日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

司法総行動要請書

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  • 2011年司法総行動 共同要請書

は じ め に

3月11日に発生した東日本大震災は、長い間「常識」とされていた「経済至上主義」を根底から覆した。これまで「経済成長優先」方針に異議を唱えにくい風潮があった。それが、福島第1原子力発電所の爆発事故によって、大きく変化した。日本経団連の幹部が「電力の安定供給ができなければ、経済成長はできない」と「原発推進」を表明すると、「国民の生命より企業の儲けが大事なのか」と多くの国民やマスコミからも冷笑・非難される変化が生まれている。
 その一方で、政府が進める「復興構想会議」の基本方向は、大企業の利益確保優先、住民不在で推し進められようとしている。さらに大震災を口実にした解雇や労働条件の切り下げも多発し、弱肉強食の動きがさらに加速している部分もある。
今こそ、国民の基本的人権を尊重する社会の実現へ、司法の分野でも大きな変化が期待されている。

かつてなく高まる刑事裁判への関心
一昨年、足利事件でDNA型再鑑定により再審・無罪が確定したのに続いて、布川事件の再審裁判でこの5月に無罪が確定した。そして、昨年9月には大阪地検特捜部検事の証拠改ざんの発覚と、冤罪を生み出してきた警察・検察・裁判所の姿が国民の前にさらされた。
多くの冤罪事件が明らかになる中で、刑事裁判に対する国民の関心と「無実の人は無罪に」との声がかつてなく大きくなっている。

裁判員制度がはじまって3年目に
09年5月から、はじまった裁判員裁判では、昨年(10年)の一年間に、1506人の被告に判決が言い渡され、8673人が裁判員をつとめたと発表されている。裁判所が発表したアンケート結果では、63.1%が裁判の内容は理解しやすかった、71.4%が「十分に議論ができた」、そして、95.2%が(非常に)良い経験と感じたと充実感をもって裁判員の職務に従事したなどと報告されている。
しかし、約7割の事件が審理に日数が4日以内となっており、「裁判員の負担軽減」を優先していることにより、被告の権利である適正手続きの保障、事実と証拠に基づく判断がなされるべき刑事裁判の基本が守られているのかどうか検証が必要である。
非公開の公判前整理手続で事前の争点の削ぎ落としや整理された審理計画のもとで、公判審理がベルトコンベアー式に流れセレモニー化する傾向がある。とくに、検察が証拠物や証言を簡略化したイラストやCGなどを駆使してモニター画面に映し出す手法は、検察官の主張が客観的事実(証拠)であるかのように受け取られかねない状況をつくり出し、主張と証拠調べの区別を極めてあいまいにしている。そして、評議開始前に公開の法廷で、裁判員に対して「推定無罪の原則」や「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を基準にして判断するべき旨の説明(説示)は、どの裁判でもなされていない。
取調べの可視化(取調べの全過程の録画)をしないままの裁判員制度では、被告人が法廷でいくら「自白」は強要されたものだと主張してもそれを客観的に検証する手段がない。裁判員に選ばれた国民が冤罪作りに手をかすことになりかねない。
あわせて、裁判終了後の裁判員に課せられた「守秘義務」が、裁判員制度の検討・批判の足かせとなっていることがあきらかになっている。

日本の司法に対する国際批判のいっそうの高まり
08年10月国連自由権規約委員会は、日本の言論表現活動にたいする異常な規制にたいして、「政治活動及び他の活動を、警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないよう」「表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである」と、裁判所にたいしてまでも「過度な制約をしない」ことを求めた。
これを受けて、国内世論の高まりの中で、日弁連も、09年11月の人権擁護大会で、市民の表現の自由および知る権利を最大限保障することを求める「表現の自由を確立する宣言〜自由で民主的な社会の実現のために」との決議をおこなった。
さらに国連自由権規約委員会の「総括所見」は、自白偏重の日本の裁判に強い懸念を表明し、虚偽自白の防止、取り調べ全過程の可視化の実現や司法関係者に対する規約についての教育研修についても強く勧告している。

◇自由権規約委員会の「総括所見」
 08年10月に出された日本政府の第5回報告に対する自由権規約委員会の「総括所見」。
「規約の教育研修」「取り調べの可視化」および「言論・表現の自由」についての部分を抜粋します。
7.委員会は、規約の規定を直接適用した国内裁判所の裁判例に関する情報が、最高裁判所が規約違反ではないと判断したもの以外には乏しいことに留意する。(第2条)
締約国は、規約の適用及び解釈が、裁判官、検察官及び弁護士に対する専門職業的研修の一部となること、規約に関する情報を、下級裁判所を含め、司法のあらゆる段階に広めることを確保すべきである。
19.委員会は、警察の内部規範で定められている被疑者取調べの時間制限が不十分であること、真実を明らかにするよう被疑者を説得するという取調べの機能を阻害するとの理由で取調べにおける弁護人の立会いが認められていないこと、及び、取調べの電子的な監視の手法が散発的及び選択的に行われ、しばしば被疑者の自白を記録することに限定されていることを懸念をもって留意する。また、委員会は、主に自白に基づく有罪率が極めて高いことに懸念を再度表明する。この懸念は、このような有罪判決の中に死刑が含まれることで更に強くなる。(第7条、第9条及び第14条)
締約国は、虚偽の自白を防止し、規約第14条に定められている被疑者の権利を確保するため、取調べの厳格な時間制限や法律を遵守しない行為への制裁につき規定する立法措置を取るとともに、取調べの全過程について体系的に録音・録画し、さらに全ての被疑者に、弁護人が取調べに立ち会う権利を保障すべきである。また、締約国は、犯罪捜査における警察の役割は、真実を発見することより、公判のための証拠を収集することであることを認識し、被疑者の黙秘が有罪であることを示すものではないことを確認し、警察の取調べにおいてなされた自白よりも現代的な科学的証拠に依拠するよう、裁判所に働きかけるべきである。
26.委員会は、公職選挙法の下での戸別訪問の禁止、選挙運動期間前に配布可能な文書図画への制限などの表現の自由及び参政権に対して課された非合理的な制約につき懸念を有する。委員会は、政治活動家と公務員が、私人の郵便箱に政府に批判的な内容のリーフレットを配布したことで、不法侵入についての法律や国家公務員法の下で逮捕、起訴されたとの報告についても懸念する(第19条及び第25条)。
締約国は、規約第19条及び第25条の下で保護されている政治活動及び他の活動を、警察、検察官及び裁判所が過度に制約しないように、表現の自由と参政権に対して課されたいかなる非合理的な法律上の制約をも廃止すべきである。

◇日弁連の「表現の自由を確立する宣言」  (09年11月6日)
 憲法21条1項が保障する表現の自由は、民主主義社会の死命を制する重要な人権である。自由で民主的な社会は自由な討論と民主的な合意形成によって成立するのであり、自由な意見表明が真に保障されていることが必要である。(略)民主主義社会における市民の表現行為の重要性に鑑み、市民の表現の自由及び知る権利を最大限保障するため、
 (1) 国、地方公共団体、特に警察及び検察は、市民の表現行為、とりわけ、市民の政治的表現行為に対する干渉・妨害を行わないこと。
 (2) 裁判所は、「憲法の番人」として市民の表現の自由に対する規制が必要最小限であるかにつき厳格に審査すること。
 (3) 政府及び国会は、市民の政治的表現の自由を確保するため、早急に公職選挙法及び国家公務員法などを改正すること。

「司法総行動」の要請行動への対応のお願い

 私たちは、「はじめに」に示された司法をめぐる状況変化のなかで、市民の立場に立ち司法の更なる改革を目指し、「2011年司法総行動実行委員会」を結成しました。実行委員会は、現行法制度のもとでも直ちに改善すべき事項を中心に、各団体の要求・要望を集約して要請先別に共同要請書を作成しました。そして、10月5日(水)に要請先各位に対して要請行動を行い、その回答を求め懇談する「司法総行動」を実施します。
貴庁の誠実な対応を切望致します。

1. 要請項目について

 次ページから「要請先と要請項目」が順次掲載されています。貴庁宛の要請項目について事前に御検討いただき、10月5日当日に検討経過、検討結果及び理由の説明を必ずお願いします。

第1部  裁判所
第1   最高裁・東京高裁・東京地裁共通
第2  最高裁判所                   
第3  東京高等裁判所・東京地方裁判所        
第2部  省庁
第1  法務省                     
第2  警察庁                     
第3部  労働委員会
第1  中労委・都労委共通
第2  中央労働委員会                  
第3  東京都労働委員会                
別紙 1、2

2. 司法総行動当日の対応について

 〕彑舛両貊蠅隼間について
 10月5日の当日は意見交換の場にふさわしい会議室の確保と必要な時間の確保をお願いいたします。
◆〕彑狙茲僚仞淵瓮鵐弌爾砲弔い
 司法制度全般にわたる制度や運用に関する総合的要請です。それに対応できる役職や権限を有する方のご出席をお願いいたします。

第1部  裁判所

この司法総行動共同要請は、裁判所が、憲法と国際人権法にもとづき、真に国民に身近で、かつ、社会的弱者の人権救済という本来の役割を果たす裁判所になって欲しい、という願いからの要請行動である。
 裁判所が下記各要請事項を真摯に受け止め、検討・採用されることを切望する。

第1 最高裁判所・東京高等裁判所・東京地方裁判所
共通(以下、単に「裁判所共通」という)

一 大阪地検特捜部検事の証拠改ざん問題
大阪地検特捜部検事の証拠改ざん事件の根本には、検察の違法・不当な捜査・立証を監視すべき裁判所が、それを容認してきたことにある。「違法な取調べで自白をさせられた」との訴えは聞き入れず、弁護人が無罪証拠の開示を求めても無視をする、さらには検察の立証が不十分でも、推論したり、補充したりして有罪としてしまうような裁判所の姿勢が、検察の違法行為を放任してきたことは明らかである。
もし証拠の改ざん・捏造や無罪の証拠隠しなどが今後もおこなわれれば、裁判員を務める国民は正確な判断ができず、結果冤罪に加担させられることになる。
 検察・警察・裁判所の構造的な誤判原因にメスを入れ、刑事裁判の鉄則を厳守する組織への抜本改革をおこなうこと。その検証のために、一般市民を含めた第三者機関を設置すること。
あわせて、今回の問題の教訓を活かす第一歩として、検察及び裁判所は、いま冤罪で苦しむ人たちをただちに救済するために、検察官手持ち証拠の全面開示など必要な手立てをとること。

二 国際人権規約についての教育などの徹底
国連社会権規約人権委員会・同自由権規約人権委員会の指摘・勧告を素直に受け入れ、裁判所・裁判官は、国際人権規約(ILO条約を含む)等の研究につとめ、裁判官、裁判所職員への教育を行うこと、それを裁判規範・解釈基準として活用すること。とりわけ、自由権規約委員会の総括所見(第7項)に示されたように、裁判官に対する国際人権規約についての教育を徹底すること。
また、自由権規約の「選択議定書」(個人通報制度)を批准すること。

三 手続的・制度的側面、ならびに、司法行政サービスに関して
1.司法行政に関する要請に対しては、せめて他省庁並みの、開かれた、かつ誠意の感じられる対応をすること。他省庁においては、要請項目に応じるか否かは別として、要請とこれに関する質疑応答に充分な場所、時間と対応者が確保されている。具体的には、
 ヽ突彑岨項について、回答できる職務権限を有する職員を出席させること。
◆〕彑粗睛討亡悗垢覽鳥録を作成し、改善等すべき事項等を確認すること。
2.事件関係者の要請にたいしては、可能な限り誠実に受け付けること。事前に申入れをしていた要請の場合であっても、カウンター越しの要請しか受け付けない悪習が定着している。少なくても事前アポにもとづく要請の場合には、要請参加者が入室できる部屋を準備して要請を受け付けること。
3.裁判所入構者に対する過剰な警備をやめること。
4.裁判所構内に託児所を設けること。
5.裁判所のロビー・廊下・法廷などに、絵画・彫刻・活け花を飾るなど、心がなごむ空間を設けること。
6.貧困・格差の拡大を背景に事件が多くなっているが、誰でも利用できる開かれた司法システムに改善するためにも、裁判費用(印紙代)の引き下げを行うこと。
7.司法の透明性を担保する施策として、裁判官ごとに関わった判決(主文)が一覧   できる資料を年度ごとに開示すること。また、裁判官合議による判決の場合は、各裁判官の判断も判決文に添付すること。当面、少なくても、部ごとの判決(主文)一覧が簡単に見られるようにすること。

