日本国憲法と世界人権宣言を羅針盤に、弾圧事件・冤罪事件・国や企業の不正に立ち向かう人々を支える人権団体

厚労省要請

2011年7月11日
厚労省の裁判傍聴者の情報収集の中止を求める要請書

厚生労働大臣
細川 律夫 殿

日本国民救援会中央本部
会長 鈴木 亜英

 7月7日付朝日新聞で、厚生労働省が、国が被告となっている労災訴訟の傍聴者の情報を報告するよう、全国の労働局に通知を出したことが報道されました。
 私たち日本国民救援会は、労災事件をはじめとした労働事件、言論事件や冤罪事件などを支援している団体として、この問題は看過できず、強く抗議するとともに、以下、要請するものです。
 問題の通知は、厚生労働省労働基準局労災補償部補償課労災保険審理室長名で、都道府県労働局労働基準部長宛に昨年8月に出された「労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について」と題する文書です。同通知は、「3 共同処理事件への対応 (1)都道府県労働局における対応」のなかで、口頭弁論などでの原告側出廷者や傍聴者の状況などを、様式を統一した報告書を用いて、その都度速やかに、かつ、正確に報告するよう指示しています。
 そもそも裁判の傍聴は、憲法で保障された「裁判の公開」(82条)にもとづく大切な権利です。
今回の通知は、この傍聴の権利を侵害する重大な問題です。「裁判の公開」は、戦前の暗黒裁判への深い反省と、国民主権の理念から、国民が裁判を監視するための保障にあります。今回の通知の背景には、国を相手に裁判をする人びとやその支援者を敵視する国の姿勢があります。国が、その目的の有無にかかわらず、それらの人びとを監視し、その情報を収集・集積することは、それ自体重大な人権侵害です。このようなことがまかり通れば、裁判を傍聴しようとする国民は、国によって監視され、情報を収集されることを覚悟しなければ傍聴できない事態になります。「裁判の公開」は有名無実になってしまいます。
全国で起こされている労災訴訟は、仕事によって健康を害し、ひどい場合は自殺に追い込まれたなどの実態を告発し、その補償を求めるだけでなく、「同じような被害を二度と出したくない」との思いで訴えているものです。そして、その裁判の積み重ねによって、国の認定基準の変更や労働安全衛生制度の改善を勝ちとってきています。もともと、国による企業などへの指導や法的な整備が十分なされないことが、労災を引き起こしてきた大きな原因です。労災訴訟を敵視する姿勢そのものが、労災を生み出しているのであり、厚労省の姿勢は許すことができません。
上記をふまえ、次の点を要請します。
一 通知「労災保険に係る訴訟に関する対応の強化について」をただちに撤回し、情報の収集を中止すること。
一 これまで、どの労災訴訟について情報を収集したのかを明らかにすること。そこで、収集した傍聴者の状況に関する情報を速やかに処分すること。

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