強化・確立へ
（１）大衆的裁判闘争の歴史的教訓をふまえて
�〆枷十蠅�広報キャンペーンするような「簡単」なものではなく、重大な責務を負うこと
��刑事裁判の目的をふまえる（前記第３章第１ １２頁〜）
刑事裁判の目的は事件の真実の発見にあり、その手続きにおける大原則は、「無辜の不処罰、無罪推定原則、疑わしきは被告人の利益に」というもので、検察官によって、被告人が有罪であることを証拠にもとづいて疑いが生じない確実さで証明した場合（「合理的な疑いを超えた証明」ができた場合）には有罪、これについて一点の曇りでもあれば無罪にしなければならないというものであること
��裁判員裁判の問題点（第５章）の解明
裁判員制度は、制度として、やみくもな「迅速裁判」、裁判員と裁判官の間にある事件に関する情報・審理に関する権限の格差、裁判員への就任の強制・守秘義務の強制や、裁判員が関与しないですすめられる被告人の防御権・弁護人の弁護権を侵害する「公判前整理手続」前置主義、国民による裁判批判を抑圧する「検察開示記録の審理目的外使用禁止規定」をはじめとした諸規定、事件の真実解明にも犯罪被害者救済にも無力な「犯罪被害者参加制度」等々、刑事裁判の目的と原則を破壊しかねない様ざまな、そして重大な問題点があり、冤罪・誤判をいまよりも増大させる危険性が危惧されるものであること。
また、実際の運用においても、これまでの模擬裁判では、裁判長から裁判員に対する説示において、「検察官の主張と弁護人の主張を聞いて、どちらに軍配を挙げることができるか」と問いかけるという、検察の立証責任をあいまいにする驚くべき事態が蔓延しており、このような態度での運用が実際の裁判でおこなわれたら、刑事裁判の原則を投げ捨てたものとなること。
�ぢ臀暗�裁判闘争の歴史的教訓からの展望
- 事実認定において、具体的な生活実態に裏打ちされた「市民の健全な常識」の眼が、職業裁判官よりはむしろ優れています。
- 国民による裁判の監視・批判は、最高裁による官僚的統制を受けない故に正義を貫くことができます。
- 国民の良心を広く組織して裁判官の良心発露を促す力になります。
- こうした特長を法廷審理の場で活かします。
（２）裁判員になった場合は、審理過程での疑問をあいまいにせず、納得するまで裁判官に質問・要求します。
公判審理や評議など、手続のあらゆる場合において、納得のできるまで裁判官に対して質問し、意見を述べ、冤罪・誤判、安易な重罰化に手を貸さないとの立場を貫きます。
休憩時などにおいても、裁判官に自由に質問ができます。
評議に際しては、確認のための記録の取寄せが要求できます。
２ 量刑問題にかかわって
（１）裁判員裁判の多数は公訴事実を争わない事件で、判断の中心は量刑判断となります。
（２）厳罰傾向
（３）死刑をめぐって
�〇犒裟�度は、今日では、国際社会において広くこの国が引きずる野蛮な恥部と指弾されています。また、冤罪被害者の存在とあいまって、国内でもその問題性の再論議が高まっています。
��国連自由権規約委員会の日本政府への勧告（１９９３年第３回審査、１９９８年第４回審査、２００８年第５回審査）「死刑廃止に向けて努力すべきである」
�９駭⊃邑�高等弁務官から強い遺憾の意表明（２００７年１２月）
鳩山邦夫法務大臣（当時）による、３人の死刑執行（２００７年１２月）に際して出されました。
�す駭∩躄颪任了犒瑳更堋篁澤莎�
０７年の国連総会は死刑執行の一時停止を求める決議を採択しました。決議に拘束力はありませんが、こうした決議が採択されたのは初めてです。０８年にも同様の決議が採択されましたが、日本はいずれの決議にも反対しました。
（４）刑罰の本質と刑事政策
刑罰は応報・懲罰ではなく、更生をめざすというのが近代刑事政策の到達点です。
名張事件第10次再審（最高裁）署名用紙