四 判決の内容に関して
A はじめに
 労働事件については、裁判所も私法的観点(対等平等な両当事者間の権利義務関係を判断する観点)からではなく、労働法的観点(使用者との関係で、訴訟上も劣位に立たざるを得ない労働者・労働組合の団結権擁護、労働者の勤労権・生活権・労働条件保護の観点)に立って審理することが求められる。
 特に、日本国憲法第28条が保障する団体行動権に係わり、組合活動による宣伝活動に関して禁止を求める仮処分の申し立てや労働組合活動への妨害が多発している。労働組合活動に関わる不当な保全措置が行われないように、労働法的観点からの専門的な判断ができる審理体制への改善を求める。
(別紙1参照 28ページ〔事例1:川口事件仮処分〕)
また、憲法の番人である裁判所が、労働委員会の設立趣旨と特徴(簡易性、柔軟性、裁量性)を理解・尊重し、労働委員会と共同して団結権を擁護・保障すべきところ、この点の理解が欠如した不当な司法判断が下級審で続いていたが( 例えば、/傾駑劇場事件:東京地裁H20・7・31判決、同事件、東京高裁H21・3・25判決。▲咼ターサービスエンジニアリング事件:東京地裁H21・8・6判決。INAXメンテナンス事件:東京高裁H21・9・16判決など )、最高裁は、本年4月12日に労働の実態を正しく把握し、新国立劇場事件およびINAXメンテナンス事件に対して、労働者性を認定した判決を行ったことは高く評価できる。残るビクターサービスエンジニアリング事件に対しても早期に労働者性を認める判決を行うよう要望する。

B 具体的要請事項
1.労働者・労働組合を救済する労働委員会命令に対し使用者が取消行訴を起こした場合。
裁判所は、労働委員会が労組法3条のいう労働者、すなわち、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」の範囲は、労働基準法9条が定義する労働者「・・・賃金を支払われる者」に止まらず、さらに広い範囲で労働者を捉えていることを踏まえ、委託業務契約や個人請負契約などで働く労働者らの団結権を認めること。また、使用者が労働者の枠を狭める「非労働者化」を狙い、委託契約や請負契約での雇用責任回避や、契約条件切り下げを行うことを厳しく規制するためにも、裁判所は労働法的観点での訴訟指揮と判断を正確に行うこと。
裁判所は、使用者からの新証拠提出を許さないこと。
中労委の緊急命令申立に対しては、本訴判決前の早い段階で緊急命令を決定することにより、労働委員会命令の実効性を確保すること。
2.救済を受けられなかった労働者・労働組合が労働委員会命令取消行訴を起こした場合。
裁判所は労働委員会命令をなぞるだけでなく、当該事件において労働委員会が、団結権擁護のために設けられた専門的行政委員会であるとの設立趣旨に則り調査・証拠の取捨選択等が行われているかをよく調べ適正に判断すること。
裁判所として、「格差」の原因について必要年数の遡及審理を行うなど、不当労働行為の継続性について調べ、「除斥期間」を形式的に適用しないこと。
労働委員会「裁量権」行使の誤った判断についての是正を行うこと。
審理によって、「格差の存在」が明確になった場合、その格差の原因について審理・判断をするのは労働委員会の職責であり、「審理するか、しないか」の裁量権などのないことは、労組法上も明白である(27条1項)。
広く裁量権が認められるのは、救済内容やその水準に限られるのであり、この誤った労働委員会判断を正すのが行訴における司法の職責である。
3.配転事件の場合。
 不当労働行為意思が認定できれば不当労働行為の成立を認めること。
4.賃金昇格差別事件の場合
/融考課制度は不当労働行為の温床になっていること
  複数組合の一方、または単一組合中の反主流派に対する使用者の嫌悪の情が認定された場合、使用者が嫌悪している集団に属する労働者らに対し、客観的・公正な人事考課をすることは通常あり得ず、人事考課裁量権が濫用されるのが常である。
したがって、その人事考課制度が外見上公正・精緻な形式をとっているとしても、その運用により不当労働行為(差別)の温床になっているという実態を踏まえ、使用者が行う制度運用の形式論等に惑わされない審理・判断をすること。
∋藩兌圓虜枸霧⇒用を容認することで、不当労働行為を免罪しないこと。不当労働行為意思と格差を認定しながら、他方で、格差の合理的理由として人事考課成績を基礎とする昇給・昇格で使用者の裁量権を大幅に認めることで、不当労働行為・差別(格差)が免罪されることがないようにすること。
相対比較抜き「個別アラ捜し」立証を、格差の合理的理由と認めないこと。「格差」は比較することが当然の前提です。一方の集団だけの「作業ミス」などを絶対評価で立証しても、格差の合理的理由とはなり得ません。 
多くの命令例・判例に基づき、相対比較抜き「個別アラ捜し」立証は、法的価値がないことを司法判断の基準として明確にすること。
は働委員会命令の救済水準を維持すること
  労働委員会の審理・判断に基づく裁量によって救済された水準を尊重すること。
ソ斥期間の機械的適用をやめ継続する行為として認定すること
賃金昇格差別事件の場合は、「除斥期間」を機械的に適用することなく、審理
対象期間と救済対象期間を明確にし、格差・不当労働行為意思の認定に必要な年数を遡及して審理・判断を行い、「継続する行為」として救済すること。

五 労働審判制度について
 労働審判制度がスタートして5年が経過した。労働者の権利を踏まえた紛争の解決が図られ、簡易・迅速で、誰にも利用しやすい制度として一層定着させることが求められている。
1.労働審判委員会を迅速に進めるためにも、「申立書」「答弁書」だけでなく、「書証」についても事前に労働審判員に送付すること。「答弁書」の提出期限を守るように働きかけること。また、当面、「証拠説明書」の写しのみでも担当審判員に送付するよう改善すること。
2.「代理人」については、弁護士だけでなく、労働審判員の経験者や労働組合の代表についても労働審判法14条但し書きの「代理人」として許可すること。
3.本人申立に便宜を図るため、本人申立用の書式やマニュアルなどを作成、普及すること。
4.審判傍聴は、柔軟に認めること。申立人が所属する労働組合の代表は、関係人として傍聴できるようにすること。
5.申立と経過・結果についての情報を共有し意見交換ができる、労働組合・経営団体・裁判所の連絡組織を設立すること。
6.労働審判の申立事件に関して、裁判の「公開原則」を踏まえ、一定の経過・結果情報を公開すること。
7.長時間に及ぶ審理が増加している。労働審判員の増員はもとより、労働審判官の大幅な増員を図るなど、申立件数に見合った運用の改善を図ること。

六 裁判員制度開始3年目にはいって
国民の司法参加により一般市民の常識を反映させ、刑事裁判を適正化することを目的とした運用を行うこと。

1.刑事訴訟手続きについて多くの問題が明らかになっている。
 ―祥莵圓錣譴討た公開裁判と比較して、裁判が国民に見えなくなってきている。
公判前整理手続きを、可能な限り公開で行い公開裁判を推進すること。
◆仝判前整理手続きが行われていたことを理由に、弁護側の申請証人が却下され事実調べが行われない事例が生まれている。裁判の迅速化および公判前整理手続制度の運用にあたっては、予断の排除とあわせて、公判を形骸化させないように、被告人・弁護人側の防御権、弁護人の準備時間などを十分に保障するために、運用について適切な改善をはかること。
 再審無罪が確定した茨城・布川事件では、検察側が被告に有利な証拠を隠していたことが大きな問題になっている。証拠開示について、検察側手持ち証拠の全面開示が基本である立場から積極的な開示を行うことを求める。冤罪・誤判を防止するうえでも、捜査関係証拠の全面開示が必要である。
ぁ〆枷集開の原則の基本をふまえれば、開示された証拠が、公正裁判の要求運動に活用されることは裁判目的に合致する。裁判の公正を担保するうえでも、国民の批判に耐えうる裁判を行う上でも開示された証拠を積極的に活用することは意義があり、制限禁止行為はプライバシーの問題や脅迫に悪用することなどに限定すべきである。
国会の付帯決議も、運用にあたっては、「裁判公開の原則並びに被告人及び弁護人の防御権にも十分配慮するよう周知徹底」を求めている。

2.裁判員制度について
 仝判冒頭に、刑事原則の説示を
裁判長は、評議開始前に公開の法廷で、裁判員に対して「推定無罪の原則」や「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則を基準にして判断するべき旨の説明(説示)をすること、評議のなかでも、節々で、この原則の説示を行うこと。
◆〆枷衆を辞退したい場合、憲法が保障する「思想信条の自由」を辞退理由として考慮すること。
 裁判員の選任手続きに関連して、裁判員候補者のうち53.0%が、辞退を認められているとされているが、この辞退率をどのようにみているのか。前項との関連でも、我々が要求した思想信条の自由を含めて広く辞退が認められた結果なのか、裁判員を受任するため社会的条件づくりの問題なのか。
ぁ〆枷衆への接触禁止などを理由として裁判所への要請を犯罪視することなど、国民による裁判批判を封じる条項について、従来おこなわれてきた裁判所への要請行動などが不当に制限されないよう、適切な運用を求める。制限禁止行為はプライバシーの侵害や面会強要・脅迫などに限定すべきである。
ァ〆枷衆が量刑にも関与することに関連して、量刑が重罰化する傾向がみられており、刑事裁判の原則である「更正」の立場からあるべき量刑についての検討が必要である。

七 裁判所速記官制度の充実・拡大について
  客観的で正確な訴訟記録である裁判所速記官の作成する逐語調書(速記録)は、公正・迅速な裁判の実現にとって必要不可欠であることから、以下の実現を求める。
1.民事・刑事はじめすべての証拠調べに速記官を立ち会わせること。
2.とりわけ、裁判員裁判では、
仝判前整理手続に速記官を立ち会わせること。
∈枷衆の選任手続きに速記官を立ち会わせること。
H鏐霓佑遼標羝及び弁護権を保障するために、証拠調べに速記官を立ち会わせ、逐語調書(速記録)を迅速に作成する体制を確立すること。
3.逐語調書(速記録)を迅速に作成する体制を確立すること。そのために裁判所速記官の養成を再開し、大幅に増員をすること。
4.現行の速記タイプをステンチュラ(パソコン内蔵速記タイプ)に更新すること。また、速記官が自己負担で使用しているステンチュラ及びリボンカートリッジなどを公費負担すること。
5.裁判所法一部改正時(2004年3月)の裁判所速記官についての衆参両院の附帯決議(速記官の執務しやすい職場環境と働きがいの保障)を遵守すること。

第2 最高裁判所
(上記  第1「裁判所共通」に加えて)

一 最高裁に他省庁なみの対応を求める
 私たち司法総行動実行委員会は、1999年から毎年1〜2回、最高裁に要請行動をつづけているが、雨が降っても公道で待たせる。あらかじめ要請書を提出してあるのに、責任ある部局の人が対応するのでなく、秘書課の人が、「担当ではないので要請事項にはお答えできません」・「担当部局に伝えます」・「要請書は担当部局に届けます」、としか答えない状況が続いている。
わたしたちは、他の省庁の対応の実例もあげ、また関係部局に直接要請書を送付して回答を求めるなどの働きかけを行い、改善することを重ねて要求してきたが、いっこうに改善されず、最近では、秘書課が事前に関係部局に回答を求めたということが要請行動の席上で伝えられたが、そのなかみは、「担当者は同席できない、個別の回答はしない」との「回答」でしかなかった。
私たち司法総行動実行委員会は、市民に対し常識的な、せめて他の官公庁並みに「開かれた」対応をされるよう、重ねて強く求めるものである。

