奥西勝さん、袴田巌さん両死刑囚の刑の執行停止と即時釈放を求める要請書
日本国民救援会は、長年にわたって名張毒ぶどう酒事件の無実の死刑囚・奥西勝さん、袴田事件の袴田巌さんを支援しています。そして、歴代の法務大臣をはじめ法務省矯正局並びに拘置所当局に対して、再三にわたって適切な医療処置等の処遇改善や近年においては刑の執行停止と釈放を強く要請してきました。
名張毒ぶどう酒事件の奥西勝さんは、１審は無罪判決でした。逆転死刑判決が確定した後は、名古屋拘置所から無実を訴えつづけました。2005年４月に名古屋高裁で再審開始と刑の執行停止決定、2010年４月には最高裁で差戻し決定（請求棄却決定を取消）が出されました。最高裁は差戻し決定のなかで「科学的知見に基づ」いた判断をするよう示唆しましたが、これら２度の決定は、死刑判決の事実認定に科学的知見に基づき疑問を投げかけたものであり、事実上の「無罪判決」です。しかし、今年５月25日、名古屋高裁刑事第２部（下山保男裁判長）は、科学的知見に基づく判断を放棄し、予断と推論だけを根拠に奥西さんの請求を退けました。
奥西勝さんは、すでに８６歳、今回の不当決定によって死刑執行の停止も取り消され、ふたたび死刑の恐怖とたたかいながら最高裁に特別抗告を行い、たたかうことを余儀なくされました。奥西さんは、不当決定後に病態が急変し、名古屋拘置所から八王子医療刑務所に移送されました。来年１月に８７歳になる奥西さんは、いつ病気が急変し生命の危機に直面するかわかりません。
袴田事件は、現在静岡地裁で第２次再審請求の審理が大詰めを迎えています。この審理の中で、新たなＤＮＡ型鑑定によって、袴田巌さんが犯行時に着ていたとされる衣類に付着していた血痕が袴田さんのものでもなく、被害者のものでもないことが明らかになり、もはや袴田さんを有罪とする死刑判決は根底から崩壊しております。
袴田巌さんは、すでに７６歳、長年の拘禁生活から拘禁症が悪化し、心神喪失状態にあるといわれており健康状態が心配されています。
奥西勝さんは、５１年以上、袴田巌さんは４６年以上も自由を奪われ、高齢による病気と死刑執行による二重の恐怖によって生命の危険に直面しております。現在の状況が続ければ第２、第３の帝銀事件の平沢貞通元死刑囚の不幸を繰り返すことになります。これ以上奥西さん、袴田さんを拘束し続けることは正義と人道に反すると言わざるを得ません。
国民救援会は、法務大臣が刑訴法４７９条１項に基づき両死刑囚の刑の執行停止を命じ、適切な医療処置を施すために早期に釈放すること、もしくは再審請求の判断がされるまでは刑訴法４４２条但し書きに基づき、検察官が刑の執行停止をするとともに拘置の執行停止も行い直ちに釈放手続を開始するよう検事総長を指揮することを強く要請します。
名張事件第10次再審（最高裁）署名用紙
