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自衛隊の国民監視差止・賠償請求:最高裁決定に対する声明

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自衛隊の国民監視差止・賠償請求:最高裁決定に対する声明

1 最高裁判所第二小法廷(鬼丸かおる裁判長)は、本年10月26日、自衛隊の国民監視差止・賠償請求訴訟につき、原告75名の上告棄却・不受理の決定を言い渡しました。

2 この事件は、2007年6月6日、自衛隊のイラク派兵に反対する全国各地の広範な市民の運動を、陸上自衛隊情報保全隊が「イラク自衛隊派遣に対する国内勢力の反対動向」「反自衛隊活動」として監視し、個人名も含めた詳細な内部文書を作成・保管していたことが発覚したことから始まりました。
 私たちは、自衛隊の国民監視は、国民の思想信条の自由、プライバシー権、表現の自由はもとより平和的生存権も侵害する重大な違憲・違法な行為であり、立憲主義を破壊し、戦前の憲兵政治を復活するものだとして、同年10月5日、仙台地方裁判所に差止請求・国会賠償を求める訴訟を提起しました。
 仙台地裁は、2012年3月26日、自衛隊が国民を監視していた事実を認定するとともに、107名の原告のうち内部文書に実名が記載されていた5名に対して違法な人格権侵害があったと認定して慰謝料の支払いを命じました。
 仙台高等裁判所も、本年2月2日、1名の原告に対して違法なプライバシー権侵害があったと認定して慰謝料の請求を命じ、国は上告を断念し勝訴判決が確定しています。
 高裁判決後、75名の原告が、自衛隊というわが国最大の実力組織の国民監視に関する憲法判断を求め、最高裁に上告し、本年9月21日の最高裁要請で、法律論に関する追加立証等を検討していることを伝えてきました。

3 今回の最高裁決定は、原告の追加立証がなされる前に、憲法判断を回避するために門前払いをしたというほかなく、このような最高裁の不誠実な対応に強い怒りを感じます。同時に、この決定は、憲法が国民に保障した基本的人権を擁護する番人としての職責を最高裁が放棄したものであり、最高裁が自らその存在意義を否定したことに失望を禁じ得ません。特に、安倍政権による南スーダンPKO派遣に対して全国各地で反対運動が起こっているさなかに、自衛隊の国民監視を容認するかのごとき決定を行ったことは、政治に迎合する最高裁の体質を感じさせるものであり、極めて憂慮すべきことです。

4 私たちのこの9年間の闘いは大きな成果を上げてきました。
 秘密のベールに覆われていた「影の軍隊」、「現代の憲兵」と呼ばれる自衛隊情報保全隊を司法の場に引き出したこと自体、画期的なことです。裁判所は、地裁・高裁ともに、自衛隊が国民を監視している事実を明確に認定しました。地裁では自衛隊の監視行為が国民の人格権を侵害していること、高裁ではプライバシー権を侵害していることを認定させ、国家賠償を勝ち取りました。高裁では、国民監視の責任者である情報保全隊隊長等に対する尋問が実施され、国民監視の実態を相当程度明らかにすることができました。問題があるとはいえ、仙台高裁も、監視行為等の違法性判断基準について、情報収集行為の目的、必要性、態様、情報の管理方法、情報の私事性、秘匿性の程度、個人の属性、その他の事情を総合考慮する必要があるとし、その基準に照らせば、年金改悪反対等の市民活動に対する自衛隊の監視は認められないと警告しました。
 なによりも、自衛隊の国民監視を許さないという運動と連帯が全国各地に広がり、国会で院内集会も開催することができました。
 私たちは、この間の全国からの温かいご支援に心から感謝するものです。

5 現在、安倍政権の下で、自衛隊の海外派兵・戦争国家づくりが憲法を無視して強行され、これに対して、平和・人権・民主主義を守ろうとする国民の運動が大きく広がっています。そして、これら国民の運動に対する自衛隊や警察による違憲・違法な監視活動が拡大し、弾圧の危険も危惧されます。

6 私たちは、最高裁不当決定後も、引き続き、全国の仲間と連帯して、自衛隊の国民監視を許さず、国民の基本的人権が違憲・違法に抑圧されることのない、平和で自由な社会の実現のために活動を続けていくことを約束いたします。

2016年11月4日

自衛隊の国民監視差止訴訟原告団
自衛隊の国民監視差止訴訟弁護団
自衛隊の国民監視差止訴訟を支援するみやぎの会

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