あわせて、最高裁判所への要請行動について、以下の具体的な点で改善を求める。
1.裁判所構内立入への過度な規制を止めること。
  要請の場合も、関係者の正門からの入場を認めること。
2.裁判所への要請は、請願法に基づく国民の権利である。
しかし現状は事件担当書記官すら面会を拒否する異常な事態となっている。審理非公開で当事者や支援者は全く先が見えずに苦慮している。判決に至る審査経過の透明性を担保し、司法への信頼を高めるためにも、少なくとも、担当書記官および調査官は要請・面会に真摯に応じ、事件の進捗状況が伝わるように配慮すること。総務的事項には、総務局長が面会すること。事件要請は、担当裁判官・担当調査官が面会すること。
3.要請参加者の全員が入室できることを原則とし、現状の17名とする規制をなくし、原則として全員入室させること。したがって、椅子が足りないときは補助椅子を入れ、それでも不足のときは立ったままの要請を認めること。

二 現行法規内でも改善できる事項について
1.口頭弁論に関して
 )議梓望者の入構につき人数制限をしないこと。傍聴希望者の入廷制限を少しでも緩和するため、傍聴席が足りないときは補助椅子を入れ、それでも不足のときは立ったままの傍聴も認めること。報道関係者席が空いているときは、そこにも傍聴希望者を入れること。
また、事件傍聴希望者が入廷しきれない場合に備えて傍聴用別室を設け、そこで同時中継テレビによる傍聴ができるようにすること。
◆‥事者の打合せ・裁判や要請終了後の報告に使える部屋を設けること。
 傍聴参加者を路上で待たせることをやめ、待合室等を設置すること。              
ぁ“鏐霓誉福雰沙)又は当事者席(民事)を設け、法廷での発言の権利を保障すること。
2.判決・決定について
 〃沙事件・民事事件を問わず、すべての判決は、期日を少なくとも1ヶ月前には当事者に告知して、公開の法廷でなされるように改善すること。
 民事の判決言渡しにおいては、判決の主文とともに判決理由を述べること。また、証拠の採否については、判決のなかで明確に説明を行うこと。
 普通の市民が一読して理解できる分かり易い理由を付した判決・決定を書くこと。特に、センテンスを短くする、難しい漢字を使わない、箇条書きを活用する、小見出しをつける等の工夫をすること。控訴審判決も理解困難な原審の引用を多用せず、原則として書下ろしにすること。
3.労働事件について
]働事件では、労組法上の「労働者性」をめぐる判断では下級審での形式的な判断を見直すなど最高裁としての良識が示されている。しかし、偽装請負・派遣労働をめぐる判断などでは、国際的な判断規範に照らしても司法の最高機関である最高裁として、その判断基準の厳しい見直しが求められている。
(別紙1参照 28ページ [事例2:パナソニック偽装請負事件《最高裁09年12月18日判決》])
∀働事件について積極的に和解をすすめること。
  労働事件においては、事件が解決することはもとより、将来における労働現場の労使関係正常化も重要である。従って、労使双方が誠意をもって話し合い合意に達する(和解成立)よう最高裁においても積極的な和解推進を求める。
4.あいつぐ誤判、えん罪をなくすために
 “鏥深圈θ鏐霓佑畔杆鄂佑箸寮楔交通権を保障すること。
◆ー白偏重の裁判を改め、物証等客観的証拠にもとづく審理をつくすこと。
 被告人側の請求にこたえて、検察側の手持ち証拠を全面的に閲覧・開示させ、被告人側の反論権を保障し、真実発見のための公正な訴訟指揮をおこなうこと。
ぁ〃法39条は、検察官の上訴権を排除していると解すべきである。
本事項は、基本的には法改正を待つべき課題であるが、名張事件、福井女子中学生事件、東電OL事件(ゴビンダ元被告)をはじめ、再審請求事件で検察が上訴について慎重な対応をしていれば無実の元被告たちを長期に亘って苦しめることを避けることができたはずである。安易な検察上訴を排するようにされたい。
ァ〆匿垣禅瓩砲いては、「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則に従い、新旧証拠を総合評価の上、確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じた場合には再審を開始し、あわせて、開始決定に対する検察官の異議申立てを禁止して速やかに無辜の救済をはかること。
5. 最高裁裁判官国民審査制度の改善を
  裁判官を審査する唯一の機会ともいえる最高裁裁判官国民審査を、国民の意思を正しく反映するものとするため、審査の対象となる裁判官の経歴、関わった事件および判断の一覧など、もっと詳細な情報提供を公示前にすること。期日前投票について、総選挙公示後の土曜日までの5日間は、総選挙の投票が出来ても国民審査の投票ができない問題が一部マスコミでも報道された、改善を求める。
6.「司法権の独立」の保障を―砂川事件に関連して
 1959年、砂川事件で「米軍駐留は違憲」とした一審判決の上告審にあたり、田中耕太郎最高裁裁判長(当時)が、マッカーサー米駐日大使(当時)と内密に会い、同事件の進行などについて話し合っていた事実が、米国立公文書館の極秘資料で明らかになった。さらに2010年3月、本件に関して藤山外相(当時)と米大使の密談録が開示され、裁判への圧力が裏付けられた。アメリカの内政介入であると同時に、最高裁長官がみずから「司法権の独立」を投げ捨てるものであり、重大な問題である。
最高裁は、この事実を調査し、その結果を公表したうえで、その問題についての見解を明らかにすること。
7.司法の中立性・信頼性を確立する為にも、労使紛争の発生しうる民間企業や公務機関への最高裁からの出向・研修は慎重に行うこと。また、出向先で労使紛争が発生した場合は、ただちに出向を中止すること。
8.前項とも関わるが、裁判官の経歴などによって、司法判断に利害関係が相克しない小法廷を選択すること。また、当事者が求める場合は、小法廷の選択経緯を開示すること。   (※ 刑事事件は選択できないが)

第3 東京高等裁判所・東京地方裁判所
 (上記  第1「裁判所共通」に加えて)
一 刑事事件、労働・民事事件共通
1.要請行動について
 事前にアポイントを取った要請行動については、カウンター越しの応対が続いている。「要請を受ける場所がない」を理由としているが、改善を強く求める。
2.法廷傍聴について
大法廷の使用要請は、真摯に受け止め誠実に応えること。 
傍聴者が多いときは、補助いすの補充などを行い、場合によっては立ち見の傍聴を認めるなど、一人でも多くの傍聴を認めること。
事件によっては、法廷に傍聴者が入りきれず、傍聴希望者があふれている。したがって、現状規模以上の法廷を増設すること。
陳述後の傍聴者による拍手等に過度な規制は行わないこと。
傍聴者に対する入廷前の所持品検査など、市民を信用しない過度な警備を行わないこと。
3.裁判官について
 〆枷輯韻蓮第1回弁論又は交替した時は、はじめに法廷にて自己紹介すること。
◆〆枷輯韻糧言が傍聴者にも聞き取れるよう、裁判官はハッキリと大きな声で話すともに、裁判官の発言が傍聴者に聞こえるように音響設備を十分に整えること。 
 裁判官席をもっと低くすべきである。
4.判決の言渡しに当たっては、法廷において判決文を交付すること。また、主文だけでなく、判決の要旨についても判決言い渡し時に述べること。
5.立川支部について
東京地裁立川支部が開設され3年目になる。霞が関庁舎と異なり、持ち物検査がないことはよいが、書記官などの庁舎内外での規制が霞が関に比較して極めて強い。法廷内の規制では、休憩時間に法廷内で傍聴者が水を飲むことを禁止したり、最近ではshop99の判決当日の傍聴者の席を書記官が指定した。また、開設当初、庁舎を背景に写真を撮ることを規制された(最近は、敷地外での規制は少なくなったが)。 々駝韻里燭瓩粒かれた裁判所とは程遠い姿勢を改めること。
◆/慶舎には、ロビーに関係者や傍聴者などの待機するスペースが若干はあるが、関係者に説明や連絡をする場所がない。他の利用者に迷惑をかけないようにするためにも、待合室を設置すること。  

二 刑事事件に関して
1.不公正な訴訟指揮と審理を尽くさない問題
 “鏐霓佑らの証人や鑑定等の証拠調べ請求を尊重し、十分な立証を保障すること(予断と偏見による不公正な訴訟指揮で、被告人が採用を要求する証人や鑑定等の証拠調べ請求を却下し、十分な立証が保障されていない現状がある)。
  とりわけ、高裁段階で控訴趣意書にもとづく弁護側の証拠調べ請求をことごとく却下して1回結審、最終意見陳述を求めるなど、事実審としての二審の役割を放棄するような訴訟指揮が行われる事例がほとんどである。08年3月に東京高裁で判決が出された長野・えん罪ひき逃げ事件では、一審で公判前整理手続きが行われていたことを理由に、弁護側の申請証人が却下され事実調べが行われないまま判決が言い渡されている。二審であっても事実審として必要な取り調べをするよう抜本的な改善を求める。
◆〜楮挫奮での警察官調書、検証調書、その他の証拠類、基本的には検察官手持ち証拠をすべて開示させ、被告人側の反論権を保障し、当事者主義を徹底すること。
2.07年5月に国連拷問禁止委員会による日本政府への勧告が出された。ここでは、代用監獄の存在が、「被拘束者の権利への虐待の可能性を増加させ、事実上、推定無罪や黙秘権そして保身の権利などの原則を無視しかねない」こと、そして裁判所の勾留令状の異常な高発布率が指摘されるとともに、代用監獄の廃止が勧告されている。こうした指摘を受けて、検察の勾留請求にたいしては、原則保釈の立場に立ち、具体的な根拠のない証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれを鵜呑みにせず、慎重に判断することを求める。
3.証拠にもとづかない事実認定をやめること
  有罪を前提として、証拠で立証されていない部分を、裁判官が勝手に可能性論を展開して有罪とするような判決をおこなわないこと。

三 言論・表現活動に対する不当な捜査・身柄の拘束について
 憲法で保障された言論・表現活動に関わる事件については、安易な令状の発行、身体の拘束をせず、慎重に対応することを求める。
  この間、正当なビラの配布行為にたいして、さまざまな法規を口実にした逮捕、長期の身柄の拘束、起訴がおこなわれている。その後の裁判のなかで、警察が不当な情報収集・違法捜査をおこなったことが明らかにされ、東京・葛飾のマンションビラ配布事件では、一審は無罪判決が為された。世田谷国公法弾圧事件では、住居侵入は不起訴とされたのに、不当な家宅捜査で入手した証拠にもとづき国公法違反事件として起訴された。東京高裁で違憲無罪判決が出た国公法堀越事件では、公安警察が隠し撮りしたビデオが開示されたが、「犯罪捜査」を理由にあらゆる私生活に関する情報収集をするプライバシー侵害が行われていたことが明らかにされた。裁判所は、本来こうした違法・不当な捜査を適切にチェックする機能・役割を果たすべきである。

