日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

菅家利和さんの釈放にあたって

【声 明】

足利事件菅家利和さんの釈放にあたって  

2009年6月4日
日本国民救援会
会 長 鈴 木 亜 英

本日、東京高等検察庁は、足利事件の再審請求人である菅家利和さんを、職権によって刑の執行を停止し、収容先の千葉刑務所から釈放した。足利事件の再審請求は、東京高裁に即時抗告審が係属しているところ、DNA型不一致の再鑑定結果を受け、東京高検において、この再鑑定が「無罪を言い渡すべき新たな証拠」にあたると判断したことによるものである。

菅家さんは、無実でありながら逮捕以来17年半という長期におよぶ拘禁を強いられてきた冤罪犠牲者であり、不当な無期懲役刑の執行を停止し、釈放するのは当然である。原審の係属中から10数年にわたって菅家さん救援のために奔走してきた日本国民救援会は、遅きに失したとはいえ、この東京高検の措置を歓迎する。

足利事件は、1990年栃木県足利市で発生した、当時4歳の女児に対する誘拐・殺人事件について、菅家さんが犯人とされて逮捕・起訴され、有罪判決が確定したものである。しかし、その直接証拠は、不自然・不合理な変遷をくり返し、また、客観的事実と決定的に矛盾する自白しか存在しなかった。そうでありながら、この自白の信用性を支える間接証拠として、当時精度も技術も確立していないDNA型鑑定が提出された結果、原審における3つの裁判所(宇都宮地裁、東京高裁、最高裁)と再審請求審裁判所(宇都宮地裁)という4つの裁判所が、いずれも、根拠のない「DNA神話」にとり憑かれ、科学の眼をもって事実を究明・認定する態度を放棄した結果、菅家さんに対して深甚な苦難を与え続けてきたものである。

東京高検は、また本日、東京高裁に対して、足利事件の再審開始を容認するとの意見書を、その差出期限を待たずに提出した。したがって、東京高裁は、一日も早く原決定を取消して再審開始を決定するべきである。また、開始される再審審理において宇都宮地裁は、可及的速やかに無罪判決を宣告しなければならない。

足利事件は、今日なおも続発している冤罪・誤判と同じ構造をもっている。すなわち、捜査過程における、根拠のない見込みにより代用監獄という密室での自白強要と、裁判過程における、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を捨て去った有罪志向・自白偏重・科学の軽視である。裁判員制度が施行された現在、国民がこれに関与する不安を抱えている原因の一つに、裁判所をはじめとする司法当局者がこれにまったく無反省であるという事実があることを、深刻に想起するべきである。

国民救援会は、いっそうの覇気をもって無実の菅家さんを社会にとりもどす救援運動をすすめる。また、いまなお、各地で無実の叫びを挙げて助けを求めている冤罪犠牲者の救援に向けて、全国で支援を強化する。同時に、今後の冤罪・誤判を防ぐために、その発生システムを支える制度の抜本的改善を求めるとともに、裁判員になり得るすべての国民に対して、「真相解明と無辜の不処罰」「推定無罪、疑わしきは被告人・再審請求人の利益に」という刑事裁判の目的・原則を普及し、貫徹してもらうための啓発活動を、さらに積極的に展開する決意を表明するものである。

powered by Quick Homepage Maker 3.60
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional