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声明・今市事件 東京高裁の不当判決に強く抗議する

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声明・今市事件 東京高裁の不当判決に強く抗議する

 本日、東京高裁第5刑事部(藤井敏明裁判長)は、今市事件の被告人である勝又拓哉さんに対する殺人罪について、一審判決を破棄したうえで、訴因変更後の訴因について自判し、あらためて勝又さんに無期懲役を宣告した。この判決は、強要された勝又さんの「自白」に任意性・信用性を認めた一審判決を誤りとして破棄したにもかかわらず、精神的混乱の中で書かれた勝又さんの母親に対する手紙を根拠に勝又さんを犯人とし、有罪無期懲役としたものであり、およそ国民の常識とはかけ離れた信じがたい判決であり、強く抗議する。
 今市事件は、2005年12月1日午後2時38分ころ、栃木県今市市(現在の日光市)の小学1年生の女児が行方不明となり、翌日、茨城県の山林で遺体となって発見された事件である。捜査機関は、事件発生から約8年が経過しても解決できない状態を打開する賭けに出るかのように、2014年1月29日、勝又さんの身柄を確保するため、商標法違反(偽ブランド品の譲渡目的所持罪)で別件逮捕した。商標法違反の起訴後は、身柄拘束を利用し、今市事件の取り調べをした。
 勝又さんは、同年6月3日、殺人罪で再逮捕され自白を強要された。宇都宮地検は、同月24日、勝又さんが「2005年12月2日午前4時ころ」「茨城県常陸大宮市三美字泉沢1727番65所在の山林西側山道」で殺害したと訴因を特定し、殺人罪で起訴した。
 宇都宮地裁での裁判員裁判は、2016年4月8日、情況証拠のみからは勝又さんの犯人性を認定することはできないと述べながらも、自白の任意性・信用性を認め、無期懲役の判決を言い渡した。裁判を担当した裁判員らは、判決後の記者会見で、物証の「弱さ」を指摘しつつも、自白に関わる一部録画を見なければ「判断は違っていた」と述べていた。
 東京高裁での審理では、弁護団によって、遺体に残された創傷が「自白」の殺害態様と矛盾し、殺害現場に被害者の血痕がほとんどないこと、女児の頭部に貼り付いていた粘着テープには、勝又さんのDNAが検出されないばかりか、捜査関係者でもない第三者のDNAが存在することなどが明らかにされた。これによって原審が認めた自白の信用性は、根底から否定された。
 それに対し、検察側は、起訴状記載の殺害日時と現場が疑わしいと思いつつも、勝又さんの犯人性だけには固執し、「2005年12月1日午後2時38分ころから同月2日午前4時ころ」に「栃木県か茨城県内、またはそれら周辺」で殺害したとの訴因に変更したいと、東京高裁に求めた。東京高裁は、弁護団の反論を退け、訴因変更を許可した。東京高裁での審理により、情況証拠が乏しいことに加え、勝又さんの自白の信用性もないことが明らかになり、検察側は、訴因変更せざるを得ず、原審の有罪立証が崩れたことを事実上認めていた。
 そこで、私たちは、東京高裁が、公正中立な判断さえすれば、無罪という結論にしか辿り着かないとの確信を抱いていた。東京高裁も、一審の事実認定のうち、殺害の経緯、場所、態様等についての勝又さんの「自白」は信用できないことを認めざるを得なかったのである。
 ところが、本日、東京高裁は、弁護団が過酷な取調べの中で「自白」をさせられるという状況のなかで書かれた多義的解釈が可能な手紙で事実認定をおこなうことは極めて慎重でなければならないと主張していたにもかかわらず、勝又さんが勾留中に母親に宛てた手紙を根拠に、殺害の日時場所など不問に付して、とにかく勝又さんが犯人であることは間違いないと認定し、その範囲で勝又さんの「自白」の信用性を認め、勝又さんに無期懲役を言い渡した。
 私たちは、不当判決をした東京高裁に対して、強く抗議し、勝又さんの無罪判決を勝ちとるまでたたかうことを表明する。

2018年8月3日

日本国民救援会栃木県本部
日本国民救援会中央本部
えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会

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