四 労働・民事事件に関して
1.裁判官に対して
 ]働者側の申請した証人については、「訴訟指揮の迅速」に偏することなく採用すること。特に、控訴審において実質審理を一切行わないとか、行うにしても証人採用を異常に制限する等の訴訟指揮が目立っている。上級審の職責として下級審の誤審を正すためにも、強権的な訴訟指揮は厳しく戒めること。
 ,汎閏舛量簑蠅箸靴董控訴審において一審で勝訴・救済された労働者側を、1人の証人も調べずに逆転・敗訴させることは絶対に許されない。このようなやり方は、裁判所不信を植えつけるだけであるので厳しく戒めること。
 集中審理を行う場合には、反対尋問対策や慎重審理を求める事件当事者の希望を尊重し、早期結審だけを目指す機械的、強権的な集中審理は行わないこと。
 労働者側が一審勝訴で控訴審となった事件で、一切の審理もせずに、冒頭から地裁判決の破棄を前提に、強権的に和解を押しつける事件例があったが、このような異常な訴訟指揮は行わないこと。
 使用者による救済命令取り消し行訴の場合は、労働委員会の事実認定に裁判所が拘束され、新たな証拠調べを規制する等、労組法の趣旨に基づく労働委員会救済命令の意義を認め、救済命令を尊重する訴訟指揮を行うこと。
Α〆枷輯韻原告に対して、個人的意見として訴訟を取り下げることを強く主張することがあるが、このような態度は絶対に許されない。例えば、民事36部の裁判長は、「女性なんだから…裁判を取り下げたほうがいい」等と暴言を吐いている。
予断と偏見に満ちた訴訟指揮を厳しく戒めること。
(別紙1参照 29ページ[事例3:インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン(株)のセクハラ・パワハラ解雇事件])

2.判決について 
  ]働委員会が救済したものを地裁が逆転させたり、地裁が救済したものを高裁が逆転させたりすることは、労使紛争をいたずらに長期化させるものである。
△い錣罎襦峇間工・派遣切り裁判」が多くの地方裁判所で判決を迎えようとしている。裁判官の中には、松下PDP事件判決を引用して、審理を十分に行わず、事件の個別性を軽視する対応も見られる。事案の個別の実態を踏まえ、労働者を救済する公正な判断を行うよう求める。
 労働委員会命令を履行しない経営者に、その実行を求める緊急命令は直ちに発すること。また、確定した命令を履行しない経営者に対し、労働委員会より「命令不履行通知」がなされた場合は、「非訟事件手続法」に基づいて迅速に手続きを行い、直ちに厳しい過料決定を行うこと。なお、この場合当事者の労働組合に必要な情報を公開すること。
(別紙1参照 30ページ[事例4:人明泉学園(鶴川高校)命令不履行事件])
ざ畴、退職強要に直結するセクハラ・パワハラ事件が多くなっているが、この
種の事件は密室行為が多く物証の少ないのが通常である。事件の判断においては、
人間の尊厳を否定する行為を許さない、司法の人権感覚を発揮すること。
(別紙1参照 31ページ[事例5:八千代銀行パワハラ事件])
ァ 嵬仁畆莨叩廚魑瓩瓩誅働者・労働組合の行政訴訟における立証計画を尊重し、証人調べなど正確な事実認定に必要な審理を行い、命令の誤りを正すこと。
Α‥豕地裁民事9部において、本年3月及び4月に川口学園事件に関する街宣活動を禁止するなど(3月は交渉申し入れも含む)の仮処分決定が行われた。この決定は労働者の団結権、団体行動権などの労働基本権や憲法で保障された言論・表現の自由を蹂躙する不当な内容であり断固抗議する。労働事件の仮処分においては、憲法が保障する基本的人権を擁護することはもとより、労働法の視点からの専門的な判断が必要である。審理体制の見直しを行うこと。
А/堂饉劼離螢好肇蕕砲茲蟷匆饉辧β慌饉劼力働者の労働条件が大きく変更されることに対して、労働者の権利を擁護するにあたり親会社との交渉は必要条件である。親会社の応諾義務命令および当該会社との不誠実団交・支配介入に関する長野地労委の救済命令を取り消した中労委の不当命令取り消し訴訟は、親会社のリストラで労働条件の変更を求められた労働者の基本的な権利を争うものであり、争議の実態を正しく把握し公正な判決を求める。
(別紙1参照 32ページ [事例6:高見澤電機不当労働行為事件 ])

3.和解について
 ]働事件においては、迅速な原状回復と正常な労使関係回復が重要である。従って、裁判所においても、私法的観点(権利義務関係の判断)ではなく、労働法的観点(劣位にある労働者・労働組合の団結権を擁護する立場)を踏まえ、紛争解決に向けた和解の指揮を積極的に発揮すること。 
◆]働委員会でだされた救済命令について、使用者側が行政訴訟に持ち込んだ場合、命令の水準や結論を覆すような和解案の押しつけは行わないこと。

第2部 省庁

第1 法務省

一 大阪地検特捜部の証拠改ざん事件について、徹底検証と検察の改革を

1.前回の要請では、警察によるずさんな捜査、密室での強圧的な取り調べ、自白の強要などについて、検察がチェック機能を果たすよう要請したが、この事件は、これまでの検察組織の体質と冤罪を生み出してきた日本の刑事裁判の構造的問題を、あらためて国民の前に明らかにするものとなった。
法務省につくられた「検討会議」が発表した「提言」は、「可視化を積極的に拡大するべき」との表現に止まり、国民の期待に応えるものとはなっていない。
私たちは、今回の「提言」にとどまらず、冤罪の根本的な原因にメスを入れる、警察・検察関係者を除いた「第三者機関」を改めて設置し、抜本的な改革をおこなうことを求める。そして、ただちに取調べの全面可視化、証拠の全面開示を実現することを、重ねて求めるものである。
2.冤罪を拡大する検察官の安易な上訴をやめるよう指導すること
本事項は、基本的には法改正を待つべき課題であるが、名張事件、福井女子中学生事件、東電OL事件(ゴビンダ元被告)をはじめ、再審請求事件で検察が上訴について慎重な対応をしていれば無実の元被告たちを長期に亘って苦しめることを避けることができたはずである。安易な検察上訴を排するよう指導を徹底されたい。

二 この間出された一連の国連の委員会からの勧告に対する対応について
  08年10月に出された自由権規約委員会の「総括所見」は、日本政府に対して、「虚偽自白の防止のための取り調べの可視化などの」措置を執ること、および「言論・表現の自由、政治的活動を過度に制約しないよう」求めた。07年には国連拷問禁止委員会から、自白の強要などの「精神的拷問」を(防止するために)特別公務員暴行陵虐罪や脅迫罪等において明確に規定することなどを求められた。あわせて、総括所見は第7項で 国際人権規約についての教育を徹底することを求めている。
大阪地検特捜部の証拠改ざん問題は、法務省と検察が、憲法と国際人権規約(自由権規約委員会の勧告を含む)を学び、「冤罪を生まない」という刑事裁判の目的をつねに実現しようとする立場にたつことの大切さをあらためて示している。

三 裁判員制度が実施されたが
1.刑事訴訟手続きについて多くの問題が明らかになっている。
従来行われてきた公開裁判と比較して、裁判が国民に見えなくなってきている。
公判前整理手続きを、可能な限り公開で行い公開裁判を推進すること。
2.裁判所の発表によれば、昨年一年間に判決が言い渡された事件で、選定された候補者のうち53%もの辞退が認められている。この辞退率をどのようにみているのか。この間我々が要求した思想信条の自由を含めて広く辞退が認められた結果なのか、裁判員を受任するため社会的条件づくりの問題なのか。
3.裁判員への接触禁止など裁判所への要請を犯罪視することなど、国民による裁判批判を封じる条項について、従来おこなわれてきた裁判所への要請行動などが不当に制限されることのないよう、その適切な運用について指針などが出されているのか。
4.裁判員制度における供述調書について、公正・迅速な裁判を保証する上で、速記官による速記録が不可欠であることを指摘してきた。「ビデオ録画」による記録で十分だったのかについての検証を。
5.殊更に量刑が重罰化に至ることのないよう要請してきたが、実際の裁判員裁判のなかでは、従来の裁判官のみの判断よりも重くなる傾向があり、今後、慎重な対応が求められる。

四 取り調べの可視化を図る制度の早期確立を重ねて求める
検察が検討している一部可視化では、布川事件に示されたように、逆に自白の強要などの違法捜査を糊塗するだけのものになってしまう。取り調べ全過程の可視化を求める。
今日、イギリスやアメリカのかなりの州のほか、オーストラリア、韓国、香港、台湾、モンゴルなどでも、取調べの録画や録音を義務付ける改革が既に行われている。そして、注目すべきは、捜査機関が経験を重ねるにしたがってこれを歓迎する立場に変化していることである。

五 言論・表現活動に対する不当な捜査・起訴について
   検察は、警察の不当な捜査を適切に指導・規制すべき立場にある。国民の監視と民主勢力にたいする情報収集、逮捕、強制捜査を止めるよう警察を適切に指導することを求める。
この間、正当なビラの配布行為にたいして、さまざまな法規を口実にした逮捕、長期の身柄の拘束、起訴がおこなわれている。その後の裁判のなかで、警察が不当な情報収集・違法捜査をおこなったことが明らかにされ、東京・葛飾のマンションビラ配布事件では、一審は無罪判決が為された。世田谷国公法弾圧事件では、住居侵入は不起訴とされたのに、不当な家宅捜査で入手した証拠にもとづき国公法違反事件として起訴された。東京高裁で違憲無罪判決が出た国公法堀越事件では、公安警察が隠し撮りしたビデオが開示されたが、「犯罪捜査」を理由にあらゆる私生活に関する情報収集をするプライバシー侵害が行われていたことが明らかにされた。本件の東京高裁判決は、国民の言論・表現の自由の重要性に対する意識の変化と世界標準という視点から考える事の重要性を指摘した。検察においてこうした視点にそった判断がなされているならば、検察本来の役割を果たし、人権侵害の違法捜査を抑制し、憲法違反の起訴を避けることができるのである。こうした不当な捜査を適切に指導・規制すべきである。

六 刑事収容施設及び被収容者の処遇等に関して
1.面会、通信の発受など外部交通の拡大・改善について運用上も適切に行うこと。2.医療制度の充実などを国際水準にあわせて改善すること。
3.国際的にも批判され歴史的にも漸減・廃止が確認されてきた警察留置場が、代用監獄として存続している。国連拷問禁止委員会による07年5月の日本政府への勧告は、代用監獄の存在が、「被拘束者の権利への虐待の可能性を増加させ、事実上、推定無罪や黙秘権そして保身の権利などの原則を無視しかねない」ことを指摘し、代用監獄の廃止を勧告している。さらに、08年10月の国連自由権規約委員会の「総括所見」も、長期間の身柄拘束や弁護士との接見制限について、懸念を表明している。こうした指摘を受けて、安易な勾留請求をしないこと、慎重に判断することを求める。

七 国連の規約人権委員会から指摘された「遅れた人権状況」を改善することために、以下の措置をとること
1.検察官などにたいして、憲法と国際人権規約に基づく人権研修を行うこと。
また刑務所における在獄者への看守による人権侵害・健康破壊行為・違法な懲罰行為などを未然に防ぐために、調査権限を有する第三者による監視機関の設置など一層の制度的保障を行なうこと。
2.お隣の韓国をはじめほとんどの国が批准している、個人が国連の人権委員会に訴えることのできる選択議定書の批准を行うこと

