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声明・名張毒ぶどう酒事件の最高裁不当決定に強く抗議する

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声明・名張毒ぶどう酒事件の最高裁不当決定に強く抗議する
2013年10月17日
日本国民救援会
会長 鈴木亜英

 1961年、三重県名張市で起きた名張毒ぶどう酒事件で犯人とされた奥西勝さんが求めていた第7次再審請求に対し、10月16日、最高裁第1小法廷(櫻井龍子裁判長)は再審を認めない決定を出しました。この決定は、「疑わしきは被告人の利益に」の刑事裁判の鉄則は再審にも適用されるとした最高裁「白鳥・財田川決定」に反する不当極まる決定です。日本国民救援会は、不当決定に怒りを込め、強く抗議します。
奥西勝さんは第1審・津地裁において、「自白は信用できず、奥西さん以外にも犯行機会はある」と無罪判決を受けたにもかかわらず、2審・名古屋高裁において歯痕鑑定(第5次再審請求で捏造が発覚)を最大の根拠に逆転死刑判決を受けました。無罪から死刑という我が国の刑事裁判でも異例の経過をたどった事件です。その後、奥西さんは、半世紀にわたって死の恐怖と孤独に耐えながら不屈に無実を叫び続け、裁判所に救済を求めてきました。今年、映画「約束〜名張毒ぶどう酒事件・死刑囚の生涯〜」が全国で上映され、冤罪を作りあげた警察・検察・裁判所への怒りと「奥西さんを死刑から救え」との声が大きく広がり、最高裁に約8万もの再審開始決定を求める署名が寄せられました。また、最高裁への要請で、奥西さんが獄死することがあれば、司法による「殺人」として日本の裁判史上に汚点を残すことになると警告をしてきました。
 今回の第7次再審請求において、弁護団は、ぶどう酒に混入された農薬(=凶器)が「自白」の「ニッカリンT」ではないとの科学的鑑定を新証拠として裁判所に提出しました。それを受け、2005年、名古屋高裁刑事第1部は、「ニッカリンTを入れたという自白の信用性に疑問が残る」として、再審開始と刑の執行停止の決定をおこないました。しかし検察はあくまで死刑判決を維持しようと異議を申立て、名古屋高裁刑事第2部は再審開始決定を取消してしまいました。これに対し、最高裁第3小法廷は、この異議審決定が「科学的知見に基づいて検討したとはいえない」として、審理を名古屋高裁に差し戻しました。しかし、同高裁は、推論に推論を重ねたうえ、「自白」を重視し、再審開始決定を取り消す決定(異議審差戻し決定)をおこないました。
今回、最高裁には、異議審差戻し決定の判断が科学的知見に基づくかどうかの判断が求められていましたが、決定は、弁護団の反論にはいっさいこたえず、「弁護側が新証拠として提出した証拠は、毒物がニッカリンTであることと矛盾しない」「自白の信用性にも影響を及ぼさない」と決め付け、「自白」に寄りかかり、科学的根拠を示すことなく高裁決定を追認しました。これは先の最高裁決定の趣旨にも反するものです。また、再審請求人と弁護人に無罪の立証を求める挙証責任の転嫁であり、「無辜の救済」という再審の理念を否定する不当な決定です。
 奥西さんは、87歳の高齢となり、今年になって二度も危篤状態となりながらも、再審無罪を願い、命の灯を燃やしてきました。司法が無辜の命を弄び続けることなど許されません。
 あらためて最高裁に強く抗議するとともに、無実の奥西勝さんを救出するために、引き続き真実と正義を愛する多くの国民のみなさんの力を結集して、再審無罪を勝ちとるまで奮闘する決意を表明します。

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