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証拠開示

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証拠の全面開示を求める請願

最高検察庁
 検事総長 小津博司殿

日本国民救援会中央本部
会長 鈴木亜英
再審・えん罪事件全国連絡会
代表委員 新倉 修

【請願趣旨】
 この間、裁判所は、袴田事件(静岡地裁)、日野町事件(大津地裁)、大崎事件(福岡高裁宮崎支部)において、相次いで検察に証拠の標目および検察ないし警察手持ちの「未提出証拠」を開示するよう、勧告しました。私たちは、最高検察庁が各事件を担当する各検察庁に対して、裁判所の開示勧告に従うとともに、実体的真実の発見のために自ら積極的に証拠を開示するように指示するよう請願します。

【請願理由】
 私ども、日本国民救援会、再審・えん罪事件全国連絡会は、免田、財田川、松山、島田の死刑再審4事件をはじめ、多くの再審・冤罪事件の支援活動を行ってきました。
 その過程で明らかになったのは、多くの冤罪事件が検察側の証拠隠しによって真実の究明を妨げられ、誤判救済が滞り、再審無罪となった元被告人が長年にわたって塗炭の苦しみを味わされてきたことでした。また、現在に至るまで、証拠開示制度についての抜本的な見直しは行われておらず、この状況は未だに改善されていません。現在も多くの刑事裁判で、被告人や再審請求人およびその弁護人が再三にわたって証拠開示を請求しても、検察側は誠実に対応しないだけではなく、明らかに不当な訴訟態度をとることもあり、憲法31条に定める適正手続の保障と憲法99条の公務員の憲法遵守義務から見て正義に反する対応をとり、被告人や再審請求人の無実を示す証拠や重要な証拠が提出されることなく、検察側の手元に隠され続けています。
 周知のように、布川事件および東電OL殺人事件では、「検察官未提出証拠」が確定判決の有罪認定を根底から覆し、再審開始決定を導き、再審無罪判決を得るうえで決定的な契機となりました。多くの識者が指摘するように、両事件は、冤罪防止や救済にとって検察側の手持ち証拠の全面開示が必要不可欠であることを示す大きな教訓となっています。
 また裁判員裁判の導入に伴って導入された公判前整理手続でも採用された証拠開示制度が、再審請求手続ではいまだに採用されておらず、この問題の解決はもっぱら裁判所と検察庁の対応に委ねられています。しかし、明文の規定がないことは再審請求人に証拠開示が認められない根拠とはなりません。現に袴田事件日野町事件大崎事件においては、相次いで、裁判所は、検察側に対して証拠の標目および検察・警察の手持ち証拠を開示するよう勧告しました。
 ところが、検察庁は証拠開示に未だに積極的な姿勢を示していません。本来、捜査機関が集めた証拠は、検察側が有罪を獲得するために独占するものであってはならず、実体的真実の発見のためにも利用するべき「公共の財産」と言うべきです。また、被告人や再審請求人にとって、すべての証拠資料にアクセスすることができなければ、十分に防御する権利を行使する機会を失うことになります。まして自己に有利な証拠が隠されれば無罪立証の機会を失うだけではなく、公正な裁判を受ける権利を保障されないことになります。証拠を開示すれば証拠隠滅や訴訟関係人への威迫やプライバシー侵害等が生じるという意見がありますが、仮にそのような弊害のおそれがあるとしても、再審事件は事件発生から大きく時間が経過しているなどの特別の事情があり、そのような弊害の具体的な危険性はほとんど考えられません。
 郵便不正事件など一連の検察不祥事によって国民の信頼を失墜したことから、国民の信頼回復のために「検察の理念」が策定されましたが、そこには、「あたかも常に有罪そのものを目的とし、より重い処分の実現自体を成果とみなすかのごとき姿勢となってはならない」と今後の基本姿勢が明確に示され、「無実の人を罰しない」ことが誓約されています。また、郵便不正事件にかかわる証拠改ざん事件の検証報告書においても、「被疑者・被告人に有利な証拠についても、法令に従い、適正にそれを弁護人に開示しなければならない」という指摘があります。
 さらに国連もまた、被疑者・被告人、弁護人がすべての証拠にアクセスする権利が保障されるように、再三にわたって勧告し、証拠開示の制度・運用の是正を強く求めています。今年5月に行われた拷問禁止条約第2回日本政府報告審査の「最終所見」は、「取調べの過程を通じて弁護人に秘密にアクセスする権利、逮捕時点から法律扶助を受ける権利、自己の事件に関する全ての警察記録にアクセスする権利」を、起訴前拘禁におかれたすべての被疑者に保障するように厳しく勧告しています。
 以上、私どもは、最高検察庁が、各裁判所が出した勧告に従って、とりわけ袴田事件日野町事件大崎事件に関して、所管の各検察庁に対して、直ちに証拠開示に応じるように指示するよう求めます。あわせて、検察が「公益の代表者」として公正な裁判の実現と実体的真実の発見、冤罪の防止のために、起訴前における証拠の全面開示及びすべての再審請求事件での証拠の全面開示を積極的に実行することを重ねて強く求めます。

 2013年7月26日

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