八 司法修習生の給費制の完全復活を求める
 昨年11月、司法修習生に対する給費制を廃止し、修習資金を貸し付ける貸与制に移行するとした裁判所法は改正され、貸与制の施行は本年11月1日まで延期されることになった。しかし、司法修習生に対する給費制は完全復活されるべきである。
 給費制は、わが国において、法曹が高い使命感と公共心をもって職務にあたることができるように導入された制度である。しかし、司法修習生のうち、平均で300万円を超える借金(奨学金)を抱えて弁護士登録をする者が過半数にのぼる。このような実態の中、給費制が廃止され、法曹になろうとする者が自己の費用で研修を積まなければならないとすると、法曹が、社会的責務を負わない、利己的な存在へ変質させられかねない。
 また、司法修習期間中、修習の実をあげるために司法修習生には修習専念義務が課されて兼業が禁じられている。新司法試験制度が実施されてからの7年で、法曹を目指す者が5分の1にまで激減した。この事実は、経済的な理由から法曹の道を断念した者が多数にのぼることを示す。給費制の廃止は、この傾向に拍車をかけ、「司法に多様な人材を登用する」という司法制度改革の理念に真っ向から反する結果を生み出すことは明らかである。
「法曹の養成に関するフォーラム」において、「給費制の存廃問題を含む法曹養成課程への経済的支援の在り方」が検討対象になっているが、司法修習の理念と司法修習生の実状に鑑み、給費制は維持されるべきである。
 東日本大震災後、全国各地から多数の弁護士が被災地に入り、相談活動を続けている。人々が家を失い、仕事を失い、日常が破壊された今、被災者の声に耳を傾け、生活再建の道を共に探るなどの活動は法曹のなしうることであり、かつ使命である。そのような法曹を国はその責任において養成すべきである。
 したがって、裁判所法67条2項を改正して、司法修習生の給費制を維持させるよう要請する。

第2 警察庁

一 警察制度の抜本的改善について
 私たちは、警察の活動と警察制度について、繰り返し改善を要求してきた。その中心点は、 
1. 国民に開かれた警察とするために、情報公開法にもとづき、財政を含めて情報公開を徹底すること。全国の都道府県警察にたいして、情報公開法の精神にのっとって、積極的な公開を指導すること。
2.適正な刑事手続きや国民の安全な生活を保障させるために、自治体警察の独自性の尊重・強化、地方公安委員会の権限の強化、公安委員の公選制と警察本部から独立した権限ある事務局の設置など、公安委員会制度の改善をはかること。
3.警察活動のあり方、警察業務や警察官による犯罪行為を監視するために、現行の警察内部の監察官制度を改め、警察組織から独立した第三者機関、警察オンブズマン制度を確立すること。
4.不正経理疑惑にもキャリアが関与していることが指摘されている。キャリアシステムを廃止して警察組織の民主的運営をはかり、警察官の団結権を認めること。
5.被疑者・被告人の人権を守るために
 /篦衞戯瓩簗枷觚△修靴橡標羝◆∧歐箸慮⇒などの被疑者の人権が保護されるよう求める。
国際的にも批判され歴史的にも漸減・廃止が確認されてきた警察留置場を代用監獄としている。警察庁は、「留置と捜査の分離」と説明しているが、例えば、否認を続ける被疑者を長時間取り調べたり、取調官が被留置者に不当な取り調べを強要する事例が報告されている。07年5月に国連拷問禁止委員会による日本政府への勧告でも、代用監獄の廃止が勧告されている。
◆“鏥深圓畔杆鄂佑箸寮楔交通権を保障すること。
 取り調べに弁護士を立ち会わせること、不当な長時間の取り調べ、強制・誘導による供述・調書の作成などがおこなわれない保障措置をとること。
6.国連の規約人権委員会でも指摘された「遅れた日本の人権状況」を改善するため、警察官に対して、憲法と国際人権規約に基づく人権研修を行うこと。また、自由権規約の「選択議定書」(個人通報制度)の批准を前向きに考えること。

二 この間出された一連の国連の委員会からの勧告に対する対応について
08年10月に出された自由権規約委員会の「最終見解」は、日本政府に対して、「虚偽自白の防止のための取り調べの可視化などの」措置を執ること、および「言論・表現の自由、政治的活動を過度に制約しないよう」求めた。07年には国連拷問禁止委員会から、自白の強要などの「精神的拷問」を(防止するために)特別公務員暴行陵虐罪や脅迫罪等において明確に規定することなどを求めた。
これらの勧告に対して、その後いかなる改善の措置をとったのかあきらかにされたい。

三 ずさん・違法な捜査による冤罪事件の続発について
前回の要請でも、警察によるずさんな捜査、密室での強圧的な取り調べ、自白の強要などについて、捜査の問題点の全容解明を求めた。その後、再審無罪が確定した布川事件でも、無罪の証拠隠し、録音テープの改ざん、自白の強要などの問題が一層あきらかになった。
こうした証拠隠し、違法捜査についての徹底調査、調査結果の公表、関係警察官の厳正処分、こうした事件を起こさない抜本的な対策・体制をつくることを求める。
  また、こうした事件の続発は、取り調べの全課程の可視化の実施を急ぐ必要性をいっそう示すものである。

四 取り調べの全課程の可視化を図る制度の早期確立を重ねて求める
検察が検討している一部可視化では、布川事件に示されたように、逆に自白の強要などの違法捜査を糊塗するだけのものになってしまう。取り調べ全過程の可視化を求める。
今日、イギリスやアメリカのかなりの州のほか、オーストラリア、韓国、香港、台湾、モンゴルなどでも、取調べの録画や録音を義務付ける改革が既に行われている。そして、注目すべきは、捜査機関が経験を重ねるにしたがってこれを歓迎する立場に変化していることである。
国家公安委員会に設置された「捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会」は、4月の中間報告で全面可視化に慎重な意見をだす一方で、「今後の検討課題」として、DNA型データベースの拡充、通信傍受(盗聴)制度の見直し、会話傍受制度の導入、司法取引、刑事免責など、取調べの機能を補強するための方策をあげている。「取調べの全面可視化」は、警察の違法な取り調べを防止する目的であり、「新たな捜査手法の導入」とは直接かかわりがないものである。「可視化」を口実にした警察の捜査権限の拡大には断固反対する。盗聴の拡大や司法取引の導入は、人権侵害と冤罪犠牲者の拡大を生むものでしかない。

五 言論・表現活動に対する不当な捜査について
 憲法21条に違反する言論表現活動に対する妨害干渉・逮捕、情報収集を目的とした家宅捜索・押収などを止めることを求める。
  この間、正当なビラの配布行為にたいして、さまざまな法規を口実にした逮捕、起訴がおこなわれている。このなかで、不当な情報収集を目的とした市民団体の事務所や共産党地区委員会への家宅捜索などが横行し、裁判のなかでも情報収集を目的とした不当な捜査がおこなわれていることが明らかになった。東京・葛飾区のマンションビラ配布事件では一審は無罪判決が出され、住居侵入を口実にした逮捕・起訴の不当性が示された。世田谷国公法弾圧事件では、住居侵入は不起訴とされたのに、不当な家宅捜査で入手した証拠により国公法違反事件として起訴された。東京高裁で違憲無罪判決が出た国公法堀越事件では、公安警察が隠し撮りしたビデオが開示されたが、「犯罪捜査」を理由にあらゆる私生活に関する情報収集をするプライバシー侵害が行われていたことが明らかにされた。東京高裁・中山裁判長が無罪判決のなかで指摘した「国民の意識の変化」と「世界標準」の視点から見れば、市民が犯罪ともなんとも思っていないことを警察だけが「これは犯罪だ」として隠密捜査を進めることは許されず、「再検討されるべき時代が到来」している。これらの逮捕・起訴は、言論表現の自由、結社の自由を定めた憲法21条に違反している。こうした不当な捜査を適切に指導・規制すべきである。

六 警察官の待遇改善について 
   日夜、激務に追われている警察官は変則勤務などにより心身とも疲労が蓄積し、いのちと健康を害していると思われる。安心して働ける職場とするため、安全配慮に尽くすこと。この点について、これまで何回か要請してきた。
1.その後、現場警察官の有給休暇の取得など勤務条件の改善がどのようになされてきたのか。
2.警察官の公務災害の認定状況は、その後どうなっているのか、在職死亡や過
 労死についてのデータがあれば示されたい。あわせて、この改善のために講じ
 た措置などを明らかにすること。

第3部 労働委員会

 この司法総行動共同要請は、改正労組法施行(2005年1月)から6年が経過したことも踏まえ、労働委員会が、憲法28条及び労組法に基づく労働者・労働組合の、迅速な権利救済機関としての機能を更に発揮されることを通して、労働委員会活用増加などの、活性化につながる事をめざしての行動である。
 これまで労働委員会は、一定水準の審査・認定・判断・救済を実現してきた。労働委員会は、使用者の団結権侵害から、労働者・労働組合を簡易・迅速に救済し、団結権を擁護するために、裁判所とは別に法により設けられた行政委員会であるから、不当労働行為審査にあたっては、この設立趣旨に反することがないよう十分留意されるのは当然のことである。また、労働委員会が持つ審査・救済にかかわる裁量権は、この設立趣旨に忠実といえる範囲内に限られるのであり、陰湿・狡猾に継続される不当労働行為を許さない、より注意深い審理・判断が求められている。
 労働委員会の設立趣旨については、労働組合法第19条の2の第2項が「中央労働委員会は、労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務とする」と規定していること、ならびに同法第27条第1項が、初審救済申立権を労働者、労働組合にのみ与えていることに十分思いをいたして頂きたい。しかし、近年の事件審理の実態には、この設立趣旨を逸脱し、経営者側を擁護すると言わざるを得ない審問指揮・和解指揮・命令等が目についている。ついては、以下の各事項について要請する。

第1 中央労働委員会・東京都労働委員会 共通
(以下、単に「労委共通」という)

一 手続的・制度的側面、ならびに、行政サービスに関して
1.改正労組法の施行など、労働委員会の活性化が求められているが、申立事件が0〜2件程度の地方労委が59%(平成22年)もある等、労働審判が年間3,400件前後で推移していることとは対照的であるが、その原因をどのように分析されているのですか。
2.上記1の背景の一つとして、審査期間が長いという問題と同時に、不当労働行為の立証上での困難があげられる。特に、申立人らには、人事考課成績や職分資格・賃金実態など、格差の集団間比較に必要な資料がないのが普通である。また、申立を決意しても立証に必要な証拠収集に時間と困難が伴うのが実態である。
従って、使用者の手中にある集団間比較に必要な資料などは、迅速・的確な審理を行う前提資料として、審査計画段階での提出を義務づけること。
3.「格差の合理的理由」として使用者が行う個別立証では、相対比較などの証拠資料の提出を立証前に求め、相対比較なしの「アラ捜し立証」の法的価値を認めない等、蓄積された命令例・判例に基づく明確な審査指揮・判断を行うこと。
(別紙2参照 34ページ 〔事例1:都労委に於いて相対比較抜き「個別アラ捜し立証」を採用しなかった先例〕)
4.労働者の枠を狭める使用者の「非労働者化」攻撃を見逃さず、憲法28条や労組法の趣旨に基づく団結権擁護の姿勢を貫き、異常な司法判断には労働委員会として厳しく対峙する姿勢を貫くこと。
5.陰湿・巧妙・複雑化する不当労働行為事件を迅速・的確に処理する為にも、不当労働行為等に精通している「専門職」職員の配置を継続して重視すること。
従って、研修制度を充実させ不当労働行為事件に精通し、やむにやまれず申立に至る労働者の心情を理解し、誠実に対応できる人材を継続的に配置すること。
6.多発する労使紛争への対応として、労働委員会にも相談窓口を開設し、例えば、
弁護士費用もない未経験の労働者・労働組合でも、安心して申立てができるよう
に、的確なアドバイスのできる専門家職員の配置を行うこと。
7.労働委員会の周知・広報の徹底をめざし、公的機関(例えば、ハローワーク、
市役所等)に、「労働委員会の手引き」などの活用パンフレットを置くこと。
また、高等学校及び大学、専門学校などでも、労働者の権利・義務や、労働者救済機関としての労働委員会の周知・広報を図るための施策を検討すること。
8.労働者の団結権を擁護し、回復する機関として、審査計画においては、労働者の主張を真摯に受けとめ、労働者側証人申請等については充分に配慮すること。
9.証人の採否にあたっては、労働者・労働組合の申請を尊重し採用すること。
10.緊急命令や履行勧告など、確定前命令の実効確保に向けた適切な措置を行い、使用者の労働委員会命令軽視の風潮を許さない、毅然とした対応を行うこと。
11.使用者による救済命令取り消し行訴の場合は、労働委員会の事実認定に裁判所が拘束されることとし、新たな証拠調べが厳しく規制される等、労働委員会救済命令の意義と役割を高める立場から積極的に提起すること。
12.命令書は、希望部数作成し交付すること。
13.結審した事件については、担当公益委員・担当事務局員が責任を持って、命令交付をすること。やむを得ず交代する場合は審問を再開し(労働委員会規則41条の8の2項。42条4項)、当事者の主張・意見を直接聞くこと。
14.和解について。
 ]族鬚謀たっては申立人らの「和解に対する要求」を十分に掌握し、その実現に向けて努力すること、また労働委員会で関与できない内容については、労使双方の協議促進に向けて積極的な指揮をおこなうこと。
この間、申立労組・労働者の意思を無視した和解指揮が目立った。継続するか、打切るかについては、労働者側の意向を十分尊重し、労働者側の意向を確認しない強引な和解の進行はおこなわないこと。
和解協議が進展しない場合は、事件の早期解決の立場から、労働者の要求に基づいて調査、審問等を並行しておこなうこと。
 結審後の和解においては、和解調査過程における使用者側の新たな主張を許さないこと。
使用者の異常な対応によって争議が長期化し、申立人ら全てが定年退職となっている事件がある。退職後も在職中の差別是正を闘わざるを得ない、労働者らの苦難は計り知れないものである。「迅速な救済による原状回復」の制度目的から見ても、労働委員会の事件解決に向けた審査指揮の在り方が問われている。
(別紙2参照 34ページ[事例2:明治乳業事件])
Α]働委員会における和解は、互譲和解ではなく判定和解であるべきだとの理念を堅持し、不当労働行為のない状態(原状)回復のために、使用者側を強力に説得すること。この点、新法において、和解が労働委員会規則から本則に格上げされた事実を重く受け止めるべきである。
15.調査について。
  調査の傍聴参加については柔軟に対応すること。
  都労委では、通常は規制しないのに、時に規制しようとしてもめることがある。
  中労委では、調査参加を当事者・代理人・補佐人に限定しているが、その理由は「『審問は公開する』と規定されているが、調査にはそのような規定はないか     らだ」という。あまりにも官僚的・形式的である。規定がないことは、傍聴させてはならないということではないはずである。柔軟に解釈し、広い会場(審問室でもよい)を使って、支援労働者を傍聴させること。
16.審査の迅速化に伴う要求
 /該佐間の短縮化は大きな課題であり、1年半以内の解決をめざすと聞くが更なる短縮化を求める。そのためにも公益委員の常勤数の拡大、事務局の質量の強化、労使参与委員のレベルアップを求める。
◆々堊覆忙蠅襯院璽垢任麓村5審制となり長期になる実態がある。審級省略の検討はどこまで進んでいるのか。
17.個別労働紛争処理制度について
(神13年の「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」が制定されて以降の、取り扱い件数の推移と集団的労使紛争との推移の分析を求める。
¬ぜ損椶療塢楔労委の個別労働紛争の処理の方向性をどのように考えているか。

二 命令の内容に関して
1.「当該申立」(法27条1項)に忠実に、かつ、従来からの一般的審査・認定方法(例えば、多年度累積賃金昇格差別是正を求める申立について、継続する行為論による遡及救済年数とは別に、累積差別が不当労働行為であるかどうかを調べるため、差別開始時点以前まで遡及審査して認定する方法)によって審査・認定し、救済すること。
2.労働者側が立証した使用者の不当労働行為意思を認定するに足る証拠については、無視することなく命令書に記載し、評価すること。
3.不当労働行為の成否は形式だけではなく、実質・中身をよく見て判断すること。
4.多年度の累積差別の救済を求める賃金昇格差別事件における「継続する行為」について、中労委は青写真作成行為論に、都労委は具体的徴憑顕在化論に、それぞれ固執している。千葉県労委はまた違った考え方を採っている。この事態によって振り回され、被害を受けるのは労働者・労働組合であり、喜ぶのは差別を続ける使用者である。労働委員会として共同研究し、全面的遡及救済を可能とする「継続する行為」論を創造し、裁判所を納得させ、全面遡及救済すること。
5.労働者側の疎明不足を棄却の理由とするものもあるが、救済機関であるから、審問終盤において、場合によっては合議後においても審問を再開し(労働委員会規則41条の8の2項、42条4項)、立証を補強させる等して、最大限救済すること。

第2 中央労働委員会 (上記 第1「労委共通」 に加えて)

一 手続的・制度的側面、ならびに、行政サービスに関して
1.使用者申立の再審査では、使用者の新しい主張立証を許さないこと。
2.事件の迅速な解決のためにも、使用者の結審後審問再開申請は認めないこと。
3.不誠実団交事件の場合は、審査委員および参与委員が直接現地での団体交渉に参加するなどの現地調査を実施し、実態の正確な把握に努めること。
  杉森学園、帝京長岡高校事件の団交拒否事件で、中労委の参与委員が現地に出張して団交などに立ち会うことが行われたことは評価できる。
4.審問調書を無料にすること。特に、労側には最低1部は無料で交付すること。
5.命令書は、希望部数作成し、希望するものには交付日を設定し、手交すること。
6.遠隔地道府県労働委員会での初審事件の再審査申立については、初審申立地労委の施設内で再審査の出張審査ができる仕組みを、労働委員会活性化の視点からも重要な施策と位置づけ、厚生労働省など関係省庁にも提起し実現を図ること。
7.都道府県労委活性化のためにも中労委の果たす役割は重要です。活性化に向け、例えば、過去に労働委員会を活用した労働者・労働組合から、自らの経験に基づく労働委員会への意見・要望を聴取する仕組みを作るなど具体策を示すこと。
  また、日本労働組合総連合会(連合)や全国労働組合総連合(全労連)など、主要労働団体との継続的な協議を設定し意見交換を行うこと。
8.活性化への具体策として、団交拒否事件、組合事務所貸与拒否事件など労組法上も争う余地のない事件には、速やかに命令を発し、その実行確保に向け厳しい姿勢を貫くこと。
      
二 物件提出命令・証人出頭命令の審査に関して
1.物件提出命令、証人出頭命令は、改正労組法に基づいて、不当労働行為事件審査の迅速化・的確化を促進するものであり、この立法趣旨を中労委は尊重すべきである。
中労委は、智香寺学園(正智深谷高校)事件での埼玉地労委の物件提出命令を覆したのに続き、2010年3月には、大阪府労委が決定した大阪京阪タクシー事件での、物件提出命令を取り消した。改正労組法の趣旨との関係で明確な説明を求めたい。
2.各都道府県労委は、迅速・的確な事件審査との関係で、高度の必要性を判断して物件提出命令をだすのであり、中労委は、地労委判断を重く受け止め尊重すべきである。迅速・的確化による労働委員会活性化の目標にも逆行する判断ではないのか。
3.前回の司法総行動(2010年6月)以降の物件提出命令の件数と、全国的な実態を報告されたい。
4.物件提出命令の審査において、初審労委における物件提出命令申立人が中労委審査手続に関与できない制度となっている。実質的な当事者である物件提出命令申立人が関与でき、十分に主張・反論しうる手続に改めること。
5.公表された「執務資料」によれば、中労委は物件提出命令の発出について、「高度の必要性」・「可能性が顕著に高い」などの条文を超えた厳しい要件を設けたり、「補充性」を原則とするなどとしている。これでは、改正労組法が目指した迅速・的確な審理を担保するための物件提出命令は活用できない。前回の要請時以降、「執務資料」の見直し、改正に向けた検討はどのように行われているのか。
6.智香寺学園事件でも、中労委が再審査を行う期間は、「判断待ち」を理由に地労委では審理が中断。そのあげく提出命令取り消しでは、正確な証拠資料に基づく迅速・的確な救済を求める労働者・労働組合は二重に救われないことになる。
  これでは、必要性を痛感しても「物件提出命令」は活用できないことになるが、当初の制度設計との関係で現状をどのように中労委は判断されているのか。
7.証人出頭命令について、平成22年10月に緑光会事件で証人出頭命令を出しているが、2010年の司法総行動以降の全国的な実態を報告されたい。

三 命令の内容に関して
1.初審労委が申立人を救済し、使用者の再審査申立によって中労委に係属することになった場合、中労委は、初審命令を否定したり、救済水準を引き下げたりし     ないこと。
  初審命令に弱点があると考える場合は、それを補強するための審査を行うこと。
2.初審労委が申立人を救済せず、初審申立人の再審査申立によって中労委に係属することになった場合、中労委は初審命令をなぞるだけではなく、初審労委の調べ方が適正・妥当、すなわち、労委設立趣旨に適合した調べ方をしているかどうかについても、注意深く審理・判断を行うこと。
3.配転事件では、不当労働行為意思が認定及び推認できる場合は、不当労働行為の成立を認めること。
4.親会社のリストラにより子会社・孫会社の労働者の労働条件が大きく変更されることに対する親会社との応諾義務に関する長野地労委の命令を取り消した中労委の命令は、親会社のリストラで労働条件の変更を求められた労働者が問題解決を図るために直接親会社との交渉は当然認められるものであり、また、同意協定に関する判断、不誠実団交に対する評価など問題が多く労働基本権を実質的に保障する労働委員会の役割を放棄したものとして強く抗議する。

四、「命令不履行通知」について
1、使用者が確定した救済命令等に従わない場合、労働委員会は地方裁判所にその旨を通知しなければならない(労組法27条の13の)が、不履行通知を行った労働委員会の責任として、不履行で苦しむ事件当事者に対し過料決定にいたる司法判断の経緯などが、その都度明らかにできる仕組みをつくること。
2、労働委員会救済命令の実効確保の見地からも、「非訟事件手続法」の見直しなど、必要な法改正を中央労働委員会として関係行政や司法に提起すること。

第3 東京都労働委員会(上記 第1 「労委共通」 に加えて)

一 手続的・制度的側面、ならびに、行政サービスに関して
1.両当事者・代理人の都合によって、次回審問日程の調整がなかなかつかない場合が少なくない。その都度3回先ぐらいまで予定期日を入れること。
2.賃金昇格差別事件の当初申立後の各年度の追加申立については、不当労働行為の継続性を明らかにする意味からも、労働者側の意見に基づいて併合審査とすること。
3.迅速な審理・救済に向け、中労委・裁判所などのように集中審理を可能とするための体制(速記官の交代要員の補充等)を急ぐこと。希望による一日集中審理(5〜6時間)を目標としながら、当面、3〜4時間程度の審理を実現すること。
4.改正労組法の施行(平成16年)から5年が経過した。改正目的の第一は、不当労働行為審査の迅速化・的確化にあった。審査期間の目標設定や、争点整理、審査計画などにより、初審事件の目標である1年半以内の事件処理が平均的となっているが、都労委の事件処理期間及び長期滞留事件の実態について報告を求める。
5.人事考課成績や昇給・昇格資料など、迅速・正確な審査・判断に必要な資料の多くは会社にある。初審段階で正確な事実認定・判断を行う為にも、必要な資料開示を審査指揮として厳しく使用者に求めること。
  又、使用者が資料開示を拒否した場合には、すでに命令例・判例でも明らかなように、その審査・判断上のリスクは使用者に帰することを明確にすること。
(別紙2参照 35ページ [ 事例3:明治乳業事件 ] )
 6.都庁内の節電は理解するが、34階審査室への通路や「事件審査案内」表示も真っ暗で判読すら困難である。必要な照明・冷暖房は行うこと。

【別紙 1】 裁判所への具体的要請事項の説明と具体例

[ 事例1: 川口学園交渉申し込み・該当宣伝禁止仮処分事件 ]
 2008年4月、豊島区にある学校法人川口学園から解雇された専任教員衣川清子は、解雇撤回裁判を東京地裁で闘っていたが、2009年7月に請求を棄却された。衣川は東京公務公共一般労働組合の分会である首都圏大学非常勤講師組合に加入し、高裁、最高裁と裁判を続けたが、2010年9月、上告棄却により地位の不存在が確定した。
 組合は最高裁継続中の2010年3月から学園に団体交渉を申し入れ、あわせて争議解決のため、学園前や短大最寄駅で計5回の宣伝(ハンドマイク、宣伝カー、チラシ配付)を行った。うち3回は全労連や東京地評が主催する争議支援総行動の一環として行ったものであった。
 ところが、2011年1月の学園前宣伝直後、学園は東京地裁民事9部に妨害禁止等仮処分申立を行ってきた。その内容は〜塙腓硫妖邸∨問等による面会申し入れの無期限禁止、4月8日までの学園および短大周辺での宣伝活動の禁止であった。
 組合側は学園の請求が過大であり、ごく普通の労働組合の活動に対する抑圧であると主張すると同時に、当該期間中の宣伝を行わないことを確約したが、3月初め、民事9部は理由も付さずに学園の申立どおりの決定を行った。組合側は直ちに保全異議申立を行ったが、結果は先の決定と同じで、その理由は、衣川が従業員の地位を失った以上その所属する組合の活動は労働組合としての保護を受けないため、営業妨害となるというものであった。本件はごく一般的な労働組合活動の是非にかかわる問題であるのに、民事9部の決定は、宣伝行動の態様、学園側の過大な規制要求、保全の必要性がないことなどをまったく考慮しない不当なものであった。労働組合による団体交渉申し入れや街頭宣伝活動は憲法や労働組合法で保障された権利である。迅速な判断を旨とする仮処分事件であっても、労働事件である以上、労働法的視点に立った判断を行うべきである。起訴命令申立により、本件は本訴に移行した(民事50部)。
 組合は、学園側の団交申し入れや事務折衝に対する不誠実な態度を不当労働行為として5月、東京都労働委員会に救済申立を行い、受理された。するとその直後、学園は本訴継続中の宣伝活動を禁止せよという第二次仮処分申立を行ってきた。これに関しても禁止が命令されたが、2011年末までという期限付きであった。
 同時期大阪で、労働組合による企業周辺での短時間の宣伝カー宣伝の禁止を求める仮処分申立に対しても禁止の決定が行われ、東京と大阪で、裁判所が労働組合活動に対する弾圧機関と化しているのではないかという懸念が広まった。

[ 事例2: パナソニックプラズマディスプレイ(PDP)偽装請負事件 ]
本件は、全国で多発している「偽装請負」事件に対する、最初の最高裁判断として各方面から注目された事件である。人材派遣会社のパスコから、パナソニックに請負労働者として派遣されていた労働者が、パナソニックからの指揮・命令など、実態は「偽装請負」であると大阪労働局に「違法な労働者派遣」を告発。 
労働局は、違法状態を認定し是正指導を行った。その結果、労働者は期間工として直接雇用となるが、隔離管理など様々な嫌がらせを受け続け、5ヶ月後には期間満了を理由に、報復的に「雇い止め」とされた事件である。
大阪高裁は、パナソニックとの使用・従属関係、賃金支払い等の実態を認定し、職業安定法44条(労働者供給の禁止)と、労働基準法6条(中間搾取の排除)に違反すると判断します。そして、パナソニックと労働者との間には「黙示の労働契約」が成立しているとして、元の職場に戻すことなどを内容とする、司法として極めて正常な判断を示したのである。
最高裁も、違法な偽装請負を認め、告発した労働者への隔離・必要性のない仕事、その後5か月で雇い止めの事実などについては、大阪高裁判決と同様に、「報復」「不利益取扱い」と認定します。しかし、「パナソニックは派遣労働者採用に関与していない」などと、就労の実態を無視する形式的理由によって、大阪高裁が認定した「黙示の労働契約」を否定します。結局、偽装請負を認めながら、派遣先との黙示の労働契約を否定することで、派遣先の雇用責任を免罪する矛盾に満ちた、許しがたい判断を行ったのである。
 大阪高裁判決を、矛盾だらけの論理で覆した最高裁判決は、全国で争われている同種事件に重大な悪影響を与えている。すでに、地裁段階の例として、最高裁判断を理由に、同種事件を争う当事者に、「事件の取り下げ」を平然と求める裁判官すら現われている。最高裁は、その職責において判断の誤りを正し、下級審に対しても、誤りが繰り返される事のないように厳しく指示すべきである。

[ 事例3: インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン(株)セクハラ・パワハラ解雇事件 ]
 本件は、セクハラ・パワハラを背景とした極めて横暴な解雇事件である。
原告は、インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン株式会社(アイビーエムとリコーの共同出資会社として設立/現在はリコー100%出資子会社)の女性営業職として、2007年に採用されて以来、誠心誠意働いてきた。
ところが、入社当初から、/融部長や直属の上司、配属チームの男性営業社員らから、職務権限を利用したセクハラや嫌がらせを受けるようになった。
例えば、深夜残業の強要、同僚社員との差別待遇、社内での下劣な誹謗・中傷、業務の情報を開示しない、無理やり休暇を取得させゴルフに強制同行、全社員必須の海外社員研修への原告1人だけの不参加など等である。また、「あいつは顧客と出来ている、身体で仕事を取っている。女の営業などいらない。」等と卑劣な噂を流すなどで、原告の職位と職務を変え、さらに、交通費と残業代の横領犯という濡れ衣を着せたのである。
そして、2009年7月29日、上司ら4名が原告を会議室に呼び出し、一方的に「懲戒解雇」通告を行い、原告が拒否して退室するのを強引に阻止する上司らは、暴言と暴力をふるい全治1週間の診断書が出される事態となった。
異常な行為を受け続けた原告は、「職場でのストレスが原因の一つと考えられる」という、自律神経失調症の診断をされるに至ったのである。会社は、現在も原告の私物や年金手帳を取り上げたままであり、また、原告を解雇しながら離職票すら渡していない。
○ 裁判官の偏見に満ちた訴訟指揮は許されない
しかし、本件への一審判決(東京地裁36部)は、極めて不当なものでした。特に、看過できないのは裁判官の偏見に満ちた訴訟指揮の異常さである。一審が始まり、準備書面が数回取り交わされたあと、裁判官は「事情を詳しく聞きたい」として原告を呼び出している。
そこで、原告と弁護士に対して「私個人の意見だが、女性なんだから、将来に傷がつかないように自ら裁判を取り下げて和解した方が良い。そうしなさい」と、裁判の取り下げを30分に及んで強要したのである。原告が、「裁判官の“個人のご意見”は心に止めておきます。ご心配いただき有難うございます。しかし、今回の会社の労働者への不当な扱いを私は許すわけにはいきません。今後の女性労働者の地位と名誉の為にも、裁判を取り下げることはいたしません。」と答えると、裁判官は顔を真っ赤にして態度を豹変し声を荒げて、「そうですか!」といい、書類を机に叩きつけて話を終了させたのである。
また、証人尋問の際も斜め横を向き肘をつきながら、書類をパラパラとしながら原告の証人尋問を聞いたり、さらに、被告側弁護士が原告に反対尋問をした際には、机に書類を叩きつけて「何を話しているのかわからない。」と声を荒げる等、極めて異常な訴訟指揮が目立ったのである。裁判官の訴訟指揮の在り方が厳しく問われる事例である。

[ 事例4:明泉学園(鶴川高校)命令不履行事件(非訟事件について) ]
鶴川高等学校教職員組合は1993年結成された。以来、今日まで組合嫌悪・組合差別は一貫して続けられている。組合は、1998年に東京都労働委員会に救済申立を行い、2007年9月4日に救済命令が交付された。その後、2009年2月18日に中労委においても救済命令が交付された。
学園の行政訴訟提起の断念によって命令が確定した。その内容は、 \深唾銚鬚稜定、 ∩塙膂を担任、部活動顧問などから外すことは支配介入、A塙膂の懲戒処分の救済、 ち塙膂を管理職に登用しないことの支配介入禁止、チ塙膾絞未砲茲覦貉金差別の差額の支払い、謝罪文の手交などであった。

1.学園は確定した命令に従わなかった。2009年12月、中労委より命令不
履行通知が東京地裁になされ、「非訟事件手続法」に基づく審理が行われた。
困難な闘いを通して中労委命令を獲得し、その履行を学園に求めて闘っている当該労組には、「過料決定」がどうなるかは重要なことである。
しかし、当該労組は非訟事件の当事者ではなく、「不履行通知」を行った中
央労働委員会にさえ経過が通知されないなど、極めて異常な手続法となっている。
2、「非訟事件手続法」による障壁と改善されるべき点
 (1)組合が申立てた事件なのに当該組合が当事者ではない不合理性
 ア、係属している法廷を知ることも困難で、決定がいつ出されたのかも知る
ことができない。従って、「決定」を見ることすらできない。
イ、本件組合は、他にも訴訟を提訴していたことから、学園が証拠として書
 面提出をして初めて「高裁過料決定」が入手できた。
 ウ、中労委ですら「当事者」ではない。確定の最終判断については中労委に
も送られていない(中労委が請求してももらえなかった)。
 (2)非訟事件審理での「学園の主張」を知る術がない
 ア、地裁段階では地裁から中労委に連絡があったので、中労委を通して知ることができたが、書面の一部を教えてもらっただけで、全貌がわからない。
 イ、高裁段階では中労委へ何の問い合わせもなかったため、学園がどのような主張
を行ったのかは全く不明。
 (3)従って、事件当事者の組合が地裁・高裁に意見を述べる手立てがない。
 ア、地裁で出された書面には、中労委を通して「意見書」として反論できた
が、高裁では全くできない。

 イ、よって、一方的な学園の主張の真偽を検討することが困難であり、この

主張に基づいて学園主張に都合の良い「決定」が下される危険性がある。
 ウ、本件の場合、組合は3点の命令不履行を主張したが、2点については処罰
されなかった。
  問題なのは、命令不履行での過料が司法の場で審理されている間も、また、過料決定がなされた後も、何の情報も無い中で当該組合に対する不当な攻撃が継続していることである。「非訟事件手続法」の見直しは避けられない。

[ 事例5: 八千代銀行パワハラ事件 ]
 本件は、東京地方裁判所民事11部に係訴中の事件である。
 本件は、八千代銀行赤塚支店(練馬区)の支店長が、同支店に勤務していた原告を退職に追い込む常軌を逸したパワハラによって、一時的に正常な思考判断力を失いパニック状態に陥った原告が、支店長の示した退職願の雛形に沿って記入させられ、平成22年6月18日に退職願(6月30日付)を提出した事件である。
 原告は、銀行全体で行われる渉外担当(お客様担当)者の個人表彰を2回獲得するなど、銀行からも認められる存在であった。しかし、係長に昇格(平成21年11月1日)と同時に行われた人事異動に伴う人員削減や、それまでの渉外担当に加え前係長の顧客も担当する等の業務過重によって、仕事に自信のあった原告にして顧客とのトラブル等も発生するようになった。支店長は、これらのミスをとらえて原告に「始末書」を書かせ、その末尾に「同様の苦情が顧客からあった場合には退職します。」などの記載を強要するに至った。
 その後も、原告に対する支店長のパワハラはエスカレートし、事あるごとに「お前には八千代の血が流れていない!」、「お前なんか辞めちまえ!」とか、「お前の事なんか大嫌いだ!」、「お前なんか必要ない!」など等、机を拳で叩きながら大声で罵倒を繰り返すなど、まさに常軌を逸したいじめが続いた。そして、平成22年6月16日には、ついに一切の仕事を取り上げ、「今後は係長の椅子に座るな、もうお前の席ではない。これからは代理が座るから」等といい、さらに、「渉外室に入るな、小会議室で待機していろ、一日その場所から離れるな!」と指示し、他の行員との接触も一切遮断して原告を隔離したのである。
 外部との接触を断たれ、隔離部屋に放置されるなどのパワハラ攻撃により、原告の精神状態は混乱し正常な判断力が失われていった。原告をこのような精神状態に追い込んだ支店長は、以前に原告が「・・・退職します」と書かされた「始末書」をチラつかせ、「これからどうする?今後どうしていきたい?」等と詰問し、退職願の雛形を原告に渡しパニック状態のなかで退職願を書かせたのである。
しかし、社内労組の委員長に相談した原告は思い直し、本社人事部との退職に関するヒヤリング(平成22年6月25日)が行われた際に、人事担当者が退職について、「いまもそれでいいのか?」と尋ねたのに対し、「今は後悔しています。辞めることはないと思っています」と明確に答え、退職願を撤回する意思を表明した。しかし、人事担当者は、「もう30日付での退職は決定しています」と、原告が求めた退職願の撤回を拒否した。
その後も、原告が所属する八千代銀行従業員組合や上部団体である全国金融労働組合連合会などの、退職願の撤回及び同支店長のパワハラの事実関係調査の申し入れを同銀行は拒否し続けた。その結果、東京地裁への提訴となった事件である。
本件の審理を通して、第一に、使用従属関係にあるとしても、こんな無法な人権否定のパワーハラスメントが許されていいのか。第二に、正常な思考能力を破壊する常軌を逸したパワハラ攻撃のもとで作成された退職願に法的効力があるのか、等が判断されるべきである。人権擁護の砦である司法として絶対に看過できない問題が含まれている。

[ 事例6: 高見澤電機不当労働行為事件 ]
 高見澤電機事件は、親会社である電機大手・富士通が子会社高見澤電機の企業再編合理化を理由とした主力信州工場潰しと、そこに存在している闘う労働組合であるJMIU支部の排除をねらった不当労働行為事件である。
 この不当労働行為に対して当該高見澤電機支部・JMIU長野地方本部・JMIU中央本部の三者は、当該高見澤電機・親会社富士通・富士通コンポーネントを相手に長野県労働委員会、中央労働委員会、東京地方裁判所で争ってきた。
 親会社が地方に所在する子会社に、有無を言わせず行なう切捨ての企業再編により、地方に及ぼす経済的打撃と雇用不安は極めて大きなものである。長野県労委はその不法な実態と本質を正確に捉えた判断を基本に据えていた。そして、親会社の使用性を認めての団交応諾義務・不誠実団交・支配介入等を認め救済命令を発した。しかし中労委ではそのすべてを棄却し、東京地裁はそれを「丸呑みする形」で追認。まさに「自己分析皆無」に等しい粗悪なものであった。その判断は上級審に行く程現実とかけ離れ悪質化し、経営側の不法行為の爐笋蠧性瓩鰺文遒垢襪發里箸覆辰拭
企業が主張する財務実態についても組合の分析と主張を検討すらせずに無視した。行政、司法のこの怠慢は強く批判されるべきである。
以下、争った主要項目についてそれぞれの判断を述べる。
 〔親会社の使用者性と団交応諾義務〕
 県労委は「親会社が行なうリストラにより、子会社・孫会社で働く労働者の基盤的労働条件に関して親会社は団交応諾義務がある」と命令したが、中労委は「親会社の支配は一般的な域をこえておらず、雇用主と同視できる支配の証拠はない」と県労委の命令を取り消した。東京地裁では、労働委員会で実現できなかった元社長の証人調べが実現。多くの直接・具体的支配が明らかになったにもかかわらず、それを全く考察せず、中労委命令を追認した。
 現在、大企業親会社が行なう企業再編リストラによる労働者の雇用と労働条件への被害の解決は当該企業では解決不可能であり、権限を有する親会社との団交以外に解決の道がない事をまったく理解していない。
 〔同意協定違反と支配介入〕
 県労委は「組合との合意がないままの転社・希望退職の募集は同意協定違反であり、これによる組合員の減少は支配介入」と命令したが、中労委は「同意協定があっても使用者が協議をつくしたと判断すれば守らなくてもよい」と県労委の命令を取り消した。東京地裁では、中労委の判断をさらに進め「使用者が経営権を有するなかで、それを阻害する同意協定を結ぶはずがない」と述べている。労使協定の命ともいえる「協議・同意協定」を敵視し形骸化する意図をあらわにした。
 〔不誠実団交〕
 県労委は「当該高見澤電機は団交において資料提出・説明・回数において不十分で不誠実」と命令したが、中労委は「高見澤はすべきことをした。一致が得られなかったのは組合側の固執にある」と初審命令を棄却し、東京地裁はその判断を追認した。団体交渉は問題解決の唯一の場であり、解決の為の努力があるかどうかが鍵である。親会社が行なう施策に子会社の使用者は権限がなく、形ばかりで解決のための具体的提案を持っていなかった実態が浮きぼりになっているにもかかわらず、それを正視する態度が中労委と地裁にはなかった。

【別紙 2】 労働委員会への具体的要請事項の説明と具体例

[事例1:都労委で相対比較抜き「個別アラ捜し」立証を採用しなかった先例〕
  この項目は、労働委員会及び司法にも共通する課題として述べる。
住友重機械工業事(1975年10月21日命令)
北辰電機製作所事件(1976年12月27日交付)
東京三協信用金庫事件(1976年6月7日交付)
菊地色素工業事件(1979年10月2日交付)
日本アイ・ビー・エム事件(1980年3月31日交付)
三井製糖事件(1980年4月24日交付)
共立事件(1981年8月5日交付)
朝日火災海上事件(1996 年4月5日交付)

上記は、同命令例のごく一部に過ぎないことを付記し、イ傍載の「日本アイ・ビー・エム事件」について、貴委員会が判断した部分を引用する。
 「前記〔第2の2(2)(A)(B)〕で判断したように、申立人堀江ら23名の個人別の人事考課についてただ(C)(D)(E)等の結論のみで人事考課上の具体的内容が明らかにされていないのみならず、これら組合員と比較対照すべき他の従業員の人事考課表など比較評価の対象となるべき客観的・具体的資料の提出が殆どされていない。また上記人事考課がなされた理由として会社の挙示する諸事実も前記第2の2(2)の各項で判断したとおり、その程度の事実のみで直ちに会社のいうような考課の結果につながると考えることは首肯しがたい。とすれば、会社が申立人に対してなした能力判定の当否を判断するにつき、他に適当な方法の見当たらない本件にあっては、申立人組合らとの入社時期・前歴ないし職種・職場を同じくする他の従業員との昇進実態の比較を基準にする以外に合理的な方法は見出し得ない。」とし、相対比較抜き個別立証が格差の「合理的理由」とはならないことを明確にした。

[事例2:申立人ら全員が定年退職となった事件での、審理・救済の在り方について(明治乳業事件)〕
  明治乳業事件には、1985年都労委申立事件(千葉県市川工場32名事件、2009年2月最高裁不受理決定)と、現在、都労委で審査中の全国事件(1994年申立、9事業所32名事件)の2事件がある。すでに、市川工場事件申立から26年が経過する中で、全国事件も含め申立人ら全員が定年退職となり、さらに、9名の申立て人が他界している。企業の不当労働行為・差別をやめさせ、健全な労働組合活動の回復をめざして、30歳後半から40歳初頭で申し立てたものが、「迅速な審理・判断で速やかな原状回復」を目的とする労働委員会で、原状回復どころか、定年後も困難な闘いが強いられている現状は許しがたいものである。
長期化の背景には、いまでも多くの識者や労動団体などで語り継がれている、市川工場事件に対する都労委の超不当命令(1996年9月)がある。
命令は、同種事件で蓄積された判断要件をも無視するもので、「格差の存在」の否定を始め、圧倒的に立証された不当労働行為意思の一行一句も認定せず、逆に、企業の中で差別や組合活動への支配介入に反対して闘っている、申立人ら集団に対する憎しみすら、その行間から読みとれる超不当命令であった。
  しかし、東京高裁判決では、/塾人らの集団性の認定、⊇乎調屬紡減澆垢襦嵳意な格差」の認定、I堙労働行為について、「控訴人らの主張を妥当すると見る余地はある」と認定された。もし、初審の都労委が確立された判断要件に従い、格差と不当労働行為意思を注意深く審査・判断していたならば、間違いなく初審の救済命令に基づいて、早期全面解決が可能だった事件である。
  市川工場事件との一括解決を目指す立場から、長期に凍結状態にあった全国事件の審査を開始してから5年余りが経過する。全国事件は、格差の大きさでも、全国各地の不当労働行為の事実からも、市川工場事件より深刻であり、審査を尽くすならば救済命令は確実なものと確信する。すでに定年退職となっている申立人らにとっての救済命令は、企業を断罪し失われた人権と尊厳を回復する重要な意義はあるが、在職中の団結権、原状回復には残念ながら及ばないのである。
このような事件の場合、労働委員会存立の原点に照らした審査の在り方や、事件解決に向けた積極的な審査指揮の発揮こそ求められる。
申立人ら全員が定年退職となっている事件の審査では、事件の全体像を迅速に判断し、事件の収拾・解決に向けた審査指揮を重視すること。
「和解」を提起する場合には、労働者・労働組合の「団結権擁護、原状回復」という労働委員会設立趣旨に基づいて、申立に至った申立人らの心情を理解し、使用者への強い説得も含め責任ある指揮権を発揮すること。

[ 事例3:使用者が資料開示を拒否した場合の判断について(明治乳業事件) ]

不当労働行為・差別事件の迅速・正確な審査・判断には、職分資格や賃金など格差の実態を全面的に把握することが不可欠である。これらの資料は、使用者の人事管理の重要基礎資料として保管されている。しかし、労働委員会が公式に資料提出を求めても、様々な理由を述べて拒否する使用者が多い。都労委で審査中の明治乳業事件においても、委員会が公式に求めた資料提出を(株)明治は拒否している。重要なのは、資料提出を拒否された場合の審査指揮や判断の在り方である。都労委においては、提出を拒否した会社側に審査・判断上のリスクが帰することを明確にした命令例が蓄積されている。

事例として、三次に及ぶ松蔭学園事件の都労委命令を引用し、これらの立場を踏まえた審査・判断が、さらに定着することを強く求める。

松蔭学園第一次賃金差別事件で貴委員会は、「労働委員会として適切な事実
認定を行う必要のため、学園教員に対する賃金支給実態を明らかにする下記の文書を提出されたい」と求めた。しかし、学園は「かかる資料は事実認定および判断をするうえで的確なものということができないばかりか、かえって不相当というべきである」と拒否した。貴委員会は、学園が提出に応じなかったことを理由に、申立人らの主張立証に基づいて、是正すべき給与・一時金額を算定し救済した(2000年12月5日)。

同学園の第二次賃金差別事件でも貴委員会は、「全体の賃金体系を明らかにさ
れたい」として、教員の賃金台帳あるいは賃金の在り方が分かる資料・基礎データーの提出を求め、学園がこれに応じないと、さらに大卒の初任給、調整手当、初任給調整手当等について救釈明を行った。そして、救済命令では、他の高等学校の標準的給与を念頭に置いた是正水準を設け、「このことは、学園が学園の賃金実態について具体的に疎明せず、また、昇給及び一時金に関する格差の合理性についても疎明しなかったのであるから、やむを得ないところである」とした(2005年12月20日)。
貴委員会の、これらの判断は、中労委(2007年8月1日)においても支持され、東京地裁の判決においても維持された(2009年11月26 日)。

・同学園の第三次賃金差別事件でも、貴委員会は、一貫して資料提出を拒否する学園の主張を厳しく退け、組合主張に基づく救済を行った(2010年12月7日)。

以上

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